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★ AT THE GATES(アット・ザ・ゲイツ) ディコグラフィー ★ 90年代メロデスと00年代メタルコアの基礎を作った北欧メロディック・デスラッシュのカリスマ!!…必聴アルバムは?

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AT THE GATES|アット・ザ・ゲイツ|DISCOGRAPHY

The Red in the Sky Is Ours|ザ・レッド・イン・ザ・スカイ・イズ・アワーズ

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オリジナルアルバム – 1作目 (1992)

メロデスのプロトタイプが、まだ“耽美派デス”,“叙情派デス”などと呼ばれ、一部のマニアックな好事家に愛でられていた時期のデビューアルバム。
本作でも、メロディパートはいくらか導入されてはいるものの、後に“イエテボリ名物”の座にまで登りつめた、メロデス/メロデスラッシュとは全く質の異なったスタイルです。

ここで聴けるのは、プログレ的な凝った構成と複雑な展開を持った、ややテクニカルな北欧デスラッシュといったサウンドで、この作品に限ってゲスト・メンバーの手によるヴァイオリンもフィーチャーされています。

随所に散りばめられた、ゴシックメタルにも通じる欧州的な耽美エッセンスは、メロデスとゴシックメタルが大きくリンクしていた北欧シーンならではと言えます。

魅力的な楽曲もありますし、そうでない曲にも光る部分は見られるのですが、曲単位での出来不出来の差が激しい傾向があり、傑出した楽曲も少ないのが弱点で、やりたいことにセンスや技量が伴っておらず、アイデアを持て余して無駄遣いしている印象もあります。

それでも、この当時の〈EDGE OF SANITY〉,〈AMORPHIS〉,〈SENTENCED〉ら、コンセプトの近いプロト・メロデス勢の中では、頭ひとつ以上は飛び抜けたセンスは感じられるものでした。

この路線を突きつめて、よりフリーキーな変態路線を極めた姿も見たかったところですが、それではメロデス・レジェンドと崇められる存在にはなれなかったでしょう。

|ブルタル度:★★★★☆
|プログレ度:★★★★☆
|変則度:★★★★☆
|メロディ:★★☆☆☆
|スピード:★★★★☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

With Fear I Kiss the Burning Darkness|ウィズ・フィアー・アイ・キス・ザ・バーニング・ダークネス

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オリジナル・スタジオアルバム – 2作目 (1993年)

スウェーデンのデスメタル・シーンに一石を投じたデビュー作と、独自のメロデスラッシュを確立してブレイクスルーとなる次作をつなぐという立ち位置だけでなく、音楽的にもその2作の両方の特性を持ったものです。

メロディは前作以上にフィーチャーされ、彼らの特徴となるメロディックなリフワークも完成されつつありますが、変態的にクールな抑制が効いており、次作のような扇情的な領域に入ろうかという直前で寸止めされてしまいます。

曲調はややストレートとも表現できるものですが、前作ほどではないもののヒネった展開は多く、基本路線は前作の延長線上にあるもので、やはり次作でのキャッチーな明快さは見られません。
そこには、デスメタルがメロディアス過ぎたりキャッチー過ぎたりすることに対する後ろめたさや遠慮も感じられ、それが払拭されるにはやはり〈DARK TRANQUILLITY〉の開き直りを待たなければいけませんでした。

リアルタイムではメロディ路線への着実な一歩は感じられたのですが、驚くほどの大変貌を遂げたわけでもなく、“デス”+“メロ”+“プログレ”の劇的な化学反応も見られないため、彼らのカタログ上においては、どっちつかずな過渡期の1枚という以上の位置付けは難しいかもしれません。

そのため、この前後のアルバムの熱心な支持者からは微妙な距離を置かれているような印象も受けますが、この煮え切らなさはマニア好みの味でもあり捨てがたいものではあります。

なお、このひねくれサウンドに貢献したアルフ・スヴェンソンは本作を最後に脱退し、〈OXIPLEGATZ〉を始動して我が道を行くことになります。

|ブルタル度:★★★★☆
|プログレ度:★★★☆☆
|変則度:★★★☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Terminal Spirit Disease|ターミナル・スピリット・ディジーズ

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オリジナル・スタジオアルバム – 3作目 (1994年)

〈DARK TRANQUILLITY〉が衝撃のデビューを果たした翌年、AT THE GATESのキャリアとメロデス・ムーヴメントの両方におけるモニュメントとなる、次作『Slaughter of the Soul(4th)』にへと続く独自のスタイルを提示した重要作。

新曲6曲に既発曲のライヴ音源3曲を加えた変装的な構成で、実質的には『Slaughter of the Soul』リリースに先駆けて、その方向性を世に知らしめるためのミニアルバムという体ですが、新曲については『Slaughter of the Soul』と楽曲が重ならないことや、フルアルバム相当のボリュームからか、一般的にはフルレンスのオリジナル・アルバムとしても扱われています。

この時点において、『Slaughter of the Soul』のメロディック・デスラッシュはほぼ完成を見せており、楽曲はいずれも粒ぞろい。
代表曲「Blinded by Fear」ほどのキラーチューンこそ無いものの、『Slaughter of the Soul』の平均値程度は軽くクリアしています。

変則的な作品ということもあって、彼らのカタログ中でも中途半端な立ち位置に追いやられて目立たない1枚ですが、スルーするのは惜しまれる充実ぶりです。
なお近年では、さらに初期ライヴ音源3曲を追加した仕様のものが多く出回っているので、最初期の楽曲にも軽く触れてみたいというリスナーにもよい足がかりかもしれません。

|ブルタル度:★★★★☆
|プログレ度:★★☆☆☆
|変則度:★☆☆☆☆
|メロディ:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 実験作

Slaughter of the Soul|スローター・オブ・ザ・ソウル

AT_THE_GATES_SlaughterOfTheSoul

オリジナルアルバム – 3作目 (1995)

とりあえず、今に至るメロディック・デスメタル/デスラッシュのシーンにおいて、ひとつのスタイルを確立した原点のひとつにしであり、メタル史に残る金字塔を打ち立てた重要作。
本作の存在無くしては、のちのメロデスやメロメタルコアのシーンは現在のとは全く異なるものとなった…とさえ言えるほど、後世へ甚大な影響を及ぼしています。

ギターソロや明確なメロディパートに頼らず、リフにメロディとエモーション持たせる…という意味だけならば、〈DARK TRANQUILLITY〉にも通じる手法とも言えますし、〈DISCHARGE〉の異色曲「Dying Time」にヒントを得たとも考えられます。

しかし、メロディのフレーズをそのままリフに用いことの多い〈DARK TRANQUILLITY〉とは異なり、よりシンプルでアグレッシヴなリフワークの中にそれを実現することで、北欧デスラッシュ本来のサウンドを軸にしつつ、“北の慟哭”とも呼ばれる独自の悲痛なエモーションを振りまく、ストロングでブルータルなメロディック・デスラッシュを創造。

これはAT THE GATES無くしては存在し得なかったかもしれないものですが、〈DARK TRANQUILLITY〉同様に表現力に優れたヴォーカリストに恵まれた面も見逃せないでしょう。
もちろん、キラーチューンのT-01 を軸にフックを備えた楽曲が並び、クオリティも突出しています。

特徴的なリフワークも、現在に至るまでに各シーンでコスられ続けたため、もはや斬新さや特異性が薄れた面は確かにあり、特にメタルコアから溯ろうとするような、リアルタイムでムーヴメントを体験していないリスナーでさえ、もしかするとさほど目新しさを得られないかもしれません。
しかし、それらのジャンルを深堀したり一家言持とうと考えるならば、最低限聴いておくべきと断言せざるを得ない、基礎教養に近い必聴アルバムとなっています。

|ブルタル度:★★★★☆
|プログレ度:★☆☆☆☆
|変則度:★★☆☆☆
|メロディ:★★★★★
|スピード:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門盤 実験作

At War with Reality|アット・ウォー・ウィズ・リアリティ

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オリジナルアルバム – 4作目 (2014)

解散後パーマネントな活動をTHE HAUNTEDに移していた彼らですが、そこでのポストメタル・アプローチの不評による低迷や、彼らを始祖と仰ぐメロデス・インスパイア系メタルコアの登場による再評価が重なってか、ついにリユニオンを経て復活作をドロップすることになります。

基本的には、歴史的名盤の『Slaughter of the Soul(4th)』を踏襲したもので、それにシビれて彼らのファンになったリスナーなら感涙ものでしょう。

しかし、〈CARCASS〉の再結成アルバムにも見られたことですが、黄金期の作品と当時のリスナーを意識しすぎたためにそのマイナーチェンジ程度のつくりになっているため、リフやフレーズのリサイクルが気になったり新展開が見られないことを不満に感じるような、先鋭的なリスナーにとっては不満の残る仕上がりでしょう。

それでも、水準以上のクオリティにはあるので聴いて損のない作品ではありますし、オリジンたる自分たちの実績を新世代のリスナーに知らしめるために必要だった1枚なのかもしれません。
そういう意味では、再結成の挨拶代わりという役割は申し分のなく果たせていますが、それ以上ではないこともまた事実です。

|ブルタル度:★★★★☆
|プログレ度:★☆☆☆☆
|変則度:★★☆☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

入門盤 賛否両論

To Drink from the Night Itself|トゥ・ドリンク・フロム・ザ・ナイト・イットセルフ

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オリジナルアルバム – 5作目 (2018)

前作に引き続き、ほぼ『Slaughter of the Soul(4th)』のセルフコピーに近く、そして全てにおいてその域には至っていないというアルバム。
しかし、むしろその方向性を期待する向きこそ多数派と思われるので、それらのリスナーにとっては納得できる水準には達しているのかもしれません。

確かに、AT THE GATESとって『Slaughter of the Soul』はりキャリアのピークでもターニングポイントでもあるのますが、それまでの経緯を考えれば決してそこが到達点というわけではなく、もしそのまま活動が続いていれば、セルフコピーに終始せずに新たな展開を見せた可能性は少なくないでしょう。

再結成の名刺代わりという意味なら前作だけで十分なハズなんですが、どうも〈THE HAUNTED〉でのポスト・メタル・アプローチの不評がトラウマになったのか、守りに入りすぎた結果のようにも感じられます。

初期2作品で展開のプログレ路線をブラッシュアップしたり、ビョーラー兄のソロ作での試みを従来のサウンドに落とし込むなど、新機軸を導入しつつラジカル過ぎないアプローチはあったハズで、それが実践できていればもしかするとビョーラー兄の脱退も避けられてかもしれません。

|ブルタル度:★★★★☆
|プログレ度:★☆☆☆☆
|変則度:★★☆☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

入門盤 賛否両論

The Nightmare of Being|ザ・ナイトメア・オブ・ビーイング

AT_THE_GATES_The_Nightmare_of_Being

オリジナルアルバム – 5作目 (2018)

再結成以来、バンドにとってのクラシックである『Slaughter of the Soul(4th)』のセルフコピーを続けてきたAT THE GATESが、ここにきて次の一手を模索し、新たな一歩を踏み出したアルバム。

その一手が何かというと、端的に言えば“プログレ路線”と呼べるものなのですが、それは、脱退したビョーラー(兄)のソロほどには徹底したものではなければ、最初期の実験性の強い変則的なスタイルとも異なるもの。
ここでは、従来のメロディック・デスラッシュを軸にしつつ、変則的なテクニカル・パートやドラマ性の強い凝った展開を織り交ぜてゆくという、無難な折衷的スタイルを選んでおり、曲によってはヴァイオリンを始めとしたオーケストレーションも導入しています。

この“プログレ路線”自体は、デビュー最初期や脱退したメンバーの作品をもつぶさに見てきたオールドファンにとっては、想定の範囲内であり驚きは無いですし、その動きも、頭打ちの現状打破のための苦し紛れに過ぎないかもしれません。
とはいえ、プログレ路線の推進力と考えられたメンバーが完全に不在となった矢先の変節という意味では、若干の意外性は感じることができますし、過去の栄光にすがるだけには終わるまいという危機感やミュージシャンとしての意欲は評価してよいでしょう。

もはや直球のデスラッシュだけで勝負できる地力がない以上、小細工とはいえこういった変化球で手札を増やしてゆくのは正解で、本作ではとりあえずそれが功を奏しているといえます。
もはや『Slaughter of the Soul』に匹敵するキラーチューンは期待できないものの、再結成後の2作ほどには手癖や惰性満載の焼き直しに辟易することなく、途中でダレてストレスになることもなく、スムーズに聴きとおせるだけの仕上がりを見せています。

|ブルタル度:★★★☆☆
|プログレ度:★★★★☆
|変則度:★★★☆☆
|メロディ:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

入門盤 賛否両論 実験作
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