Contents
- 1フィル・アンセルモ(PANTERA)のプロジェクトDOWNにも参加した、インパクト抜群の二大巨漢フロントマンによる、メタリック&ハードコアなウルトラヘヴィ・サウンドでスラッジ黎明期を支えたパイオニア!!
- 1...1スラッジの本場ニューオリンズの顔役!?
- 1...2バンドのビジュアルもインパクト抜群!?
- 1...3CROWBARはサザンメタルの顔役!?
- 1...4南部ドリームバンドDOWNにも参加!?
- 1...5CROWBARサウンドの特徴は!?
- 1...6CROWBARのメンバーと活動の現状は!?
- 1.1CROWBAR|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Obedience Thru Suffering|オビーディエンス・スルー・サファーリング
- 1.1.2Crowbar|クロウバー
- 1.1.3Live + 1|ライヴ・プラス・ワン
- 1.1.4Time Heals Nothing|タイム・ヒールズ・ナッシング
- 1.1.5Broken Glass|ブロークン・グラス
- 1.1.6Odd Fellows Rest|オッド・フェロウズ・レスト
- 1.1.7Equilibrium|イクイリブリアム
- 1.1.8Sonic Excess in Its Purest Form|ソニック・エクセス・イン・ザ・プレスト・フロム
- 1.1.9Lifesblood for the Downtrodden|ライフブラッド・フォー・ザ・ダウントローデン
- 1.1.10Sever the Wicked Hand|セーヴァー・ザ・ウィキッド・ハンド
- 1.1.11Symmetry in Black|シメントリィ・イン・ブラッック
- 1.1.12The Serpent Only Lies|ザ・サーペント・オンリィ・ライズ
- 1.1.13Zero and Below|ゼロ・アンド・ビロウ
CROWBAR|DISCOGRAPHY
Obedience Thru Suffering|オビーディエンス・スルー・サファーリング
オリジナルアルバム – 1作目 (1991年)
スラッジコアの原点のひとつとみなされるデビューアルバム。
ドゥームメタルとオルタナ系のヘヴィグルーヴをミックスしたようなサウンドは、いかにもスラッジコアですが、同郷で同輩のEYEHATEGODなどと比較するとジャンク感やカオス感は薄く、スラッジの枠中に限ればクリアでシャープとも呼べる質感で、『キレイなスラッジ(汚泥)』という矛盾する表現も頭をよぎります。
まだまだ、後年と比較すると作風の幅が狭く、キャッチーなフックも弱めの無骨なストロング・スタイルですが、ドラムが妙にトリッキーだったり、無愛想なダミ声ヴォーカルなのにエモーショナルな歌心を感じさせたりと、単調なようでいて一筋縄ではいかない味のあるサウンドは、なかなかクセになります。
ちなみに、印象的なドラミングを聴かせ、のちにザック・ワイルドのBLACK LABEL SOCIETYなどへの参加で名を上げるクレイグ・ヌネンマッハーは、元はグラムメタルシーンの個性派として知られたLILLIAN AXEのスティーブ・ブレイズの実兄で、本人も一時期はLILLIAN AXEで共に活動していました。
|ハーコー度:★★★★☆
|ダウナー度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|楽曲多彩度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 通好み スルメ盤 実験作
Crowbar|クロウバー
オリジナルアルバム – 2作目 (1993年)
前作からして、PANTERAらヘヴィグルーヴ系のサザンメタルに近い質感を漂わせていましたが、本作は、そのPANTERAのフォル・アンセルモのプロデュースで話題になったアルバム。
前作からさらに整合感を増した、ソリッドなサウンドとなっており、曲調もアップテンポなものからスローでダークなものまで多彩で、単なるスラッジの枠でくくるには、やや幅の広い作風となっています。
T-05はLED ZEPPELINの代表曲のカバーですが、サイケデリックでドリーミーな叙情曲がドゥーミィでダークなヘヴィチューンへと変貌を遂げており、選曲/アレンジ共に「カバーかくあるべし」といった見事な出来栄えで、数あるZEPカバーの中でも出色での仕上がりです。
本作はビッグネームのアンセルモが関わったこともあって、PANTERAの兄弟分の触れ込みで日本盤もリリースされており、スラッジコアのジャンルでは初の日本デビューを果たしたバンドとなりました。
バンド名をネタにした、「三ツ葉じゃないぞ金テコだ!」というのが当時のキャッチコピーで、その良し悪しはともかく、作品自体は日本でピックアップされるだけの完成度を持った、充実の一枚ではあります。
|ハーコー度:★★★★☆
|ダウナー度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|楽曲多彩度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Live + 1|ライヴ・プラス・ワン
ミニアルバム:EP (1994年)
ライヴ音源に未発表曲1曲を加えたミニアルバム。これもまた日本盤がリリースされていましたが、日本デビュー早々こんなアイテムまでリリースされていたあたり、果たしてレーベルに見る目があったのかなかったのか微妙なところです。一応、映像作品を除けば唯一のライヴ音源ではあります。
Time Heals Nothing|タイム・ヒールズ・ナッシング
オリジナルアルバム – 3作目 (1995年)
前作とほぼ同路線のアルバムで、基本的な楽曲クオリティ自体は申し分なし。
ただし、前作で大きな成長を遂げた分だけ伸びしろが狭まって、成長や変化の上乗せ分が減少してしまったこともあって、前作から続けて聴くと、どうしてもインパクトには欠けるきらいはあります。
疾走型のファストナンバーや、ノリのいいグルーヴナンバーもラインナップされ、作風の幅はあるのですが、それ以外の定番スローナンバーはやや画一的な印象もあり、それらが連続する曲順もいい塩梅とは言えず、やや全体の印象を落としているようにも感じられます。
佳曲も多い良作なのは間違いありませんが、ポテンシャルを発揮しきれていない印象が残る、どうにも惜しい仕上がりです。
|ハード度:★★★★☆
|メロディ:★★★★☆
|大作度:★★★★☆
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 通好み
Broken Glass|ブロークン・グラス
オリジナルアルバム – 4作目 (1996年)
本作も、PANTERAのフィル・アンセルモのプロデュースによるアルバムで、さらには、EYEHATEGODのギタリストでDOWNではドラムを担当する、ジミー・バウワーがドラムスとして参加しています。
DOWNほどではないものの、サザン・スラッジのドリームバンドと呼べる体制になったことから、本作はスラッジ界隈では人気の高いアルバムとなっています。
そういった事情から、一部では、本作から大きくクオリティが向上して黄金期を迎えた…というイメージで語る向きもありますが、実のところはカタログ中では平均的で無難なアルバムで、圧倒的に傑出しているわけではありませんし、ドラミングも前任者の方がユニークでサウンドの個性アップに貢献していました。
トータルで見ると楽曲の出来にやや波もありますが、楽曲の多様性も比較的幅があり佳曲も多いので、聴いて損のない安心のCROWBAR印の1枚ですし、要所に配したファストチューンもキャッチーでつかみに最適なため、ビギナーにも聴きやすい1枚と言えます。
|ハーコー度:★★★☆☆
|ダウナー度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|楽曲多彩度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤
Odd Fellows Rest|オッド・フェロウズ・レスト
オリジナルアルバム – 5作目 (1998年)
主要メンバーについては前作と変わらぬ編成で、ジミー・バウワー在籍時では最後のアルバム。
つかみに最適なファストチューンを含めてわかりやすかった前作と比較すると、やや地味で通好みな作風ですが、トータでの完成度/楽曲アベレージでは本作に分があります。
今回は、ファストチューンを欠いたスロー〜ミッド主体の作風な上に、前作ほどには楽曲の多彩さも見られないものの、印象に残るフレーズが多数散りばめられるなど、全編にわたって各所にフックが仕込まれてあります。
「どこを切っても、どれを聴くいても…」の金太郎飴状態であっても、歯車がうまく噛み合えばアルバム1枚通して飽きさせないグレードも実現可能…という好例と言えるでしょう。
2nd以降のCROWBARは、スラッジコアの類型の枠だけに収まらないようになっており、ドゥームの幽玄さ, ストーナーのトランス感, ヴルーヴのフィジカル性, ゴシックの妖美さなど、近縁ジャンルの多彩なエッセンスも感じさせるあたりも持ち味としていますが、それらを気負った新機軸としてでなく、自然にいつもの装いとして身に纏える懐の深さも強味となっています。
ヴォーカルもいつにも増してエモーショナルで、スラッジコアのジャンクなイメージに抵抗のあるリスナーの入り口にもオススメの1枚です。
|ハーコー度:★★★☆☆
|ダウナー度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|楽曲多彩度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Equilibrium|イクイリブリアム
オリジナルアルバム – 6作目 (2000年)
前作までドラムを務めていたサザンスラッジのカリスマ的ビッグネームのひとり、EYEHATEGODのジミー・バウワーが脱退した最初のアルバム。
そういった事情もあってか、CROWBARのカタログ中では…というよりも前2作に比較してあまり人気が無いという話も聞こえてきますが、その出来栄えは中期の名盤と名高い前作に引けを取らない見事なものです。
彼らが飛び道具として用いるハードコアなファストチューンは皆無で、ミッド〜スロー中心となっているものの、楽曲はドゥームあり、グルーヴあり、ゴシックありと表情豊かで変化に富んでおり、いずれも粒ぞろいでアルバムとしてのアベレージも上々。
「普段イラストやイメージ写真をジャケットに用いるバンドが、メンバーショット(前作のようなコラージュは除く)を使ったアルバムは名盤率が高いが、そのわりに過小評価のされがち。」という説を検証中なのですが、少なくともこのアルバムはまさにそれに該当します。
|ハーコー度:★★★★☆
|ダウナー度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|楽曲多彩度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み
Sonic Excess in Its Purest Form|ソニック・エクセス・イン・ザ・プレスト・フロム
オリジナルアルバム – 7作目 (2001年)
バンドのツートップの片割れだった巨漢ベーシスト、”セクシーT”ことトッド・ストレンジが脱退し、オリジナルメンバーはカーク・ウィンドスタイン唯ひとりのみとなった体制での初作品。
ファンの中には、“Odd Fellows Rest(5th)”と並んぶ代表作に押す人も多いアルバムなのですが、そこまで抜きん出た名盤なのかというと、これもまた微妙なところです。
基本的にCROWBAR作品は、水準以上のアベレージをクリアして出来不出来に極端な差が無いため、本作もまた一定の品質は保証付き。
ただし、比較的多彩なエッセンスを織り込む傾向が目立った近作と比較すると、オーソドックスなヘヴィナンバーに時折ファストパートが挟まる程度にとどめられた本作は、かなり楽曲の多彩さや変化に乏しい仕上がりとなっています。
そのため、多様性を持った表情豊かな作風を好むか、ストレートで剛直な作風を好むかで評価が大きく分かれるのかもしれません。
メロウなT-07は異色曲ではありますが、これはこの系統につきもののいわゆる“プラネット・キャラバン枠”なので、多様性の一端と認めるのは甘すぎでしょう。
|ハーコー度:★★★☆☆
|ダウナー度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★★
|楽曲多彩度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
Lifesblood for the Downtrodden|ライフブラッド・フォー・ザ・ダウントローデン
オリジナルアルバム – 8作目 (2005年)
Sever the Wicked Hand|セーヴァー・ザ・ウィキッド・ハンド
オリジナルアルバム – 9作目 (2011年)
Symmetry in Black|シメントリィ・イン・ブラッック
オリジナルアルバム – 10作目 (2014年)
The Serpent Only Lies|ザ・サーペント・オンリィ・ライズ
オリジナルアルバム – 11作目 (2016年)
Zero and Below|ゼロ・アンド・ビロウ
オリジナルアルバム – 12作目 (2022年)