Contents
- 1“ヘヴィメタル界のキャスリーン・ケネディ”と呼ばれる辣腕マネージャーで実の妻シャロン・オズボーンの傀儡としてアメリカン・メタルアイドルを演じる、BLACK SABBATHのカリスマフロントマンは伝説にすがり続ける!?
- 1.1ENTOMBED|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Blizzard of Ozz|ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説
- 1.1.2Diary of a Madman|ダイアリー・オブ・ア・マッドマン
- 1.1.3Bark at the Moon|バーク・アット・ザ・ムーン:月に吠える
- 1.1.4The Ultimate Sin|ジ・アルティメイト・シン:罪と罰
- 1.1.5No Rest for the Wicked|ノー・レスト・フォー・ザ・ウィケッド
- 1.1.6No More Tears|ノー・モア・ティアーズ
- 1.1.7Ozzmosis|オズモシス
- 1.1.8Down to Earth|ダウン・トゥ・アース
- 1.1.9Under Cover|アンダー・カヴァー
- 1.1.10Black Rain|ブラック・レイン
- 1.1.11Scream|スクリーム
- 1.1.12Ordinary Man|オーディナリー・マン
“ヘヴィメタル界のキャスリーン・ケネディ”と呼ばれる辣腕マネージャーで実の妻シャロン・オズボーンの傀儡としてアメリカン・メタルアイドルを演じる、BLACK SABBATHのカリスマフロントマンは伝説にすがり続ける!?
テレビ露出の効果もあって、今やヘヴィメタルクラスタ以外にも広く知られるオジー・オズボーン(OZZY OSBOURNE)は、アメリカンメインストリームロックシーンのメタルアイコンであるだけでなく、ドゥームメタル/ドゥームロックのオリジネイターにしてヘヴィメタル様式を作り上げたパイオニアでもある、偉大すぎるブリティッシュヘヴィロックバンドBLACK SABBATHの初代ヴォーカリストでもあります。
自堕落な生活がたたってBLACK SABBATHを解雇されたオズボーンは、英国音楽シーンのドンと呼ばれる興行師の家系で辣腕マネージャーでもある妻のシャロン・オズボーンとともに、新ヴォーカリストにロニー・ジェイムズ・ディオを迎えて新世代のヘヴィメタルサウンドを生み出して高い評価を得ていた、古巣BLACK SABBATHに対抗すべく活動を開始します。
多くの英国バンドが狙って果たせなかったアメリカマーケットにも照準を定め、元BLACK SABBATHという立場も利用しつつも、ヘヴィメタル/ハードロックシーンの最新トレンドを取り入れる方法を選択したオズオーンは、当時のヘヴィメタルの流行だったメロディアスなテクニカルギターヒーローをフィーチャーして、大人気バンドKISSばりのポップなサウンドとバラードナンバーを追求してゆきます。
当時はギタリストが脱退するたびに無名腕利きギタリストを起用しいてきたため、“ギタリスト発掘人”の異名も持っていました。
80年代の終盤からはやや勢いを欠いた状態が続きますが、ニューメタルバンドを集めたメタルフェス『オズフェスト』やオズボーンファミリーを題材にしたリアリティ番組『オズボーンズ』を成功に導いたことからシャロンがイニシアチヴを握るようになります。
その結果オジーを大看板に据え曲作りは外部スタッフも導入、BLACK SABBATHの最大公約数的サウンドと米国ヘヴィミュージックの最新トレンドをミックスした楽曲を並べるという、アイドルメタルバンドにも近いプロジェクトとなります。
また、90年代以降アメリカでヘヴィミュージックの始祖としてのステイタスが高まった、オリジナルBLACK SABBATHのリユニオンも画策。その流れでBLACK SABBATHのイメージバリューを最大限生かすべく『BLACK SABBATH名義』の使用権をめぐってバンドマスターのトニー・アイオミサイドに司法闘争を仕掛け、オジー不参加での『BLACK SABBATH』名義の使用を禁じるとの判決をもぎ取ります。
それらのマーケティングが功を奏してか、それ以降は現在では作品価値以上のセールスを上げるようになり引き続き活動継続中ですが、BLACK SABBATHとしての活動は事実上葬られました。
ENTOMBED|DISCOGRAPHY
Blizzard of Ozz|ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説
オリジナルアルバム – 1作目 (1980年)
早逝して伝説となった初代ギターヒーロー、ランディ・ローズ参加作品。基本にあるのは、『Technical Ecstasy』や『Never Say Die!』などの第一期BACK SABBATH末期に通じるのサウンドですが、KISSなどと同様キッズや女性リスナーも対象とした、アメリカンなポップロックナンバーとメロウなバラードとナンバーを大きな武器としています。
英国色はまだいくらか残されていますが、オーソドックスなハードロックナンバーはそれほど印象に残らず、万人ウケを狙ったポップメタルの方が完成度は上です。
ポップ度:★★★☆|ビジネス度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 賛否両論 実験作
Diary of a Madman|ダイアリー・オブ・ア・マッドマン
オリジナルアルバム – 2作目 (1981年)
アイドルギターヒーロー、ランディ・ローズ在籍時の最後の作品。おおむね前作を踏襲した作風で大きな変化はありませんが、前作と比較すると一枚落ちます。
この当時のヘヴィメタル黎明期を牽引する新たなヘヴィサウンドを完成させた、第二期BLACK SABBATHと全く目指すものが異なっており、ポストKISSやポストALICE COOPERとしてのポップなショックロックアイドル狙ったような産業ロックに近い作風には、ヘヴィメタル本来のダークでエッジの効いたサウンドは見られません。
ポップ度:★★★☆☆|ビジネス度:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Bark at the Moon|バーク・アット・ザ・ムーン:月に吠える
オリジナルアルバム – 3作目 (1983年)
新たなギターヒーローとして、ジェイク・E・リーを起用したアルバム。一般的にここからポップ化が加速したとされているアルバムで、確かに完全なアメリカンテイストのポップメタルに移行しているものの、純粋なヘヴィネスやハードネスではむしろランディ・ローズ期を上回っていますし、メロウな曲やバラードも控えめです。
ポップ度:★★★★★|ビジネス度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
The Ultimate Sin|ジ・アルティメイト・シン:罪と罰
オリジナルアルバム – 4作目 (1986年)
ポップメタル路線の頂点とされていますが、実際のところ、これまでで最もヘヴィメタリックでハードな曲が多いアルバムです。楽曲の質においては、この時期こそがOZZY OSBOURNE BANDとしての、キャリアのピークにあると言っていいでしょう。
ギターヒーローを務めるのは、引き続きジェイク・E・リー。
ポップ度:★★★★★|ビジネス度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論
No Rest for the Wicked|ノー・レスト・フォー・ザ・ウィケッド
オリジナルアルバム – 5作目 (1988年)
これから長い付き合いとなる新たなギターヒーロー、ザック・ワイルドの初参加作品。
一部では初期BLACK SABBATHのヘヴィネスを取り戻したアルバムとも呼ばれ、確かにサウンドはこれまでになくヘヴィになっているものの、基本的にはこれまで通りのアメリカンポップメタルを基調とした作風です。
代表曲もありアベレージも高かった近作と比較するとやや低調で決め手に欠けますが、重圧サウンドには今でも古さを感じさせない魅力がありますし、T-02, T-07, T-08あたりは水準以上の仕上がりです。
ポップ度:★★★★☆|ビジネス度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
No More Tears|ノー・モア・ティアーズ
オリジナルアルバム – 6作目 (1991年)
初期BLACK SABBATHからの影響を公言するグランジが勢いを増していた時期で、NIRVANAの“Nevermind”, SOUNDGARDENの“Badmotorfinger”とほぼ同時期のリリース。USヘヴィミュージックのメインストリームのトレンドに寄り添い続けるオジーですが、まだ時期が早かったのかグランジからの影響が感じられるのはT-09程度で、基本の作風は従来通りです。
特筆すべきはMOTORHEADのレミーのゲスト参加で、アルバム中3曲で曲作りにも携わっていますが、MOTORHEADのレパートリーにもなっているT-07を除くと“レミーらしさ”は感じられません。残念ながらアルバムとしては前作にも増して低調で、楽曲も決定打にかけます。ギターは前作同様ザック・ワイルド。
ポップ度:★★☆☆☆|ビジネス度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Ozzmosis|オズモシス
オリジナルアルバム – 7作目 (1995年)
ギターは引き続きザック・ワイルドで、本作ではベースにBLACK SABBATHの同僚ギーザー・バトラー、ゲストキーボーディストとしてYESのリック・ウェイクマンも参加しています。
また、本作以降は全面的に外部ライターを曲作りに導入しており、ここでは前作に続いてのMOTORHEADのレミーや、凄腕の変態ギタリストととして名高いスティーヴ・ヴァイを含む複数の外部コンポーザーが参加しています。
作風は変われど、同時代のトレンドを見据えた最大公約数的なモダンヘヴィサウンドになのは同様で、 本作はグランジ, グルーヴ, 90年代ドゥームなどを取り入れていますが、なぜかマッタリしたポップナンバーが多め。それでも中期以降では比較的高水準安定の作品で、とりわけT-01などはオジー最後の名曲と呼べる仕上がりです。
ポップ度:★★★★☆|ビジネス度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
Down to Earth|ダウン・トゥ・アース
オリジナルアルバム – 8作目 (2001年)
Under Cover|アンダー・カヴァー
カバーアルバム (2005年)
90年代のトリビュート/カバーブームを経て、ビッグネームなら1枚くらいはカタログに加えてあってしかるべき…というほどまでなった““カバーアルバム”。コンセプトや選曲、そして何よりアレンジ力が要求され、本気でひとつの作品として仕上げるなら決して迂闊に手を出せるものではないのですが、本作は残念ながらその対極にあるお気楽カバーアルバムです。
THE BEATLES, THE ROLLING STONES, MOUNTAIN, KING CRIMSON, CREAM, THE ANIMALSといった、オジーの先輩や同期にあたるレジェンドが並ぶ顔ぶれは、彼のキャリアを考えれば納得。しかし、ただ「オジーが名曲をカバーしてみた!」レベルで終わっており、楽曲の新たな魅力を生み出したり、若年層が原点に手を伸ばすきっかきを作るには至っていません。
これなら、ニューメタルの有名曲でも取り上げた方が、まだ“ネタ”として楽しめたことでしょう。
ポップ度:★★★★☆|ビジネス度:★★★★★|総合評価:★★☆☆☆
賛否両論 お布施
Black Rain|ブラック・レイン
オリジナルアルバム – 9作目 (2007年)
Scream|スクリーム
オリジナルアルバム – 110作目 (2010年)
Ordinary Man|オーディナリー・マン
オリジナルアルバム – 11作目 (2020年)