Contents
- 1メンバーの死を乗り越えて膨大な熱狂的なファンを抱える世界有数のアリーナバンドの座に上り詰めた大陸的ヘヴィロックンロールレジェンドは、欧米での評価とと日本で人気が伴わないスモール・イン・ジャパンの代表的バンド!?
- 1.1AC/DC - ORIGINAL ALBUM|DISCOGRAPHY
- 1.1.1High Voltage| ハイ・ヴォルテージ
- 1.1.2T.N.T.|ティー・エヌ・ティー
- 1.1.3High Voltage| ハイ・ヴォルテージ
- 1.1.4Dirty Deeds Done Dirt Cheap|ダーティ・ディーズ・ダート・チープ:悪事と地獄
- 1.1.5Let There Be Rock|レット・ゼア・ビー・ロック:ロック魂
- 1.1.6Powerage|パワーエイジ
- 1.1.7Highway to Hell|ハイウェイ・トゥ・ヘル地獄のハイウェイ
- 1.1.8Back in Black|バック・イン・ブラック
- 1.1.9For Those About to Rock We Salute You|フォー・ゾウズ・アバウト・トゥ・ロック・ウィ・サリュート・ユー:悪魔の招待状
- 1.1.10Flick of the Switch|フリック・オブ・ザ・スウィッチ:征服者
- 1.1.11Fly on the Wall|フライ・オン・ザ・ウォール
- 1.1.12Blow Up Your Video|ブロウ・アップ・ユア・ヴィデオ
- 1.1.13The Razors Edge|ザ・レイザーズ・エッジ
- 1.1.14Ballbreaker|ボールブレイカー
- 1.1.15Stiff Upper Lip|スティッフ・アッパー・リップ
- 1.1.16Black Ice|ブラック・アイス:悪魔の氷
- 1.1.17Rock or Bust|ロック・オア・バスト
- 1.1.18POWER UP|パワー・アップ
- 1.2AC/DC - OMNIBUS ALBUM|DISCOGRAPHY
- 1.2.1 Who Made Who |フー・メイド・フー
- 1.2.2Iron Man 2|アイアンマン2
- 1.2.2.1◎ AC/DCはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
メンバーの死を乗り越えて膨大な熱狂的なファンを抱える世界有数のアリーナバンドの座に上り詰めた大陸的ヘヴィロックンロールレジェンドは、欧米での評価とと日本で人気が伴わないスモール・イン・ジャパンの代表的バンド!?
AC/DC(エー・シー/ディー・シー)はハードロック全盛期の1975年にオーストラリアのローカルバンドとして登場したグループでしたが、のちに欧米で認められワールドワイドな活動に移行。世界有数のハード/ヘヴィロックバンドに数えられるビッグネームとなり、2003年には『ロックの殿堂』入りも果たしています。
音楽性は、ブルーズロックやブギーをベースにしたミッドテンポ主体とした大陸的なおおらかさのあるヘヴィなロックンロールが基本スタイルで、本人たちもロックンロールバンドを自認していますが、ヘヴィメタルの登場やメタルムーヴメントの広がりとともに、それに接近する形で知名度を大きく高めたことからヘヴィメタルバンドとしても語られており、そのあたりの意識と立ち位置はMOTORHEADにも共通するものです。
AC/DCはやはりMOTORHEADと同様に、どのアルバムもどの楽曲も作風に大きな変化が見られない“金太郎飴”スタイルのバンドとして知られていますが、実際は時期によって作風をマイナーチェンジしており、アルバムによってはかなり印象が異なります。
大まかに、事故で急逝した初代ヴォーカリストボン・スコット在籍時の第一期と、それに代わってブライアン・ジョンソンがヴォーカルを務める第二期に分けられ、ワイルドな歌唱スタイルのボン・スコットが在籍時は、ブルーズロックやブギーをベースにしたラフ&でアーシーなサウンドが持ち味としており、金属質のハイトーンヴォイスのブライアン・ジョンソン時代は、英国のヘヴィメタルムーヴメントやアメリカのメインストリームを意識して、それに合わせてサウンドも変化させていました。
また、AC/DCはTHE WHO(フー)などと並んで、日本国内と海外での温度差が極端な『スモール・イン・ジャパン』系グループの筆頭各で、欧米では連日ビッグアリーナを満員にする圧倒的な人気を誇っている反面、日本ではそれに見合う人気を得ることができす、通好みなバンドという立ち位置におさまっています。そのため過去の来日公演がわずか4度とい知名度とキャリアを考えるとかなり少ない来日数で、90年代にいたっては一度も来日公演を行っていないほど。
日本においては彼らのバンド名に由来する名前を持つ、人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』の登場キャラクター「エシディシ」経由でAC/DCを知った層の方が多いのではないかという説まであります。
AC/DC – ORIGINAL ALBUM|DISCOGRAPHY
High Voltage| ハイ・ヴォルテージ
オリジナルアルバム:オーストラリア盤 1作目 (1975年)
本国オーストラリアのみでリリースされた1作目。まだ本格的なAC/DCスタイルが確立されておらず、ここで聴けるのはブルーズベースで時にサイケデリックテイストも漂わせるルーズなハードロックサウンドです。のちのブギーでヘヴィロッキンなAC/DCらしさはほとんど感じられませんが、ストーナーロックなどを好むリスナーには興味深いアルバムかもしれません。
一般に流通しているHigh Voltage全世界盤は、実のところ次作T.N.T.が元になっていて本作からは2曲だけの収録なので、タイトルは同じでも実質別モノ。両方そろえる意義はあります。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 通好み スルメ盤 実験作
T.N.T.|ティー・エヌ・ティー
オリジナルアルバム:オーストラリア盤 2作目 (1975年)
前作に続いてオーストラリアのみのリリースとなった2作目。チャック・ベリーのカバーを含む2曲をのぞいく全曲が、世界デビューアルバムのHigh Voltage全世界盤に収録されています。ちなみに、楽曲High Voltageは前作High Voltageアルバムではなくこちらの収録曲というややこしさ。
何言ってるかわからないかもしれませんが、要はこのT.N.T.アルバムと一般に流通している全世界盤のHigh Voltageはほとんど同じ内容なので、マニアじゃなければどちらかひとつ持っていればOKということです。
ロッキン度:★★★★☆|多様性:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
High Voltage| ハイ・ヴォルテージ
オリジナルアルバム – 1作目 (1976年)
地元オーストラリアのみでのリリースだった1作目High Voltageと2作目T.N.T.を、世界リリース向けに編集したアルバムですが、収録曲はほとんどは彼らの基本スタイルが完成されたT.N.T.からの楽曲。High Voltageからはわず2曲のみな上に、統一感重視の選曲なのかあまりパッとしないナンバーがセレクトされています。
ちなみにタイトルトラックもHigh VoltageではなくT.N.T.収録曲で、それもあって実質T.N.T.でありながらHigh Voltageを名乗ることになったと思われます。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
Dirty Deeds Done Dirt Cheap|ダーティ・ディーズ・ダート・チープ:悪事と地獄
オリジナルアルバム – 2作目 (1976年)
ボン・スコット時代のファンには、Highway to Hell(5th)と並ぶ代表作とされるアルバム。タイトルトラックT-01やT-03など代表曲も収録されていますが、全体を見渡すとなんともユルユルで、テンションやヘヴィネスはあまり感じられません。良くいえば大らかな、悪くいえば弛緩した印象が強いアルバムで、そこを楽しめるかが評価の分岐点でしょう。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 スルメ盤
Let There Be Rock|レット・ゼア・ビー・ロック:ロック魂
オリジナルアルバム – 3作目 (1977年)
本格的に、ミッドテンポのブギーベースのロックンロールがサウンドの主力として確立され、さらに、過去作と比較するとかなりハード&ヘヴィ感触を強めており、メタラーにも比較的馴染みやすいスタイルに近づいたアルバムと言っていいでしょう。
ロッキン度:★★★★☆|多様性:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み スルメ盤
Powerage|パワーエイジ
オリジナルアルバム – 4作目 (1978年)
インパクト十分のジャケットながら次作Highway to Hellと比較すると印象の薄いアルバムで、オールタイムベストに選ばれるほどの突出した楽曲も見られません。しかし、ことアベレージにおいてはボン・スコット時代ではトップといえるレベルで、全編にわたってハード&ヘヴィな楽曲が並んで張り詰めたテンションがあり、初期にありがちな弛緩した雰囲気は一切感じられません。
初期最大の代表作となっている次作よりも、はるかにヘヴィメタル/ハードロックリスナー向けのアルバムと言えます。
ロッキン度:★★★★☆|多様性:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み スルメ盤
Highway to Hell|ハイウェイ・トゥ・ヘル地獄のハイウェイ
オリジナルアルバム – 5作目 (1979年)
ボン・スコットのラストアルバムということや、知名度では一二を争う超有名曲のタイトルトラックT-01の存在、強烈なインパクトを残すヤサグレ感満載のジャケットなどもあって、ボン・スコット時代の最大の代表作とされています。
しかし、楽曲の出来にはかなり波がありますし、前作のような緊張感には乏しく全体的にはユルいノリのアルバムなので、ハードでヘヴィなサウンドを期待すると肩透かしかもしれません。
大作度:★★★★☆|マニア度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
Back in Black|バック・イン・ブラック
オリジナルアルバム – 6作目 (1980年)
ボン・スコットの急逝を経て新たにブライアン・ジョンソンを迎え、第二期AC/DCの幕開けとなったアルバム。ヘヴィメタル人気の高まりも視野に入れてか、サウンドにヘヴィ&メタリックなエッセンスが増しています。さらに、ボン・スコット追悼の意味もあってメタル的なダークさの漂うマイナー調の楽曲が目立つことや、ジョンソンのヘヴィメタリックなハイトーンヴォイスが加わったことによる相乗効果もあり、大きくヘヴィメタルに接近した作風へと変貌を遂げました。
第二期の代表作であることはもちろんのこと、全キャリア通してのベストにも挙げられることの多い歴史的アルバムで、ヘヴィメタルムーヴメントの一環としても語られるようになったこともあって、特にメタラーからの支持が高い作品です。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
For Those About to Rock We Salute You|フォー・ゾウズ・アバウト・トゥ・ロック・ウィ・サリュート・ユー:悪魔の招待状
オリジナルアルバム – 7作目 (1981年)
引き続き、彼らがもっとも勢いがあった時期の作品であり、80年代では前作についで人気が高いアルバム。前作に近いヘヴィメタル寄りの作風で曲によってはダークな雰囲気も漂わせていますが、AEROSMITHなどにも通じるオーソドックスなアメリカンハードロックに大きく接近したような楽曲も見られます。
ライヴの定番でもあるT-01のような代表曲もありアベレージについても水準以上ですが、全編にわたってやや表情に乏しいところもあって、メタラー中心に一般的評価が高めのわりには、何かひと味足りずパンチに欠ける印象があります。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 スルメ盤
Flick of the Switch|フリック・オブ・ザ・スウィッチ:征服者
オリジナルアルバム – 8作目 (1983年)
一般的にこの時期ではもっとも評価の低いアルバムですが、それは主にセプフプロデュースによる音質の問題と、Back in Black(6th)のブレイクで食いついた新規リスナーが彼らの金太郎飴的作風に飽きてきたことによるもので、確かにオールタイムベスト級の名曲は無いものの、今の視点で見るなら彼らの水準は軽くクリアしている作品です。
ヘヴィメタリックなこの時期の作品の中でも、特にソリッドなヘヴィネスを意識してそこに焦点を絞っており、その点においては前々作、前作を上回るアルバムでヘヴィネス志向のリスナーなら一聴の値打ちがあります。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤
Fly on the Wall|フライ・オン・ザ・ウォール
オリジナルアルバム – 9作目 (1985年)
前作に続いて一般的には評価の低いキャリアの谷間にあたるアルバムで、ヘヴィメタルブームやアメリカのメインストリームシーンを横目でとらえたスタイルも前作と同様です。サウンドはやや80年代的な音作りとなって、作風もヘヴィネス重視からややアップテンポなノリが良さを押し出したものに変化しているものの、次作以降に顕著になるグラムメタル系のポップメタルテイストはそれほど感じさせません。
彼らのキャリア中で突出したアルバムではありませんが、世間的な評価よりは上のレベルにあるのは確かなので、直近数作にピンとこないリスナーは前作と合わせて掘り返してみるのもいいかもしれません。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤
Blow Up Your Video|ブロウ・アップ・ユア・ヴィデオ
オリジナルアルバム – 10作目 (1988年)
最大のマーケットの米国市場を意識したアルバムで、従来の作風も維持しつつ当時のメインストリームだったグラムメタル勢のポップメタルサウンドを大々的に取り入れて、本格的にポップなアメリカンハードロック路線に舵を切っています。
軽薄なサウンドながら前作以上にアップテンポで聴きやすさも増したポップ&キャッチーな作品で、彼らの再ブレイクの契機になったことは確かですが、初期や全盛期のリスナーにとって歓迎できるアルバムかどうかは疑問です。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論
The Razors Edge|ザ・レイザーズ・エッジ
オリジナルアルバム – 11作目 (1990年)
AC/DCの本格的な再ブレイクとなったヒットアルバムで、大ヒット曲のT-01は新たな…そして現時点では最後のアンセム曲となりました。ヘヴィナンバーからポップナンバーまで曲調は多彩ですが、基本的には、前作同様80年代米国メインストリームのグラムメタル系ポップメタルサウンドの影響が濃厚な作風です。代表曲はオールタイムベストに入るレベルに達しているものの、それ以外は印象に残らない決め手を欠いた曲が多く、アルバム通して見ると楽曲の完成度の波が激しい欠点が浮上します。
大作度:★★★★☆|マニア度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論
Ballbreaker|ボールブレイカー
オリジナルアルバム – 12作目 (1995年)
レイドバックしたルーツミュージックサウンドも得意とする、名伯楽リック・ルービンのプロデュースによるアルバム。ルービンはベテランアーティストには原点回帰を促しがちなため、ややもすると単なる自己模倣に陥らせてしまう傾向がありますが、この作品はまさにその悪い方向に走ってしまった一例で、とにかく頭から尻尾まで“AC/DCっぽいけれど印象に残らない”既視感の強いブルージー&ブギーな楽曲が並んでいます。
作品としては低調ながらセールス面ではそれなりの結果を残したようで、これ以降はプロデューサーは変われど80年代に見せた実験性は見られなくなり、マーケティングによる最大公約数的な作風を繰り返すことになります。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤 お布施
Stiff Upper Lip|スティッフ・アッパー・リップ
オリジナルアルバム – 13作目 (2000年)
前作に続いての原点回帰路線となっており、ボン・スコット時代のスタイルに70年代のアメリカンハード/ヘヴィロックフレーバーをふりかけたような作風。サウンドにアーシーな荒々しさとヴィンテージテイストが増した影響かもしれませんが、前作よりも彼らの“素”に近い印象がありますし、突出した楽曲はないもののアベレージとしてはいくらか向上しています。
このあたりから、新規のビッグネームが登場しない状況を背景にしたベテラン再評価ビジネスの一環で、日本でもマスコミ/マーケティング主導で改めてスポットを当てられ、“AC/DC=クール”というイメージを強めようとする動きが活発になりますが、それについてはいくらか効果をあげたような印象があります。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 通好み スルメ盤
Black Ice|ブラック・アイス:悪魔の氷
オリジナルアルバム – 14作目 (2008年)
ベテランビッグネームの近作によく見られる、“焼き直し上等”でファンのイメージする最大公約数的サウンドを狙ってカタチにしたような作風。直近の2作にはまだ“バブリーな80年代サウンドからの原点回帰”というお題目があったものの、今作はリユニオンBLACK SABBATHのアルバム『13』などと同様で、大外れを避けるためのマーケティング主導の印象しか感じられません。
日本では、一時期再燃していた70年代風のベタでキャッチーな邦題をつける商法も採用して新規開拓を狙っていました。
黄金期を意識したような楽曲は水準レベルには達しているとはいえそれ以上のものではなく、80代中期のキャリアの谷間にあたる時期と比較してもさらに1枚落ちる凡庸な仕上がりです。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤 お布施
Rock or Bust|ロック・オア・バスト
オリジナルアルバム – 15作目 (2014)
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤 お布施
POWER UP|パワー・アップ
オリジナルアルバム – 16作目 (2020)
前作リリース後、オリジナルメンバーで中核でもあったヤング兄ことマルコム・ヤング(Gt.)の死や、相次ぐトラブルによるメンバー脱退〜復帰などのゴタゴタを乗り越えての新作。プロデュースはリック・ルービンの弟子筋で、オルタナシーンを中心に骨太系のバンドならメインストリームまで手がける人物で、Black Ice以来の付き合いとなるブレンダン・オブライエン。
いつも通りの金太郎飴と言われればその通りなのですが、今回の金太郎飴はひと味違う良い金太郎飴です。
無難な最大公約数的サウンドが続いた90年代原点回帰以降のアルバムの中では、楽曲がバラエティーに富んでいて全編通して程度なフックがあって飽きさせませんし、比較的インパクトのある曲も多めです。何よりアルバム通してテンションがみなぎっているのが好印象。これなら、おじいちゃんが間違って買ってきても安心!十分に楽しめるでしょう。
ロッキン度:★★★☆☆|多様性:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論
AC/DC – OMNIBUS ALBUM|DISCOGRAPHY
Who Made Who |フー・メイド・フー
サウンドトラック (2010年)
ロックマニアとして知られAC/DCの熱心なファンでもある、アメリカを代表するモダンホラー作家スティーヴン・キングが監督を務めた映画、『地獄のデビル・トラック』のサウンドトラックアルバム。
タイトルトラックT-01とインスト曲T-03, T-08を含む映画用の新曲3曲と既発曲で構成されたもので、いずれも特筆する出来ではありませんし、既発曲もベスト選曲とは言えないものです。
Iron Man 2|アイアンマン2
サウンドトラック (2010年)
同じ編集盤サントラのWho Made Whoはベストアルバムと呼ぶには無理があるので、このアルバムが実質的にAC/DC唯一のベスト盤とされています。しかし、特に知名度の高い代表作はある程度収録されているものの微妙な選曲も多いので、万人向けといえるかどうかは疑問です。
アイアンマン一作目ではBLACK SABBATHのIron Manが劇中使われていたにもかかわらず、ここにきてAC/DCが起用されそのベストアルバムと化したあたり、米国でBLACK SABBATHがレジェンド的な存在になったとはいえ一般層への認知度や人気に差があることがうかがえます。
◎ AC/DCはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
ロックファンなら誰もが知るAC/DC名曲を押さえておきたいなら、ボンスコ時代の代表作“Highway to Hell(5th)”、知名度, 評価ともに最高峰のメタリックな名盤“Back in Black(6th)”の2作でOK!それに次ぐのが、初期のヘヴィメタルムーヴメントを反映した“For Those About to Rock We Salute You(7th)”とアメリカンなポップメタル路線の“The Razors Edge(11th)”というところでしょう。
一般的な評価や知名度でそれらに届かないけれど、ヘヴィな作風でメタル/ヘヴィミュージックファンなら一聴の価値があるのが、“Let There Be Rock(3rd)”, “Powerage(4th)”, “(Flick of the Switch8th)”の三枚。いずれもやや通好みなアルバムがらヘヴィネス重視で高アベレージな力作です。