90年代のANTHRAX黄金期のフロントマンを務めたジョン・ブッシュがパワフルな歌唱を聴かせる、グラムメタルの本場ロスアンジゼルスから登場したストロングスタイルの正統派パワーメタルバンド!!
ARMORED SAINT(アーマード・セイント)は、アメリカ合衆国ロスアンゼルスを拠点としたヘヴィメタル/パワーメタルバンド。
80年代のグラムメタル(LAメタル)全盛期に、そのメッカでもあるロスアンゼルスでデビューしながらもそのきらびやかでナンパな気風に染まらず、ストロングスタイルのヘヴィ&ソリッドなヘヴィメタル/パワーメタルを追求していた変わり種。そして何より、ANTHRAXの黄金期のフロントマン務めたジョン・ブッシュが在籍していたバンドとして世界的に広く知られています。
ARMORED SAINTは、初期のブリティッシュヘヴィメタルやNWOBHMをベースとしつつアメリカ流にローカライズしたヘヴィメタルサウンドでスタート。当初はヒロイックファンタジーをテーマにしたコンセプトと、バトルスーツ風のコスプレコスチュームに身を包んだステージングなど、遠賀雨性も含めエピックメタルと紙一重の部分も少なからず見受けられました。
のちに、よりアメリカンテイストやロック色を強めたり、ポップメタルを取り入れるなどマイナーチェンジも試みつつ活動を続けていましたが、その矢先にギタリストのデイヴ・プリチャードが白血病に倒れます。そこに、ジョン・ブッシュがANTHRAXのヴォーカリストとしてスカウトを受けて脱退、それを機にバンドを解散を決定します。
その後、ANTHRAXが短期の活動休止となった折に、ジョン・ブッシュはリユニオンを企画、活動を再開しアルバムもリリースします。これは一時的なものに終わりますが、ANTHRAXが2000年代のオールドスクールスラッシュメタルのリバイバルに乗じて初期メンバージョーイ・ベラドナの復帰を画策。それによりANTHRAX脱退を余儀なくされたジョン・ブッシュは、2006年よりARMORED SAINTを本格的に再始動させます。
その後、2010年には二度目の復活アルバムも発表、以降ほぼ5年おきにアルバムをリリースしながら、現在も活動を続けています。
ARMORED SAINT|DISCOGRAPHY
March of the Saint|マーチ・オブ・ザ・セイント
オリジナルアルバム – 1作目 (1984年)
この時期のL.A.シーンでは異例の正統派ヘヴィメタルと呼ばれていますが、あくまでもブリティッシュヘヴメタルの直輸入ではなく、意識的にしろ無意識にしろかなり米国産ならではのチューニングが施され、米国流のポップネスもかなり濃厚です。ヘヴィメタル的美意識についても大きくアメリカナイズされています。
やや強引に例えれえば、DOKKEN(ドッケン)とMANOWAR(マノウォー)の間にどこかに位置する音で、一歩間違えればどちらかに転びかねないところを、スラッシュメタル/パワーメタル世代のソリッドでパワフルなスタイルが功を奏してそれを免れています。ドライヴィンなベースラインは、IRON MEIDENも彷彿させます。
同時期のパワーメタルバンドと比較するとミッドチューンの完成度が格段に高く、それが大きな強みになってアルバムのスキを減らしアベレージを上げています。
アンスラ度:☆☆☆☆☆|ロッキン度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤
Delirious Nomad|デリリアス・ノマド
オリジナルアルバム – 2作目 (1985年)
エピックメタルできな仰々しさは薄れて、アメリカンハードロック色の強く時にブルーズテイストも感じさせるような、コンパクトでポップさも兼ね備えた作風ですが、時折見せるIRON MAIDENを思わせるテイストの楽曲も健在。いずれも取り立てて派手さはないものの、ソリッドで上質なメタルナンバーが並んでいます。
グラム(LA)メタル全盛期だけあってそれを意識した節もあり、他のバンドが演奏すれば良質のポップメタルになるような楽曲もあるのですが、パワフルで暑苦しい演奏とヴォーカルでベクトルか変わってしまっており、当時のLAをベースにしていたバンドとはとても思えない仕上がりです。
アンスラ度:☆☆☆☆☆|ロッキン度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Raising Fear|レイジング・フィアー
オリジナルアルバム – 3作目 (1987年)
アンスラ度:☆☆☆☆☆|ロッキン度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤
Symbol of Salvation|シンボル・オブ・サルヴェーション
オリジナルアルバム – 4作目 (1991年)
アンスラ度:★☆☆☆☆|ロッキン度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Revelation|レヴェレイション
オリジナルアルバム – 5作目 (2000年)
ジョン・ブッシュが当時在籍していたANTHRAXが短期の活動休止となった折に行われた、ARMORED SAINTリユニオン企画の一環としてリリースされた復帰アルバム。
アンスラ度:★★☆☆☆|ロッキン度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 通好み 実験作
La Raza|ラ・ラザ
オリジナルアルバム – 6作目 (2010年)
前作のリユニオンアルバムでは、ジョン・ブッシュまだANTHRAX在籍中だったこともあってかANTHRAXでの作風とは意識的に差別化を図っていた印象がありました。しかし、本作ではANTHRAXと袂を分かったことで気を使う必要がなくなったためか、90〜00年代ジョン・ブッシュ時のANTHRAX黄金期ならレパートリーに入っていてもおかしくない楽曲が多くなっています。
90年代ANTHRAXにオールドスクールなヘヴィメタルやMOTORHEAD風のロックンロールテイストなどを交えた、陽性のノリの良さを持ったロッキンでグルーヴィーな作風は、前作の延長戦にあるもの。手堅いつくりで取り立てて新規性があるわけでも突き抜けた何かがあるわけでもありませんが、作風は異なるとはいえベラドナ復帰後のANTHRAXよりは確実に完成度が高く、良質で魅力的なヘヴィメタルナンバーがそろっています。
アンスラ度:★★★☆☆|ロッキン度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
Win Hands Down|ウィン・ハンズ・ダウン
オリジナルアルバム – 7作目 (2015年)
アンスラ度:★★★☆☆|ロッキン度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Punching the Sky|パンチング・ザ・スカイ
オリジナルアルバム – 8作目 (2020年)
オールドスクールなアメリカンハードロックテイストの主張がやや目立つ印象はありますが、基本的にはリユニオン/再結成以降の“90’s ANTHRAX・ミーツ・ARMORED SAINT”から大きく逸脱しないスタイルです。
あえて言えば、明確なANTHRAX色はやや薄れてUSハードロックテイストが強まり、ミッドテンポの比率がさらに高まっています。
現在の方向性は必然的なものとはいえ同路線で4作目ともなると、多少のマイナーチェンジがあってもさすがに変化の乏しさが気になってくるので、もうひとつスパイスが欲しいところ。とはいえ、地味ながら手抜きなしで生真面目なつくりの好盤ではあります。
アンスラ度:★★★☆☆|アメロク度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 通好み