Contents
- 1オールドスクールなヘヴィメタル、ストロングスタイルのパワーメタルを経て、世界有数のエピック・メタル・メイカーとして名をあげ、アルバムを量産し続けるジャーマン・メタルの老舗バンド!!
- 1...1GRAVE DIGGERはジャーマンメタルの老舗!!
- 1...2クリス・ボルテンダール率いる余曲折の苦労人バンド!?
- 1...3GRAVE DIGGERの音楽性は!?:第1期〜DIGGER期
- 1...4GRAVE DIGGERの音楽性は!?:第2期
- 1...5ジャーマン・エピックメタルの代表格に!?
- 1.1GRAVE DIGGER|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Heavy Metal Breakdown|ヘヴィ・メタル・ブレークダウン
- 1.1.2Witch Hunter|ウィッチ・ハンター
- 1.1.3War Games|ウォー・ゲームス
- 1.1.4The Reaper|ザ・リーパー
- 1.1.5The Best of the Eighties|ザ・ベスト・オブ・ザ・エイティーズ
- 1.1.6Heart of Darkness|ハート・オブ・ダークネス
- 1.1.7Tunes of War|チューン・オブ・ウォー
- 1.1.8Knights of the Cross|ナイツ・オブ・ザ・クロス
- 1.1.9Excalibur|エクスカリバー
- 1.1.10The Grave Digger|ザ・グレイヴ・ディガー
- 1.1.11Rheingold|ラインゴールド
- 1.1.12The Last Supper|ザ・ラスト・サパー
- 1.1.13Liberty or Death|リバティ・オア・デス
- 1.1.14Ballads of a Hangman|バラッズ・オブ・ア・ハングマン
- 1.1.15The Clans Will Rise Again|ザ・クランズ・ウィル・ライズ・アゲイン
- 1.1.16Clash of the Gods|クラッシュ・オブ・ザ・ゴッズ
- 1.1.17Return of the Reaper|リターン・オブ・ザ・リーパー
- 1.1.18Exhumation (The Early Years)|エクスキューション(ザ・アーリー・イヤーズ)
- 1.1.19Healed by Metal|ヒールド・バイ・メタル
- 1.1.20The Living Dead|ザ・リヴィング・デッド
- 1.1.21Fields of Blood|フィールズ・オブ・ブラッド
- 1.1.22Symbol of Eternity|シンフォニー・オブ・エターニティ
- 1.2DIGGER[ディガー]|DISCOGRAPHY
- 1.2.1Stronger Than Ever|ストレンジャー・ザン・エヴァー
GRAVE DIGGER|DISCOGRAPHY
Heavy Metal Breakdown|ヘヴィ・メタル・ブレークダウン
オリジナルアルバム – 1作目 (1984年)
デビューアルバムである本作がリリースされたこの時期は、いわゆるジャーマン・パワーメタルのがシーンを席巻する直前であり、それらの典型例とは異なるオールドスクールなヘヴィメタル/パワーメタルを展開。
この音楽性は、JUDAS PRREASTやACCEPTなど欧州ヘヴィメタルのパイオニア勢と、当時の最新モードあたるUSパワーメタルの間を行くようなサウンドと言えます。
ヴォーカルは、ACCEPTのウド・ダークシュナイダーを想起させますが、よりダーティな歌唱を聴かせています。
楽曲については、近年の特定スタイル特化型のものとは異なり、初期のメタル・アルバムに特有の、スピードメタルからバラッドまで、ストロング・スタイルからポップ・チューンまで…と、幅広い作風を取りそろえた構成です。
しかし、それら全てを高水準に持っていくだけの、マルチなセンスや対応力が不足しているにもかかわらずず、無理に多様化を狙ったためか、曲ごとにの出来栄えに差が激しいのが難点。
T-01やT-09といったスピードメタルは概ね良好な一方、それ以外の作はピンキリで波が荒めです。
|初期メタ度:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|大仰度:★★☆☆☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤
Witch Hunter|ウィッチ・ハンター
オリジナルアルバム – 2作目 (1985年)
メタル黎明期のサウンドを受け継ぎつつも、同時代的なチューニングが施された、オールドスクールなパワーメタル路線という意味ではデビューアルバムと同様。
作風によって楽曲のクオリティの波が荒いという弱点は、本作でも解消されていませんが、アグレッションを強化されたファストチューンが比率が増したことで、トータルでのクオリティは大きく底上げされました。
改名〜解散前の初期においては、ベストと言える仕上がりを見せており、GRAVE DIGGER=ボルテンダールにとっては、アグレッシヴなファストチューンこそが、最も資質に合った最適解のアプローチであることは、本作の時点で明白となっています。
T-07はアリス・クーパーの名曲のカバーで、当然、曲の良さは折り紙付きですが、このアルバムの中では少し浮いた印象があります。
|初期メタ度:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|大仰度:★★☆☆☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
War Games|ウォー・ゲームス
オリジナルアルバム – 3作目 (1986年)
アルバムとしての基本路線に大きな演歌はありませんが、ファストチューンがやや大人し目になっているほか、HELLOWEEN以降のメロディック・パワーメタルに近いアプローチや、アメリカン・スタイルに近い楽曲も見られるなど、いくぶんポップな仕上がりを見せています。
GRAVE DIGGER最大の持ち味でもあるファストチューンを軸とした、熱量に満ちたアグレッシヴな作風という意味でも、楽曲ごとの、あるいはアルバム単位での純粋な完成度においても、前作には一歩も二歩も及ばないのことは否定できませんが、再評価する価値のある良質なメタル・アルバムであることは事実です。
|初期メタ度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|大仰度:★★☆☆☆
|メロディ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 実験作
The Reaper|ザ・リーパー
オリジナルアルバム – 4作目 (1993年)
GRAVE DIGGER名義に立ち戻って心機一転再起を図った、再結成後の最初のアルバム。
これが、熱量に満ちあふれて密度の高い素晴らしい出来栄えを見せており、彼らにとってベストと呼べるアルバムであるだけでなく、90年代のパワーメタル・シーンの中でも最上位に位置する名盤となりました。
特に、イントロ明けにアッパーなスピード・チューンが立て続けに繰り出される前半は完璧で、一切テンションが緩むことのない息つく間も無い展開を見せており、パワーメタル多々あれど、なかなかお目にかかれない充実ぶりです。
それ以降は、ややダウンテンポな曲が増えますが、それを箸休めとして、ストロング・スタイルのファスト&ヘヴィなパワーメタル・チューンが配置され、最後までダレることはありません。
後半で唐突に大仰な演出の長尺曲のT-10が顔を出し、今となってはこれが後のエピック展開につながっていることも頷けますが、この1曲程度ならアクセントとしてアリかとも思わせるレベルです。
|初期メタ度:★★☆☆☆
|スピード:★★★★★
|大仰度:★☆☆☆☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
The Best of the Eighties|ザ・ベスト・オブ・ザ・エイティーズ
初期トラック集 (194年)
Heart of Darkness|ハート・オブ・ダークネス
オリジナルアルバム – 5作目 (1995年)
そのタイトルのとおり、映画『地獄の黙示録』の元になったイギリスの作家ジョゼフ・コンラッドの小説、『闇の奥(Heart of Darkness)』をテーマにしたコンセプトアルバム。
これをきっかけに、現在まで続くエピックメタル路線へと突入し、ドラマティックな演出主体の作風へと移行、聴き手を選ぶスタイルようになったことで散歩両論を呼び、ファン層も入れ替わりが意識されるようにもなりました。
本作からして、すでに無駄に長尺で大仰な作風を見せており、その中では、ドゥーム的なヘヴィ&スローな楽曲も試みていますが、本来ファスト・チューン以外のセンスについては微妙な面のあるバンドということもあり、ここでは完全にコンセプトを持て余しています。
|ハード度:★★★★☆
|メロディ:★★★★☆
|大作度:★★★★☆
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 スルメ盤
Tunes of War|チューン・オブ・ウォー
オリジナルアルバム – 6作目 (1996年)
本格的エピックメタル路線の第二弾の本作では、映画『ブレイブハート』などでおなじみとなった、スコットランドのイギリスからの独立闘争の歴史をテーマに取り上げています。
大仰な演出主体の展開もときおり見られ、また、スコットランドがテーマだけに、ときおりバグパイプの音色が挿入されるといった演出も見られます。
しかし、エピック的な大仰さが目立ち、それを持て余しがちだった前作とは打って変わって、本作は比較的コンパクトなつくりのパワフルなファストチューンを主軸にしたスタイルへと立ち返っています、
個々の楽曲に目をやっても、それぞれがおおむね良好な出来栄えを見せており、再結成後のパワーメタル・アルバムとしては、名盤“The Reaper(4th)”に次ぐ充実作と言っていいでしょう。
|初期メタ度:★★☆☆☆
|スピード:★★★★☆
|大仰度:★★★☆☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Knights of the Cross|ナイツ・オブ・ザ・クロス
オリジナルアルバム – 7作目 (1998年)
今回のテーマは、歴史エピックものではもはや定番のひとつに数えられる、“十字軍/テンプル騎士団”ネタ。
ここでは、エピックメタル特有の過剰な演出効果を追求した作風が、珍しく効果的に働いており、ストーリー性云々を抜きにしても、単純にドラマティックなヘヴィメタルとして楽しむことのできるアルバムと言えます。
序盤は地味で盛り上がりを欠いた楽曲が続き、先行きが危ぶまれますが、中盤からはパワフルなファストチューンが充実して大きく盛り返します。
|初期メタ度:★★☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|大仰度:★★★★☆
|メロディ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Excalibur|エクスカリバー
オリジナルアルバム – 8作目 (1999年)
今回のテーマは、これまた歴史/伝記ファンタジーの王道のひとつ、“アーサー王と円卓の騎士の聖剣伝説”。
ファストなパワーメタル・チューンはソコソコの出来栄えを見せていますが、それ以外は曲は相変わらず低調な仕上がりで、パワーメタルファンにとっては、かなり聴きどころが限られたものとなっています。
|初期メタ度:★☆☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|大仰度:★★★★☆
|メロディ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 お布施
The Grave Digger|ザ・グレイヴ・ディガー
オリジナルアルバム – 9作目 (2001年)
テーマは、ゴシックホラーの大家として知られる、アメリカのカルト作家エドガー・アラン・ポー(の世界観)で、それをイメージしたダークでシリアスな作風を狙っていますが、これが大失敗。
このテーマなら必然ともいえる、ゴシカルでドゥーミィな雰囲気が、とにかく彼らの音楽性と決定的に相性が悪く、低調でインパクトを欠いていた前作のさらに下を行く微妙な仕上がりとなっています。
とにかく、ポーを取り上げるにしては何をとっても圧倒的にセンス不足ですし、彼らの数少ない…そして最大の武器であるファストなパワーメタル・チューンまでもが、いつものキレ味を失っており、全く聴きどころが見当たらない始末で、一部で高評価されているという話もにわかには信じられません。
|初期メタ度:★☆☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|大仰度:★★★☆☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤 お布施
Rheingold|ラインゴールド
オリジナルアルバム – 10作目 (2003年)
本作のテーマは、ヘヴィメタルには所縁の深い音楽家リヒャルト・ワーグナーのオペラ、『ニーベルングの指環』のいちエピソード『ラインの黄金』。
この時期に勢力を拡大していた、キラキラ・メロメロなシンフォ系メロディック・エピックなどとは全く異なり、“重厚長大”なオールドスクールなエピック・メタルを展開しています。
|初期メタ度:★☆☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|大仰度:★★★★☆
|メロディ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 お布施
The Last Supper|ザ・ラスト・サパー
オリジナルアルバム – 11作目 (2005年)
本作のテーマは、『最後の晩餐』を中心としたキリスト教神話関連。
音楽性は代わり映えせず、毎度おなじみの大仰なドラマティック路線を聴かせます。
Liberty or Death|リバティ・オア・デス
オリジナルアルバム – 12作目 (2007年)
今回のテーマは、『ギリシャ革命』、『ユダヤ戦争』や『ホロコースト』などユダヤ人関連、『スコットランド闘争』、『フランス革命』、『ガンジー』、『アメリカKKK』など、歴史上の抑圧と闘争について。
Ballads of a Hangman|バラッズ・オブ・ア・ハングマン
オリジナルアルバム – 13作目 (2009年)
ツインギター体制になってからの最初のアルバム。
The Clans Will Rise Again|ザ・クランズ・ウィル・ライズ・アゲイン
オリジナルアルバム – 14作目 (2010年)
6作目『Tunes of War』の続編にあたるアルバム。
Clash of the Gods|クラッシュ・オブ・ザ・ゴッズ
オリジナルアルバム – 15作目 (2012年)
エピック系のテーマとしてはベタすぎ逆に珍しくすらあるド定番、『ギリシャ神話』をモチーフとしたアルバム。
Return of the Reaper|リターン・オブ・ザ・リーパー
オリジナルアルバム – 16作目 (2014年)
彼らのストロング・スタイルでの頂点にあたる2作品、『Witch Hunter(2nd)』と『The Reaper(4th)』のリバイバルを狙ったアルバムですが、圧倒的にパワー不足で足元にも及んでいません。
|初期メタ度:★☆☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|大仰度:★★☆☆☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 お布施
Exhumation (The Early Years)|エクスキューション(ザ・アーリー・イヤーズ)
オリジナルアルバム – 17作目 (2015年)
初期作品からの楽曲を再録した、セルフカバーのリレコーディングアルバム。
|初期メタ度:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|大仰度:★★☆☆☆
|メロディ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論
Healed by Metal|ヒールド・バイ・メタル
オリジナルアルバム – 18作目 (2017年)
エピック様式の無駄な装飾/演出過多に傾き過ぎていないあたりは好印象ですが、独自性はかなり薄まっています。
及第点に届かないアベレージなのに、出来不出来が激しい…つまり総じて低レベルなのが難点。
|大仰度:★★★☆☆|メロディ度:★★☆☆☆|総合評価:★★☆☆☆
賛否両論 お布施
The Living Dead|ザ・リヴィング・デッド
オリジナルアルバム – 19作目 (2018年)
前作に続いて、過剰なエピック様式の装飾/演出が比較的抑えられたストレートな作風ですが、楽曲クオリティはギリギリ水準レベルで、突出した楽曲にも乏しく低調横這い状態です。
|初期メタ度:★★☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|大仰度:★★★☆☆
|メロディ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 お布施
Fields of Blood|フィールズ・オブ・ブラッド
オリジナルアルバム – 20作目 (2020年)
Symbol of Eternity|シンフォニー・オブ・エターニティ
オリジナルアルバム – 21作目 (2022年)
DIGGER[ディガー]|DISCOGRAPHY
DIGGERは、GRAVE DIGGERが1986年〜1987年までの間、メンバーはそのままに名義だけを変更した時期のバンド名。
アメリカ進出を視野に入れて、グラムメタル寄りのポップサウンドを取り入れていますが、結果には結びつくことなく、アルバム1枚を残してわずか1年で活動を終えます。
DIGGER名義のアルバムを、GRAVE DIGGERとしてのカタログにナンバリングするべきかについては、ケース・バイ・ケースですが、一般的には除外されて別枠・番外で扱われる傾向にあります。
Stronger Than Ever|ストレンジャー・ザン・エヴァー
オリジナルアルバム – 1作目 (1986年)
同郷の大先輩SCORPIONSの米国での成功に続けとばかりに、アメリカンなチューニングを施してポップメタル路線を狙ったアルバム。
ハナからB級と割り切れるならば、楽曲自体は水準をクリアしていますし、従来通りにアルバムの目玉として輝きを見せるストロング・スタイルのスピードメタル・チューンも収められています。
音楽性/完成度ともに近年のアルバム程度は大きく上回りますし、チグハグながらも不思議な魅力を持つアルバムなのですが、ヴォーカルの技量を考えると本作で聴けるような丁寧に歌メロを追うスタイルは向いていないようです。
|初期メタ度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|大仰度:★★☆☆☆
|メロディ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 実験作