★ MEKONG DELTA(メコン・デルタ)ディコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|ドイツの異能派スラッシャーが生み出す変態クラシカルプログレッシヴテクニカルスラッシュ!!…必聴アルバムは?

MEKONG_DELTA_logo ◆ M, N

腕ききプロデューサー、レコード会社社長、バカテクミュージシャンと、いくつもの顔を持つジャーマンメタルシーンの鬼才による、変態テクニカルメタルを追求する異色のクラシカルプログレッシヴスラッシュメタルバンド!!

MEKONG DELTA(メコン・デルタ)は、スラッシュメタルシーンの中でも最もプログレッシヴロック色が強いグループのひとつとして知られているテクニカルなジャーマンスラッシュメタルバンド。

中心人物のラルフ・ヒューベルト(Ralph “Ralf” Hubert)によるプロジェクト体制のグループで、ヒューベルトはプロディーサーやエンジニアとしてもKREATORをはじめ多数のバンドを手がけてきたほか、HOLY MOSES, LIVING DEATHなどの個性的なバンドをリリースしてきたドイツのヘヴィメタルレーベル、Aaarrg Recordsのオーナーとしても知られています。

デビュー後しばらくは覆面バンドとして活動しており、RAGEやLIVING DEATHのメンバーも匿名で参加していました。また、当初はヒューベルトはブレインとしてバンドの総指揮を行っていましたが、ベースを担当していたピーヴィー・ワグナー(RAGE)の脱退を期に自身もビョルン・エルクンド(Björn Eklund)名義でベーシストして参加するようになります。

テクニカルスラッシュの中でも特にクラシック音楽とプログレッシヴロックの影響が強いグループで、それをダイレクトにバンドサウンドへ反映されており、ムソルグスキーなどクラシックアーティストやプログレバンドのカバーも度々試みてきました。
しかし、クラシック志向のヘヴィメタルバンドが陥りがちなキーボードをフィーチャーしたネオクラシカル系パワー/スピードメタルの類型的なサウンドにはしることはなく、独自のメソッドによる独自の作風を作り上げています。
当初は作品リリースのみの活動に終始していたことから、その“複雑怪奇”と評されることもあった変則的なテクニカルサウンドに対して、一部では「ライヴでの再現は不可能」と主張する声も少なくありませんましたが、その声に対抗するかのようにライヴツアーも行いライヴアルバムもリリースしています。

90年代の末期から長いあいだ活動は途絶えていましたが、2007年には活動を再開して新作もリリース。その後も決してハイペースではないものの、コンスタントなアルバムリリースを続けています。

MEKONG DELTA |DISCOGRAPHY

Mekong Delta|メコン・デルタ

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オリジナルアルバム 1作目 – (1987年)

本来は、ピーヴィーを含むRAGE初期メンバーと制作していたアルバムですが、レコーディング前にピーヴィーは脱退し、仮名でのクレジットのみが残っています。この時点ではプログレというより気持ち程度テクニカルなスラッシュの範囲内に収まる比較的ストレートな作風で、変態度は希薄ですが単純に完成度の高い上質なスラッシュメタルとして聞くことができます。

スラッシュ度:★★★★★|プログレ度:★★☆☆☆|変態度:★☆☆☆☆
クラシク度:★☆☆☆☆|スピード:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作

The Music of Erich Zann|ザ・ミュージック・オブ・エーリッヒ・ツァン

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オリジナルアルバム 2作目 – (1988年)

ヒューベルトが好んで題材に取り上げるアメリカのカルトなホラー作家、P・H・ラヴクラフトの代表作『エーリッヒ・ツァンの音楽』をテーマにしたアルバムで、テクニカルスラッシュとしては最高峰に位置する一枚。
本格的にMEKONG DELTA流のプログメタル/テクニカルスラッシュへと一歩を踏み出しており、テクニカル&フリーキーなプログレ色が増しています。DREAM THEATERなどに代表されるプログレハードベースのプログメタルではなく、あくまでもスラッシュメタルをサウンドの基調としたテクニカルスラッシュ。のちに類型的なプログレアプローチに傾く彼らですが、この時点ではスラッシュメタルに根ざしていたことによって、登場時からすでに様式美化が進行していたブログメタル勢と一線を画すこととなっており、結果的に彼らを先鋭的な独自性を持った存在としていました。

スラッシュ度:★★★★☆|プログレ度:★★★☆☆|変態度:★★★☆☆
クラシク度:★★☆☆☆|スピード:★★★★☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作

The Principle of Doubt|ザ・プリンシパル・オブ・ダウト

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オリジナルアルバム 3作目 – (1989年)

スラッシュメタル色は残っているもののかなり薄まっており、音楽性も広がってより広義の意味でのヘヴィメタルとして聴けるサウンドに変化を遂げた意欲作。スラッシュテイストは薄れたとはいえ類型的なプログメタルには陥っていませんし、多彩な作風で完成度の高い個性的な楽曲が並んでおり、初期の代表作に推されることが多いのも納得のクオリティ/アベレージの高さです。
楽曲によっては、ある意味でVOIVODなどにも通じるようなサイケデリックでスペーシーな感触もあります。

スラッシュ度:★★★☆☆|プログレ度:★★★☆☆|変態度:★★★★☆
クラシク度:★★☆☆☆|スピード:★★★☆☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作

Dances of Death (And Other Walking Shadows)|ダンセズ・オブ・デス(アンド・アザー・ウェイキング・シャドウズ)

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オリジナルアルバム 4作目 – (1990年)

20分弱の大長編曲T-01と10分強長編曲 T-04が集録され、プログレ色が大幅にアップしたアルバム。好意的に捉えればスラッシュサウンドも踏襲しつつもその枠を超えようとしたとも言えますが、逆に言えばプログレ大好きミュージシャンの類型的な思考に囚われたとも言えます。
プログレ志向のバンドはこういった超大作を一度は試してみたくなるようですが、多くの場合は尺を保たせるので手一杯で冗長なだけに終わっています。それらと比較するとT-01は幾つかの楽曲を組み合わせた組曲形式なのでハードルは格段に低いとはいえ、間延びすることなく最後までスリリングでテンションが落ちないだけでも評価に値します。
ただし、T-04の“禿山の一夜”は恒例のクラシックカバーで、特にヒネったアレンジでもありません。これをあくまでオマケと捉えれば実質30分弱のミニアルバムレベルなのでボリューム的には今ひとつ。

スラッシュ度:★★★☆☆|プログレ度:★★★★★|変態度:★★★☆☆
クラシク度:★★★★★|スピード:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆

代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Live at an Exhibition|ライヴ・アット・アン・エキシビジョン

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ライヴアルバム – (1992年)

当時は評論家やミュージシャンの間でもライヴでの再現は不可能説が囁かれていた彼らが、「そこまで言うなら…」とばかりに実行に移したライヴツアーを収録したアルバム。
ここではスタジオ盤と変わらぬ超絶技巧を披露して、あらためて彼らの実力を世界に証明することとなりました。実際のところそれだけのためにツアーが行われライヴ盤がリリースされたとも思えるほどで、それが確認できるという一点においては確かに重要な作品です。しかし、ライヴならではの臨場感やスタジオ盤では聴けないアレンジやインプロが堪能できるタイプのアルバムではないので、ライヴでの楽曲再現を確認する以上の意味はありません。初期ベストとしては最適。

スラッシュ度:★★★★☆|プログレ度:★★★☆☆|変態度:★★★★☆
クラシク度:★★☆☆☆|スピード:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論 通好み

Kaleidoscope|カレイドスコープ

MEKONG_DELTA_Kaleidoscope

オリジナルアルバム 5作目 – (1992年)

大作主義の前作から一転して、5〜6分前後の比較的コンパクトな楽曲主体の作風となっており、スラッシュサウンドも踏襲しながらもその枠に止まらない幅広い楽曲が並ぶスタイルは、3作目のThe Principle of Doubtに近く、その発展系ともこれまでの総決算ともいえるもの。スラッシュメタルからのプログレアプローチ、予測不能な変則的な楽曲展開、スペーシーなサイケデリックテイストなど、音楽性は異なりますが同時期のVOIVODなどに通じる部分も見られます。
スラッシュメタルからは逸脱気味ではあるものの類型的なプログレメタルに堕したわけではなく、緻密に構築されたユニークで完成度の高い楽曲は過去最高のレベルにあり、キャリア中期の代表作と呼ぶにふさわしい名盤です。
今回の恒例クラシックカバーは『剣の舞(T-07)』で、これはさすがにギャグスレスレで少し浮いていますが、GENESISのカバーT-03はうまく馴染んでいます。

スラッシュ度:★★★☆☆|プログレ度:★★★★☆|変態度:★★★★☆
クラシク度:★★☆☆☆|スピード:★★★☆☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Classics|クラシックス

MEKONG_DELTA_Classics

オリジナルアルバム 5作目 – (1992年)

過去に発表したクラシックナンバーのカバー曲(トワイライトゾーンのテーマも含む)を集めたアルバムで、オリジナルを持っていれば特に意味はなく、よほどのカバーアルバムマニアでもなければ不要でしょう。
この後、ヒューベルトの趣味性の強いシンフォサウンドをフィーチャーしたクラシカルプログレ路線に傾いていくことを考えると、ここでの本作のリリースは象徴的とも思えます。

スラッシュ度:★★★☆☆|プログレ度:★★★☆☆|変態度:★★☆☆☆
クラシク度:★★★★★|スピード:★★★☆☆|総合評価:★★☆☆☆

賛否両論 お布施

Visions Fugitives|ヴィジョンズ・フュージティヴス

MEKONG_DELTA_Visions_Fugitives

オリジナルアルバム 6作目 – (1994年)

サンプリングを用いた擬似オーケストレーションを導入した組曲形式のアルバムという、これまでからは考えられないほどベタなクラシカルプログレ路線に走ったアルバム。T-02などのように部分的には彼ららしい変態性も感じられるのですが、初期のスリリングなテクニカルスラッシュでも前作Kaleidoscopeでのオルタナティヴメタルでもなくなり、当時あふれかえっていたDREAM THEATER以降の複雑で大仰なだけのスタイルと化しています。もっとも、それらの中では頭ひとつ以上抜きん出ているので、割り切って聴くならそれなりには楽しめるでしょう。
同じ組曲形式も用いたDances of Death(4th)ではまだ刺激が感じられていたことを考えると、当時まだ先鋭性の名残を保っていたスラッシュメタルに両足でなくても片足だけでも身を置いていたことが、彼らの独自性に反映していたのは間違いないでしょう。

スラッシュ度:★☆☆☆☆|プログレ度:★★★★★|変態度:★★☆☆☆
クラシク度:★★★★☆|スピード:★☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤

Pictures at an Exhibition|ピクチャー・アット・アン・エキシヴィジョン

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オリジナルアルバム 7作目 – (1997年)

ムソルグスキーの『展覧会の絵』をメタルアレンジでカバーしたアルバム。ヒューベルトが敬愛しMEKONG DELTAのサウンドコンセプトのヒントにもなった、EL&P(EMERSON, LAKE & PALMER(エマーソン・レイク・アンド・パーマー))と全く同じ試みですが、EL&Pバージョンのカバーではなく独自のアレンジ。なお、サンプリングによる擬似オーケストレーションバージョンとのカップリング盤も存在します。
メタルバンドがクラシックメソッドを取り入れることの評価について聴き手の好み次第としても、EL&Pバージョンリリースの1971年とは異なりもはやこういった試み自体に特別な意味性や批評性がある時代でもないので、単なるヒューベルトの趣味による自己満足に過ぎません。それに傾倒できるか、原曲に興味があるか、カバー曲マニアということでもなければ、無理に手に取る必要はないでしょう。

スラッシュ度:★★☆☆☆|プログレ度:★★☆☆☆|変態度:★☆☆☆☆
クラシク度:★★★★★|スピード:★☆☆☆☆|総合評価:★★☆☆☆

賛否両論 実験作 お布施

Lurking Fear|ラーキング・フィアー

MEKONG_DELTA_Lurking_Fear

オリジナルアルバム 8作目 – (2007年)

解散こそしていなかったものの長いブランクを経ての再始動アルバムで、メンバーは総入れ替えされています。
スラッシュメタル再評価によるリバイバルの波に乗るために、ヒューベルトのクラシック趣味も極力抑えプログレメタル様式も控えめに、全盛期の作風に近い複雑でトリッキーなテクニカルスラッシュサウンドを追求しています。
結果的に全盛期の作品に匹敵するスリリングで高品質なアルバムに仕上がっており、復活後の作品の中ではオールドファンも手に取る価値のある満足度の高い作品です。

スラッシュ度:★★★★☆|プログレ度:★★★☆☆|変態度:★★★★☆
クラシク度:★★★☆☆|スピード:★★★★☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作

Wanderer on the Edge of Time|ワンダラー・オン・ザ・エッジ・オブ・タイム

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オリジナルアルバム 9作目 – (2010年)

前作で好調な走り出しを見せたかと思いきや、早速ヒューベルトのクラシック&プログレ嗜好が頭をもたげ、またしても組曲形式担った上に一般的なプログメタルに大きく接近したアルバムとなりました。
しかし、過去の組曲路線と異なり、各章が独立して個別の曲としての鑑賞に耐えるにつくりですし、作風も多彩でテクニカルスラッシュのT-07やT-10などを始めヘヴィなナンバーも多く、それぞれがよく練られた高水準な仕上がりなので、前作の延長線上の作品として十分に楽しめるアルバムです。

ヘヴィ度:★★★★☆|ハード度:★★★★☆|メロディ:★★★★☆
大作度:★★★★☆|マニア度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作

Intersections|インターセクションズ

MEKONG_DELTA_Intersections

オリジナルアルバム 10作目 – (2012年)

カバーベストということで素材の良さは文句なしなので、一定水準以上のクオリティは担保されていますが、それ以上のものではありません。
以前よりヴォーカルの必然性が薄く不要論さえ囁かれていたMEKONG DELTAですが、同じ曲で聴き比べる現在のヴォーカルはあまりにもお粗末で、歴代ヴォーカリストは異形の表現という一点だけでもいくらかの効果を上げていたことが確認できます。

スラッシュ度:★★★★☆|プログレ度:★★★☆☆|変態度:★☆☆☆☆
クラシク度:★★☆☆☆|スピード:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 お布施

In a Mirror Darkly|イン・ア・ミラー・ダークリィ

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オリジナルアルバム 11作目 – (2014年)

今回は組曲形式ではなく曲数も全7曲とコンパクトですが、楽曲は概ね6分以上とかなり長めです。テクニカルではあるものの、以前と比較すると変態性の強い変則的な展開は少なめ。彼らの作品としてはかなりオーソドックスで、テクニカルスラッシュとして聴ける作風なので、比較的敷居の低い部類に入るでしょう。ただし、テクニカル路線のわりにはいまひとつスリルに欠けますし、やや作り込みが足りないのか冗長に感じられる部分も目立つので、「オールドファンも納得」とまでは言えません。

スラッシュ度:★★★☆☆|プログレ度:★★★★☆|変態度:★★★☆☆
クラシク度:★★★☆☆|スピード:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤

Tales of a Future Past|テイルズ・オブ・ア・フューチャー・パスト

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オリジナルアルバム 12作目 – (2020年)

音作りは現代的なヘヴィサウンドですがプログレテイストが大幅増量しており、過去のプログレッシヴロック作品を思い起こさせるフレーズもそこここで聴けます。
ごく一部の楽曲を除けばテクニカルスラッシュからは完全に逸脱しており、スラッシュメタルの名残はもはやスラッシーなリフ程度。DREAM THEATERのブレイク以降に雨後の筍のようにあふれかえったプログレメタル勢とさしたる差のないサウンドで、マグナカルタレーベルのアーティストと言われても納得できるほどです。
同傾向の作品の中では水準以上には達しているものの、彼らならではの独自性はほとんど感じられないレベルに後退しているので、別のバンドのつもりで聴いた方がいいかもしれません。

スラッシュ度:★★☆☆☆|プログレ度:★★★★★|変態度:★★☆☆☆
クラシク度:★★★☆☆|スピード:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 通好み 実験作
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