Contents
- 1メタル・シーンにおいてはMETALLICAも跪くカリスマとして、UKインダストリアル/メタリック・サイケトランスの歴史を築いた、ニューウェイヴ/ポストパンクの最重要カルト・バンド!!
- 1...1UKインダストリアル/インダストリアル・メタルの立役者!?
- 1...2METALLICA効果でメタルシーンでも知名度アップ!?
- 1...3KILLING JOKEの音楽性は!?:80年代:インダストリアル時代
- 1...4KILLING JOKEの音楽性は!?:80年代:シンセポップ・テクノポップ時代
- 1...5KILLING JOKEの音楽性は!?:90年代:インダストリアル・メタル時代・第一期
- 1...6KILLING JOKEの音楽性は!?:00年代:インダストリアル・メタル時代・第二期
- 1...7意外な安定感のKILLING JOKEのバンド体制!?
- 1.1KILLING JOKE|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Killing Joke|キリング・ジョーク:黒色革命
- 1.1.2What's This For...!|ホワッツ・ディス・フォー...!:リーダーに続け
- 1.1.3Revelations|レヴェレイションズ:神よりの啓示
- 1.1.4"Ha"|“ハ!!”:キリング・ジョーク・ライヴ
- 1.1.5Fire Dances|ファイアー・ダンス
- 1.1.6Night Time|ナイト・タイム:暴虐の夜
- 1.1.7Brighter than a Thousand Suns|ブライター・ザン・ア・サウザンド・サンズ:漆黒の果て
- 1.1.8Outside the Gate|アウトサイド・ザ・ゲート
- 1.1.9The Courtauld Talks|ザ・コートールド・トークス
- 1.1.1Extremities, Dirt and Various Repressed Emotions|エクストリミションズ, ダート・アンド・ヴァリアス・リプレスド・エモーション:怒涛
- 1.1.2Pandemonium|パンデモニウム
- 1.1.3Democracy|デモクラシー
- 1.1.4Killing Joke|キリング・ジョーク
- 1.1.5Hosannas from the Basements of Hell|ホナンザ・フロム・ザ・ベースメント・オブ・ヘル
- 1.1.6Absolute Dissent|アブソリュート・ディセント:宣戦布告
- 1.1.7MMXII|MMXII
- 1.1.8Pylon|パイロン
Extremities, Dirt and Various Repressed Emotions|エクストリミションズ, ダート・アンド・ヴァリアス・リプレスド・エモーション:怒涛
オリジナルアルバム 8作目 – (1990年)
インダストリアル・メタルのムーヴメントが勃発して、シーンが活性化を見せたことも影響しているのか、この時点においては過去最高と言えるほどに、ヘヴィでハードコアなサウンドに仕上がったアルバム。
しかし、何故かインダストリアル・メタルのブームの波も、METALLICAのカバーによる知名度アップも、リアルタイムでの人気/セールスアップには直結せず、逆に、シーンでの存在感は薄まるという残念な結果になりました。
本来ならば、一気に上向いてしかるべきタイミングにもかかわらず、所属レーベルとの確執によりドイツのメタル専門レーベル『ノイズ』へと移籍した影響もあってか、本作は、KILLING JOKEのキャリア中で唯一、本国イギリスのチャートランク外に終わったアルバムとなり、知名度と評価共に今ひとつの印象の薄い存在へと追いやられています。
しかしながら、その実アグレッシヴな熱量に満ちた楽曲は粒ぞろいで、極めて高水準な仕上がりを見せており、充実ぶりは比類なきもの。
ヘヴィなサウンドも相まって、インダストリアルメタルのリスナーでも十分に楽しめる、“隠れた名盤”の称号に恥じない1枚となっています。
なお、次作ではユースが復帰を果たすため、ポール・レイヴンの参加は一旦は本作までとなります。
|サイケ度:★☆☆☆☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Pandemonium|パンデモニウム
オリジナルアルバム 9作目 – (1994年)
初期のインダストリアル・メタルのムーヴメントが絶頂にあった時期のアルバムで、それを反映したかのように前作にも匹敵するヘヴィなサウンドとなっていますが、ロック的なヘヴィネスやアグレッションに限って見れば前作に分がある印象。
ここでは、この時期にサイケデリック・トランスをメイン・フィールドとしていたユースの復帰が反映された面が強く、インダストリアル・メタル特有のメタルギターによるヘヴィサウンドの追求以と同等以上に、トランス,ダブ,アンビエントなどのEDMサウンドの導入による、ダンサブルでトランシーなサウンドの追求に注力されています。
それこそが、この時期のKILLING JOKEサウンドを形成する上での、重要なファクターとなっており、その点だけに目を向けるなら『Fire Dances(4th)』あたりに近いアプローチと見ることもできるでしょう。
メタルファン/ロックファンにとって本作は、キャッチーでわかりやすいカタルシスに欠けるためか、インダストリアル・メタルのシーンを一新するほどのインパクトは残せませんでしたが、メディアでも前作よりは大きく取り上げられて、英国ではチャート上位へのランクインも果たしました。
事実、純粋に作品としてのクオリティの面だけを見ても、作風の好き嫌い以外は文句のつけようのないの出来栄えで、絶品のヘヴィダンスチューンが並ぶ充実作として、前作ほどには隠れていない“隠れた名盤”と言えます。
|サイケ度:★★★★☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Democracy|デモクラシー
オリジナルアルバム 10作目 – (1996年)
基本的な方向性は、前作の延長線上にあるともいえる作風で、サイケデリック・トランスをはじめとしたトランシーでダンサブルなサウンドが、作品における重要なエッセンスとなっている点でも同様。
ただし、前作との比較の限りでは、メタリックな質感とヘヴィネスによるソリッドなエッジの立ったサウンドが、ここでは、やや角が取れたソフトでなめらかものとなっており、全体的に、過剰なヘヴィネスも抑えられて、まろやかでオーガニックな質感を強めた印象もあります。
序盤はそれが特に顕著で、やや陽性で穏やかな雰囲気を持った、ソフトでポップな曲調が目立つ流れとなっており、ダークでヘヴィな前作のイメージとの落差もあって、聴き手によっては刺激が足りずやや地味にも感じられるかもしれません
しかし、アルバムも中盤に差し掛かると、前作と同様のサイケデリック・トランスをベースとしたヘヴィなダンス・チューンも交えるようになり、フィジカルな高揚感も感じることができます。
ヘヴィネスとテンションの高さ、それによるインパクトに限るならばともかく、総合力では前作にひけをとるものではありませんが、サイケデリック/レイヴ・カルチャーに対する聴き手のリテラシーに、評価が左右される面は否めません。
|サイケ度:★★★★☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
賛否両論 通好み スルメ盤 実験
Killing Joke|キリング・ジョーク
オリジナルアルバム 11作目 – (2003年)
6年あまりのブランクを挟んだのちの復帰第1作目となる本作は、時には解散以前のサイケ&ダンサブルな要素を交えつつも、KILLING JOKE史上でも最もヘヴィメタリックでエクストリームなアルバムとなりました。
本作が、この時期のニューメタルの隆盛による、シーンのヘヴィネス過剰化傾向を視野に入れていることは間違いの無いところでしょう。
しかし、それらの類型的なスタイル/メソッドには同調せず、自身の過去のアプローチとも一線を画しながらも、エクストリームなヘヴィミュージック最新モードにも匹敵する、最上級のヘヴィネスとアグレッションを持った、圧倒的なクオリティのインダストリアル・メタルを完成させています。
このあたりには、KILLING JOKEの音楽的なボキャブラリーの豊富さと、自身のスタイルの引き出しの多さが反映されており、さすがというほかありません。
本作において一新された独自のヘヴィサウンドは、新世代リスナーやメタルファンにもアピールしたことによってファン層も一層の広がりを見せただけでなく、これ以降もコンスタントな活動を続けることに成功しており、その意味においては、ややもすればロートル扱いさえされがちだった彼らを、新たなステージへと導くことになったターニングポイントに位置する重要作とも言えます。
|サイケ:★☆☆☆☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Hosannas from the Basements of Hell|ホナンザ・フロム・ザ・ベースメント・オブ・ヘル
オリジナルアルバム 12作目 – (2006年)
同時代的なヘヴィネスを持ったサウンドという意味では、本作もまた前作と同様のアプローチとも言えますが、ここでは、90年代に見られたダンサブルでトランシーな楽曲が増えており、同時に、楽曲の長尺化の傾向も目につくようになりました。
T-07のような、サイケデリック・トランス調の曲も見られますが、それらも、全体的には90年代のナンバーのようなEDMテイストは希薄で、ここでは、“ダンス対応も可能なヘヴィミュージック”と呼べる枠内に収められています。
作風については、フィジカルな機能性を追求するような傾向も見られるものの、楽曲は粒ぞろいであり、そのいずれもが印象的な仕上がりを見せるなど、その充実度と完成度については非常に高いレベルにあります。
個々の楽曲を見ると、前作より以前の過去の作風への回帰を意識したような一面もあり、バックカタログに見られる様々なエッセンスが、アルバムの端々で顔をのぞかせます。
サウンド面では、ヘヴィメタリックな質感は維持されてるので、前作ほど直接的なヘヴィメタル・サウンドではないものの、とりあえずは、メタラーでも楽しめる範囲内の変化にとどまっていると言っていいでしょう。
なお、今作ではユースが一時離脱しており、その専属交代要員と化していた故ポール・レイヴンが、再び加わっています。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★★★☆
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Absolute Dissent|アブソリュート・ディセント:宣戦布告
オリジナルアルバム 13作目 – (2010年)
本作は、再結成以来のヘヴィなインダストリアル・メタル路線に、シンセポップ/テクノポップ路線のポップチューンを加えて多様性を持たせたような作風で、直近2作に特徴的だった、アグレッシヴなインダストリアル・メタル・ナンバーや、EDM系のダンサブルなナンバーの比重は減退しています。
ここでのシンセポップ路線は、『Revelations(3rd)』や『Night Time(5th)』あたりの作風にも通じるものながら、それらほどにはゴシック的な暗さは無く、むしろほの明るい雰囲気を漂わせており、その意味では『Democracy(10th)』に近い印象もあります。
シンセポップ系の楽曲がが従来のヘヴィチューンと同居したこともあり、また全体的に同時代的なヘヴィネスは抑え気味で、復帰直後の強烈なテンションとアグレッションも見られませんが、それでも、近作のファンでも許容できる必要十分な程度には維持されています。
90年代から続くニューウェイヴ・リヴァイヴァルの中で、インダストリアル界隈でもひとつの定番として固有のシーンを確立した、シンセポップ/テクノポップ路線ですが、この類に多い、単なるバブリーなシンセポップの焼き直しには陥らず、独自の味付けとツイストを加えているあたりは、オリジネイターたるKILLING JOKEの矜持といったところでしょう。
いずれにせよ、インパクトや即効性が薄くなった分だけ、楽曲の質が問われることになりますが、総合力においては極上クラスではないものの、T-03, T-05, T-10, T-12など佳曲も多く、及第点は余裕で飛び越えるスキの無い安定の仕上がりと言えます。
なお、今作からはユースが復帰しているため、代役のポール・レイヴンはお払い箱となっています。
|サイケ度:★★☆☆☆
|マシーン度:★★★☆☆
|ダンス度:★★★☆☆
|ポップ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
入門盤 賛否両論 スルメ盤
MMXII|MMXII
オリジナルアルバム 14作目 – (2012年)
復活直後には濃厚に充満していた圧倒的なヘヴィネスはいくぶん後退気味の落ち着いた印象で、ヘヴィチューンとやソフトなポップチューンを同居させてた構成…という意味では、今作もまた、おおむね前作を踏襲したものと言えます。
とはいえ、基本的なスタイルについては、前作と比較しても大きな変化が無いにもかかわらず、単なる前作の焼き直しに終始することは回避され、KILLING JOKEならではの独自性も強化されています。
本作は、ニューウェイヴ/シンセポップのリヴァイヴァルの追従したという空気は前作以上に抑えられていますが、これは、KILLING JOKEお得意のトランシーなサイケデリック・テイストを強化して主軸に据えたことによるところが大きく、それによって独自性がさらに強まり、サウンドの奥行きと深みも増しています。
また、また全体の雰囲気は、前作からややダークに傾いた傾向があるものの、ダンサブル路線やポップ路線など楽曲のバリエーションは豊富で、色調が単一でフラットな印象は与えず、それぞれの楽曲もよく練られておりアベレージも上々。
さすがに、ここまでくると新鮮味は薄いものの、類型化が進みがちなインダストリアル・メタルのシーンで異彩を放つ個性は健在で、確かな満足を感じることのできるの充実の1枚と言えます。
|サイケ度:★★★☆☆
|マシーン度:★★★★★
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Pylon|パイロン
オリジナルアルバム 15作目 – (2015年)
80年代〜90年代に展開した音楽性を、00年代以降のヘヴィサウンドに見劣りしないヘヴィネスを持たせた同時代性を持ったスタイルに再構築するという、復活以来のアプローチもひと段落となったようで、本作は、再結成KILLING JOKEにとってのいわゆる“キャリアの総決算的スタイル”を展開。
ヘヴィでアグレッシヴなエクストリーム・インダストリアル・メタル、サイケデリック・トランス路線などのヘヴィなダンスチューン、ニューウェイヴ・リヴァイヴァル系のメロディアスなシンセポップ。
これら、再結成以来繰り広げてきた各手法による曲がバランス良く配置され、特定のスタイルに偏ることはありませんが、全体的には、直近2作あたりよりもややヘヴィネスが強まり、アッパーでダンサブルな印象を強めています。
過去に持ち味としていた、エスニック/トライバルテイストや、ゴシックテイストなどが濃厚な曲は見られず、“トリッピーなサイケデリア”,“エクストリームなヘヴィネス”など、アルバム全体を方向性を決定づける明確なカラーもありませんが、それが、バラエティに富んだ仕上がりもにつながっています。
正直なところ、手札の数や組み合わせは底をついてきた印象は拭えませんが、それでも楽曲はブラッシュアップを重ねて練り上げられ、その水準は極上のグレードを維持していますし、時流のモードに安易に迎合することのない独自のアプローチは、ベテランらしからぬ現役感を存分に感じさせます。
00年代以降の、類型的なインダストリアル・メタルやニューウェイヴ・リヴァイヴァルとは明確に距離を置いた、KILLING JOKEならではの個性が発揮された会心作と言っていいでしょう。
|サイケ度:★★★★☆
|マシーン度:★★★★★
|ダンス度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作