Contents
- 190年代北欧ギターヒーローの一角「マイケル・アモット」による次世代メロデス・バンドは、女性デスヴォーカルをフィーチャーして世界的ブレイクを果たし、“歌姫メタル”の最前線に躍り出る!
- 1...1アーク・エネミー?アーチ・エネミー?
- 1...2メロディック・デスメタルの代表的グループ??
- 1...3バンドマスター「マイケル・アモット」とは!?
- 1...4ARCH ENEMYのバンド体制は?
- 1...5ARCH ENEMYの音楽スタイルは!?
- 1...6フィメイル・メタル・ブームの功労者!?
- 1...7誰がベスト・ヴォーカリストなのか問題!?
- 1.1ARCH ENEMY|アーチ・エネミー|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Black Earth|ブラック・アース
- 1.1.2Stigmata|スティグマータ
- 1.1.3Burning Bridges|バーニング・ブリッジズ
- 1.1.4Wages of Sin|ウェイジズ・オブ・シン
- 1.1.5Anthems of Rebellion|アンセムズ・オブ・リベリオン
- 1.1.6Doomsday Machine|ドゥームズデイ・マシーン
- 1.1.7Rise of the Tyrant|ライズ・オブ・ザ・タイラント
- 1.1.8The Root of All Evil|ザ・ルート・オブ・オール・イーヴル
- 1.1.9Khaos Legions|ケイオス・リージョンズ
- 1.1.10War Eternal|ウォー・エターナル
- 1.1.11Will to Power|ウィル・トゥ・パワー
- 1.1.12Deceivers|デシーヴァーズ
- 2ARCH ENEMY関連バンド ◆ DISCOGRAPHY
- 2.1BLACK EARTH|ブラック・アース|DISCOGRAPHY
- 2.1.120 Years of Dark Insanity: Japan Tour 2016|20イヤーズ・オブ・ダーク・インサニティ:ジャパン・ツアー 2016
- 2.1.2Path of the Immortal|パス・オブ・ジ・イモータル:暗黒の地球
- 2.2CARNAGE|カーネイジ|DISCOGRAPHY
- 2.2.1Dark Recollections|ダーク・リコレクションズ
- 3ARCH ENEMYメンバー関連バンド紹介
- 4ヨハン・リーヴァ(JOHAN PATRIK MATTIAS LIIVA)関連 ◆ DISCOGRAPHY
- 4.1FURBOWL|ファーボウル|DISCOGRAPHY
- 4.1.1Those Shredded Dreams|ゾーズ・シュレッデッド・ドリーム
- 4.1.2The Autumn Years|ジ・オータムン・イヤーズ
- 4.2NONEXIST|ノンイグジスト|DISCOGRAPHY
- 4.2.1Deus Deceptor|デウス・デセプター
- 4.2.2From My Cold Dead Hands|フロム・マイ・コールド・デッド・ヘッズ
- 4.2.3Throne of Scars|スローン・オブ・スカーズ
- 4.2.4Like the Fearless Hunter|ライク・ザ・フィアレス・ハンター
- 4.3HEARSE|ハース|DISCOGRAPHY
- 4.3.1Dominion Reptilian|ドミニオン・レプティリアン
- 4.3.2Armageddon, Mon Amour|アーマゲドン,モナムール
- 4.3.3The Last Ordeal|ザ・ラスト・オーディール
- 4.3.4In These Veins|イン・ゾーズ・ヴェインズ
- 4.3.5Single Ticket to Paradise|シングル・チケット・トゥ・パラダイス
- 5クリストファー・アモット(CHRISTOPHER AMOTT)関連 ◆ DISCOGRAPHY
- 5.1ARMAGEDDON|アーマゲドン|DISCOGRAPHY
- 5.1.1Crossing the Rubicon|クロッシング・ザ・ルビコン
- 5.1.2Embrace the Mystery|エンブレイス・ザ・ミステリィ
- 5.1.3Three|スリー
- 5.1.4Captivity & Devourment|キャプティヴィティ・アンド・ディヴァウアメント
- 5.1.5Crossing the Rubicon (Revisited)|クロッシング・ザ・ルビコン(リヴィジテッド)
- 5.2CHRISTOPHER AMOTT Solo|クリストファー・アモット・ソロ|DISCOGRAPHY
- 5.2.1Follow Your Heart|フォロウ・ユア・ハート
- 5.2.2Impulses|インパルシーズ
- 5.2.3Electric Twilight |エレクトリック・トワイライト
- 6ダニエル・アーランドソン(DANIEL ERLANDSSON)関連 ◆ DISCOGRAPHY
- 6.1EUCHARIST|ユーカリスト|DISCOGRAPHY
- 6.1.1A Velvet Creation|ア・ヴェルヴェット・クリエイション
- 6.1.2W. A. R. Compilation - Volume One|W. A. R.コンピレーション・ヴォリューム・ワン
- 6.1.3Mirrorworlds|ミラーワールド
- 6.1.4I Am the Void|アイ・アム・ザ・ヴォイド
- 6.1.5The Demo Years 1989 - 1992|ザ・デモ・イヤーズ 1989 - 1992
- 7アリッサ・ホワイト - グラズ(Alissa White-Gluz)関連 ◆ DISCOGRAPHY
- 7.1THE AGONIST|ジ・アゴニスト|DISCOGRAPHY
- 7.1.1Once Only Imagined|ワンス・オンリィ・イマジンド
- 7.1.2Lullabies for the Dormant Mind|ララバイ・フォー・ザ・ドーマント・マインド
- 7.1.3Prisoners|プリズナーズ
- 7.1.4Eye of Providence|アイ・オブ・プロヴィデンス
- 7.1.5Five|ファイヴ
- 7.1.6Orphans|オーファンズ
90年代北欧ギターヒーローの一角「マイケル・アモット」による次世代メロデス・バンドは、女性デスヴォーカルをフィーチャーして世界的ブレイクを果たし、“歌姫メタル”の最前線に躍り出る!
ARCH ENEMY(アーク・エネミー/アーチ・エネミー)は、スウェーデンを拠点とするデスメタル/メロディック・デスメタルのグループ。
アーク・エネミー?アーチ・エネミー?
ARCH ENEMYの日本語表記は、「アーク・エネミー」「アーチ・エネミー」の2通りが用いられています。
本来の発音は、「アーチ・エネミー」に近く、現在ではそれに合わせて大半は「アーチ・エネミー」表記に統一されています。
しかし、レーベル側がデビュー以来長年にわたって「アーク・エネミー」表記を用いていたために、リスナーにもそれに慣れ親しんだ層が多く、「アーク・エネミー」表記も間違いとは言いづらい状況となっています。
メロディック・デスメタルの代表的グループ??
ARCH ENEMYは、一般的には北欧メロディック・デスメタル(以下メロデス)の代表的グループと見做され、媒体によっては時にメロディック・デスメタルのパイオニアのひとつとして扱われることもあります。
特に日本においては、メディアの先導によるメロデスブームの到来にデビュー時期が重なって、一気に人気メロデス・バンドの座に着いたこともあり、メロデスの元祖と誤認されるケースも少なくありません。
しかし、ARCH ENEMYがデビューした1996年には、すでに世界各地におけるメロディックなデスメタルが同時発生が完了しており、スウェーデンにおいてもメロデスシーンの基盤が形成され、多種多様なスタイルが生まれていました。
90年代前半はシーンの移り変わりが激しいこともあって、実際のところARCH ENEMYは、メロデスとしては「後塵を拝した」とも「満を持しての登場」ともいえる登場を果たしており、ムーヴメントの中では後発組の第2世代にあたるグループに置かれるべき存在と言えます。
バンドマスター「マイケル・アモット」とは!?
ARCH ENEMYは、ギタリストのマイケル・アモットを中心としたグループ。
マイケル・アモットは、実質的な〈DISMEMBER〉の母体となる存在であり、〈ENTOMBED〉〈DARK TRANQUILLITY〉などのビッグネームのメンバーを輩出したことで知られる伝説的グループ、〈CARNAGE〉に在籍していたスウェディッシュ・デスの古参ミュージシャンのひとり。
のちに、イギリスのグラインドコア/デスメタル・バンド〈CARCASS〉のリード・ギタリストに起用され、そのメロディック路線でのブレイクにもに寄与したことで知名度を高め、日本においてもそれを契機として注目を集め広く知られるようになります。
アモットは、日本人気の高いマイケル・シェンカーを敬愛し、その影響を受けたメロディアスなギターソロを最大の武器としており、プレイスタイルが日本人好みであったことから、日本でも一気に次世代カリスマ・ギター・ヒーローとして人気が高まったこともり、活動初期には日本をメイン・マーケットにもしていました。
また、〈CARCASS〉脱退後のアモットは、ドゥーム/ストーナー系グループ〈SPIRITUAL BEGGARS〉を始動させており、長期にわたってARCH ENEMYと並行した活動を続けていました。
ARCH ENEMYのバンド体制は?
ARCH ENEMYは、〈CARCASS〉を脱退したマイケル・アモットが、〈SPIRITUAL BEGGARS〉に続いて立ち上げたグループです。
最初期の他のメンバーは、マイケル・アモットの実弟で後に〈ARMAGEDDON〉を結成するクリストファー・アモット(Gt.)。
マイケル・アモットの〈CARNAGE〉時代の盟友で、その後は〈FURBOWL〉などに在籍していたヨハン・リーヴァ。
〈DARK TRANQUILLITY〉と並んで“元祖メロデス”として挙げられる〈EUCHARIST〉のダニエル・アーランドソン という顔ぶれ。
なお、当初ベーシストは不在で、マイケル・アモットがベースを兼任していました。
1998年にシャーリー・ダンジェロ(Ba.)が加入後は、ヴォーカルとサイドギター以外は完全に固定されており、現在に至るまで変更が行われることなく活動を続けています。
ARCH ENEMYの音楽スタイルは!?
メロディック・デスメタルとしてのARCH ENEMYのスタイルは、作品によって若干の差異があるものの、基本となるのは、ブルータルなデスメタルサウンドの端々にメロディパートを挿入しつつ、メロディアスなギターソロをクライマックスに用いるという手法。
これは、主にアモットが在籍時していた〈CARCASS〉が成功を収めた手法にヒントを得て、それをスウェディッシュ・デスメタルへ流用したものと考えられます。
このスタイルが幸いして、ギターソロには頼りすぎずリフワークそのものにメロディやエモーションを織り込んでゆく…、というスタイルが主流となってたスウェーデンのメロデスシーンにおいては、結果的に多少なりとも差別化を図ることが出来ていたとも言えます。
一方で、あまりにもギターソロに主眼が置かれ、楽曲中の他のパートが間を持たすための単なるつなぎに近い扱いとなり、ルーチン化/類型化する傾向が見られる…と批判を受けることも少なくありません。
フィメイル・メタル・ブームの功労者!?
現在のARCH ENEMYは、女性ヴォーカルをフロントに据えたフィメイル・デスメタルバンドの代表格と見なされています。
このアプローチは、〈THE GATHERING〉らに代表されるフィメイル系ゴシックメタルのブレイクに端を発するものですが、それらによるメタルシーンにおけるフィーメイル・ヴォーカル・ブームも追い風となって、ARCH ENEMYはフィーメイル・デスメタルの火付け役としてさらなる成功を収め、それらのトップグループとして世界的な名声をも獲得しました。
2000年までの初期3作を担当したヨハン・リーヴァを、パフォーマンスの技量不足を理由に解雇した後は、ドイツ出身でアルバムデビュー前の〈ASMODINA〉や〈MISTRESS〉といったマイナーバンドに在籍していたアンジェラ・ゴソウが加入し2014年までの6作を担当していました。
マイケル・アモットの公私のパトナーの立場に収まったゴソウが、2014年に脱退してマネジャーに転向した際も、後任にはスタイルが近い女性ヴォーカリストを選ぶこととなり、カナダの〈THE AGONIST〉で活動していたアリッサ・ホワイトを起用。現在も引き続き在籍しています。
ゴソウとホワイトの歴代フロント・ウーマンは、いずれも本格的なデス・ヴォーカルとして評価され、女性デスメタル・ヴォーカリストのアイコン的存在にもなっていました。
誰がベスト・ヴォーカリストなのか問題!?
かつては、初代ヴォーカリウトであるヨハン・リーヴァの技量不足の評価に同調するリスナーも多く、ゴソウとホワイトの歴代フロント・ウーマンは、いずれも概ね好意的に迎えられていました。
しかし、ニューメタル/メタルコアのブームを背景としたデスヴォイスの一般化と、インターネットの普及による情報の平均化によって、トレーニング次第で誰にでも可能な「喉に優しい“デスヴォイス”発声メソッド」が世界的に広まったあたりからやや風向きが変わります。
それ以降は、ブルータルであっても単調で画一的な“ヴォイトレ系”デスヴォイスよりも、よりナチュラルな地声を生かした発声のデスヴォイスや、独自性と表現力を重視したデスヴォイスが評価する流れが広まってゆきます。
これらの要因もあり、次第にナチュラルで個性と表現力を持ったヨハン・リーヴァの再評価と待望論が広まってゆき、そこに、ARCH ENEMY自体の音楽的な停滞も重なったこともあって、初期メンバーによるリユニオン的プロジェクト〈BLACK EARTH〉の始動にまで至りました。