★ MY DYING BRIDE(マイ・ダイイング・ブライド)ディスコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|バイオリンを導入したUKゴシックメタルの個性派…必聴アルバムは?

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バイオリンを導入した独自の暗黒耽美メタルサウンドを生み出して英国ゴシックメタル黎明期を彩った個性派バンド!

MY DYING BRIDE(マイ・ダイイング・ブライド)PARADESE LOST(パラダイス・ロスト)の影響下にある英国ゴシックメタルの第一世代としてANATHEMA(アナシマ)と並んでムーヴメント黎明期を支えたバンドで、ANATHEMAと同様に単なるフォロアーに収まらない独自性の強いサウンドでを持ち、初期のゴシックメタルシーンの中でもオンリーワンの強烈な存在感を示しています。

特筆すべきは、キャリアのほぼ全時代にわたってバイオリ二ストがパーマネントメンバーとして在籍していること。
デスヴォイスと個性的なヘタウマ脱力ヴォイスの二刀流のヴォーカルとヴァイオリンサウンドを生かした、ヘヴィ&ドゥーミィでありながらも哀感と退廃感の漂うアトモスフェアを全面に押し出した、揺蕩うようなサウンドが持ち味です。

他の第一世代グループと同様に一時は脱デス/脱メタルのアプローチも試みますが、やや実験的なセンスや音楽的なボキャブラリーに乏しく他の同輩と比較するとラジカルな変化は見られず、基本的にはゴシックドゥームをベースにした定型的なスタイルに終始しています。

これはバンドの志向性というよりは、適正の方に理由のように思われます。彼らのサウンドには確かに一聴してそれとわかる強烈な個性がありますが、それに頼り過ぎるきらいがあるのも、サウンドの画一化につながっているのかもしれません。

同期のANATHEMAが英国を代表しうるバンドに認められる一方、MY DAYING BRIDEが微妙な通好みポジションにとどまっているのも、そのあたりの原因よるところが大きいでしょう。

あまり語られませんが現在のベーシストは日本人女性。

MY DYING BRIDE|DISCOGRAPHY

As the Flower Withers|アズ・ザ・フラワー・ウィザーズ

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オリジナルアルバム – 1作目 (1992)

この1stの時点では先輩のPARADISE LOSTや同期のANATHEMAらのデビュー作と同様に、ドゥーミィなデスメタルをベースにてゴシックエッセンスまぶした、耽美的エクストリームメタルサウンドを聴かせていました。

彼らのデビュー時のサウンドは同期のグループの中でも特にデスメタル色が濃厚で、グルーミィなデスヴォイスはもちろんのこと、ブラストビートによる疾走パートも交えたスタイル。
この頃からバイオリンやシンセもフィーチャーされていますが、後のようにそれをメイン楽器に用いて曲作りの柱にするまでには至っておらず、時折効果的に挿入される程度にとどまっています。

MY DYING BRIDEはゴシックメタル黎明期の中でも、特にアトモスフェリックな作風を持っていたグループです。
本作ではブラストパートを交えることで楽曲にメリハリとダイナミズムを持たせていますが、良く言えばプログレッシヴともアバンギャルドともいえる無軌道で雰囲気重視のサウンドを、どこまでが計算かわからないセンスのいいフレーズやアイデアで聴かせるというスタイルはこの頃から健在です。

初期のANATHEMAが一聴するとマニアックに感じられながら、その実オーソドックスで明快なロックミュージック的起承転結を持った楽曲に、抜群の作曲センスを結実させていたことと比較すると、ある意味では真逆の特性でありアプローチであるとも言えます。

耽美度:★★★☆☆|叙情度:★★☆☆☆|暗黒度:★★★☆☆
ヘヴィ度:★★★★☆|実験度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆

代表作 通好み 実験作

Turn Loose the Swans|ターン・ルース・ザ・スワンズ

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オリジナルアルバム – 2作目 (1993年)

2作目にして、ベーシックな作風は良くも悪くもここからほとんど変化は無く、オールタイムベストに押すリスナーも多い作品。
バイオリンをパーマネントメンバーに加え、ギターに匹敵するバンドの需要パートとして全編にわたって本格的にフィーチャーされています。

当時、ゴシックメタルやメロディック・デスメタルなどの、耽美派エクストリームサウンドに対する表現としてよく使われていたのが、「美醜の対比」や「美醜の融合」と言ったワードですが、彼らはそれをヘヴィでドゥーミィなパートと流麗でメランコリックなパートの対比、グルーミィなデスヴォーカルと気だるげなクリーンヴォーカルの対比という形で表現しています。

こういった手法は、今でこそ米国メインストリームのニューメタルやメタルコア、ビジュアル系やJ-POPなどでも日常的に用いられる手垢のついたものとなっていますが、この時点では「そのうち誰かやるだろう…」と予想はされていたものの、非常に画期的で先進的な表現でした。

本作の発表をもって、現在まで繰り返されるMY DYING BRIDEとしての基本的なフォーミュラであり、後発のゴシックメタルバンドやメロディックデスメタル、フューネラルドゥームと呼ばれる初期ゴシックメタルリバイバルにまで綿々と受け継がれるひとつのスタイルが、完成に至ったと言っていいでしょう。

耽美度:★★★★☆|叙情度:★★★★☆|暗黒度:★★★★☆
ヘヴィ度:★★★☆☆|実験度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 入門盤 通好み スルメ盤 実験作

The Angel and the Dark River|ジ・エンジェル・アンド・ダーク・リバー

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オリジナルアルバム – 3作目 (1995)

MY DYING BRIDEは、同期に活動していたゴシックメタル黎明期のグループの中では、最も音楽的な変化に乏しいという印象があります。

それは、実際のところ紛うことなき事実ではあるのですが、それでも彼らは彼らなりのペースで微妙に作風を変え微妙に実験的な試みを行ってきており、このThe Angel and the Dark Riverから数作は、特にそれが比較的活発だった時期ににあたります。

これまでどおり、ディストーションの効いたメタルギターによるドゥーミィなサウンドは健在ですが、揺蕩うようなゆったりした曲調と、より悲痛な情感と叙情性を強めた、耽美重視のパートが目立つようになりました。

ロック的な明快なドラマ性のある曲調よりも、アトモスフェアを重視した作風であるのは変わらないので、リスナーを選ぶスタイルなのはもはや彼らの個性と割り切るしかありません。
それでも、楽曲単位ではあまり頭に残ることは無いものの、印象的なフレーズは多くストレスなく飽きずに聴きとおせるので、ビギナーにも手を出しやすいアルバムに仕上がっており、代表作にあげられることが多いのも納得の1枚です。

耽美度:★★★★☆|叙情度:★★★★☆|暗黒度:★★★★☆
ヘヴィ度:★★☆☆☆|実験度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Like Gods of the Sun|ライク・ゴッズ・オブ・ザ・サン

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オリジナルアルバム – 4作目 (1996)

彼らがゴシックメタルシーンでも得難い個性を持った存在であることは、多くのリスナーが認めるところですが、彼らにとっては飛び道具でもあるバイオリンの攻撃力に依存しがちだったり、アトモスフェリックな作風をエクスキューズにしたりで、楽曲の練り込みがおろそかになってしまう部分が認められます。

本作を聴くと、彼らがその弱点を意識しており、決して顧みなかったわけでは無いことがうかがえます。

作品を構成するエッセンスはこれまでと変わりませんし、サウンドの質感や基本的な作風もほぼ前作と変わりありませんが、楽曲が他の作品と比較するといくらかコンパクトになっていますし、初期のANATHEMAやPARADISE LOSTを思わせるような、ロック的なメリハリとダイナミズムを意識した曲調が幾分目立つこともあって、全体的に彼らにしては楽曲重視の作風になっています。

そのため、彼らの作風がゴシック的なアトモスフェアの垂れ流しのように感じられて敬遠していたリスナーでも、比較的拒否感を感じることなく入り込めアルバムになっていますし、初期ゴシックメタルの中でも玄人向けでやや敷居が高い彼らの作品の中では、最もビギナーフレンドリーな作風の意欲作に仕上がっています。

耽美度:★★★★☆|叙情度:★★★★☆|暗黒度:★★★★☆
ヘヴィ度:★★★☆☆|実験度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作

34.788%… Complete|34.788%… コンプリート

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オリジナルアルバム – 5作目 (1998)

MY DYING BRIDEとしては、おそらく最大の異色作で問題作とされているアルバムですね。
「彼らの作品はどれも同じに聴こえると」いうライトリスナーでも、一聴しただけで「これはいつもと違う」と感じられるほどです。

これまでMY DYING BRIDEサウンドの代名詞として重要な存在でもあったヴァイオリンが抜けて、基本パート以外はサポートキーボードのみという新体制、サウンドにエレクトロ要素を強めてヴォーカルにエフェクトをかけたり、EDM風の音やトリップホップ風の楽曲まで繰り出してくる、といった実験要素に満ちています。

同じゴシックメタル第1世代のPALADISE LOST,ANATHEMA,TIAMAT,THE GATHERINGらの、ラディカルな音楽的変遷と比較すればほんのささやかな試みに過ぎませんが、彼らのキャリアの中では大冒険レベルのチャレンジといえます。

曲は再び長尺化して前作ほどコンパクトなつくりではありませんが、困った時のヴァイオリンがもういないこともあって、作風の多様性と1曲ごとの作り込みに力を尽くしており、その点でも明らかに前作を上回っておいます。
作品の完成度としては間違いなく全作品中でもトップクラスの仕上がりで、「らしさの欠如」をマイナス要因としなければベストに挙げても全く問題ないほどの充実度です。

耽美度:★★★★☆|叙情度:★★★★★|暗黒度:★★★☆☆
ヘヴィ度:★☆☆☆☆|実験度:★★★★★|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み 実験作

The Light at the End of the World|ザ・ライト・アット・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド

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オリジナルアルバム – 6作目 (1999)

耽美度:★★★☆☆|叙情度:★★★★☆|暗黒度:★★★★☆
ヘヴィ度:★★★★☆|実験度:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論

The Dreadful Hours|ザ・ドレッドフル・アワーズ

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オリジナルアルバム – 7作目 (2001)

耽美度:★★☆☆☆|叙情度:★★☆☆☆|暗黒度:★★★☆☆
ヘヴィ度:★★★★☆|実験度:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論

Songs of Darkness, Words of Light|ソング・オブ・ダークネス,ワーズ・オブ・ライト

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オリジナルアルバム – 8作目 (2004)

耽美度:★★☆☆☆|叙情度:★★☆☆☆|暗黒度:★★★☆☆
ヘヴィ度:★★★★☆|実験度:★★☆☆☆|総合評価:★★☆☆☆

入門盤 賛否両論 お布施

A Line of Deathless Kings|ア・ライン・オブ・ダークネス・キングス

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オリジナルアルバム – 9作目 (2006)

耽美度:★★☆☆☆|叙情度:★★☆☆☆|暗黒度:★★★☆☆
ヘヴィ度:★★★★☆|実験度:★☆☆☆☆|総合評価:★★☆☆☆

入門盤 賛否両論 お布施

For Lies I Sire|フォー・ライズ・アイ・シュアー

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オリジナルアルバム – 10作目 (2009)

耽美度:★★☆☆☆|叙情度:★★☆☆☆|暗黒度:★★★☆☆
ヘヴィ度:★★★★☆|実験度:★☆☆☆☆|総合評価:★★☆☆☆

入門盤 賛否両論 布施

Evinta|エヴィンタ

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オリジナルアルバム – 11作目 (2011)

A Map of All Our Failures|ア・マップ・オブ・オール・アウァ・フェイルールス

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オリジナルアルバム – 12作目 (2012)

耽美度:★★☆☆☆|叙情度:★★☆☆☆|暗黒度:★★★★☆
ヘヴィ度:★★★★☆|実験度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論  実験作

Feel the Misery|フィール・ザ・ミザリィ

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オリジナルアルバム – 13作目 (2015)

耽美度:★★★☆☆|叙情度:★★★☆☆|暗黒度:★★★★☆
ヘヴィ度:★★★☆☆|実験度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論 実験作

The Ghost of Orion|ザ・ゴースト・オブ・オライオン

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オリジナルアルバム – 14作目 (2020)

もともとそんなに豊富なわけではない音楽的ボキャブラリーだけでやりくりして、密度の低い作品をひねり出す時期が長く続いていた彼らですが、最近はメンバーチェンジが影響しているのかどうかわかりませんが、成功しているかは別として新しくインプットしてきたものを積極的に作品にアウトプットしているフシが見られるようになりました。

結論から言うと、このThe Ghost of Orionではそれが比較的良いかたちで現れていて、再びバイオリンを加えた体制にもどってからの近作では、多彩な楽曲がそろって目新しさもあり完成度も高く楽しめるアルバムに仕上がっています。

MY DYING BRIDEは、ヘヴィ&スローでダウナーサウンドにアーロンのヘタウマ脱力ヴォーカルというマッチングの存在感が強く、それさえあればいつもの音に聴こえてしまうくらいのアクにあふれた個性がメリットでもデメリットでもあるのですが、このアルバムではそこにやはり彼らの定番の味付けでもあるヴァイオリンが乗ってなお、ハッキリ「今回はいつもと違う!」と思わせる作風を打ち出しています。

今回サウンドにアウトプットされている要素は、最近のPARADISE LOSTに近いアプローチだったり、時には軽くAMORPHISなどの北欧勢を思わせたりといった、ご同輩のこれまでの試みを元にしたものが多く見られ、“借り物感”と“らしさ”がせめぎあっている作風ではありますが、彼らのアルバムとしては久しぶりに熱心なサポーター以外にも一聴をススメられる1枚です。

耽美度:★★★★☆|叙情度:★★★★☆|暗黒度:★★★☆☆
ヘヴィ度:★★★☆☆|実験度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論 実験作
◎ MY DYING BRIDEはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!

代表作という意味なら、独自のゴシックメタルを確立させたターニングポイントの“Turn Loose the Swans(2nd)”か、そこからメタル色を押さえて耽美性を大幅に増した“The Angel and the Dark River(3rd)”あたりになります。
ただし、ゴシックメタルビッグネームの中でもややビギナーに敷居が高いMY DYING BRIDEの入り口としてなら、メリハリがあって聴きやすい“Like Gods of the Sun(4th)”、メタル色は薄いが完成度の高い“34.788%… Complete(5th)”、ゴシックメタルビギナー向きの“The Ghost of Orion(14th)”から入るといいかもしれません。デスメタルファンなら“As the Flower Withers(1st)”からというのもアリです。

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