★ GARY MOORE(ゲイリー・ムーア)ディコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|ジャズ/プログレ/トラッド/メタル/ブルーズを縦断したアイルランドの元祖ギターヒーロー!!…必聴アルバムは?

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アイルランドお英雄THIN LIZZYに抜擢されて名を挙げた若き天才ギタリストは、ヘヴィメタルのギターヒーローを経て本場のウルサ方をもをうならす本格的なブルーズマンへ!!

ゲイリー・ムーア(GARY MOORE)は、アイルランド出身のギタリスト兼ソロミュージシャン。

ソロを中心にいくつものバンド/プロジェクトでの活動経験があり、ギターソロを押し出した“ギターヒーローブーム”の先駆け的存在としても知られています。

ギターヒーローのパイオニア!?

80年代ヘヴィメタルシーンで盛り上がりを見せたギターヒーローブームは、パイオニアであるリッチー・ブラックモア(DEEP PURPLE. RAINBOW)らに始まり、イングヴェイ・マルムスティーンを筆頭とする“早弾き系”の続出でピークを迎えます。

ゲイリー・ムーアはマイケル・シェンカーらとともに、その二つの世代の間に位置する存在であり、ギターヒーローブーム創成期の中核として高い人気を誇った人物でもあります。

演歌/歌謡曲にも通じる哀愁を感じさせる叙情的メロディセンスから、日本で特に人気の高いギタリストのひとりです。

ゲイリー・ムーアの音楽遍歴は!?

ゲイリー・ムーアの主なバックグラウンドは、ロック, ブルース, トラッド, ジャズなど。

プレイしていた音楽性は時期によって異なり、プログレ/ジャズロックバンドを渡り歩いた70年代、ハードロックやヘヴィメタル を中心としていた80年代、本格的なブルースにルーツ回帰した90年代以降に大きく分けられます。

ゲイリー・ムーア音楽遍歴:プログレ渡り鳥時代!!

ムーアは、1970年にわずか16歳にしてジャズロック/アートロックバンドのSKID ROW(アメリカのグラムメタルバンドとは別物)でギタリストデビューを飾ります。

これを機にその界隈で名が知れ渡って、SKID ROW脱退後にはいくつかのバンド/プロジェクトを渡り歩くことになります。
ジャズロック/プログレッシヴロックバンドCOLOSSEUM II(COLOSSEUMのメンバーが結成)や、グレッグ・レイク(KING CRIMSON/EL & P)のソロなどにも参加していました。

ゲイリー・ムーア音楽遍歴:THIN LIZZY参加でブレイク!?

ムーアが知名度を高めるきっかけとなったブレイクスルーは、同郷の人気バンドTHIN LIZZYに何度か参加したこと。

関わったアルバムは2作のみでしたが、1979年の9作目“Black Rose”は名盤として名高く、これによって注目を集め、日本を含めて広く知られる存在となりました。

ゲイリー・ムーア音楽遍歴:ハードロック時代!!

ムーアは、SKID ROW脱退の直後から自身のソロプロジェクトもスタートしていましたが、70年代の末期から本格的にソロプロジェクトを主体とした活動へとシフトしてゆきます。

80年代はムーアの“ハードロック時代”と呼ばれ、ヘヴィメタルブームを背景にしたメタル/ハードロック色の強いスタイルで活動を続けていました。

ただし洋式美的なハードロック一本やりではなく、ニューウェイヴ系のサウンドも取り入れているあたりには、キャリア末期にも見られるムーアの柔軟性がうかがえます。また、アルバムによっては、アイリッシュトラッドを取り入れる試みも行っていました。

この時期はセールス面でも比較的好調で、イギリス・ヨーロッパ圏ではチャート上位にも名を連ねていました。

ゲイリー・ムーア音楽遍歴:ブルーズ回帰時代!!

90年代に入ると、ムーアは本格的なルーツに根ざしたブルース/ブルーズロックを志向するようになりますが、その最初のブルーズアルバムが、キャリア初のゴールドディスクを獲得するほどのスマッシュヒット。
この好評を受けて90年代以降は、基本的にブルーズ/ブルースロックベースとした活動を展開しています。

このブルーズ展開が長く続いたため、初期は好評だったものの次第に飽きられるようになったためか、イギリスなヨーロッバでは目に見えて失速していきますが、今度はアメリカでブルーズチャートに食い込むほどの好評を得るようになり固定人気を獲得。

ロック回帰を求める声は尽きなかったものの、ムーアはこのブルーズ路線に余生を捧げることとなり、20年あまりも続くことになりました。

コラボレーションにも積極的!?

ムーア2011年に心臓発作で他界しますが、それまではブルーズ路線でコンスタントなアルバムリリースを続けていました。

しかし、一時短期的にエレクロニックサウンドや同時代的ヘヴィネルを取り入れる試みも行っていましたし、並行して、CREAM, SKUNK ANANSIE, PRIMAL SCREAMといった新旧のビッグネームとのプロジェクトも展開しており、それぞれアルバムもリリースしています。

GARY MOORE|DISCOGRAPHY

Grinding Stone|グラインディング・ストーン

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オリジナルアルバム – 1作目 (1973年)

GARY MOORE BAND名義でリリースされた、ソロデビュー作ともいえるアルバム。

過去にも見せた、ジャズロック/フュージョンテイストのプログレ/アートロックから、ブルージーなロックチューンまで、ルーツミュージックテイストの濃厚なサウンドを展開しており、プログレ色は強いものの、一般的にメタラーが認識している“純プログレ”のイメージとはやや異なります。

ルーズな曲からスリリングな曲までが楽しめる作風は、ルーツ系のアメリカン・ジャムロックにも通じるもので、それらを好むリスナーにもオススメできます。

メタル度:★☆☆☆☆|叙 情 度:★★★☆☆|トラッド度:★☆☆☆☆
ポップ度:★★★☆☆|プログレ度:★★★★☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作

Back on the Streets|バック・オン・ザ・ストリーツ

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オリジナルアルバム – 2作目 (1978年)

一般には、ムーアの代表曲として知られるメロウなバラード、T-08の存在で知られていますが、基本的にはTHIN LIZZYを想起させるのロッキンなハードロックナンバーと、SKID ROW, COLOSSEUM II時代の経験が反映されたプログレ/ジャズロックチューンを二本柱とした構成。

80年代に見られるヘヴィメタリックなハードロックサウンドはまだ聴けませんが、躍動感あふれるハードロックの名曲とスリリングでテクニカルなプレイが楽しめるお得な名盤です。

のちにメタルシーンのカリスマプロデューサーとなる、クリス・タンガリーデスがはじめてプロデュースを手掛けたアルバムとしても知られています。

T-02はTHIN LIZZYのハードロックの名曲を、よりウェットでメロウなバラード調にカバーした曲。

メタル度:★☆☆☆☆|叙 情 度:★★★☆☆|トラッド度:★★☆☆☆
ポップ度:★★★☆☆|プログレ度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

通好み 実験作

G-Force|G-FORCE

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オリジナルアルバム – 3作目 (1980年)

G-FORCE名義でリリースされたアルバム。
メロディアスなハードロックから、THIN LIZZY風の曲、ヘヴィメタリックな曲、ポップロックと比較的多彩です。当時のメタルシーンでもいくつものバンドが試みたレゲエを取り入れた曲もあり、当時のイギリスでのレゲエ人気もうかがえます。

このあたりから、アメリカンな産業ロック系の洗練されたポップテイストが強くなっており、THIN LIZZY風の曲も“産業ロック版THIN LIZZY”といった趣です。

T-02, T-05, T-09あたりのハードチューンは掛け値なしの名曲ではありますが、バラードやAOR的なアーバンポップなどは骨太ロックを期待するリスナー向けとはいえません。幅が広く多彩と見ることもできるとはいえ、聴き手によっては評価は別れるのも確か。

メタル度:★★★☆☆|叙 情 度:★★★★☆|トラッド度:★★☆☆☆
ポップ度:★★★★★|プログレ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤

Corridors of Power|コリドーズ・オブ・パワー:大いなる野望

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オリジナルアルバム – 4作目 (1982年)

ムーアの本格的メタル/ハードロック路線のスタートとされるアルバムで、ブリティッシュハードの先人たちから影響を昇華させたようなハードロックを展開。キャリア的にはすでに中堅〜ベテランの域に達していただけに、イキの良さと初期衝動が武器の若手とは異なり既に出来上がった貫禄が漂います。

ファストなメタルチューンやアップテンポのハードロックから、ダークなヘヴィチューン、バラードまでと多彩ですが、そのいずれもがキャッチーなフックとエモーショナルなメロディがフィーチャーされています。

アルバムとしては、スタイリッシュな指向性が強めの小綺麗なつくりで、全体的に、落ち着いたアダルティともいえる雰囲気が漂っています。特に前半は特にその傾向が強く、AOR/産業ロック的な曲も見られますが、後半には名曲T-06やT-07をはじめとした骨太なハードロックチューンも聴くことができます。

のちにボーナストラックとして追加される、AOR腸の曲『Love Can Make a Fool of You』は、80年代のメタルクイーン『浜田麻里』がカバーとして取り上げていました。

メタル度:★★★☆☆|叙 情 度:★★★★☆|トラッド度:★☆☆☆☆
ポップ度:★★★★☆|プログレ度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤

Dirty Fingers|ダーティ・フィンガーズ

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オリジナルアルバム – 5作目 (1983年)

再び、クリス・タンガリーデスを起用した、パワフルなハードロックアルバムで、特にヘヴィメタリックなナンバーが充実しており、US産業ロック的なポップ傾向はあるものの、ムーアのキャリア中でも最もスタンダードなヘヴィメタルテイストが突出した印象のある1枚です。

オリエンタルな和旋律をフィーチャーしたメタルの名曲“Hirosima(T-01)”は、タイトルのとおり広島での原爆ジェノサイドをテーマにした曲。

また、グレック・レイクとのコラボアルバムに収録されていた、メタリックハードの名曲“Nuclear Attack(T-06)”もやはり核兵器の脅威が題材で、当時の社会情勢を反映しているとともにムーアのポリティカルな一面ものぞけます。

T-04の『Don’t Let Me Be Misunderstood:悲しき願い』は、ANIMALSやThe Moody Bluesなどによるカバーや、Santa Esmeraldaのディスコバージョンのほか、日本では尾藤イサオの邦訳曲で知られるソウル・スタンダードの名曲。

上記の曲のほかにも、T-03, T-05, T-08などもハードな佳曲で、メタラーにも聴きどころの多い充実作です。

メタル度:★★★★☆|叙 情 度:★★★☆☆|トラッド度:★☆☆☆☆
ポップ度:★★★★☆|プログレ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤

Victims of the Future|ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー

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オリジナルアルバム – 6作目 (1984年)

前作のヘヴィメタル路線を踏襲してはいるものの、グラムメタル/産業ロック/AORに近いポップ傾向が大幅に強化されています。

旧ソ連による“大韓航空機”撃墜事件をテーマに取り上げたT-05は、やや時事ネタ寄りながら“ポリティカル・ムーア”の顔を見せたファストな名曲メタルナンバーで、T-07は青春ドラマの主題歌のようなキャッチーな産業メロディックハード。

BLACK SABBATHとLED ZEPPELINを足したようなT-08は、当時のネイバーフッド(ご近所さん)オジー・オズボーンの参加を想定しながら、大人の事情で叶わなかったヘヴィチューンで、ムーアがオジーのモノマネで歌っていますが出来は凡庸。

というような聴きどころもあって、他の曲もおおむね及第点の優等生アルバムですが、傑出した曲の少なく全体的に地味で印象があることや、ときおり80年代的な軽薄さが漂ってくることもあって、キャリアを代表する作品には圧倒的にグレード不足な微妙な立ち位置にあります。

メタル度:★★★☆☆|叙 情 度:★★★★☆|トラッド度:★☆☆☆☆
ポップ度:★★★★★|プログレ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤

Run for Cover|ラン・フォー・カヴァー

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オリジナルアルバム – 7作目 (1985年)

ハードロック時代では、次の作品とともに特に評価の高い1枚。それには、THIN LIZZY時代の盟友フィル・ライノットのゲスト参加も影響していますが、名盤度ではほぼ同格の次作がややカラーの異なる事を考えれば、実質的にはハードロック時代の代表作と考えてもいいでしょう。

キャッチーなフックと印象的なメロディが満載ながらも、これまでににつきまとっていた産業ロック/AOR的な軽さはいくらか払拭されており、80年代的な音作りは致し方ないとしても、曲調の面ではかなり骨太でストイックなロック魂を感じさせます。

ライノットが参加したT-03とT-05はいずれも名曲ですし、アップテンポのT-01ミッドチューンのT-07, T-09というメタリックハードも出色の出来。他の哀愁漂うバラードのT-04やポップなメロディックハードT-09なども蛇足感はなく、アルバムのイメージを損なってはいません。

本作からのシングルB面には、やはりライノットが参加したTHIN LIZZの”Still in Love with You”のカバーが収録されましたが、改訂版のアルバムにもボーナスとして収録されています。

メタル度:★★★☆☆|叙 情 度:★★★★☆|トラッド度:★★☆☆☆
ポップ度:★★★☆☆|プログレ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門盤 実験作

Wild Frontier|ワイルド・フロンティア

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オリジナルアルバム – 8作目 (1987年)

前作でのフィル・ライノットとのコラボが刺激になったのか、アイリッシュ魂に目覚めたのようにトラッドテイスト濃厚な作風となったアルバムで、トラッドメタルのルーツのひとつとしても語られています。
前作リリース後の1986年にライノットが急死に見舞われたため、その追悼盤的なアルバムとなりました。

ドラムパート全編にドラムマシーンを用いていることもあって、オールドファンやメタラーに多い“生楽器至上主義者”からは否定的な声も多く評価も割れがちですが、中身は手放しで絶賛できる粒ぞろいの楽曲が目白押しで一切のスキが見られない驚異的名盤。
ハードロック時代ではトップのチャート順位を誇り、前作とともに代表作と呼ばれることもあります。

ファストなハードロックナンバーからトラッド調のフォーキー曲まで、いずれも憂いに満ちた印象的メロディがフィーチャーされたドラマティックな名曲ぞろい。
中でも、ムーアのハードロック時代を代表する1曲のT-01は、後発のメタルバンドからも度々カバーもされている掛け値なしの超名曲です。

CD化の際にボーナストラックとして追加されていた「CryingintheShadows」は、ハードロッック路線も試みた“歌える”80年代アイドル、本田美奈子が『the Cross(愛の十字架) 』としてリリースしていました。

メタル度:★★★☆☆|叙 情 度:★★★★☆|トラッド度:★★★★☆
ポップ度:★★★★☆|プログレ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★+

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作

After the War|アフター・ザ・ウォー

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オリジナルアルバム – 9作目 (1989年)

80年代のラストを飾る作品であると同時に、ハードロック路線の幕引きにもなったアルバム。ドラムマシーンは不評だったためか、本作では旧知のコージー・パウエルを中心に、複数のドラマーが参加しています。

参加ゲストも含めてトピックの多い一枚で、楽曲もT-02, T-03, T-07, T-08とよく出来たハードチューンが少なくありませんが、80年代キャリアの総まとめのようなやや既聴感のある作風からは、この路線ではやり尽くして一区切りつけたような印象もあります。

T-05『Led Clones』は、当時の“LED ZEPPELINインスパイア系”のブームと、その代表格のグループ『KINGDOM COME』をdisったことで話題となった曲で、因縁のオジー・オズボーンがようやく参加してヴォーカルをとっています。
ただし、曲自体はLED ZEPPELINのパロディにしかなっておらず、クローン批判を口実に自分もイッチョカミしたかっただけでは?とも勘ぐりたくなります。ひとつの曲としてもパロディとしてもかなり微妙な出来栄えで、これならばターゲットの『KINGDOM COME』に軍配が上がります。

トラッドテイストのT-10はフィル・ライノット追悼曲で、THIN LIZZYのブライアン・ダウニーが参加していますが、意外なゲストは、SISTERS OF MERCYのアンドリュー・エルドリッチ。ドラムマシーンの使用ぐらいしつながりが見られませんが、T-01, T-02, T-08の3曲でバッキングヴォーカルをとっています。

メタル度:★★★☆☆|叙 情 度:★★★☆☆|トラッド度:★★☆☆☆
ポップ度:★★★☆☆|プログレ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★★

入門盤
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