Contents
- 1現代ジャーマンメタルシーンの代名詞となったバンドは、現在に至るまでヘヴィメタルシーンの主力となっているメロディックパワーメタル/スピードメタルの基礎をつくり出し、そのスタイルを世界中に波及させたレジェンドに!!
- 1.1HELLOWEEN|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Walls of Jericho|ウォールズ・オブ・ジェリコ
- 1.1.2Keeper of the Seven Keys Part I|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ パート1:守護神伝 -第一章-
- 1.1.3Keeper of the Seven Keys Part II|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ パート2:守護神伝 -第二章-
- 1.1.4Pink Bubbles Go Ape|ピンク・バブルズ・ゴー・エイプ
- 1.1.5Chameleon|カメレオン
- 1.1.6Master of the Rings|マスター・オブ・ザ・リングス
- 1.1.7The Time of the Oath|タイム・オブ・ジ・オウス
- 1.1.8Better than Raw|ベター・ザン・ロウ
- 1.1.9Metal Jukebox|メタル・ジュークボックス
- 1.1.10The Dark Ride|ダーク・ライド
- 1.1.11Rabbit Don't Come Easy|ラビット・ドント・カム・イージー
- 1.1.12Keeper of the Seven Keys - The Legacy|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ - ザ・レガシィ:守護神伝 -新章-
- 1.1.13Gambling with the Devil|ギャンブリング・ウィズ・ザ・デヴィル
- 1.1.14Unarmed|アンネームド
- 1.1.157 Sinners|セヴン・シナーズ
- 1.1.16Straight Out of Hell|ストレイト・アウト・オブ・ヘル
- 1.1.17My God-Given Right|マイ・ゴッド・ギヴン・ライト
現代ジャーマンメタルシーンの代名詞となったバンドは、現在に至るまでヘヴィメタルシーンの主力となっているメロディックパワーメタル/スピードメタルの基礎をつくり出し、そのスタイルを世界中に波及させたレジェンドに!!
HELLOWEEN(ハロウィン)は、ドイツのパワーメタル/ヘヴィメタルバンドで、80年代後半に世界的なブームとなって各国のメタルシーンに影響を及ぼした、いわゆる「ジャーマン・パワーメタル」のパイオニアとして知られるグループ。
この「ジャーマン・パワーメタル」は、現在でもメロディックパワーメタル/メロディックスピードメタルの名称で大きなシェアを誇り、ネオクラシカル系, シンフォニック系, ゴシック系, トラッド系など様々な派生ジャンルを産んでいますが、HELLOWEEN現は在もシーンを代表するトップグループの地位についています。
祝祭ハロウィンでおなじみのカボチャマスク、『ジャック・オー・ランタン』をイメージキャラクターとしていることから、“カボチャ”の異名で呼ばれることもあります。
当初は創始者のカイ・ハンセン(Gt.+Vo.)と初期メンバーのマイケル・ヴァイカート(Gt.)の二頭体制でしたが、のちにハンセンが健康上の理由で脱退したことから、実質的にはヴァイカート主導のバンドとなります。
その後ハンセンはシーンにカムバックするも、新たに自身がリーダーとなる新バンドGAMMA RAY(ガンマ・レイ)を結成。現在に至るまで、HELLOWEENとジャーマン・パワーメタル人気を二分するライバル的存在として活動を続けています。
音楽的には、初期のヘヴィメタルやNEOBHMなどのオールドスクールなヘヴィメタルにスラッシュメタル的なアグレッションを加えつつ、トラッドミュージックやローカルポップスなどに由来すると思しき耳なじみのいいメロディをフィーチャーした、アメリカンパワーメタルとも全く異なる魅力を持つ、スピーディーなパワーメタルが主体。
アニメソングにも例えられる口ずさめるようなポップで勇ましいメロディを主体とした、疾走感あふれるパワーメタルは欧州や南米を中心に人気を獲得しましたが、日本でもパワーメタルの本場アメリカのバンド以上の人気を持ち、80年代〜90年代にはヘヴィメタルの新たなスタンダードとみなされるまでになっていました。
メンバーチェンジやサウンドのマイナーチェンジはあるものの、現在に至るまで大きなブランクもなくコンスタントな活動を続けてシーンを牽引しています。現在のシーンにおいては全盛期ほどの存在感は感じられませんが、各国のメタルシーンにHELLOWEENの影響を見て取ることできます。
HELLOWEEN|DISCOGRAPHY
Walls of Jericho|ウォールズ・オブ・ジェリコ
オリジナルアルバム – 1作目 (1985年)
スラッシュメタルとオールドスクールなヘヴィメタルの絶妙な融合を実現させ、独自のHELLOWEEN流パワーメタルを完成させたデビューアルバム。
この時点では、彼らの代名詞であるキャッチーなメロディックパワーメタルは確立されておらず、JUDAS PRIESTらの初期ヘヴィメタルやIRON MAIDENなどのNWOBHMからの影響が目立つ楽曲を主体に、スラッシュメタル由来のアグレッションを加え、ヒステリックで荒々しいヴォーカルスタイルが合わさった作風。ヴォーカルはこの時点ではカイ・ハンセンが担当しています。
楽曲の骨組みはオーソドックスなヘヴィメタルに近く、特にサウンドを牽引するドライヴィンなベースランを含めIRON MAIDENの影響が濃厚です。
もっともアグレッシヴなT-02は、ANTHRAXやEXODUSなど初期のスラッシュに見られるスピードメタル系スラッシュサウンドで、全体的に黄金期のメロディックパワーメタルとは異なるスタイルですが、アンセムとなる代表曲T-01やT-07をはじめ楽曲は粒ぞろい。オールタイムのベストアルバムとして挙げるファンも多い名盤です。
ポップネス:★★☆☆☆|ヘヴィネス:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Keeper of the Seven Keys Part I|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ パート1:守護神伝 -第一章-
オリジナルアルバム – 2作目 (1987年)
初期HELLOWEENを支え。そのポップネスに大きな影響を及ぼしたとされるヴォーカリスト、マイケル・キスクを選任ヴォーカルに迎えての第一弾。タイトルでわかるとおり、次作の“Keeper of the Seven Keys Part II(3rd)”との連作で、当初は二枚組の予定がレーベルに話が通らず、分割でのリリースになったとされています。
1stで最大の魅力だったスラッシュメタル由来のアグレッションやテンションは失われましたが、それと引き換えに大衆受けしやすいポップネスとメロディ、エピックメタル的なドラマ性、そしてそれを最大限に生かす技量を持ったヴォーカリストを獲得。
ここで完成した現在まで続く“メロディック・パワー(スピード)メタル”のサウンドは、前作に否定的だったリスナーも含む幅広い層にアピールし、シーンを塗り替えていきます。
というように、世界中のメタルシーンを一新して時代のターニングポイントとなった伝説的なアルバムではありますが、実のところ、ポップなファストチューンT-02, T-04, T-06こそ勢いで聴けるものの名曲といえるレベルにはなく、それ以外は完全に水増しの役にしか立たない凡庸な場ツナギ曲ばかりです。
アルバムとしてのクオリティ云々よりも、オールドスクールなヘヴィメタル的美意識をのスラッシュを通過したサウンドへと焼き直した、新世代ならではヘヴィメタルスタンダードをつくり出した、記念碑としての意味合いと価値が強い作品です。
ポップネス:★★☆☆☆|ヘヴィネス:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Keeper of the Seven Keys Part II|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ パート2:守護神伝 -第二章-
オリジナルアルバム – 3作目 (1988年)
前作の続編にあたり、ひとまとめで語られることも多いアルバムですが、前作と同時期のマテリアルに加えて新曲も加えるなどしてつくり込んだことが功を奏してか、曲のクオリティは格段に向上しています。
マイケル・キスクが持ち込んだとされるポップセンス、メロディセンスとヘヴィメタルの融合もひとつの完成を見せており、アルバムの主軸となるT-02やT-08といったパワーメタルナンバーも、オールタイムのアンセムと呼べる仕上がり。
アニメの主題歌にも例えられることの多かったメロディは、伝統的なブリティッシュロックルツのUKヘヴィメタルとも、クラシックに依存したネオクラシカル系とも一線を画したもの。ドイツ/欧州の歌謡/ポップスや民謡などローカル色も感じさせますが、代表曲のT-08などはビリー・アイドルなどニューウェイヴポップをも想起させるなど、意外なバックグラウンドの豊富さが感じらえます。
エピック的な過剰なドラマ性もややハナにつくところがあり、1stとは完全に別のバンドになったものの、キャリア初期のピークを飾るにふさわしいアルバム。…と言いたいところですが、ファストチューン以外にイマイチ勢いがないのは前作同様で、Part.IとPart.IIから選りすぐって1枚にして、ようやく名盤と呼べるレベルでしょう。
革新度:★★★★☆|過剰度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤
Pink Bubbles Go Ape|ピンク・バブルズ・ゴー・エイプ
オリジナルアルバム – 4作目 (1991年)
バンド初期の中核だったカイ・ハンセンの脱退や、前二部作のポップ路線の成功などで、マイケル・キスクの発言力が大きくなったことでキスクのポップ志向が暴走しはじめ、迷走期に突入したされているアルバム。
いつも以上にユーモラスでポップネスが強調された作風で、エピック的な大仰さや過剰なドラマ性がやや薄れ、曲によってはバブルメタル的なお気楽さも漂っていますが、大筋としては前作からそれほど極端な変化はありません。
ユーモアセンスを否定的に捉える向きもありますが、むしろメタル的ナルシシズムと肩の力が抜けない生真面目さが邪魔してバカに徹することができず、中途半端な印象が強いことの方が問題でしょう。同じジャーマンバンドのDIMPLE MINDS(ディンプル・マインズ)並の開き直ったおバカぶりが欲しかったところです。
ジャケットのアートワークは、超大物ヒプノシス(=Storm Thorgerson)の手によるもので、悪い意味でメタル的な子供っぽいものが多い彼らのジャケットの中ではベスト。
ポップネス:★★★★★|ヘヴィネス:★☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Chameleon|カメレオン
オリジナルアルバム – 5作目 (1993年)
“マイケル・キスクの暴走が極まった最大の問題作”とのイメージが独り歩きしがちなアルバムですが、実際はキスク, ヴァイカート, グラポウの3人が、それぞれ4曲づつ持ち寄った形のアルバム。
かろうじて過去の作風に近いポップメタルナンバーもあるものの、もはやパワーメタルはおろかヘヴィメタルの範疇で語るのもためらわれる曲も多く、メタラー人気が振るわないのも理解できます。
ファンクポップテイストから、ビッグバンドをフィーチャーしたオールディーズ風、BEATLESなどを思わせるようなヴィンテージポップ調、ニューウェイヴポップ系など、メロディアスでポップなスタイルという点では統一感があるものの、作風としてはかなり幅広いものです。
曲自体はよく練られつくり込まれており、ジャケットのアートワークセンスも含めプログレバンドの80年代作品などを思わせる部分もあり、プログレハード/ポンプロックに近い感覚で聞くこともできます。
純メロパワを期待する向きにはオススメしませんが、完成度の高い意欲作であることは確かで、ポップな作風もイケる口の間口の広いリスナーなら、カタログ中でも上位にくる可能性は大です。
ポップネス:★★★★★|ヘヴィネス:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Master of the Rings|マスター・オブ・ザ・リングス
オリジナルアルバム – 6作目 (1994年)
マイケル・キスクに変わり、元PINK CREAM 69(ピンククリーム69)のアンディ・デリスを新たなヴォーカリストに迎えたアルバム。 前二作の延長線上にあるバラエティに富んだポップな作風ながらも、このアルバムによってこれまでの評価を一転させ流ことに成功します。その理由は、パワメタからバラードまで楽曲のクリティが総じて向上して良質なフック満載となり、アルバムにスキがなくなったこともありますが、ファンの疾走型メロパワニーズに応えたことも大きいでしょう。
初期のエピックメロパワ路線とは異なるため、それでも賛否両論はありましたが、全体に軸ができてアルバムとしての印象は大きく良い方に変わっていますし、作風はどうあれクオリティの高さは認めざるをえません。キャリア中期のみならず、全キャリア中でも最上位に位置する完成度を誇る1枚です。
ポップネス:★★★★★|ヘヴィネス:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
The Time of the Oath|タイム・オブ・ジ・オウス
オリジナルアルバム – 7作目 (1996年)
“Keeper of the Seven Keys”のフードキャラが再登場していることからもわかるように、その二部作を意識した原点回帰的なアルバムです。収録トラックはファストチューンが中心で、スンナリ聴きとおせるくらいの勢いはありアベレージもそれなりですが、楽曲単体で見るとアンセムクラスと呼べるほどの曲は見られず、いまひとつ決め手に欠けます。
ポップネス:★★★★★|ヘヴィネス:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤
Better than Raw|ベター・ザン・ロウ
オリジナルアルバム – 8作目 (1998年)
ヘヴィネスがアップして、厚みのある当世的な音作りのパワーメタルへと変貌したアルバム。基本的には“HELLOWEE印のメロディックパワーメタル”でありながら、最初期に見られたスラッシュメタル的アグレッションも取り戻しています。ヴォーカルも力強さを増して、時にダーティーシャウトも交えつつ、 ファストチューンを主体としたパワフルでスピーディーな勢いに満ちたサウンドを展開しています。
その作風はJUDAS PREASTのpainkillerアルバムを大きなヒントとしており、実際にT-01などはそのタイトルトラック“painkiller”にかなり酷似した曲です。
アンセム級の楽曲こそありませんが、単体で印象を残す曲もありますしアベレージも極めて高く、この時期では作風こそ違えど“Master of the Rings(6th)”い匹敵する充実作です。
ポップネス:★★★☆☆|ヘヴィネス:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Metal Jukebox|メタル・ジュークボックス
カバーアルバム (1999年)
ここで取り上げたのは、ビッグネームの非メタル系のメジャーアーティストか、名は知られているがやや通好みのバンドがほとんど。この手の企画に多いベタな定番メタルバンドはあえていえばSCORPIONS)のみですが、意外性があるのはFAITH NO MORE程度で、他は想定の範囲内です。
アレンジも大胆な換骨奪胎は見られず、原曲に沿った無難なメタルチューニングで、彼らのスタイル自体がひとつのスタンダードとなっていることもあって、目新しさや面白味はあまり感じられません。
メタルオンリーのリスナーが原曲に手をのばすキッカケになれば…という、教科書的なまとめ方が関の山ですね。
意外性:★★★☆☆|そのまま度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み お布施
The Dark Ride|ダーク・ライド
オリジナルアルバム – 9作目 (2000年)
Rabbit Don’t Come Easy|ラビット・ドント・カム・イージー
オリジナルアルバム – 10作目 (2003年)
Keeper of the Seven Keys – The Legacy|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ – ザ・レガシィ:守護神伝 -新章-
オリジナルアルバム – 11作目 (2005年)
Gambling with the Devil|ギャンブリング・ウィズ・ザ・デヴィル
オリジナルアルバム – 12作目 (2007年)
Unarmed|アンネームド
アコースティックアルバム (2010年)
7 Sinners|セヴン・シナーズ
オリジナルアルバム – 13作目 (2010年)
Straight Out of Hell|ストレイト・アウト・オブ・ヘル
オリジナルアルバム – 14作目 (2013年)
My God-Given Right|マイ・ゴッド・ギヴン・ライト
オリジナルアルバム – 15作目 (2015年)