Contents
- 1最新モードを吸収し続け、ドイツ最強のテクニカル・デスメタルからゴシックメタル,インダストリアルメタル,グルーヴメタルなんでもありのオルタナ・メタルへと変貌を遂げた八方美人の実力派ジャーマン・デスメタル・バンド!!
- 1...1デスメタル不毛の地ドイツが誇る名バンド!!
- 1...2テクニカル・デスメタルとして頭角を表す!?
- 1...3オルタナティヴなデスメタルを追求!?
- 1...4サイドプロジェクトにも意欲的!?
- 1...5フロントマンを中核として精力的に活動中!?
- 1.1ATROCITY|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Blue Blood|ブルー・ブラッド
- 1.1.2Hallucinations|ハルシネイションズ
- 1.1.3Todessehnsucht|トーデシエンゾート
- 1.1.4Blut|ブラット
- 1.1.5Calling the Rain|コーリング・ザ・レイン
- 1.1.6Die Liebe|ディ・リエベ
- 1.1.7Willenskraft|ウィーレンススラフト
- 1.1.8The Hunt|ザ・ハント
- 1.1.9Kraft & Wille|クラフト&ワイル
- 1.1.10Werk 80|ワーク・エイティ
- 1.1.11Non Plus Ultra|ノン・プラス・ウルトラ
- 1.1.12Gemini|ジェミニ
- 1.1.13Atlantis|アトランティス
- 1.1.14Werk 80 II Deluxe Edition|ワーク・エイティ II:デラックスエディション
- 1.1.15Werk 80 II|ワーク・エイティ II
- 1.1.16After the Storm|アフター・ザ・ストーム
- 1.1.17Okkult|オカルト
- 1.1.18Masters of Darkness|マスター・オブ・ダークネス
- 1.1.19Okkult II|オカルト II
ATROCITY|DISCOGRAPHY
Blue Blood|ブルー・ブラッド
シングル (1989年)
Hallucinations|ハルシネイションズ
オリジナルアルバム – 1作目 (1990年)
ヘヴィメタル界隈でもおなじみのスイスのアーティスト、H・R・ギーガーによるアートワークのデビューアルバム。
2ndと比較するとややストレートな作風とも言えますが、それでも十分すぎるほどに変則的で複雑な、スピーディーで目まぐるしい展開を見せるテクニカル・デスメタルの傑作。
オールドスクールなジャーマン・デスメタルとしても、希少な名盤に数えられる重要作です。
メロ/耽美:★☆☆☆☆|プログレ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み
Todessehnsucht|トーデシエンゾート
オリジナルアルバム – 2作目 (1992年)
前作より複雑で大仰な作風で、これ以降に顕著となく欧州暗黒耽美主義に根ざした美意識が強まって、ゴシック的ともいえる独自の世界観とドラマティシズムを形成していますが、やもすると装飾過剰になりがちなこれらの要素が、本作ではむしろ効果的に作用しています。
これによって、第1級のテクニカル・デスメタルでありながら、やや漫然と変態・変則展開をタレ流しがちな傾向…という弱点が解消され、アルバム1枚を通してメリハリが効いた上に、各所にフックが満載で強烈な印象を残すという離れ業を実現した恐るべき完成度の傑作となりました。
これまた、ジャーマン・デスメタルの枠を超え、テクニカル・デスメタルの歴史に燦然と輝く名盤と言えます。
メロ/耽美:★★☆☆☆|プログレ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み
Blut|ブラット
オリジナルアルバム – 3作目 (1994年)
これまでのオーソドックスなデスメタルとは全く異なるベクトルへと舵を切り、ターニングポイントとなったアルバム。
グルーヴメタル,ゴシックメタル,インダストリアル・メタルなど、当時当時勢いのあったヘヴィミュージックの最新モードを取り込んだ、ゴッタ煮的な作風となっています。
その多彩な作風から、それぞれが高水準とはいえやや散漫な印象があるのは否めませんが、彼らの持ち味の前衛的プログレ風味と欧州的美意識によってある程度の統一感が保たれ、ただの借りモノの寄せ集めに終わるのをまぬがれています。
メロ/耽美:★★★☆☆|プログレ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Calling the Rain|コーリング・ザ・レイン
企画物アルバム:ゴシック (1995年)
中心メンバーであるアレクサンダー・クルルの実妹で、トラッド系シンガーの、ヤスミン・クルルをメインヴォーカルに据えたプロジェクト・アルバム。
3rdアルバム『Blut』収録曲でもある、タイトル・トラックのT-01の存在が起点となった企画盤で、楽曲はそれと同様のゴシック・トラッド・ナンバーで統一されています。
これは、ANATHEMAやTHE GATHERINGを皮切りに広がりつつあった、女性ヴォーカルをフィーチャーしたゴシックメタルを意識したサウンドで、特に初期ANATHEMAが試みていたトラッドテイストでフォーキィなアコースティック・ゴシックに近いスタイル。
そういう意味においても、それほど独自性は感じられませんが、楽曲そのものは極めて高水準ですし、オリエンタルなメロディの導入などによって多少なりとも差別化も図ることができています。
メロディ:★★★★☆|独自性:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Die Liebe|ディ・リエベ
企画物アルバム:インダストリアル (1995年)
ゴシック・アルバムの『Calling the Rain』と同様に、『Blut(3rd)』収録曲から派生したかたちの企画ものアルバム。
本作では、ビザールなビジュアル系インダストリアル・バンド、DAS ICHとのコラボレートによるインダストリアル・アルバムとなっています。
LAIBACHのカバーから始まることから予想できるように、デジタルスラッシュ系やダンサブルな作風でもなければニューメタル系でもない、帝国的な重厚感やゴシック的な美意識を感じさせるサウンドと、やや前衛な作風が特徴的な、ややマニア向けの仕上がりです。
どういう経緯か、T-05では名優ダニー・デヴィートがゲスト参加しています。
耽美度:★★★☆☆|ダーク度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
代表作 賛否両論 通好み 実験作
Willenskraft|ウィーレンススラフト
オリジナルアルバム – 4作目 (1996年)
基本的には前作『Blut(3rd)』を踏襲したグルーヴメタル色が強い作風で、ときおりPANTERAを思わせるフレーズまでおり混ぜています。
しかし、ここではデスメタルテイストもいくぶん取り戻しており、ブラストビートで疾走感を持った楽曲も見られ、前作よりはデスメタル・ファンにもアピールできる要素の多いアルバムに仕上がっています。
ゴシックチューンも健在で、T-05のヴォーカルやメロディラインなどは、TYPE O NEGATIVEを想起させるところもあります。
メロ/耽美:★☆☆☆☆|プログレ度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
The Hunt|ザ・ハント
レアトラック集 (1996年)
Kraft & Wille|クラフト&ワイル
EP (1996年
Werk 80|ワーク・エイティ
80’sカバーアルバム (1997年)
80年代のニューウェイヴ/ポストパンク系の楽曲を、中心的に取り上げたカバーアルバム。
『DAVID BOWIE』や『D.A.F.』などビッグネームや通好みなアーティストも見られますが、全体的にはバブリーなメインストリーム系サウンドの、ニューウェイヴ・ポップ/シンセポップ系のアーティストが中心となっています。
ただし、それらがデスメタル・サウンドに大変身…というわけではなく、メタルギターを加えてはいるものの、基本的には80年代色を残して原曲に準じたストレートなアレンジ。
今は忘れられた微妙なバンドも多く、どちらかというとリアルタイム世代を中心としたややマニア向けのアイテムと言えます。
総合評価:★★★☆☆|
代表作 賛否両論 通好み 実験作
Non Plus Ultra|ノン・プラス・ウルトラ
レアトラック:カバー/リミックス (1999年)
Gemini|ジェミニ
オリジナルアルバム – 5作目 (2000年)
ニューウェイヴ・リバイバルの盛り上がりを反映したような、『Werk 80』アルバムでの試みが後を引いているのか、ニューウェイヴ色の強いゴシックメタル/インダストリアル・メタルのテイストが濃厚なサウンドに仕上げてきたアルバム。
ゴシックメタル・スタイルは過去にも試みていましたが、オリジナルのフルレンス・アルバムとして、1枚通してこの手の作風で統一されているというのは、これまでに例が無く、全キャリア中でもやや異色の作風ともいえます。
とはいえ、企画盤で聴けるサウンドと比較するとさほど異色というほどでもなく、楽曲も水準レベルなので、やや中途半端な印象だけが残ります。
ポスパン度:★★★★★|メロ/耽美:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Atlantis|アトランティス
オリジナルアルバム – 6作目 (2004年)
オールドスクールなデスメタル・サウンドとは、ベクトルが異なるものではあれど、デスメタリックなエクストリーム・メタルサウンドへと回帰したアルバム。
楽曲は3rdや4thと同様のミッドテンポ主体のスタイルですが、グルーヴメタル色は払拭されゴシックメタルのアプローチを経たことで、その近似ジャンルであるダークメタルにも接近した印象があり、デスメタリックなダーク・パワーメタルとでも表現可能なサウンドです。
3rd〜4thの時期とは異なり、ここではアルバム全体の作風には統一感をもたせてあるので、その時期のゴッタ煮スタイルのアルバムに顕著だった、散漫な印象は払拭されています。
メロ/耽美:★★★★☆|プログレ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Werk 80 II Deluxe Edition|ワーク・エイティ II:デラックスエディション
80’sカバーアルバムカップリング (2008年)
Werk 80 II|ワーク・エイティ II
80’sカバーアルバム (2008年)
そのタイトルどおり、80年代ニューウェイヴ・ポップのカバー集『Werk 80』の第2弾となるアルバム。
選曲は前作と同様で、メジャーバンドからそうでもないバンドまでさまざま。
しかし、前作でのエレクトロニックなエレポップ主体のアレンジから、バンドサウンドによるヘヴィメタリックなアレンジとなっており、ヘヴィメタル/ゴシックメタルとしても聴ける仕上がりにを見せています。
その意味でも、メタルファンにとっては馴染みやすい1枚となっています。
総合評価:★★★★☆|
代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
After the Storm|アフター・ザ・ストーム
企画物アルバム:エスノ (2010年)
『Calling the Rain』アルバムに続くゴシック・トラッド路線のプロジェクトで、前回同様にヤスミン・クルルをメインヴォーカルにフィーチャーしているほか、同郷のトラッドメタル・バンドREMEMBER TWILIGHTのメンバーもゲストとして迎えています。
『Calling the Rain』は、ほぼ全編にわたってアコースティックなゴシック・トラッドのみの構成でしたが、今回はアコースティック・ナンバーのみならず、ヘヴィメタリック・サウンドのトラッドメタル・ナンバーも織り交ぜてあります。
メロディ:★★★☆☆|独自性:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Okkult|オカルト
オリジナルアルバム – 7作目 (2013年)
前作から、さらにデスメタル色を深めた作風で、全体的にテンポ・アップされて疾走曲までも見られるようになっており、中には、メロディック・デスラッシュと呼べそうな楽曲も見られます。
取り立てて新規性はありませんし、決定的なキメ曲にも欠けますが、同様のスタイルの中では独自性を発揮することに成功している部類と言えますし、クオリティも高いレベルで安定しています。
メロ/耽美:★★★☆☆|プログレ度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Masters of Darkness|マスター・オブ・ダークネス
EP (2017年)
Okkult II|オカルト II
オリジナルアルバム – 8作目 (2018年)
基本的な作風は、ここ数作と変わらない同時代的なサウンドにアップデートされたデスメタルですが、メロデス色が強かった前作と比較すると、メロディがいくぶん控えめとなっており、ストロンング・スタイルのデスラッシュ・サウンドへと接近しています。
アップテンポなナンバーも多く、メロデス路線が苦手なリスナーや、一般的なデスメタルのファンにも馴染みやすい仕上がりと言えるでしょう。
メロ/耽美:★★★☆☆|プログレ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 実験作