Contents
- 1現代ジャーマン・メタル・シーンの代名詞となったバンドは、メロディック・パワーメタル/スピードメタルを完成させ、そのスタイルを世界中に波及させたレジェンドに!!
- 1...1ジャーマン・パワーメタルのパイオニア!?
- 1...2続々多様化するジャーマン・パワーメタル!?
- 1...3HELLOWEENとGAMMA RAYに分裂!?
- 1...4アグレッシヴからポップ&キャッチーへ!?
- 1...5メロディック・パワーメタルの現役リーダー!?
- 1.1HELLOWEEN|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Walls of Jericho|ウォールズ・オブ・ジェリコ
- 1.1.2Keeper of the Seven Keys Part I|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ パート1:守護神伝 -第一章-
- 1.1.3Keeper of the Seven Keys Part II|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ パート2:守護神伝 -第二章-
- 1.1.4Pink Bubbles Go Ape|ピンク・バブルズ・ゴー・エイプ
- 1.1.5Chameleon|カメレオン
- 1.1.6Master of the Rings|マスター・オブ・ザ・リングス
- 1.1.7The Time of the Oath|タイム・オブ・ジ・オウス
- 1.1.8Better than Raw|ベター・ザン・ロウ
- 1.1.9Metal Jukebox|メタル・ジュークボックス
- 1.1.10The Dark Ride|ダーク・ライド
- 1.1.11Rabbit Don't Come Easy|ラビット・ドント・カム・イージー
- 1.1.12Keeper of the Seven Keys - The Legacy|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ - ザ・レガシィ:守護神伝 -新章-
- 1.1.13Gambling with the Devil|ギャンブリング・ウィズ・ザ・デヴィル
- 1.1.14Unarmed|アンアームド
- 1.1.157 Sinners|セヴン・シナーズ
- 1.1.16Straight Out of Hell|ストレイト・アウト・オブ・ヘル
- 1.1.17My God-Given Right|マイ・ゴッド・ギヴン・ライト
- 1.1.18Helloween|ハロウィン
- 1.1HELLOWEENはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
HELLOWEEN|DISCOGRAPHY
Walls of Jericho|ウォールズ・オブ・ジェリコ
オリジナルアルバム – 1作目 (1985年)
スラッシュメタルとオールドスクールなヘヴィメタルの絶妙な融合を実現させ、独自のHELLOWEEN流パワーメタルを完成させたデビューアルバム。ここではヴォーカルはカイ・ハンセンが担当しています。
彼らの代名詞であるキャッチーなメロディラインを持った、フック満載のジャーマン・スタイル(=メロパワ/メロスピ)はまだ確立されていません。
この時点では、JUDAS PRIESTら初期メタルやIRON MAIDENなどのNWOBHMからの影響が目立ち、楽曲の骨組みはオーソドックスなヘヴィメタルに近いものです。特に、サウンドを牽引するドライヴィンなベースランを含めIRON MAIDENの影響が濃厚。
そこにスラッシュメタル由来のアグレッションが加わり、ヒステリックで荒々しいヴォーカルが合わさるというスタイルです。
曲によっては限りなくスラッシュメタルに近いものもあり、最もアグレッシヴなT-02などは、ANTHRAXやEXODUSなど初期のスラッシュメタルに見られる、スピードメタル系のスラッシュサウンド。
黄金期とは異なるスタイルですが、アンセムとなる代表曲T-01やT-07をはじめ楽曲は粒ぞろいで、オールタイムのベスト・アルバムに挙げるファンも多い名盤です。
|スラッシュ度:★★★★☆
|エピック度:★☆☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Keeper of the Seven Keys Part I|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ パート1:守護神伝 -第一章-
オリジナルアルバム – 2作目 (1987年)
初期HELLOWEENを支え、そのポップネスに大きな影響を及ぼしたとされるヴォーカリスト、マイケル・キスクを選任として迎えての第一弾。
タイトルでわかるとおり次作とひと組の連作で、当初は二枚組の予定がレーベルに話が通らず、分割でのリリースになったとされています。
1stで最大の魅力だった、スラッシュメタル由来のアグレッションやテンション減退するも、引き換えに大衆受けの良いポップネスとメロディ、エピックメタル的なドラマ性、それを最大限に生かす技量を持ったヴォーカルを獲得しました。
ここで完成した現在まで続く“メロディック・パワー(スピード)メタル”のサウンドは、前作に否定的だったリスナーも含む幅広い層にアピールし、シーンを塗り替えていきます。
と、いうように、世界中のメタルシーンを一新して時代のターニング・ポイントとなる伝説的なアルバムで、当時の感覚では刺激にあふれた斬新なものと言えました。
しかし、ポップ&ファストな代表曲T-06を別格にすれば、同路線のT-02, T-04も名曲には一歩届かずで、それ以外は実のところ完全に水増し。
コンセプトアルバムという特性からか演出曲も多く、また13分超のT-07などは完全に尺を持て余しています。
アルバム単体でのクオリティ云々以上に、オールドスクールなメタル的美意識をスラッシュを通過したサウンドへと焼き直し、新世代ならではのメタル・スタンダードを生み出した功績、そしてその記念碑の意味合いが強い作品です。
|スラッシュ度:★★★★☆
|エピック度:★☆☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Keeper of the Seven Keys Part II|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ パート2:守護神伝 -第二章-
オリジナルアルバム – 3作目 (1988年)
前作の続編にあたり、ひとまとめで語られることも多いアルバムですが、前作と同時期のマテリアルに加えて新曲も加えるなどしてつくり込んだことが功を奏してか、曲のクオリティは格段に向上しています。
マイケル・キスクが持ち込んだとされる、ポップセンス/メロディセンスとヘヴィメタルの融合もひとつの完成を見せており、アルバムの主軸となるT-02やT-08といったパワーメタルナンバーも、オールタイムのアンセムと呼べる仕上がり。
ルーツ・ロックに根ざしたUKヘヴィメタルとも、クラシックに依存したネオクラシカル系とも一線を画した、アニメの主題歌にも例えられるメロディにも磨きがかかっています。
これには、欧州の歌謡/ポップスや民謡などローカル色も感じさせますが、代表曲のT-08ではビリー・アイドルなどニューウェイヴ・ポップも想起させるなど、意外なバックグラウンドも垣間見えます。
1stとは完全に別モノながらも、キャリア初期のピークを飾るにふさわしい重要作。
…ではあるのですが、名盤の称号にはPart.IとPart.IIから選りすぐって1枚にしてようやく…というのが実態でしょう。
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★★★★☆
|革新度:★★★★☆
|過剰度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤
Pink Bubbles Go Ape|ピンク・バブルズ・ゴー・エイプ
オリジナルアルバム – 4作目 (1991年)
バンド初期の中核だったカイ・ハンセンの脱退や、前二部作のポップ路線の成功などで、マイケル・キスクの発言力が大きくなったために、キスクのポップ志向が暴走しはじめて迷走期に突入したとされるアルバム。
いつも以上にユーモラスでポップネスが強調された作風で、エピック的な大仰さや過剰なドラマ性がやや薄れ、曲によってはバブルメタル的なお気楽さも漂っていますが、大筋としては前作からそれほど極端な変化はありません。出来栄えも標準的なもの。
このユーモアセンスを否定的に捉える向きもありますが、むしろメタル的ナルシシズムと肩の力が抜けない生真面目さが邪魔してバカに徹することができず、中途半端な印象を残すことの方が問題でしょう。
同期のジャーマンバンドDIMPLE MINDS(ディンプル・マインズ)並の、開き直ったおバカぶりが欲しかったところです。
ジャケットのアートワークは、超大物ヒプノシス(=Storm Thorgerson)の手によるもので、悪い意味でメタル的な子供っぽいものが多い彼らのジャケットの中ではベスト。
|スラッシュ度:★☆☆☆☆
|エピック度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★★★
|ヘヴィネス:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Chameleon|カメレオン
オリジナルアルバム – 5作目 (1993年)
“マイケル・キスクの暴走が極まった最大の問題作”とのイメージが独り歩きしがちですが、実際はキスク, ヴァイカート, グラポウの3人が、それぞれ4曲づつ持ち寄ったかたちの民主的アルバム。
過去の作風に近いポップなメタル・ナンバーもかろうじて見られるものの、もはやパワーメタルはおろかヘヴィメタルの範疇で語るのもためらわれる曲も多く、メタラー人気が振るわないのも理解できます。
メロディアスでポップという点では統一感はあるとはいえ作風としてはかなり幅広く、ファンクポップ・テイストから、ビッグバンドをフィーチャーしたオールディーズ風、BEATLESなどを思わせるヴィンテージ・ポップ調、ニューウェイヴ・ポップ系などにも及びます。
ジャケットのセンスも含めプログレバンドの80年代作品などを思わせる部分もあり、事実、プログレハード/ポンプロックに近い感覚で聴くこともできます。
純メロパワを期待する向きにはオススメしませんが、曲自体はつくり込まれてよく練られており、完成度の高い意欲作であることは確かで、ポップな作風もイケる口のキャパの広いリスナーなら、カタログ中でも上位にくる可能性は大です。
|スラッシュ度:★☆☆☆☆
|エピック度:★☆☆☆☆
|ポップネス:★★★★★
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Master of the Rings|マスター・オブ・ザ・リングス
オリジナルアルバム – 6作目 (1994年)
マイケル・キスクに代わり、新たに元PINK CREAM 69(ピンククリーム69)のアンディ・デリスをヴォーカリストに迎えたアルバム。
前二作の延長線上にあるバラエティに富んだポップな作風ながらも、再度メタルテイストを強めており、さらに従来の疾走型メロパワ・チューンも取りそろえてファンのニーズに応えたことによって、近年の評価を一転させることに成功します。
全体に軸ができてアルバムとしての印象も好転していますし、パワメタからバラードまで、いずれのスタイルもクリティが総じて向上。
良質なフック満載なスキの無い普遍性を持ったアルバムに仕上がっており、その完成度はキャリア中期のみならず、全キャリア中でも最上位に位置するもので、その評価も納得と言えるでしょう。
それでも、往年のエピック・メロパワ路線とは異なることで賛否両論はありましたが、作風はどうあれクオリティの高さは認めざるをえません。
また本作は、前々作〜前作でのポップ・アプローチの成果という面も大きく、その2作あってこその名盤とも言えるでしょう。
|スラッシュ度:★★☆☆☆
|エピック度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★★
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
The Time of the Oath|タイム・オブ・ジ・オウス
オリジナルアルバム – 7作目 (1996年)
“Keeper of the Seven Keys”のアートワークにある、フードの魔導師風キャラが再登場していることからもわかるように、その黄金期の二部作を意識した原点回帰的なアルバムです。
収録トラックはファスト・チューンが中心となっており、スンナリ聴きとおせるくらいの勢いはあります。
アベレージも及第点クリアしてそれなりのものですが、楽曲単体で見るとアンセム/名曲と呼べるほどのレベルにある曲は見られず、いまひとつ決め手に欠けます。
|スラッシュ度:★★☆☆☆
|エピック度:★★★★★
|ポップネス:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤
Better than Raw|ベター・ザン・ロウ
オリジナルアルバム – 8作目 (1998年)
ヘヴィネスがアップして、音づくりも厚みのある同時代的なものへと進化し、エクストリームな当世的パワーメタルへと変貌を遂げたアルバムです。
基本的には“HELLOWEE印のメロパワ・メタル”でありながら、最初期に見られたスラッシュメタル的アグレッションも取り戻して、ファストチューンを主体としたパワフルでスピーディーな勢いに満ちたサウンドを展開。
同時に、ヴォーカルも力強さを増して時にダーティー・シャウトも交えたスタイルとなりました。
その作風は、JUDAS PREASTの“painkiller”アルバムを大きなヒントとしており、実際にT-01などはそのタイトルトラック“painkiller”にかなり酷似した曲です。
代表曲/アンセム級の楽曲こそありませんが、単体で印象を残すキラーチューンもありますし、アルバムとしてのアベレージも極めてハイレベル。この前後の時期では、作風こそ違えど“Master of the Rings(6th)”にも匹敵する充実作です。
|スラッシュ度:★★★★☆
|エピック度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Metal Jukebox|メタル・ジュークボックス
カバーアルバム (1999年)
初のカバー・アルバムとなる本作で取り上げたのは、非メタル系の超ビッグネームか、知名度は高いがやや通好みな存在のグループがほとんど。
この手の企画に多いベタな定番メタルバンドは、あえていえばSCORPIONSのみで、意外性があるのはFAITH NO MORE程度。
その他も知名度を考えれば納得できるレベルで、想定を大きく超えては来ません。
アレンジについても大胆な換骨奪胎は見られず、原曲に沿った無難なメタル・チューニングと言ったところ。
彼らのスタイル自体が、ヘヴィメタルひとつの定型になっていることもあり、目新しさや面白味はあまり感じられません。
メタルしか聴かないリスナーが、万が一でも原曲に手をのばすキッカケになれば…という、優等生的なまとめ方が関の山でしょう。
|選 曲:★★★★☆
|アレンジ:★★☆☆☆
|意外性:★★★☆☆
|そのまま度:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み お布施
The Dark Ride|ダーク・ライド
オリジナルアルバム – 9作目 (2000年)
Rabbit Don’t Come Easy|ラビット・ドント・カム・イージー
オリジナルアルバム – 10作目 (2003年)
Keeper of the Seven Keys – The Legacy|キーパー・オブ・ザ・セヴン・キーズ – ザ・レガシィ:守護神伝 -新章-
オリジナルアルバム – 11作目 (2005年)
Gambling with the Devil|ギャンブリング・ウィズ・ザ・デヴィル
オリジナルアルバム – 12作目 (2007年)
Unarmed|アンアームド
アコースティックアルバム (2010年)
7 Sinners|セヴン・シナーズ
オリジナルアルバム – 13作目 (2010年)
Straight Out of Hell|ストレイト・アウト・オブ・ヘル
オリジナルアルバム – 14作目 (2013年)
My God-Given Right|マイ・ゴッド・ギヴン・ライト
オリジナルアルバム – 15作目 (2015年)
Helloween|ハロウィン
オリジナルアルバム – 16作目 (2021年)