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スラッシュメタルには戻れないセレブメタルバンドの自分探しで生まれた問題作!
METALLICAがMaster of Puppets(マスター・オブ・パペッツ/メタルマスター)以降に発表したアルバムはどれもある意味問題作です。
まぁ、…And Justice for All(アンド・ジャスティス・フォー・オール/メタルジャスティス)はクオリティはともかく、まだそれ以前の流れに乗っかっていたし、METALLICA(メタリカ/ブラックアルバム)は方向性こそ変わったものの完成度と説得力は文句無しで、実際大ヒットしてファンの支持も高い。
近年の数作はというと内容が微妙すぎて確かにそこが問題ではあるけれど、むしろ「問題作」とは別にふさわしい語り口があるかもしれませんね。
やはり、ファンにいろんな意味で最大級の衝撃を与えてくれたアルバムとなると…そうですLOAD(ロード)&RELOAD(リロード)ですね。
この2作は実質的に連作というか2枚ひと括りみたいなもので、切り離しては語りづらい…というより分けて語る意味がない。実際「2枚組になってたかも…」なんて噂もありましたね。
LOAD(ロード)&RELOAD(リロード)が問題作だった理由は?
LOADリリース時の賛否両論はもちろん圧倒的に否の方が多かったんですが、どんなところが批判されていたかというと…
② ミドル〜スローの楽曲が中心で早い曲が無い。
③ メンバーが日和った上に調子にノリすぎ。
てなところでしょうか。
① 音がアメリカンロック的でメタリックじゃない。
当時「これじゃメタリカじゃなくてロッタリカだ!」なんて上手いことを言ったつもりの人もいましたが、これは的を射ていて確かにメタル(金属)よりロック(岩)といった方がシックリくるアーシーな質感になっています。となると、必然的にメタラー受けが悪いのも理解できますね。
これについてはメンバーがC.O.C./CORROSION OF CONFORMITY(コロージョン・オブ・コンフォーミティ)の影響と語ってましたが、ちょうどストーナーなどグランジ〜それを通過した新世代のアメリカンハードロックが出てきていた頃なので、その影響と見ることもできるしジェームズの本質というか当時の趣味が強く出ただけとも言えます。
② ミドル〜スローの楽曲が中心で早い曲が無い。
これも確かに事実なんですが、支持者の多い初期のアルバムにしてもKill ‘em All(キル・エム・オール)を除けば、ファストナンバーの比率ってそんなに高いわけでもないですよね。そんなこと言われても、何をいまさらってかんじがします。
③ メンバーが日和った上に調子にノリすぎ。
日和ったっていい方は適切じゃないかな? でもねぇ、当時すでにだいぶセレブッちゃってたし、なんか浮ついてましたねぇ。
誰かの入知恵なのか年くって趣味が広がったのかわからないけど、いきなり短髪にしてメイクまでしてみたり、ことあるごとに流行のバンドや通好みのアーティストの名前を挙げて「俺らただのメタル野郎じゃないんだぜ!」な自意識アピール全開だったりと、なんかいろいろ露骨すぎて痛々しかった。
当時は、この悪印象によるマイナスブーストも少なくはありませんでしたね。
実際のところ作品としてはどうなの?
あらためて音を聞いてみれば、基本的な方向性としてはMETALLICA(ブラックアルバム)の延長線上なわけだし、近作にくらべれば曲の完成度も高い。
結局のところ、翳りのある様式美のヨーロピアンメタル要素よりも、ゆるくて大らかなアメリカンハードロックの質感が強く出てしまったのがファンの拒否反応がつながったわけですね。わからんでもないですが、もうMETALLICAに初期の音を期待しちゃダメです。
個人的も嫌いじゃないですよ。特にLOADの方は。LOADも完璧には届きませんが、RELOADはなんか「アウトテイクにてこ入れでキャッチーな曲と早い曲入れました。」って程度の仕上がりで捨て曲が目立ちます。
曲数多すぎ問題
あと、早い曲にはこだわらないにしても、もう少しメリハリは欲しいですね。あらためてチェックするとこの2枚って4〜5分台の曲が中心で、最近のMETALLICA特有の無駄に長い曲ってのはほとんど無いのに、むやみに曲数が多い影響もあってなんか妙に長ったるく感じます。
この2作もそうですが、この時期CDの収録時間フルに曲詰め込まなきゃってな風潮があって、結果アルバムとしてのクオリティ損ねることが多かったんですが、これもその悪しき影響ですね。
しかしブラックアルバムもそれなりの長尺だったわけで、やっぱりこの路線にしても作曲能力とアイデアが限界だったのかもしれませんね。
この2枚の曲を厳選して1枚にしたらいいんじゃなかろうかと考えてて、自分で選曲してミックスしたところなかなかいい感じに仕上がったんですが、ネットでレビュー見たらどうやら同じことやってる人もいるみたいですよ。一度お試しあれ。
問題作度:★★★★★
一般評価:★★☆☆☆
評 価:★★★★☆
問題作度:★★★★☆
一般評価:★★★☆☆
評 価:★★★☆☆