Contents
- 1北欧のラスト・ギターヒーロー鬼才マティアス・エクルンドが世に送る、ストレンジなポップセンスとモダンなヘヴィネス感覚で作り上げたエクスペリメンタルなテクニカル・オルタナメタル!!
- 1...1北欧最後のギターヒーローのフリークギターが光る!?
- 1...2グランジ/オルタナが生んだ北欧ヘヴィポップ!!
- 1...3テクニカルプログレ路線に転向!?
- 1...4順調なバンド活動に加えてソロでも活躍!!
- 1.1FREAK KITCHEN|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Appetizer|アペタイザー
- 1.1.2Spanking Hour|スパンキング・アワー
- 1.1.3Freak Kitchen| フリーク・キッチンIII
- 1.1.4Dead Soul Men|デッド・ソウル・メン
- 1.1.5MOVE|ムーヴ
- 1.1.6Organic|オーガニック
- 1.1.7Land of the Freaks|ランド・オブ・ザ・フリークス
- 1.1.8Cooking with Pagans|クッキング・ウィズ・ペイガンズ
- 1.1.9Confusion to the Enemy|コンフュージョン・トゥ・ジ・エネミー
- 1.2FREAK GUITAR|フリーク・ギター|DISCOGRAPHY
- 1.2.1Freak Guitar|フリーク・ギター
- 1.2.2The Road Less Traveled|ザ・ロード・レス・トラヴェルド
- 1.2.3The Smorgasbord|ザ・スモーガスバード
FREAK KITCHEN|DISCOGRAPHY
Appetizer|アペタイザー
オリジナルアルバム – 1作目 (1994年)
この時期あたりから北欧シーンで一気に増殖を始めた、グランジ/ミクスチャーなどのUSオルタナティヴ/モダンメタルの影響下にある、次世代型オルタナ・メタル/ハードの中の1枚に数えられるアルバム。
同様の事案には、完全な自爆案件や、そうでなくても中途半端な作品も少なくありませんが、その中で本作は、水準を超えるクオリティに届いている例外的なアルバムのひとつと言っていいでしょう。
それについては、単なる米国トレンドの翻案に終わることなく、プログレ風味も感じさせるテクニカルなツイストや、独自のアクの強いポップセンスをうまく織り込むアプローチの成果が、大きな要因と考えられます。
正直なところ、1990年前後の米国シーンには、〈KING’S X〉らのサザン・オルタナメタル勢をはじめ掃いて捨てるほどいたタイプのバンドで目新しさはほぼ皆無ですが、楽曲面で決め手を欠きながらも良質なハードロックアルバムではあります。
|プログレ度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 通好み スルメ盤
Spanking Hour|スパンキング・アワー
オリジナルアルバム – 2作目 (1996年)
彼らが本格的に注目を集めるきっかけとなったアルバムで、某メタル誌でもかなりの高評価を獲得して、通好み系リスナー以外にもその名を知られるようになります。
確かに、初期のアプローチに中で考えられる上限レベルに近い出来栄えを達成しており、この第一期作品の中でも頂点に位置するのはもちろんのこと、全キャリアを通しても最高傑作と呼ぶにふさわしい名盤です。
前作からさらにヘヴィでモダンになったサウンドに、よりストレンジなポップセンスが炸裂しており、エルクンドのトリッキーなテクニカルギターのフィーチャー度合いも大きくアップ。
何より、純粋に曲の出来が素晴らしく、全編にわたってキャッチーなフックに引っかかりまくりの、ポップなヘヴィロックチューンが目白押し。
万一、テクニカルなギターソロが皆無であったとしても、十分に勝負に出られるほどの充実ぶりです。
ただし、メタラー支持率の高い、いわゆる“メロハー=メロディックハード”ではありませんし、ギタープレイも“ネオクラシカル系”の早弾きギターとは全く異なります。
また、同時期の同エリアで近い立ち位置にあったデンマークの〈DIZZY MIZZ LIZZY〉ほどの、万人ウケするわかりやすさやエモエモな叙情性を持っているわけでもなく、聴き手を選ぶ面は否定できません。
とはいえ、一部の高リテラシーなリスナーだけのものにしておくのは、あまりにもったいない逸品です。
|プログレ度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★★
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Freak Kitchen| フリーク・キッチンIII
オリジナルアルバム – 3作目 (1998年)
捨て曲ナシの名盤を立て続けに何作もリリースするには、よほどの卓越したセンスかうなるほど豊富な楽曲ストックが必要になります。
彼らについても、前作のあまりの充実ぶりにやや不安がよぎりつつも、その判断を下し兼ねていたのですが、杞憂ではなかったようです。
ちなみに本作では、前作を踏襲しつつもよりメロディを強調したマイルドなサウンドとなっており、また、新機軸として、ラウンジーなファンク/ジャズ・テイストを持つ、メロウでアダルトな曲が幅を利かせています。
…が、問題はその両方ともが期待以上の効果を上げられていないことです。
従来路線については引き出しの底をついたような印象で、T-01, T-02ほか数曲は及第点に達しているもののそれ以上ではなく、前作を知っているものにとっては不甲斐ないくらいの低調ぶりです。
それと比較すれば、新機軸路線にはまだ聴きどころがありますが、それとて「前作レベルのアルバムの中でならばアクセントとして活きる」…というレベルであり、それだけで看板を張れるほどではありません。
ついでに、凡作ぶりを体現したかのようなやる気のないダサジャケ加もわり、せっかく前作で増えた一見ファンの離脱を加速させる結果となりました。
|プログレ度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★☆☆☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Dead Soul Men|デッド・ソウル・メン
オリジナルアルバム – 4作目 (2000年)
従来の「馴染みやすいメロディと適度なツイストの効いたヘヴィロック」という枠の中での手札は、2ndの時点でほぼ切り尽くしており、そのセンスもすり減ってきていることは前作で明白となりました。
前作の“ハイセンスなアダルト路線”では思うような効果をあげられなかったとはいえ、この状況では新たなアイデアのイン/アウトプットで活路を見出すという選択は妥当なものです。
そこで、新たなアプローチとして選ばれたのが、現在まで続く“変則的でテクニカルなプログレ路線”で、ここではそちらに舵を切って新たな一歩を踏み出しています。
とはいえ、完全にスタイルを一変したわけではなく、あくまでも従来のハードロックの発展系としてのテクニカル路線を展開しています。
従来路線の曲については2ndには及ばず、頭打ちなのは相変わらずですが、少なくとも今作ではメロディも含めていくらか楽曲のフックを取り戻しています。
曲によってはジミヘン風のファンキーなヴィンテージテイストも感じさせる一方で、メタリックなヘヴィネスも大幅アップしており、〈SYSTEM OF A DOWN〉を思わせるT-01のようなニューメタルに近い当世風のテイストを持つ曲までも見られるなど、楽曲の幅は広がっています。
あくまでも結果的ですが、メタルリスナーにもなじみやすい万人向けの仕上がりとなっており、前作で離れたリスナーもいくらか取り戻すことができたようです。
|プログレ度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 通好み スルメ盤 実験作
MOVE|ムーヴ
オリジナルアルバム – 4作目 (2002年)
エクルンドを除くメンバーが、総入れ替えとなった体制でのアルバム。
それが直接的にサウンドに変化を及ぼしたのかは定かではありませんが、本作では、プログレ路線に開眼した前作を発展させた作風となっており、これまで以上に明快でストレートなプログレメタル系のアプローチを展開しています。
いわゆる“チャグリフ”を用いたジェント・テイストなど、特にモダンプログレ寄りのエッセンスが濃厚になっており、音づくりもよりソリッドでヘヴィメタリックなものとなりました。
そのためか、ここからは初期とは異なり、明確にプログレメタルとしてカテゴライズされることも多くなります。
とはいえ、コテコテのプログレメタルに変貌したというわけでもなく、ポップなメロディやフックの効いたフレーズなど、第一期のストレンジポップ・テイストのオルタナハードロックを基調としたスタイルも、依然として活かされています。
そのサウンドは、“牛ジャケ仲間の”〈GALACTIC COWBOYS〉などにも通じる面もありますが、もっとベタなテクニカル展開の多いギター重視のギターヒーロースタイルで、その意味では〈ヌーノ・ベッテンコート〉のソロ作などに近いかもしれません。
いずれにせよ、頭打ち近いメロディセンスをテクニカルなパートで補うメソッドは成功しており、新体制で心機一転の会心作に仕上がったと言っていいでしょう。
|プログレ度:★★★★☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 通好み 実験作
Organic|オーガニック
オリジナルアルバム – 6作目 (2005年)
本作では、前作で見せた当世風のヘヴィなプログレメタルに寄ったテクニカル展開は隠し味にとどめられ、再び従来のオルタナ・ハード系のストレンジなポップロックに重点が置かれています。
また、ファンクロック系のトラックも見られるなどミクスチャー・テイストも強めとなり、3rdでのラウンジ・テイストもわずかながら感じられます。
タイトルどおりの“オーガニック”とまでは呼べませんが、前作ほどには過剰に上塗りされていない、やや生っぽさを残したサウンドで、この第二期ではもっともオーソドックスなハードロックアルバムと言えるでしょう。
時代が一周回って、“元祖ポスト・グランジ”とでもいうよくわからないポジションにたどり着いた印象もありますが、類型的なポスト・グランジと比較するならば、はるかに聴きどころの多いアルバムではあります。
しかし彼らの場合は、スタイルによっては上手くやらないとギターが悪目立ちしてしまうリスクがあり、じっくり聴かせる系の曲が多い本作ではそれがやや気になりますし、歌メロやフレージングが手癖に近く新鮮味が薄れつつあるのもマイナスです。
とはいえ、テックギター嗜好のリスナーであれば違和感なく楽しめるかもしれませんし、何より、安易な技巧系プログレ展開やヘヴィネス頼り甘んじることなく、純粋な楽曲勝負でそれなりの結果を出した事は評価できます。
|プログレ度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★★★★
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
通好み スルメ盤 実験作
Land of the Freaks|ランド・オブ・ザ・フリークス
オリジナルアルバム – 7作目 (2009年)
Cooking with Pagans|クッキング・ウィズ・ペイガンズ
オリジナルアルバム – 8作目 (2014年)
Confusion to the Enemy|コンフュージョン・トゥ・ジ・エネミー
オリジナルアルバム – 9作目 (2018年)
FREAK GUITAR|フリーク・ギター|DISCOGRAPHY
マティアス・”IA”・エクルンドによるソロ・プロジェクトで、全編にわたってギターが主体となった展開が続く、ギター・インストゥルメンタルを基本路線としています。
80年代の早弾きギターヒーローのソロアルバムの発展系でありながら、それらとと比較するとジャズやラテンなど音楽要素は多彩ですし、トリッキーなギタープレイが満載で飽きづらい作風です。
とはいえ、基本的にテクニカルなギタープレイの披露が主題となっており、楽曲そのものがおざなりな傾向もギターソロアルバムの先達のから受け継がれているので、どちらかというとギターマニア向けにとどまっていることは否めません、
Freak Guitar|フリーク・ギター
オリジナルアルバム – 1作目 (1999年)
The Road Less Traveled|ザ・ロード・レス・トラヴェルド
オリジナルアルバム – 2作目 (2004年)
The Smorgasbord|ザ・スモーガスバード
オリジナルアルバム – 3作目 (2013年)