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【特集】ビギナーが最初に聴くべきヘヴィメタル|ルーツ・オブ・ヘヴィメタル編

ヘヴィメタルライヴ中にメロイックサインを掲げるオーディエンスのイメージ メタル

今につながるヘヴィメタルの基本的スタイルを作り上げたバンドといえば、これはほぼ満場一致でメタルゴッド率いるJudas Priest(ジューダス・プリースト)。これについては、ほぼ異論のはさむ余地がないところでしょう。

ところが、プレ・ヘヴィメタルとも言うべきそれ以前のルーツを遡るとなると、評論家やマニアの間でも意見が分かれることになります。

「はじめてヘヴィメタルバンドを名乗ったのはBOCだ!」
「ヘヴメタルという言葉をはじめて歌詞に使ったのはステッペンウルフだ!」
「ルーツを辿ればビートルズだってヘヴィ曲をやっていた!」
「〇〇〇〇ってバンドがいてねぇ…(ドヤ!…昨日知ったんだけど…)」

などなど、個人個人のヘヴィメタル観,メタル史観のぶつかり合いというよりも、もはやマニアのマウント合戦的な有様になってきてあまり生産的とは言えなかったりします。

もちろんこの記事も筆者の主観によるものではあるわけですが、それは承知であえて自戒もしつつヘヴィメタルのルーツ的なバンドをまとめてみました。

ヘヴィメタルサウンドに音楽的影響を与えたバンド達

ヘヴィメタルをそれまでのハードロックと異なる新世代のロックミュージックたらしめた要素は、“重さ”“速さ”“過激さ”“メタリックな質感”といったところですが、その中でも最も古くまで溯れるのは“重さ”でしょう。

古くはThe Beatles(ザ・ビートルズ)Animals(アニマルズ)Kinks(キンクス)Status Quo(ステイタス・クォー)などの初期ロックバンド。彼らのナンバーにも当時としてはもちろん、現在の感覚でもそれなりにヘヴィに感じられる曲が見られます。
ポップなイメージで知られるバンドでも、1曲くらいはヘヴィナンバーを持ってたりしたものです。

60年代後半からはCream(クリーム)Iron Butterfly(アイアン・バタフライ)Blue Cheer(ブルー・チアー)などの有名どころをはじめとしたヘヴィサイケやヘヴィブルーズなどヘヴィロックバンドの全盛期。ドゥームやストーナーの元ネタになっているウルトラヘヴィなバンドが、いちいち名前を挙げるのも面倒なくらい数多く誕生しました。

そして、ここから70年代前半にかけて、ヘヴィメタルにルーツを語るときに欠かせないハードロック/ヘヴィロックのビッグネームが続々登場します。

「Disraeli Gears」リンクが見つかりませんでした。: (WP Applink)

ルーツ・オブ・ヘヴィメタルの代表的バンド|サウンド編

ブリティッシュハードロックの2大巨頭

やはりブリティッシュ・ハードロックの2大巨頭と呼ばれる存在、Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)Deep Purple(ディープ・パープル)は外せないでしょう。

Led Zeppelin|レッドツェッペリン

Led Zeppelinは様々な音楽要素を持つバンドで、メインストリームからオルタナティヴロック、さらにはブラックミュージックなどの非メタルあるいはアンチメタルな界隈でも人気が高いバンドです。
そのため、「ZEPをメタル扱いするな!」、「パープルはいらないからZEPはオレ達にくれ!」などと、自分たちのフィールドに囲い込もうとゴネる評論家や音楽関係者は後を絶ちません。

しかし、Led Zeppelinがヘヴィメタルのルーツのひとつであるのは確実。
特に「移民の歌」「アキレス・ラストスタンド」などの曲が持つ叙事的な世界観と勇壮でドラマティックなサウンドは、間違いなく今でいうエピックメタルに直結する、というかエピックメタルそのものと言ってもいいでしょう。

Deep Purple|ディープ・パープル

Deep Purpleは歴史に残るキラーリフの数々、スピード重視の疾走感のある楽曲、クラシカル志向のギターヒーローの存在などでヘヴィメタルに大きな影響を与えました。

特に、リッチー・ブラックモア(Gt.)の影響で、ナルシスティックでテクニカルなカリスマ早弾きギターヒーローはヘヴィメタルでも一大潮流となり、「メタルにはメロディアスな早弾きギターが必須」といったトチ狂った様式美思想が広がる原因にもなりました。

ただし、Deep Purpleは早弾きギターと早弾きオルガンの二枚看板だったいうこともあり、ギターもそれほど悪目立ちしていません。

むしろ、「ハイウェイ・スター」「ファイヤー・ボール」「スピード・キング」「バーン」といった名曲の革命的な疾走感こそが、ヘヴィメタル〜スピードメタル〜スラッシュメタル〜デスメタルと高速化を続けたヘヴィメタルの原点として、クローズアップされるべきでしょう。

英米二大元祖メタル、ブラック&ブルー

ヘヴィメタル直近のルーツ“元祖ヘヴィメタル”として必ず名前が挙がるのが、それぞれ英国と米国を代表するヘヴィ/ハードロックの二大巨神Black Sabbath(ブラック・サバス)Blue Öyster Cult(ブルー・オイスター・カルト)です。
この2バンドがヘッドライナーとなったライヴツアー「ブラック&ブルーツアー」にちなんでブラック&ブルーと呼ばれています。

Black Sabbath|ブラック・サバス

初期の第1期Black Sabbathは、今ではドゥームメタル/ストーナーロックの始祖として知られているように、ウルトラヘヴィなギターリフとヘヴィなサイケデリアを感じさせる、ディープなヘヴィネスが特徴でした。

そのため、第1期の頃のサウンドはヘヴィネス以外にメタルに直結する要素は少ないのですが、ヴォーカルにロニー・ジェイムス・ディオを迎えて音楽性を改めた第2期では、ジューダス・プリーストと並ぶ初期ヘヴィメタルの創設バンドとして独自のメタル様式美を作り上げ、メタル界を代表する顔役のひとつとなります。

そして、Black Sabbathからの影響として欠かせないのが、サタニズム的なイメージの強いオカルト/ホラー的なコンセプト。

過去のロックにも見られたモンスター映画的なキッチュなホラー感覚とは別種の、ダークでアングラ感・背徳感にあふれたイメージ戦略は、コンセプターのギーザー・バトラー(Ba.)主導で行われていました。
このイメージコンセプトはヘヴィメタルのパブリックイメージの定型となって、初期のヘヴィメタルから後のブラックメタルに至るまで受け継がれています。

Blue Öyster Cult|ブルー・オイスター・カルト

ホラー映画の挿入歌として欠かせない「リーパー(死神)」や日本語ナレーション「リンジニュースヲモウシアゲマス…」で有名な「ゴジラ」で知られるBlue Öyster Cultは、初めて自らのサウンドをヘヴィメタルと呼んだバンドとされています。

そんな事情から元祖ヘヴィメタルと呼ばれることも多いですが、実際のところその音楽性はのちのヘヴィメタルサウンドとはちょっとイメージの異なるもの。

本来、彼らはパティ・スミスNYパンク勢などニューヨークアンダーグラウンドのアート/文化系人脈につながるバンドで、USメタルに多い脳筋系バンドとは一線を画した存在です。
初期のサウンドにしても、確かにヘヴィさ,激しさ,スピード感などヘヴィメタル的要素は満たしているものの、質感はむしろMC5やガレージロックなどに近いものでした。

その後はUKでのメタルムーブメントを意識しつつもそれに染まらず、ある種プログレハード/産業ロック的な計算ずくの硬質なポップさの中に、彼ら本来のダークな世界観,神秘性,クールな狂気を感じさせる独自のサウンドへと変化していきます。

オンリーワンすぎて追随するバンドが現れなかったため、ヘヴィメタルへの音楽的な影響というとあまりピンと来ません。むしろ、サウンド面よりも歌詞をはじめとしたその世界観の方にヘヴィメタルのルーツを感じさせます。

それは、当時のバンドのコンセプター兼詩人であるサンディ・パールマンによるところも大きいですが、当時はクールな最先端サブカルチャーだったSF小説やファンタジー小説、ラヴクラフトなどのホラー作家・詩人などの影響を反映させた世界観を作り上げていて、そういった手法は多くのヘヴィメタルバンドも受け継いでいます。

ヘヴィメタリックなサウンドのルーツは?

ヘヴィメタルの代名詞でもあるメタリックな質感のサウンドが登場するには、さすがにサウンドテクノロジーが発達が進むのを待たないといけません。その点においてはプログレ界隈はさすがで、予算もあって新し物好きな先鋭派がそろっています。

英国5大プログレバンド(BIG5)の一角King Crimson(キング・クリムゾン)のサウンドは、クールで硬質なメタリックとも言える質感を持っていて、メタリックなサウンドでヘヴィメタルに先駆けた存在と言えます。

特にメタルクリムゾンと呼ばれるREDアルバム時期のKing Crimsonは、ギターの質感までもメタリックで重量感のあるサウンドを作り出していて、ヘヴィメタルの直接的ルーツとも言えます。

同じく英国Van Der Graaf Generator(ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター)は、スタジオアルバムで聴ける端正なサウンドと異なるライヴでのヘヴィで暴力的なサウンドが、ヘヴィメタルに通じる破壊力を感じさせます。

特殊な例ですが、少し遡ってハードロックバンドのSpooky Tooth(スプーキー・トゥース)が現代音楽家ピエール・アンリとコラボレイトしたCeremonyアルバムは、サイケや実験音楽色が強いながらも金属的でインダストリアル的な要素や、当時としてはメタリックで硬質な質感も感じさせます。
ある意味ではプログレから一歩先を行った、メタリックサウンドのルーツのひとつと言えるかもしれません。

Red (Bonus Track Version)
プログレロック / アートロック¥1,833キング・クリムゾン

「Ceremony」リンクが見つかりませんでした。: (WP Applink)

ヘヴィメタルサウンドに影響を与えたその他の重要バンド

ここまで紹介した以外にも、ヘヴィメタルに影響を与えたルーツバンドは数限りなく存在します。

英国では、元ディープ・パープルの元祖ネオクラシカル・ギターヒーロー、リッチー・ブラックモアが結成し、のちのメタルアイコンロニー・ジェイムス・ディオが世に出るキッカケにもなった洋式美ユニットのRainbow(レインボー)の存在は重要です。

また、アイドルバンドとしてスタートしながら、ジューダス・プリーストに先駆けてヘヴィ&ファストなメタルサウンドを切り開いていたSweet(スウィート)、ヘヴィサイケからキレのあるハードロックに転身し、ギターヒーローマイケル・シェンカーを排出したU.F.O、NWOBHMシーンに最も大きな影響を与えたバンドと呼ばれるBudgie(バッジー)なども、忘れるわけにはいきません。

The Best of UFO
ハードロック¥1,528UFO

英国以外では、欧州哀愁派の代表格でジャーマンメタルの元祖でもあるドイツのScorpions(スコーピオンズ)、サイケなアートロックからアメリカの馬鹿力系ハードロックの大御所&ギターヒーローとなったテッド・ニュージェント、同じく馬鹿力系でミドルテンポが光るオーストラリアの大陸的金太郎飴ハードロックAC/DCなども、ヘヴィメタルのルーツとして無視できない重要なバンドですね。

The Best of AC/DC (Remixed For Fitness)
フィットネス/エクササイズ¥1,069Billie Tasker

ルーツ・オブ・ヘヴィメタルの代表的バンド|コンセプト編

ヘヴィメタルには、歌詞の世界観やアルバムコンセプトをSFやファンタジー、ホラーなどの文学作品に求める流れがありますが、上で紹介したLed ZeppelinBlack SabbathBlue Öyster Cultなどはそのルーツの一端と言えます。

また、ヘヴィメタルと親和性が高い一部のプログレッシヴ・ロックの中にも、神話や歴史物語、ファンタジーなど叙事的な世界観をコンセプトにしていたバンドは少なくありません。

とはいえ、今でこそSFやファンタジーといえば粗製乱造のオタクビジネスとなっていますが、上でも触れたように60~70年代のSF・ファンタジー小説は、形態はチープなパルプマガジンだったとはいえ、知的でクールで先鋭的な最先端のサブカルチャーだったのです。

また、当時はそれらの作品を生み出した作家とバンドが直接交流を持つことも少なくありませんでした。
今までにないロックミュージックを作り出そうとしていた先鋭的なバンドと最先端の作家との、クリエイター同士の精神的コラボレーションが行われていたわけです。

現在のコミックやゲームなどでテンプレ化,通俗化した世界観の踏襲とは、全く別の次元であったことは知っておくべきでしょう。

ルーツ・オブ・ヘヴィメタルの代表的バンド|ビジュアル編

ヘヴィメタルには、グラムメタル,ショックメタル,ブラックメタルなどに代表される、特殊なコスチュームに強烈なメイクといった特異なビジュアルコンセプトのバンドも少なくありませんが、それらのルーツにあたるようなバンドも存在します。

コンセプチュアルなビジュアルということなら、サイケデリックロック全盛期はアーティスティックなボディペイントやメイク、コスチュームは特に珍しくありませんでした。
その代表とも言えるアーサー・ブラウンのメイクなどは、白黒にしたらブラックメタルバンドかと見間違うくらいです。

さらに遡れば、それ以前にもスクリーミン・ジェイ・ホーキンススクリーミング・ロード・サッチなどのロックンロール系アーティストが、吸血鬼やヴードゥー風のメイク&コスチュームなど、ホラー映画的なシアトリカルでキッチュなビジュアル/ギミックで人気でした。

これらの先駆者たちとの間に、被り物王子ピーター・ガブリエル(Genesis/ジェネシス)や目玉おやじのコスプレで有名なThe Residents(ザ・レジデンツ)などのプログレ/アート勢、デヴィッド・ボウイT. Rex(T-レックス)らナル&ユニセックスなグラムロック勢を挟んで、ショックメタル・コスプレメタルのルーツと言われるバンドが登場

それがアリス・クーパーKissです。彼らの存在はビジュアルだけでなくサウンド面でも、ヘヴィメタルバンドに直接的に大きな影響を与えました

この時点で、コスプレ系/ビジュアル系ヘヴィメタルの雛形や、エンタメ的なギミックの手法はほぼ出揃ったと言えるでしょう。

今回はヘヴィメタルに影響を与えたルーツ的バンドを紹介してきました。サウンド的にメタルとは直接つながらないバンドもありますが、メタルを深掘りするためには聞き逃せないバンドばかりなのでチェックしてみてください。

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