★ CRO-MAGS(クロ-マグス)ディコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|クリシュナ神を信奉するストレートエッジな80年代NYクロスオーバースラッシュの筆頭格!!…必聴アルバムは?

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スラッシュメタルとハードコアの理想的なクロスオーバーを実現したストロングスタイルのハードコアバンドは、ドロ沼の法廷構想でバンドの看板を争った末にふたつのCRO-MAGSに分裂!!

CRO-MAGS(クロ-マグス)は、アメリカ合衆国はニューヨークのメタリックなハードコアグループ。

クロスオーバーの代表格!!

CRO-MAGS(クロ-マグス)は80年代の初頭から活動をスタートしていますが、スラッシュメタルとハードコアのクロスオーバーである『クロスオーバー・スラッシュ(単にクロスオーバーとも)』ムーヴメントの中で頭角をあらわし、シーンを代表するバンドのひとつに数えられるようになります。

ハーレー・クリシュナ!!

CRO-MAGSは当初クリシュナイズム標榜し、それに関するアートワークをジャケットに起用するなど、前面に押し出していました。

クリシュナイズムは、インドの神のひとりである『クリシュナ』を信奉するヒンドゥー教の一派。ニューヨークに関連教団が存在し、ニューエイジムーヴメントの中でも大きな役割を果たしました。
ハードコアシーンにも信奉者が多いことで知られており、オリジナルメンバーでヴォーカリストのジョン・ジョセフもこれに帰依しています。

クリシュナイズムの教義には、のちの『ストレート・エッジ』の思想と重なる部分が大きく、その関連性は明言されていませんが何らかの影響を与えている可能性もあり、ハードコアシーンへの広がりもそれに連なる要因が考えられます。

CRO-MAGSの音楽性は??

CRO-MAGSはアルバムごとにスタイルを変化させていることで知られます。この変化は。基本的にはその時代ごとのヘヴィミュージックのトレンドに即したもので、スラッシュメタルの他にもファンクメタル, グルーヴメタル, メロディックハードコアなど多岐にわたります。

これが理由でアルバムによって賛否に大きな開きがあり、特にオールドファンはその変化を否定的に受け取る傾向にあります。

頻繁なメンバーチェンジ!?

CRO-MAGSのアルバムデビュー時のメンバーは、ハーレー・フラナガン(Ba.)、ジョン・ジョセフ(Vo.)、マッキー・ジェイソン(Dr.)、ダグ・ホランド(Gt.)、パリス・メイヒュー(Gt.)の5名。
メンバーチェンジは激しく、上記のメンバーのすべてのが何度かの脱退〜再加入を経験しています。

一般に、ハーレー・フラナガンとジョン・ジョセフがツートップと目されており、格闘家でメンバー同士の刃傷沙汰も起こしたことでヴァイオレントでマッチョなイメージの強いハーレー・フラナガンと、クリシュナイズムとストレートエッジを標榜するジョン・ジョセフでは、ファン層いくらか異なります。
ただし、すべてのスタジオアルバムに参加していることもあって、フラナガンのイメージが勝っている印象です。

二つのCRO-MAGSに分裂!!

近年は、ジョン・ジョセフとマッキー・ジェイソンによって再結成され、ライヴを中心とした活動を展開していましたが、2019年に弁護士を妻にもつハーレー・フラナガンが、CRO-MAGS名義の商標権を主張して法廷闘争に発展。
それが認められて、オリジナルCRO-MAGSはフラナガン主導で仕切り直しを行っています。

ジョン・ジョセフとマッキー・ジェイソンはCRO-MAGS JMへの改名を余儀なくされ、現時点ではアルバムリリースなど大きなアクションは見られません。(2021年現在)

なお、ジョン・ジョセフはオルタナティヴなのポストハードコアバンドBOTH WORLDSの活動で、マッキー・ジェイソンはハードコアレジェンドBAD BRAINSやクリシュナコアのSHELTERのほか、LEEWAY, MADBALLなど多数の第一線グループへの参加でも知られています。

CRO-MAGS|DISCOGRAPHY

The Age of Quarrel|ジ・エイジ・オブ・クゥオーラル

CRO-MAGS_The_Age_of_Quarrel

オリジナルアルバム – 1作目 (1986年)

多くのクロスオーバーバンドのデビューアルバムと同様に、この時点ではメタリックではあるものの、ハードコアテイストが勝るスタイルで曲も短くコンパクト。

ニューヨーク・ストロングスタイルのひとつの典型例とも言えるサウンドですが、初期衝動一直線のスピードと勢いだけのものではなく、キャッチーなフックと押し引きを心得た巧みな構成を見せています。

スラッシュ度:★★★★☆|ハーコー度:★★★★★|メタル度:★★☆☆☆
オルタナ度:★★☆☆☆|ロッキン度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤

Best Wishes|ベスト・ウィッシズ

CRO-MAGS_Best_Wishes

オリジナルアルバム – 2作目 (1989年)

多くのクロスオーバーバンドのセカンドアルバムと同様に、スラッシュメタル/ヘヴィメタルテイストが大幅に強化された作品。
その中でも、名曲T-05やT-06といったあたりは、パワーメタルや古典的なヘヴィメタル呼んでも一向に差し支えない作風です。

曲も全体的に長めになって5分超の曲も見られるようになっており、反比例して曲数は半数程度に収まっています。また、本作では、ジョン・ジョセフは不参加で、フラナガンがヴォーカルを取っています。

初めてジャケットにヒンドゥー教の神ナラシンハのアートワークが起用されていますが、これは当時ジョン・ジョセフの影響でクリシュナイズムに傾倒していたフラナガンの意向によるものです。

スラッシュ度:★★★★★|ハーコー度:★★★★☆|メタル度:★★★★☆
オルタナ度:★☆☆☆☆|ロッキン度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 実験作

Alpha Omega|アルファ・オメガ

CRO-MAGS_Alpha_Omega

オリジナルアルバム – 3作目 (1992年)

多くのクロスオーバーバンドのこの時期のアルバムと同様に、グルーヴメタルのヘヴィグルーヴ、ミクスチャーロックのファンキーなリズムやラップ風のパーカッシヴなヴォーカルスタイルが導入された作品。
そして、やはり多くの同様のスタイルの作品と同じく、一般的な評価やオールドファンからの支持率はかんばしいものではありません。

しかしその風聞に反してその完成度は極めて高く、代表作とされてる初期に作品に一切劣るものではなく、変化に富んだ楽曲はおおむね高水準に練り上げられており、ここでしか聴けない魅力もあります。

驚くほどに表現力とその幅を増して、時にペーター・スティールやキース・カピュートのようなディープヴォイスも聴かせる、出戻りとなったジョン・ジョセフのヴ歌唱も、楽曲の表情を豊かにして多様性を高めることに貢献しています。

曲調が急展開を見せる長尺曲が多く、素直に没入して楽しみづらいあたりは好みは分かれるところですが、T-01, T-06, T-08などは前作のファンでも楽しめそうな作風ですし、そのT-09の後半になだれ込むジャムセッションも聴き応え十分で実力者ぶりを発揮しています。

スラッシュ度:★★★★☆|ハーコー度:★★★☆☆|メタル度:★★★★☆
オルタナ度:★☆☆☆☆|ロッキン度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Near Death Experience|ニア・デス・エクスペリエンス

CRO-MAGS_Near_Death_Experience

オリジナルアルバム – 4作目 (1993年)

2nd以来のヒンドゥー神ジャケットですが、2nd路線に回帰したわけではなく前作の延長線上にある作風。ただし、曲は前作よりはコンパクトで短めになっており、T-03, T-04, T-06といったファストチューンの佳曲も聴けます。

当時は、NYHCシーンでもBIOHAZARDらの新鋭がシーンを更新していた変革期で、80年代のクロスオーバー勢もSUICIDAL TENDENCIESがサイドプロジェクトのINFECTIOUS GROOVESの方に力を入れたり、CRUMBSUCKERSがPRO-PAINに改名してより現代的なヘヴィネスを追求したりと、次の時代を見据えたアクションが見られました。
それらの試みや、実験的と表現できた前作と比較してしまうと、本作のアプローチからは行き詰まりと迷走感が拭えません。

本格的なラップコアやグランジ風のヘヴィロックは一応の新機軸とも言えるもので、中でもジョン・ジョセフの歌唱も相まってDANZIGを想起させるT-08には可能性が感じられますが、ハードコアファンに受けのいいものとは言いかねます。

スラッシュ度:★★★☆☆|ハーコー度:★★★☆☆|メタル度:★★★☆☆
オルタナ度:★★★★☆|ロッキン度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Hard Times in an Age of Quarrel|ハード・タイム・イン・アン・オブ・クゥオーラル

CRO-MAGS_Hard_Times_in_an_Age_of_Quarrel

ライヴアルバム (1994年)

Before the Quarrel|ビフォア・ザ・クゥオーラル

CRO-MAGS_Before_the_Quarrel

初期音源コンピレーション (2000年)

Revenge|リヴェンジ

CRO-MAGS_Revenge

オリジナルアルバム – 5作目 (2000年)

ハードコアに回帰したという触れ込みもあった復活作。それは一面では間違いではなく、確かに数曲においてはデビュー当初に近い雰囲気も味わえます。
しかし、アルバムの大半を占めるのは、当時再結成して人気を集めていたMISFITSの影響下にある、パッキッシュでロッキンなナンバー。

これは、80年代クロスオーバーバンドのこの時期の作品によく見られた、90年代中盤からのメロディックハードコア/ポップパンクブームの流れをくむアプローチの一環です。
自分たちの味付けも加えつつ及第点レベルに仕上げていますが、オールドファンにとっては90年代の迷走期とされるアルバムと大差ないことでしょう。

本作はフラナガン体制で、ジョン・ジョセフとマッキー・ジェイソンは不参加。もしジョン・ジョセフがヴォーカルをとっていたら、その歌唱からまんまMISFITSになってしまっていた恐れがあります。

スラッシュ度:★★★☆☆|ハーコー度:★★★★☆|メタル度:★★☆☆☆
オルタナ度:★★☆☆☆|ロッキン度:★★★★☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 実験作

Twenty Years of Quarrel and Greatest Hits|トゥウェンティ・イヤーズ・オブ・クゥオーラル・アンド・グレーテスト・ヒッツ

CRO-MAGS_Twenty_Years_of_Quarrel_and_Greatest_Hits

ベストアルバム (2006年)

In the Beginning|イン・ザ・ビギニング

CRO-MAGS_In_the_Beginning

オリジナルアルバム – 6作目 (2020年)

前作リリース後に再び解散。その間、活動を続けていた10年間にわたって活動を続けていた、ジョン・ジョセフ&マッキー・ジェイソン体制のCRO-MAGSから名義を勝ち取って再結成した、フラナガンCRO-MAGSのアルバム。
本格的に黄金期のアグレッシヴなクロスオーバーサウンドを意識したスタイルで、そこに現代的なアレンジを加えたような塩梅です。

ここでも、パンキッシュでロッキンなテイストが強めですが、今回はMISFITSではなくMOTORHEADテイスト。それを、その発展系でもあるクラストコアを経由させることで、前回のような“原型そのまま”なスタイルに陥ることは回避されています

もうひとつの新機軸は、一部のポストハードコア系にも見られるゴシックテイスト。プログレ的ともいえるアトモスフェリックなインストのT-11やゴシックメタル風のT-12はその最たるもので、T-08もゴス&ロール風ですが、全体的にはアクセント程度にとどまっています。

この時期において斬新と言える要素は皆無ですが、かつてのストロングスタイルなメタリックハードコアの懐古的な焼き直しに止まらないアレンジとしては、理想的というは言い過ぎとしても上々の出来栄えではあります。

スラッシュ度:★★★★☆|ハーコー度:★★★★☆|メタル度:★★★☆☆
オルタナ度:★★★☆☆|ロッキン度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

入門盤 賛否両論 実験作
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