Contents
先鋭的アーティストのセンスの衰えか? プロデューサーの手抜きか? メタルゴッドご乱心の迷作!
JUDAS PRIEST(ジューダス・プリースト)と袂を分かった「メタルゴッド」ロブ・ハルフォードが、FIGHT(ファイト)に次ぐソロプロジェクトTWO(トゥー)として発表したのがこの作品です。
ロブさんはメタルゴッドの異名通り王道ヘヴィメタルの体現者的な存在でありながら、ヘヴィミュージックのトレンドにも敏感でそれをうまく消化し取り入れる才能に長けた人でもあります。
JUDAS PRIEST時代やFIGHTでもそのセンスをいかんなく発揮した名作を作り上げていたのですが、ここにきてそのセンサーの調子が狂ったのか、かなり見誤った感があります。
メタル様式にこだわらないヘヴィミュージックファンにとっては、FIGHTのWar of Words(ウォー・オブ・ワーズ)は「やってくれたぜ!」と拳をにぎりしめるような快作でしたが、この作品は「やっちまったか…」と遠くを見ながらため息をつくような仕上がりになってしまいました。結構期待してたんですけどねぇ…。
FIGHTでPANTERA(パンテラ)系のヘヴィネスを取り入れたロブさんが、今回チャレンジしたのはインダストリアルです。
プロデューサーにNINE INCH NAILS(ナイン・インチ・ネイルズ)のTrent Reznor(トレント・レズナー)ギターに元MARILIN MANSON(マリリン・マンソン)のJohn Lowery(ジョン・ロウリィ)というなかなかの布陣で、クオリティーもある程度の水準には達しているもののWar of Wordsのようなマジックは生み出せていません。
むしろ、あえてそのマジックを拒否するような方法論を選んだとしか思えないくらいで、結果「面白くない」の一言で済んでしまう作品になってしまいました。
TWO / Voyeurはなんでこうなった?
残念な出来になっている理由は聴いてみれば明白です。
②ヴォーカルスタイルが無表情な中低音域オンリーで、ロブさんの持ち味のハイトーンスクリームを完全にオミットしている。
③スタイルが既存のインダストリアルサウンドに寄りすぎで、メタルサウンドとの化学反応で生まれる面白みや新鮮味がまったく無い。
この3つで説明がつきます。
実際のところ作品としてはどうなの?
ロブさん本人の意向によるものなのか、プロデューサーら周囲の意見が反映された結果なのか、そのあたりは判断つきかねるところ。
どちらにしても、結果的にロブさんの持ち味を活かせる要素が全く無くなってしまった上、ケミストリーを起こすことも新しい魅力を引き出すこともできていません。
本人の意向にしろプロデューサーの判断にしろ、明らか方法論を見誤っているとしか言いようがありません。
センスが衰えたのか?メタルの進化が止まったのか?
今作が制作された時期は、既にインダストリアルが脚光を浴びてかなり時間が経っています。
インダストリアルサウンドを取り入れて独自のスタイルを築いた新世代メタルはいくらでも存在していた頃で、新しモノ好きなロブさんのことだからそれらはチェックしていたはずです。
インプットする素材やその成功例は十分だったはずなのにこの結果というのは、ロブさんのセンスが錆び付いてしまったのか、根本的に音楽性が向いていなかったのか、それとも他の理由があったのか…。まぁ、もはや誰も興味無いでしょうけどね。
結局これ以降はソロプロジェクトHALFORD(ハルフォード)で 王道メタル路線に舵を戻して、最終的にJUDAS PRIEST復帰と元サヤに戻ってしまったロブさんでした。やっぱり限界だったのかな。
問題作度:★★★★★
一般評価:★☆☆☆☆
筆者評価:★☆☆☆☆