Contents
- 1UK産のニューメタル/メタルコアとして異彩を放った極悪ツインヴォーカルの超重圧檄メタルバンドは、ヴィンテージテイストを強化してドゥーム/スラッジをも血肉としたウルトラヘヴィ・サウンドを追求!!
- 1...1米国ヘヴィグルーヴへの英国からの回答ゼロ年代版!?
- 1...2ありそうで意外にそうでもなかった独自サウンド!?
- 1...3解散と復活!別プロジェクトも同時進行!!
- 1.1RAGING SPEEDHORN|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Raging Speedhorn|レイジング・スピードホーン
- 1.1.2We Will Be Dead Tomorrow|ウィ・ウィル・ビー・デッド・トゥモロウ
- 1.1.3Live and Demos|ライヴ・アンド・デモズ
- 1.1.4How the Great Have Fallen|ハウ・ザ・グレート・ハヴ・フォロウ
- 1.1.5Before the Sea Was Built|ビフォア・ザ・シー・ビルト
- 1.1.6Lost Ritual|ロスト・リチュアル
- 1.1.720 Year Anniversary Show: Electric Ballroom, London|トウェンティ・イヤーズ・アニンバーサリィ・ショウ:エレクトリック・ボールルーム, ロンドン
- 1.1.8Hard to Kill|ハード・トゥ・キル
- 2VIKING SKULL
- 2.1VIKING SKULL|DISCOGRAPHY
- 2.1.1Born in Hell|ボーン・イン・ヘル
- 2.1.2Chapter Two|チャプター・トゥ
- 2.1.3Doom Gloom Heartache & Whiskey|ドゥーム・グルーム・ハートエイク & ウイスキィ
- 2.1.4Cursed by the Sword|カーズド・バイ・ザ・スウォード
- 2.1.5Viking Skull|ヴィキング・スカル
RAGING SPEEDHORN|DISCOGRAPHY
Raging Speedhorn|レイジング・スピードホーン
オリジナルアルバム – 1作目 (2000年)
ニューメタルや最初期のメタルコアの登場、そしてさらにさかのぼったグルーヴメタルの存在を背景に登場したことは確実なサウンドを展開。
ただし、のちにスラッジメタルの系譜にも加えられるように、ドゥーム/ストーナー/スラッジの“引きずり系”重圧ダウナーサウンドもそこにミックスされており、ほんのりとヴィンテージテイストも漂っています。
音づくりは、この時期の重層的で高密度なニューメタルやメタルコアのそれと比較するとかなりシンプル。ギターソロや各種エフェクトなどの加飾が排された、飾り気のない無骨なスタイルです。
しかし、ダウナーなスローパート,とグルーヴィーなミッドパート、それに躍動感あふれるアップテンポパートを重ねて緩急を持たせたサウンドと、前記した各ジャンルのエッセンス、そしてツインヴォーカルの掛け合いを巧みに絡めあわせています。
基本的なスタイルや楽曲の構成要素だけを見るなら、特に目新しさのない既存のものでありながら、この手のジャンルに多々見られる一本調子の平坦なサウンドに陥らずに、独自性を持ったハイレベルな仕上がりに持ち込んでいます。ここまでのセンスは、本場USシーン第一線の中でも比類ないレベルにあります。
プロデュースは、名門レーベル『4AD』界隈を中心にゴシック, インダストリアル系を多く手掛けるジョン・フライヤーという意外な人選。
|ハーコー度:★★★★☆
|ダウナー度:★★☆☆☆
|アイデア:★★★★☆
|メロエモ度:☆☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
We Will Be Dead Tomorrow|ウィ・ウィル・ビー・デッド・トゥモロウ
オリジナルアルバム – 2作目 (2002年)
曲単位で見るなら、基本的な作風は前作から大きな変化はなく、音質の変化こそあるものの前作とシャップルしても気づかないかもしれないレベルです。
アルバムとして見るなら、アップテンポな曲の比率が大きく上がっており、ファストチューンまで見られるのが大きな特徴。
さらに、メランコリックなメロディを持った叙情ダウナー曲のT-07のような、新機軸も単発ながら導入されており、アルバムのアクセントとして効果をあげています。
さらに、前作と比較するとややカオティックなテイストが薄れて整合感が強まっており、音質も生々しいハードコア的なものから、メタル的なややクリアで重厚なものとなりました。
曲ごとのフックの効き具合については前作に及びませんが、総合的に見るならメタルリスナーにはこちらの方が馴染みやすいかもしれません。
プロデューサーには、USダウナー界隈で知られるジョー・バレシ(Joe Barresi)を含む4名がクレジットされています。
|ハーコー度:★★★★☆
|ダウナー度:★★☆☆☆
|アイデア:★★★☆☆
|メロエモ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両
Live and Demos|ライヴ・アンド・デモズ
コンピレーションアルバム (2004年)
How the Great Have Fallen|ハウ・ザ・グレート・ハヴ・フォロウ
オリジナルアルバム – 3作目 (2005年)
アメリカでのデビュー作となったアルバム。
基本路線に大きな変化はないものの、アップテンポな前作から一転してスローでダウナーなパートを持つトラックが増えて、アルバムの半数程度を占めるまでになりました。
曲によっては、エモ/ゴス的な耽美アトモスフィアも感じられますが、ここではまだ音楽性の本筋に絡むほどではありません。
これらの変化によって、彼らの音楽性のいち要素だったドゥーム/ストーナー/スラッジテイストが拡張され、スラッジメタルとして語っても違和感の少ないとスタイルに至りました。
曲構成については比較的シンプルなものが多く、特にダウナーチューンはミニマル気味な傾向が見られます。
一方で、T-03のような、ほぼパワーメタル/スピードメタルと呼べるような曲もあり、多様性についてはかなりアップしたと言っていいでしょう。
音質については、ジャンク&スカムを狙ったのかプロダクションの問題か(おそらく後者)、かなりローファイな仕上がりとなっています。
|ハーコー度:★★★★☆
|ダウナー度:★★★☆☆
|アイデア:★★★☆☆
|メロエモ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Before the Sea Was Built|ビフォア・ザ・シー・ビルト
オリジナルアルバム – 4作目 (2007年)
セルフプロデュースによる、一時解散前のラストアルバム。
前作とはまた趣向が異なり、『We Will Be Dead Tomorrow(2nd)』でチラッと顔をのぞかせた、メランコリックなメロディが前面に押し出された作風です。
言ってしまえば、当時のニューメタル/メタルコアシーンを横目で見ながら、さらなる飛躍のために方向性を模索したようなアルバムで、基本路線は維持しつつも、北欧型のメロデステイストやエモ/ゴス系のメロディの導入など、当時のヘヴィシーンのトレンドモードのメソッド流用が目立ちます。
とはいえ、必ずひとヒネリ加えて決してそのままの流用に終わっていないあたりに、単なフォロアーには終わるまいという彼らのこだわりや意地がうかがえます。
決して悪いアルバムではりませんし、初期の作風の繰り返しでは先細りは目に見えているので、新機軸は歓迎すべきなのですが、できればさらに大胆にヒネリを加えて、明後日方向への換骨奪胎を望みたかったところです。
なおこの時期は、ツインヴォーカル片割れフランク・リーガンからケヴィン・グリーナムに変わっていますが、両者の声質に極端な差異が無さすぎるのが難点です。
|ハーコー度:★★★☆☆
|ダウナー度:★★☆☆☆
|アイデア:★★★★☆
|メロエモ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 実験作
Lost Ritual|ロスト・リチュアル
オリジナルアルバム – 5作目 (2016年)
近年では〈NAPALM DEATH〉番の印象が強いラス・ラッセルを、プロデューサーに迎えた再結成アルバム。
主に初期三作をミックスしたような作風ながら、明確なドゥーム/ストーナー/スラッジ路線の曲が主体となっています。
その意味では、『How the Great Have Fallen(3rd)』がもっとも近いものですが、サウンドはメタリックな整合感のあるものとなり、ロックテイストやヴィンテージテイストも強まりました。
USストーナーバンドSLEEPの別ユニット〈HIGH ON FIRE〉や、フィル・アンセルモ,〈COC〉らサザングルーヴ/スラッジ界隈のドリームバンド〈DOWN〉あたりに近い感覚で聴けるアルバムともいえます。
なお、本作からフランク・リーガンが復帰して黄金タッグを再結成。
しかし、以前はいくつかの歌唱法を使い分けることで、声質に極端な差が見えないながらもツインヴォーカル効果をあげていたのが、ここではそのコントラストが完全に薄れてしまっています。
存在意義がバッキングコーラスのレベルになってしまった現状は、一考が必要でしょう。
|ハーコー度:★★☆☆☆
|ダウナー度:★★★★☆
|アイデア:★★☆☆☆
|メロエモ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 賛否両論 スルメ盤
20 Year Anniversary Show: Electric Ballroom, London|トウェンティ・イヤーズ・アニンバーサリィ・ショウ:エレクトリック・ボールルーム, ロンドン
ライヴアルバム (2018年)
Hard to Kill|ハード・トゥ・キル
オリジナルアルバム – 6作目 (2020年)
引き続きラス・ラッセルをプロデューサーに起用した、ドゥーム/ストーナー/スラッジ路線のアルバム。
前作から全くと言っていいほど変化はありませんが、確実にブラッシュアップは行われており、安定感は増しています。
ところが、前作でツインヴォーカルの一翼フランク・リーガンが復帰したと思いきや、今度は長年フロントを守り続けた相方のジョン・ローリンが脱退。
後任に若手のダニエル・クックが加入していますが、これについては良くも悪くもサウンドに大き影響は与えていません。
いずれにせよ、これではツインヴォーカルの意義が薄くやや惰性に近い印象さえ与えるため、これについては根本的な歌唱スタイルの工夫が求められるところです。
前作同様、無難で高品質な作品なのですが、デビュー以来同種の他バンドが大量発生してしまっているため、相対的に際立ったインパクトを与えることが難しくなっています。
|ハーコー度:★★☆☆☆
|ダウナー度:★★★★☆
|アイデア:★★☆☆☆
|メロエモ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
- RAGING SPEEDHORN|DISCOGRAPHY
- Raging Speedhorn|レイジング・スピードホーン
- We Will Be Dead Tomorrow|ウィ・ウィル・ビー・デッド・トゥモロウ
- Live and Demos|ライヴ・アンド・デモズ
- How the Great Have Fallen|ハウ・ザ・グレート・ハヴ・フォロウ
- Before the Sea Was Built|ビフォア・ザ・シー・ビルト
- Lost Ritual|ロスト・リチュアル
- 20 Year Anniversary Show: Electric Ballroom, London|トウェンティ・イヤーズ・アニンバーサリィ・ショウ:エレクトリック・ボールルーム, ロンドン
- Hard to Kill|ハード・トゥ・キル
- VIKING SKULL
VIKING SKULL
VIKING SKULL(ヴァイキング・スカル)は、〈RAGING SPEEDHORN〉のオリジナルメンバーによるサイドプロジェクトとしてスタートしたバンド。
現時点で、残っている創設メンバーはフランク・リーガン(Frank Regan)とゴードン・モリソン(Gordon Morrison)のみですが、現在も〈RAGING SPEEDHORN〉と並行して活動を続けています。
〈BLACK SABBATH〉ら70年代ヘヴィロックの影響が濃い音楽性はドゥームメタルと呼んでしかるべきものですが、ダウナー重視のサウンドではなくロックンロールをベースにメタリックなグルーヴを持った、2nd以降の〈CATHERAL〉や“デス&ロール”勢にも通じるフィジカルな躍動感を持ったもの。
〈RAGING SPEEDHORN〉と比較するとハードコア・テイストは薄く、N.W.O.B.H.M.などのオールドスクールなヘヴィメタルの影響も感じさせるソリッドでマッシヴなサウンドです。
VIKING SKULL|DISCOGRAPHY
Born in Hell|ボーン・イン・ヘル
オリジナルアルバム – 1作目 (2005年)
Chapter Two|チャプター・トゥ
オリジナルアルバム – 2作目 (2007年)
Doom Gloom Heartache & Whiskey|ドゥーム・グルーム・ハートエイク & ウイスキィ
オリジナルアルバム – 3作目 (2008年)
Cursed by the Sword|カーズド・バイ・ザ・スウォード
オリジナルアルバム – 4作目 (2012年)
Viking Skull|ヴィキング・スカル
オリジナルアルバム – 5作目 (2016年)