Contents
- 1サイケなアートロックとしてスタートしたハードロックレジェンドは、ネオクラなカリスマ早弾きギターナルシストとのせめぎ合いの末に完全決別!実力派ギター職人を迎えてマイペースで通好みな活動を続ける!!
- 1...1サイケからヘヴィメタルのプロトタイプへ!?
- 1...2カリスマ・ギタリスト“リッチー・ブラックモア”!!
- 1...3DEEP PURPLEはイギリスのトップバンド!?
- 1...4DEEP PURPLEは“ビッグ・イン・ジャパン”!?
- 1...5評価が一定しない毀誉褒貶激しいバンド!?
- 1...6バンドとブラックモアとの確執!!
- 1...7職人ギタリストを迎えて最終体制へ!?
- 1.1DEEP PURPLE|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Shades of Deep Purple|シェイズ・オブ・ディープ・パープル:ハッシュ
- 1.1.2The Book of Taliesyn|ザ・ブック・オブ・タリエシン:詩人タリエシンの世界
- 1.1.3Deep Purple|ディープ・パープル:ディープ・パープル III
- 1.1.4Deep Purple in Rock|ディープ・パープル・イン・ロック
- 1.1.5Fireball|ファイアボール
- 1.1.6Machine Head|マシン・ヘッド
- 1.1.7Made in Japan|メイド・イン・ジャパン:ライヴ・イン・ジャパン
- 1.1.8Who Do We Think We Are|フー・ドゥ・ウィ・シンク・ウィ・アー:紫の肖像
- 1.1.1Burn|バーン:紫の炎
- 1.1.2Stormbringer|ストームブリンガー:嵐の使者
- 1.1.3Come Taste the Band|カム・テイスト・ザ・バンド
- 1.1.4Perfect Strangers|パーフェクト・ストレンジャーズ
- 1.1.5The House of Blue Light|ザ・ハウス・オブ・ブルー・ライト
- 1.1.6Slaves and Masters|スレイヴス・アンド・マスターズ
- 1.1.7The Battle Rages On...|ザ・バトル・オブ・レイジス・オン…:紫の聖戦
- 1.1.1Purpendicular|パーペンディキュラー:紫の証
- 1.1.2Abandon|アバンダン
- 1.1.3Bananas|バナナズ
- 1.1.4Rapture of the Deep|ラプチャー・オブ・ザ・ディープ
- 1.1.5Now What?!|ナウ・ホワット?!
- 1.1.6Infinite|インフィニット
- 1.1.7Whoosh!|ウーッシュ!
- 1.1.8Turning to Crime|ターニング・トゥ・クライム
Burn|バーン:紫の炎
オリジナルアルバム – 8作目 (1974年) 第3期
WHITESNAKEでの活動でも知られ、のちにLED ZEPPELINのジミー・ペイジともタッグを組む、ヴォーカリストのデヴィッド・カヴァーデイル。
元祖ミクスチャー・ロックTRAPEZE出身で、のちにBLACK SABBATHのトニー・アイオミとも組む、歌えるベーシストのグレン・ヒューズ。
この2人の達人を新メンバーに迎えた、動乱の“第3期”の始まりを告げる作品。
日本では、悪名高い国産メタル誌の誌名が本作に由来することで有名で、そのため特にメタラー人気の高いタイトルとなっています。
確かに、タイトルトラックのT-01は、彼らの目玉であるスピードチューンを極限までブラッシュアップしたキラートラックで、80年代のヘヴィメタル〜スピードメタルの基礎にもなった、メタルシーンにとっての重要曲です。
しかし、ほぼその1曲に尽きてしまうアルバムであり、その他の曲との落差の大きさは一聴瞭然です。
あえていえば、プログレ風のT-07〜08という終盤の流れが印象に残る程度で、それを除くとせいぜいが悪くはない程度。
今ひとつ味わいに乏しい冴えない曲が並んで終始盛り上がりを欠いており、波の荒さは解消されないどころか悪化しています。
また、全体的にブラックモアのクラシカル様式美志向と、カヴァーデイル&ヒューズのソウル/ファンク志向がケミストリーを生まず、マイナスに方向だけに働いている印象もあります。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Stormbringer|ストームブリンガー:嵐の使者
オリジナルアルバム – 9作目 (1974年) 第3期
バンドの三枚看板のひとりでもあったギターヒーロー、ブラックモア在籍時のラストアルバム。
珍しくファストチューンではなくミッドチューンから始まりますが、その1曲目はヘヴィ&グルーヴィーなやや異色な曲でありながらも、ライヴやベスト盤にも欠かせない名曲です。
ブラックモアの意識がすでにRAINBOWに移っているためか、全体的にカヴァーデイル&ヒューズの志向性が強く反映されたようで、かなり本格的にソウルフル&ファンキーな作風を追求した曲が並んでいます。
これらは、ロック/メタル的な外連味の薄いアーバンでアダルトなスタイルが主体ですが、やや地味ではあるもののクオリティは高く、上質な仕上がりの通好みなアルバムとなっています。
この作風は、LED ZEPPELIN並みに幅広いリスナー層にアピールできるものですが、その一方で、前作から一転してメタラー向けとは言い難い作風と化しており、今の視点で見るとターゲットのズレを感じます。
それでも、カリスマのブラックモアが参加していることで、それなりにメタラー人気は持っているらしい、なんとも不思議な1枚です。
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|ブラック度:★★★★☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Come Taste the Band|カム・テイスト・ザ・バンド
オリジナルアルバム – 10作目 (1975年) 第4期
ブラックモアに代わるギタリストとして加入した、トミー・ボーリンの在籍した唯一の作品で、DEEP PURPLEの歴史の一旦の幕引きとなったアルバム。
引き続き、カヴァーデイル&ヒューズによるブラックミュージック・テイストが強いサウンドでははあるものの、前作ほどにはストレートなソウル/ファンク路線でも、アダルティで通好みな作風でもありません。
全体的に躍動感やダイナミズムが大きく増しており、疾走感のあるロックンロールやグルーヴィーなミッドチューンに加え、メロウなプログレ風ナンバーの比率も増えるなど、前作よりも多彩でメタルリスナーに馴染みやすいアルバムに仕上げられています。
残念ながらやや過小評価の傾向にあり、特にブラックモア信者が多い日本やオールドファン、メタラー界隈ではそれれが顕著ですが、ロックアルバムとしての純粋な総合力では、第3期の名盤とされている“Burn(8th)”に匹敵するどころか上回りさえする隠れた名盤です。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★☆☆☆☆
|ブラック度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Perfect Strangers|パーフェクト・ストレンジャーズ
オリジナルアルバム – 11作目 (1984年) 第5期
解散時には脱退していたギランとブラックモアを含む、往年のメンバーが再集結した、黄金期の布陣による再結成アルバム。
基本的には、全盛期DEEP PURPLEサウンドにRAINBOWテイストをミックスしたような作風で、USプログレハード系の80年代産業ロック・テイストも濃厚です。
ただし、ギリギリ片足を突っ込んだ程度のところでとどまっているため、露骨に米国メインストリームのトレンドに乗ったマイナスイメージは、いくらか軽減されています。
際立った曲は見られず、及第点どまりの無難なアルバムでしかありませんが、カヴァーデイル&ヒューズ在籍時に全開だったの黒っぽさは払拭され、保守的なメタリック・ハードロックに落ち着いています。
ブラックモア信者の古参ファンや、これがリアルタイムでの遭遇となるメタルファンもこれにはニッコリで、リユニオン効果もあってか、やや過大評価の印象すら感じられるほどの人気アルバムとなりました。
ちなみに、このジャケットの3Dロゴは、関係ないベスト盤やライヴ盤にもたびたび流用されており、紛らわしいので間違えないように注意が必要です。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤 賛否両論
The House of Blue Light|ザ・ハウス・オブ・ブルー・ライト
オリジナルアルバム – 12作目 (1987年) 第5期
80年代当時のYESやRUSHのような、メインストリームのニューウェイヴ・ポップを意識したプログレバンドや、産業ロック化が進んだUSプログレハードに通じる、80年代風のシンセ・サウンドが特徴的なポップネス&キャッチネスが強化された作風。
中期以降のRAINBOWが引き合いに出されがちですが、あそこまで露骨なヒット狙いは見られませんし、80年代的なバブリー軽薄路線に染まり過ぎてもいません。そこが、ブラックモア独裁か、そうでないかの差なのでしょう。
その中で、DEEP PURPLE本来のヘヴィネスやソリッドなサウンドも十二分に生かされおり、定番のスピードメタル・チューンも収録されています。
何より、彼らにしては珍しく捨て曲が無く、フックの効いた高水準な曲がそろっており、オールタイム・ベスト級の名曲こそ見られないものの、アルバムとしてのアベレージはかなりのハイレベルにあります。
ネオクラ様式美至上主義のメタル保守からは不評で、セールスもそれほどには振るいませんでしたが、ブラックモアが復帰して再度脱退するまでの一連のアルバムの中では、ダントツの完成度と言っていいでしょう。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|叙情度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Slaves and Masters|スレイヴス・アンド・マスターズ
オリジナルアルバム – 13作目 (1990年) 第6期
ブラックモアとギランの確執悪化した結果ギランがストライキ状態に突入したため、やむなくギランを解雇して代役にジョー・リン・ターナーを迎えて制作された唯一のアルバム。
80年代メインストリーム風のポップテイストが薄れた、オーソドックスなヘヴィメタル寄りのハードロック・サウンドで、やはりRAINBOWから逆輸入されたテイストも見られます。
前作には及ばないながらも、露骨な捨て曲が比較的目立たない無難で安定した仕上がりではありますが、佳曲のT-03がやや耳を引く程度で、全体を見回してもアルバムの核になるような際立ったキラートラックが見あたりませんし、トータルでのアベレージも前作にはまるで及びません。
ベテランの活動サポートのためのカンパといった意義しか感じられない、いわゆる“信者向けお布施アルバム”…とまではいきませんが、限りなくそれに近い1枚です。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 お布施
The Battle Rages On…|ザ・バトル・オブ・レイジス・オン…:紫の聖戦
オリジナルアルバム – 14作目 (1993年) 第7期
ギランの復帰作であると同時にブラックモアが参加した最後のアルバムであり、一般的には問題作と見なされている1枚。
それは、グランジやルーツロック・リバイバル全盛の時代が影響したと思しき、モダン・レトロなヘヴィネスが時に香るサウンドによるところが大きく、そのため、メタラーからはいよいよ本格的に駄作認定を受けることとなりました。
とはいえ、質だけを問うなら再結成後のタイトルとしては平均以上で、こき下ろされるような出来栄えではありません。
ただ、どうも指針を見失って迷走しているような様子がうかがえ、ブラックモアがメタル様式を追求したいのに周りが付き合う気がない、…とでもいうようなチグハグさは感じられます。
これについては、ブラックモアが推す洋式美メタル/ハードが、すでにエッジィなヘヴィミュージック最先端モードから脱落し、バンドがそれに付き合う説得力を喪失したことも関係しているかもしれません。
90年代のこの前後には、ロブ・ハルフォードやブルース・ディッキンソン、あるいはBRACK SABBATHメンバーやDIO、KING CRIMSONらが、エクストリームなモダン・サウンドにチャレンジしてました。
ブラックモアも、確固たる独自性が無いならば無いなりに、せめてそれら同様の先進的センスだけでもあれば、万にひとつでも違った展開が待っていた…かもしれません。
しかし、結局ブラックモアはコスプレバンドとともに“中世村”で余生を送る道を選びます。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★☆☆☆
|叙情度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤