Contents
- 180年代メインストリームのバブリーなファンク・ミュージックを取り入れた“ファンクメタル”と、テクニカル・ギターの鬼才ヌーノ・ベッテンコートの存在が、アイドル人気優先のグラムメタル・シーンで異彩を放っつ!!
- 1...1ヌーノ・ベッテンコート在籍のグラムメタル・ブーム末期の徒花!?
- 1...2バブリーなポップメタルからファンキーな通好みサウンドへ!?
- 1...3オルタナティヴ・ロックに接近して新境地へ!?
- 1...4解散と再結成とソロ・プロジェクトの躍進!?
- 1.1EXTREME|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Extreme|エクストリーム
- 1.1.2Pornograffitti|ポルノグラフィティ
- 1.1.3III Sides to Every Story|III サイズ・トゥ・ストーリィ
- 1.1.4Waiting for the Punchline|ウェティング・フォー・パンチライン
- 1.1.5Saudades de Rock|サウダージ・デ・ロック
- 1.1.6Six|シックス
- 1.1NUNO [ヌーノ]|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Schizophonic|スキゾフォニック
- 1.2MOURNING WIDOWS [モーニング・ウィドウズ]|DISCOGRAPHY
- 1.2.1Mourning Widows|モーニング・ウィドウズ
- 1.2.2Furnished Souls for Rent|ファーニッシュド・ソウルズ・フォー・レント
- 1.3POPULATION 1[ポピュレーション ワン]|DISCOGRAPHY
- 1.3.1Population 1|ポピュレーション・ワン
- 1.3.2Sessions from Room 4|セッション・フロム・ルーム・フォー
- 1.4DRAMAGODS[ドラマゴッズ]|DISCOGRAPHY
- 1.4.1Love|ラヴ
- 1.5PERRY FARRELL'S SATELLITE PARTY[ペリィ・フェレル'ズ・サテライト・パーティ] |DISCOGRAPHY
- 1.5.1Ultra Payloaded|ウルトラ・ペイローデッド
EXTREME|DISCOGRAPHY
Extreme|エクストリーム
オリジナルアルバム – 1作目 (1989年)
デビュー・アルバムとなる本作では、シーンもグラムメタル全盛期の名残を残しており、そこで主流だったキラキラ系のライトなポップメタル・サウンドを展開しています。
いくぶんグルーヴやファンクネスも感じられますが、それはAEROSMITHらアメリカン・ハードロックにはあたり前に見られるレベルで、あえて特筆するほどのものではありません。
フラッシーなギターはギターファンにとっては聴きどころでしょうし、今となっても一定の支持がある作風なのは確かなので、そういった『ファニー&ニッチ』の枠の中でならば愛でることも可能でしょう。
しかし、正面きっての再評価というのは、1周回ってどころか、たとえ2〜3周回っても難しいのではないでしょうか。
|ファンク度:★☆☆☆☆
|オルタナ度:☆☆☆☆☆
プログレ度:★☆☆☆☆
|通好み度:☆☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 お布施
Pornograffitti|ポルノグラフィティ
オリジナルアルバム – 2作目 (1990年)
多くのファンにとっては3rdアルバムとともに最高傑作の座を争う作品で、もっともセールスを上げてヒット曲も生み出したことから一般的には代表作とされます。
このあたりからファンクメタルを標榜するようになり、ベッテンコートもテクニカルなギターセンスをアピールしたことで、通好みなギターヒーローとして注目されるようになります。
新世代ファンクロック/メタルとしては、オルタナティヴロックシーンのRED HOT CHILI PEPPERSやFAITH NO MORE, LIVING COLORなどがすでに先行していましたが、その中では、オーソドックスなロック・アプローチとテクニカルなギターワークという意味で、LIVING COLORが共通点が多いかもしれません。
しかし、T-02, T-11のようなファンキーな曲はむしろ例外ですし、それもハードロックにはごく普通に見られるレベルで、全体としてはあくまでもポップメタル。
前作と比較するとわずかに力強さを増してキラキラ感が薄れたものの、やはり80年代のバブリー・サウンドの枠から大きく逸脱することはありません。
光る部分は見られるとはいえ、オルタナティヴなファンクロック/ファンクメタルの肩書きに過剰な期待を寄せると、肩透かしを食らうのは間違いないので、そこが評価の分かれ目となるでしょう。
|ファンク度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|プログレ度:★☆☆☆☆
|通好み度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤
III Sides to Every Story|III サイズ・トゥ・ストーリィ
オリジナルアルバム – 3作目 (1992年)
三部構成という体裁でそれぞれテーマ性を持った、ある種のコンセプトアルバム。
各部によって音楽性が異なり、第1部「Yours」はヘヴィ&ハードなファンクメタル中心、第2部「Mine」がメロウなバラード中心、第3部「The Truth」は組曲形式で20分超のプログレ風です。
「Yours」パートで聴けるファンクメタルは前作よりもヘヴィで、後のヌーノのソロに通じる部分も見られますが、80年代メインストリームのバブリーな産業ファンクも引きずっており、オルタナティヴな新世代の登場で次のフェーズに移行したファンクロック/メタルほどの先鋭性はありません。
前年にRAGE AGAINST THE MACHINEがデビューしていたことを考えると、このサウンドはさすがに古色蒼然とした印象が否めません。
「Mine」パートも同様で、職人的に真面目につくり込まれた良質の楽曲ではありますが、こちらも80年代メインストリーム・ポップロックの枠組みから踏み出してはいません。
この、時に散漫とも評価される作風からは、ミュージシャンシップとマーケティングと成功体験の間で身をよじっているような、歪さも感じさせますが、グラムメタル時代の中では最も意欲的なアルバムに仕上がっています。
このサウンドには、今となっては共感性羞恥を誘う部分も際立つため、むしろ、当時を知らない新世代の方が、素直に楽しめる可能性があるかもしれません。
|ファンク度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
プログレ度:★★★☆☆
|チャラい度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 スルメ盤 実験作
Waiting for the Punchline|ウェティング・フォー・パンチライン
オリジナルアルバム – 4作目 (1995年)
ヘヴィミュージックにパラダイムシフトが起きた1990年以降に同時代的なアプローチを取り入れて物議をかもし、オールドファンからバッシングを受けるというには、何度も語っている“80’sバンドの90年代アルアル”。
それは本作も同様なのですが、古参ファンの思惑はどうであれ、本作でようやくメタルバブルのくびきから逃れて産業ポップからひと皮むけた、普遍的で上質なロック・ミュージックへと成長を見せました。
当時は、オールドファンから“グランジ化”と呼ばれて忌避された、LED ZEPPELINあたりを意識した“70年代ハードリバイバル”テイストで、レイドバックしたグルーヴハード/ヘヴィロックが基本となっています。
時にレッチリ/レイジなどを思わせるヘヴィグルーヴも感じさせますが、EXTREME本来のポップネスと職人的な楽曲へのこだわりも失ってはいません。
とはいえ、ここでのアプローチは、根本的にはリバイバルでしかないと言われれば否定はできず、それさえも当時としてもやや旬は逃しており、すでに「この後に及んで」という印象さえありました。
しかし、過去の人気作と比較して、とどちらがブームを過ぎても風化することなく、時代に左右されない強度と普遍性を持ったサウンドなのかは、単純に双方を比較してみても、その後のシーンの情勢を見ても明白でしょう。
|ファンク度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★★☆
プログレ度:★★☆☆☆
|通好み度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Saudades de Rock|サウダージ・デ・ロック
オリジナルアルバム – 5作目 (2008年)
現時点では、EXTREME復活後の唯一のアルバム。
前作“Waiting for the Punchline(4th)”と同様に、70年代テイストがの濃厚なリバイバル系サウンドですが、そこにソロ時代の経験をフィードバックして、多様性を持たせたともいえる作風です。
ミッドテンポ主体だった前作と比較すると、同時代的なヘヴィネスを持ちながらも、アップテンポで躍動感を持ったナンバーも含まれ、より幅広くカラフルなアルバムとなりました。
セールスポイントでもあるテクニカル・ギターはやや控えめに思えますが、ヘヴィなファンクロック・ナンバーからメロウなポップナンバーまで、多彩な楽曲はいずれもよく練られてツブぞろいです。
前作で逃げたメタルファンから、一般のロック・リスナーに対してまで間口を広げてあり、80年代メタルバブルの呪いが解けないリスナーでなければ、上質なハードロック・アルバムとして楽しめる逸品です。
|ファンク度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
プログレ度:★★☆☆☆
|通好み度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
Six|シックス
オリジナルアルバム – 6作目 (2023年)