- サウンドもヴォーカリストも80年代北欧最重量級の様式美ドゥームメタルバンドは90年代ドゥームムーヴメントには出遅れるも、“エピックドゥーム”のパイオニアとして様式美系ドゥームマニアの期待を一身に背負うカリスマの座に上りつめる!!
- CANDLEMASS|DISCOGRAPHY
- The Day of Retribution|ザ・デイ・オブ・リトリビューション
- Epicus Doomicus Metallicus|エピカス・ドゥーミカス・メタリカス
- Nightfall|ナイトフォール
- Ancient Dreams|アンシエント・ドリーム
- Tales of Creation|テイルス・オブ・クリエーション
- Chapter VI|チャプター・フォー
- Dactylis Glomerata|ダクチリス・グロメラータ
- From the 13th Sun|フロム・ザ・サーティーンズ・サン
- Candlemass|キャンドルマス
- King of the Grey Islands|キング・オブ・ザ・グレイ・アイランズ
- Death Magic Doom|デス・マジック・ドゥーム
- Psalms for the Dead|サルム・フォー・ザ・デッド:葬送詩篇
- The Door to Doom|ザ・ドア・トゥ・ドゥーム
- ABSTRAKT ALGEBRA(アブストラクト・アルジェブラ)|DISCOGRAPHY
- KRUX(クラックス)|DISCOGRAPHY
- MEMENT(ミメント・モリ)|DISCOGRAPHY
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サウンドもヴォーカリストも80年代北欧最重量級の様式美ドゥームメタルバンドは90年代ドゥームムーヴメントには出遅れるも、“エピックドゥーム”のパイオニアとして様式美系ドゥームマニアの期待を一身に背負うカリスマの座に上りつめる!!
CANDLEMASS(キャンドルマス)は、リーフ・エドリング(Leif Edling)を中心としたスウェーデンのヘヴィメタルバンド。同郷のEUROPA(ヨーロッパ)がThe Final Countdownで世界的ヒットを飛ばし、北欧=(イコール)ポップなキラキラ系ネオクラシカルというイメージが定着していた1986年から初期LACK SABBATHに影響を受けてそのヘヴィネスを押し出した“サバス・インスパイア系”暗黒サンドで活動を続けていました。
彼らは、90年代ドゥームメタルのルーツにもなった、いわゆるプレドゥームメタル/アーリードゥームメタルと呼ばれる世代のグループで、同期の80’USドゥームBIG3…PENTAGRAM(ペンタグラム),SAINT VITUS(セイント・ヴァイタス),TROUBLE(トラブル)に、NWOBHMシーンのUKドゥームWITCHFINDER GENERAL(ウィッチファインダー・ジェネラル)と彼らを加えて80年代ドゥームBIG5と認識されています。
それらの中でもCANDLEMASSは、サウンドからテーマ性まで最も古典的なヘヴィメタル様式や美意識を踏襲しており、それは彼らが第1期BLACK SABBATHと同じレベルで第2期BLACK SABBATHからの影響をも反映させていることによります。
90年代のドゥーム/ストーナームーヴメントの広がりのなかで80年代組にも改めてスポットが当たるようになり活動も活発化しますが、それらは基本的にエクストリームメタルやオルタナティヴロックなどに根ざし、様式化やポップミュージック化進んだヘヴィメタルに対するカウンターという面が強いムーヴメントであり、その中で古典的メタル様式を貫くCANDLEMASSはさほど注目を集める存在ではありませんでした。
また、彼らは北欧最重ヴォーカリストと呼ばれた巨漢ヴォーカリストメサイア・マーコリン(Messiah Marcolin)の大仰過ぎるオペラティックな歌唱も大きな持ち味としていましたが、その自己陶酔劇場型の様式美ヴォーカルも当時のドゥームメタルシーンの中ではマイナスにしかなりませんでした。
しかし、その後00年代以降のヘヴィメタルの進化の停滞とその反動である細分化の中で再び注目を集めフォロアーも増加したことで、彼らのアルバムEpicus Doomicus Metallicus(エピカス・ドゥーミカス・メタリカス)に由来する“エピックドゥームメタル”というラベルが、古典様式美系ドゥームメタルを意味するジャンルとして設定され認知されるまでになります。
CANDLEMASS|DISCOGRAPHY
The Day of Retribution|ザ・デイ・オブ・リトリビューション
ミニアルバム:EP [NEMESIS(ネメシス)名義] (1984年)
CANDLEMASSの前身にあたるバンドで、基本的な作風はこの時点でほぼ出来上がっていますが、サバス色はさほどでもなくオーソドックスなヘヴィメタルに近いサウンドです。
マーコリン加入前でヴォーカルはリーフが担当しており、やや荒さの残るヘタウマスタイルで印象はかなり異なりますが、ドゥーム系サウンドむしろこちらの方がマッチしているかもしれません。
ドゥーム度:★★☆☆☆|多様性:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
通好み 実験作
Epicus Doomicus Metallicus|エピカス・ドゥーミカス・メタリカス
オリジナルアルバム – 1作目 (1986年)
ドゥームメタルそのものというよりヘヴィなKING DIAMONDといったおもむきの作風ですが、基本的なコンセプトとスタイルはNEMESIS時代からはほぼ完成されているので、のちのサウンドと比較しても大きな違和感はありません。。
ヴォーカルはサポート参加のヨハン・ランキスト(Johan Längquist)で、大きな特徴も派手さもありませんが、マーコリンのようにやりすぎでコミカルだったり過剰さが逆に単調で飽きるということはないので、彼らのサウンドには無難にマッチしています。
ドゥーム度:★★☆☆☆|多様性:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 通好み スルメ盤
Nightfall|ナイトフォール
オリジナルアルバム – 2作目 (1987年)
メサイア・マーコリン初参加アルバムで、楽曲の完成度と作風だけとればCANDLEMASS流ドゥームメタルのひとつの完成系です。
オペラチックな歌唱でビジュアル以外は様式美ファンに人気のマーコリンですが、技術や声量はそれなりにあるものの表現力は乏しく一本調子なので、デスヴォーカルの方が表現力を感じるくらいです。楽曲の幅はおそらくCANDLEMASSのパブリックイメージよりも広めなのですが、何をやってもマーコリンの大仰すぎて逆に平坦なヴォーカルで台無しです。時にその過剰さのおかげで、初期の聖飢魔IIのようなコミックバンドにも聴こえてしまいます。
ゴシック的な暗黒美も導入している以上シリアスなつもりなのでしょうが、T-06の葬送行進曲カバーに至ってはさすがにベタ&やりすぎで、もはやギャグでしかありません。
ドゥーム度:★★★☆☆|多様性:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤
Ancient Dreams|アンシエント・ドリーム
オリジナルアルバム – 3作目 (1988年)
前作と比較するとサウンドはややヘヴィで奥行きが増したようにな感じますが、作風はよりオーソドックスなヘヴィメタル色が強まっています。結果的に楽曲の多様性はさらに増していますし、スローで長尺の楽曲もよく練られているので単調さから退屈に流されることはあまりありません。
マーコリンの効果的な使い方も心得てきたようで、ヴォーカルがやや引っ込んでバンドが前面に出ることが多くなったことでバランスは確実に向上しており、メサイアンヴォイスのあまりの平坦さにうんざりすることは少なくなりました。
T-09のBLACK SABBATHメドレーは、リスペクト表明にしてもあまりに蛇足感が強いので、いかがなものかというところです。
ドゥーム度:★★☆☆☆|多様性:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Tales of Creation|テイルス・オブ・クリエーション
オリジナルアルバム – 4作目 (1989年)
ベーシックなスタイルはこれまでと変わりませんが、さらにオーソドックスなヘヴィメタルに近いサウンドになり、最近の感覚でいえばドゥームメタルよりもダークメタルと呼ばれるスタイルに近いかもしれません。
ドゥームメタルナンバーは健在ですが全体的に楽曲のテンポはアップしており、一曲ごとの長さも彼らとしては短めでコンパクトにまとまっています。また作風はさらにバリエーション豊かになって、楽曲単位でもアルバムとしてもメリハリがついて聴きやすくなっています。T-06などはネオクラシカルなインストスピードメタルという異色曲。
ドゥーム度:★★☆☆☆|多様性:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論
Chapter VI|チャプター・フォー
オリジナルアルバム – 5作目 (1992年)
一部にマニアックな人気を誇るマーコリンが脱退、新ヴォーカルを迎えたアルバム。後任ヴォーカリストのトーマス・ヴィクストロム(Thomas Vikström)はこの1作のみの参加ですが、マーコリンよりも表情豊かで表現力のある歌唱でを聴かせており、ヴォーカリストとしての総合力とバンドへのプラス作用では前任者を大きく上回ります。
音楽性は前々作〜前作の流れを押し進めてさらにバリエーションが増しており、もはやドゥームやサバスインスパイア系の枠に縛られない作風は、オーソドックなスタイルのダークヘヴィメタルと表現する方がふさわしいほどになりました。
この2点の変化のおかげで賛否両論気味で、ドゥーミィな様式美サウンドとメサイアンヴォイスに惚れ込んだ黄金期のファンからはあまり評価が高くないアルバムですが、単純にヘヴィメタルアルバムとして判断するならば、これまでのキャリア中でも一二を争う完成度と充実度です。
ドゥーム度:★★★☆☆|多様性:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論
Dactylis Glomerata|ダクチリス・グロメラータ
オリジナルアルバム – 6作目 (1998年)
From the 13th Sun|フロム・ザ・サーティーンズ・サン
オリジナルアルバム – 7作目 (1999年)
Candlemass|キャンドルマス
オリジナルアルバム – 8作目 (2005年)
King of the Grey Islands|キング・オブ・ザ・グレイ・アイランズ
オリジナルアルバム – 9作目 (2007年)
Death Magic Doom|デス・マジック・ドゥーム
オリジナルアルバム – 10作目 (2009年)
Psalms for the Dead|サルム・フォー・ザ・デッド:葬送詩篇
オリジナルアルバム – 11作目 (2012年)
The Door to Doom|ザ・ドア・トゥ・ドゥーム
オリジナルアルバム – 12作目 (2019年)
”]ABSTRAKT ALGEBRA(アブストラクト・アルジェブラ)|DISCOGRAPHY
ABSTRAKT ALGEBRA(アブストラクト・アルジェブラ)は、CANDLEMASSの中核リーフ(Leif Edling)とMEMENTO MORIのウィード(Mike Wead)を中心としたCANDLEMASSの別ユニット的なバンドで、グラムメタルバンドSWEDISH EROTICA(スウェディッシュ・エロチカ)やAC/DCのパロディバンドAB/CDに在籍し、のちにCANDLEMASSにも加入することになるマッツ・レヴィン(Mats Levén)をヴォーカルに迎えています。
CANDLEMASSでの音楽性を基調としつつ、ヘヴィグルーヴなど視野に入れたモダンドゥームとでも呼べそうな現代的なサウンドを確立しており、技量でメサイア・マーコリンに匹敵しながら表現力ではそれを上回り、モダンなサウンドにも対応できる荒々しさとタフさを備えたレヴィンのヴォーカルもそれに貢献していました。
一部で熱烈な支持を受けるも、当時のドゥームシーン/メタルシーンで大きな成功には結びつかずアルバム1枚で活動を終えますが、その作風やサウンドコンセプトはのちのKRUX(クラックス)にも受け継がれています。
Abstrakt Algebra|アブストラクト・アルジェブラ
オリジナルアルバム – 1作目 (1995年)
ドゥーム度:★★★★☆|多様性:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
KRUX(クラックス)|DISCOGRAPHY
KRUX(クラックス)はABSTRAKT ALGEBRAのリニューアルバンドに近い位置付けで、その中核だったリーフ・エドリングとマッツ・レヴィンを中心に、ENTOMBEDやOPETHといったエクストリームメタルに携わったメンバーで構成されています。
ABSTRAKT ALGEBRAと同様に、CANDLEMASSサウンドを基調としつつもオールドスクールなのエピック的美意識を払拭し、90年代以降のドゥーム/ストーナーサウンドやエクストリームメタルも視野に入れた現代的なヘヴィネスを志向した音楽性が持ち味。CANDLEMASSと並行して活動を続けており、ヴィンテージエッセンスやサイケデリックテイストの導入も含めて、CANDLEMASS名義では実践しづらいことを意識的に試みているようにも感じられます。
Krux|クラックス
オリジナルアルバム – 1作目 (2002年)
II|トゥ
オリジナルアルバム – 2作目 (2006年)
III – He Who Sleeps Amongst the Stars|スリー – ヒー・フー・スリープス・アモングスト・ザ・スターズ
オリジナルアルバム – 3作目 (2011年)
MEMENT(ミメント・モリ)|DISCOGRAPHY
MEMENTO MORI(ミメント・モリ)は巨漢ヴォーカリストメサイア・マーコリン主導のバンドで、マイク・ウィード(Gt.)らテクニカルなスラッシュ/パワー系バンドHEXENHAUSのメンバーを中心に構成されています。完全にマーコリンにとってのジェネリックCANDLEMASSでありリーフという核を欠いたCANDLEMASSといった存在で、マーコリンのヴォーカルとキャラクター以外に取り立ててセールスポイントが見当たらないことから、一部ではファットドゥームやメタボリックドゥームとも呼ばれています。
マイク・ウィード(Gt.)はかつてCANDLEMASSの“Ancient Dreams(3rd)”にゲスト参加もしており、準ファミリー的な立ち位置にあります。
Rhymes of Lunacy|リズムス・オブ・ルナシィ
オリジナルアルバム – 1作目 (1993年)
Life, Death and Other Morbid Tales|ライフ,デス・アンド・アザー・モービッド・テイルズ
オリジナルアルバム – 2作目 (1994年)
La Danse Macabre|ラ・ダンス・マカブレ
オリジナルアルバム – 3作目 (1996年)
Songs for the Apocalypse Vol. IV|ソング・フォー・ザ・アポカリプス ヴォリューム・フォー
オリジナルアルバム – 3作目 (1996年)