Contents
- 1エピック・デスのパイオニアとして壮大な様式美デスメタルを極めたUSフロリダン・デスメタルの魔王!
- 1.1MORBID ANGEL|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Abominations of Desolation|アボミネイションズ・オブ・デソリューション
- 1.1.2Altars of Madness|アルター・オブ・マッドネス:狂える聖壇
- 1.1.3Blessed Are the Sick|ブレスド・アー・ザ・シック:病魔を崇めよ
- 1.1.4Covenant|コヴェナント
- 1.1.5Laibach Remixes|ライバッハ・リミックス
- 1.1.6Domination|ドミネイション
- 1.1.7Entangled in Chaos|エンタングル・イン・カオス
- 1.1.8Formulas Fatal to the Flesh|フォーミュラス・フェイタル・トゥ・フレッシュ
- 1.1.9Gateways to Annihilation|ゲートウェイ・トゥ・アナイアレーション
- 1.1.10Heretic|ヘレティック
- 1.1.11Illud Divinum Insanus|イルド・ディヴァイナル・インサナス:狂える神々
- 1.1.12Illud Divinum Insanus - The Remixes|イルド・ディヴァイナル・インサナス - ザ・リミックス
- 1.1.13Kingdoms Disdained|キングダムス・ディスデインド
- 1.1.13.1◎ MORBID ANGELはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
- エピック・デスのパイオニアとして壮大な様式美デスメタルを極めたUSフロリダン・デスメタルの魔王!
- MORBID ANGEL|DISCOGRAPHY
- Abominations of Desolation|アボミネイションズ・オブ・デソリューション
- Altars of Madness|アルター・オブ・マッドネス:狂える聖壇
- Blessed Are the Sick|ブレスド・アー・ザ・シック:病魔を崇めよ
- Covenant|コヴェナント
- Laibach Remixes|ライバッハ・リミックス
- Domination|ドミネイション
- Entangled in Chaos|エンタングル・イン・カオス
- Formulas Fatal to the Flesh|フォーミュラス・フェイタル・トゥ・フレッシュ
- Gateways to Annihilation|ゲートウェイ・トゥ・アナイアレーション
- Heretic|ヘレティック
- Illud Divinum Insanus|イルド・ディヴァイナル・インサナス:狂える神々
- Illud Divinum Insanus – The Remixes|イルド・ディヴァイナル・インサナス – ザ・リミックス
- Kingdoms Disdained|キングダムス・ディスデインド
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- MORBID ANGEL|DISCOGRAPHY
エピック・デスのパイオニアとして壮大な様式美デスメタルを極めたUSフロリダン・デスメタルの魔王!
MORBID ANGELはUSデスメタルの本場フロリダを拠点に80年代から活動を続ける、デスメタル黎明期を支えたパイオニアグループのひとつ、
スラッシュメタルの延長線上的なものを超えた、本格的なデスメタルスタイルをいち早く完成させたバンドとして、また、ドラマティックなSEやおどろおどろしく大仰な展開など、デスメタルならではのエピック的様式美サウンドを作り出した存在として、シーンでも殿堂入りの別各バンドと見做され、デスメタル界の「魔王」,「帝王」などとも称されています。
MORBID ANGELは強固なデスメタル系様式美を持っているのは確かですが、その反面、アルバムごとにスタイルを変えつつエクストリームミュージックシーンのトレンドも取り入れるなど柔軟な一面もあり、そういう意味でも様式美の権化という意味でも、デスメタル界のJUDAS PRIESTと呼べそうなポジションにあります。
MORBID ANGEL|DISCOGRAPHY
Abominations of Desolation|アボミネイションズ・オブ・デソリューション
コンピレーション – 初期デモ作品集 (1991)
90年代にリリースされることになった、幻のデビューアルバムと呼ばれる真の1作目。実質的には過去のデモ音源の寄せ集めで、バンドが音質の悪さを理由にリリースを嫌がってアンオフィシャルとなった経緯もあって、信者的ファンの間にはにあまり褒めてはいけないような雰囲気もあります。
確かにデビュー後と比較すると音質は荒々しくも技術もイマイチですが、彼らのいつものサウンドに“作り込み過ぎ”,“装飾過剰”を感じるリスナーなら、このサウンドの方がシックリくることでしょう。
音質が悪いとはいえ、C級ブラックメタルに比べれば“宅録”と“スタジオ”、“モノラルラジオのエアチェック”と“普通のCD音源”くらいの差はあります。
楽曲も、のちに数枚のアルバムで再録されて代表曲となるものがいくつも収録されているのですから、悪かろうはずがありません。
|マニア度:★★★★★
|総合評価:★★★★★
賛否両論 通好み スルメ盤
Altars of Madness|アルター・オブ・マッドネス:狂える聖壇
オリジナルアルバム – 1作目 (1989)
デスメタルやスラッシュメタルの黎明期から活動する古参グループは、デビュー当初からスキのない作品を生み出すケースもないわけではありませんが、どうしてもスタイルをゼロから開拓していかなければならないため、デビュー作はクオリティやアイデアが追いついていないものが目立ちます。
それはビッグネームから末端レベルまで変わりませんが、MORBID ANGELはの本作はデモテープ時代からブラッシュアップを重ね続けた楽曲とアイデアが詰め込まれているだけあって、全盛期の作品と比較してもまったく見劣りしません。
のちのアルバムと比較するとかなりストレートでシンプルなつくりのサウンドですが、この時点で基本的な彼らのスタイルは完成されており、最高傑作として推す声も単なる“デビュー作原理主義リスナーの盛りすぎの戯言”と済ますことはできません。
|マニア度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作
Blessed Are the Sick|ブレスド・アー・ザ・シック:病魔を崇めよ
オリジナルアルバム – 2作目 (1991)
SEやインストなどの演出を駆使してドラマティックに盛り上げる、大仰なMORBID ANGEL流のエピック的デスメタル様式美が本格的に炸裂しており、見方によってはもっとも彼ららしいとも言えるアルバム。
単に大げさなだけでなく、クオリティもハイレベルでアンセム級の名曲も収録されているのでので、初期リスナーにはこの作品をベストに挙げるリスナーも多いですが、当時マニアの間では、全く方向性の異なる1作目と今作をめぐって、どちらの支持派かで意見が割れて紛糾していました。
ブレイク後の4作目以降とは同じように思えてその実かなり趣がやや異なるもので、結果的に前作とともにこの時代でしか聞くことのできないオンリーワンのサウンドです。作風やディスコグラフィー中でのポジションなど、イメージ的にはスレイヤーのヘル・ア・ウェイツにを思わせるところがあり、ジャケット(出来合ですが)の色調などそれを意識している節もあります。
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
代表作 賛否両論
Covenant|コヴェナント
オリジナルアルバム – 3作目 (1993)
2ndまでと違って日本盤リリースが見送られていたこと、次作で本格的にブレイクを果たしさらに知名度を上げたこともあって、当初日本では無視されがちで存在感の薄いアルバムでしたが、1stをブラッシュアップしたような完成度の高いサウンドは、ベストに挙げるリスナーが多いのも納得させられる仕上がりです。
彼らの作品中ではもはや異質と言ってもいいものになった、装飾過多で大仰になり過ぎないストレートなデスメタルとしては、彼らのカタログ中のみならずデスメタルシーンを見回しても最高峰に位置する一枚です。
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Laibach Remixes|ライバッハ・リミックス
ミニアルバム (1994)
|マニア度:★★★★★
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Domination|ドミネイション
オリジナルアルバム – 4作目 (1995)
彼らの総決算/集大成程な作品であり、現在に至るまでの最高傑作と呼ぶに値する充実作。
よく中堅アーティストがネタ切れで展開に行き詰まり、これまでのボキャブラリーを切り貼りしてひねり出した焼き増し作品に対して、なんとか持ち上げないといかないライターが『過去の集大成的作品』と評をすることがママありますが、このアルバムはそんな“好意的すぎる表現”としてではなく真の意味で集大成と呼ぶことができる数少ない作品。
のちにインダストリアルテイストを導入して物議をかもしますが、この時点ですでにプログラミングを導入しており、サウンドテクスチャーにはうっすらとですがインダストリアル的な質感が感じられ、すでにビンセントの関心がインダストリアルサウンドに移っていたことがわかります。
|マニア度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Entangled in Chaos|エンタングル・イン・カオス
ライヴアルバム – 1作目 (1996)
“スタジオアルバムと聴き紛うような驚異的な演奏”と評されていたライヴアルバム。
この、“スタジオアルバム完全再現”というのは、メタルクラスタ的には褒め言葉となっているのですが、ライヴ盤に“スタジオとは一味違った魅力”を期待する人種には全く理解不能の感覚です。
確かに下手すぎてガタガタではお話になりませんが、彼らのサウンド程度なら、音源をそのまま再現されても「あぁ、ちゃんとやってるね」程度の感想。それ以上は何の刺激も感動もありません。
どちらかというと、シメることができるのか不安になるくらいに暴走するインプロなど、多少荒かろうがライヴならではの生々しさやアレンジを重視してしまうので、この手の“スタジオアルバム完全再現”系のライヴアルバムにはあまり価値を見出すことができません。“ライヴベスト”と割り切ればそれなり価値を見出せるかもしれません。
|マニア度:★★★★★
|総合評価:★★★★☆
入門盤
Formulas Fatal to the Flesh|フォーミュラス・フェイタル・トゥ・フレッシュ
オリジナルアルバム – 5作目 (1998)
基本路線は前作を踏襲したサウンドで特に前半は前作の焼き増し感が強く、ソコソコ止まりのクオリティも相まって軽く一聴した印象ではあまりいい印象はありませんでした。
しかし後半で聴ける大作T-11を中心としたある種プレグレ的な展開は、単に演出が大仰なだけの2ndとは全く異なった新境地であり、他のプログレ/テクニカル系デスメタルとも一味違うスタイルにたどり着いた楽曲は非常に魅力的。後半での展開を聴くためだけにでも購入する価値はあります。
|マニア度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 実験作
Gateways to Annihilation|ゲートウェイ・トゥ・アナイアレーション
オリジナルアルバム – 6作目 (2000)
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
Heretic|ヘレティック
オリジナルアルバム – 7作目 (2003)
|マニア度:★★★☆☆
|総合評価:★☆☆☆☆
賛否両論 お布施
Illud Divinum Insanus|イルド・ディヴァイナル・インサナス:狂える神々
オリジナルアルバム – 8作目 (2011)
|マニア度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 実験作
Illud Divinum Insanus – The Remixes|イルド・ディヴァイナル・インサナス – ザ・リミックス
リミックスアルバム – 8作目 (2012)
Illud Divinum Insanusに併せてリリースされたリミックスアルバムですが、参加したアーティストを見ると名の通った大物はほとんど見られず、いかにもビンセントが顔馴染みを連れてきたといった感じの、ビザール系イベントにいそうなビジュアルとイメージ重視のメンツがほとんど。先鋭的な音楽センスが感じられるものや独自のアプローチで驚かせてくれるようなものはほとんどありません。
インダストリアスシーンにしろEDMシーンにしろ、確かに新しいモードやムーヴメントが絶えて久しく様式化が進んでいる状況はなのが現実です。しかし、それを差し引いても正直なところ類型的どころか古臭いという印象さえあります。
そこさえ気にならなければ最低限のクオリティには達しているので、様式美ゴシック/様式美インダストリアルリスナーあたりは楽しめるかもしれません。
|マニア度:★★★★★
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み 実験作
Kingdoms Disdained|キングダムス・ディスデインド
オリジナルアルバム – 9作目 (2017)
|マニア度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論
◎ MORBID ANGELはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
MORBID ANGELは「デスメタルの魔王」などと呼ばれているわりには、よく言えば実験性が強い悪く言えばブレの大きい作風なのですが、初期4作から選んでおけばまず間違いありません。
ストレートな王道デスメタルなら“Altars of Madness(1st)”か“Covenant(3rd)”がオススメですが、エピック的な大仰さがありながらキャッチーな名曲も多い“Blessed Are the Sick(2nd)”、圧倒的な重圧的ヘヴィネスとややスペーシーな未来的質感が特徴の“Domination(4th)”も文句なしの名盤です。他のアルバムは、ひとまずその4作をコンプリートしてからで問題ないでしょう。