Contents
- 1「スモール・イン・ジャパン」の代名詞たるカナダのパワートリオは、プログレとハードロックの間を行きツイストの効いたポップなサウンドで、北米プログレハード界隈のトップグループとして絶大な人気を誇る!!
- 1...1RUSHはカナディアン・ロックのトップバンド!?
- 1...2RUSHの音楽ジャンルは?
- 1...3RUSHの音楽スタイル:70年代
- 1...4RUSHの音楽スタイル:80年代
- 1...5RUSHの音楽スタイル:90年代
- 1...6RUSHの音楽スタイル:00年代〜
- 1...7RUSHは「プログレッシヴ・ロック」?
- 1...8RUSHは「プログレハード」!?
- 1...9RUSHは「プログレ・メタル」の原点!?
- 1...10RUSHは“スモール・イン・ジャパン”!?
- 1...11RUSHのバンド体制と活動は!?
- 1.1RUSH|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Rush|ラッシュ:閃光のラッシュ
- 1.1.2Fly by Night|フライ・バイ・ナイト:夜間飛行
- 1.1.3Caress of Steel|カレス・オブ・スティール:鋼の抱擁
- 1.1.42112|西暦2112年
- 1.1.5A Farewell to Kings|フェアウェル・トゥ・キングス
- 1.1.6Hemispheres|ヘミスフィア:神々の戦い
- 1.1.7Permanent Waves|パーマネント・ウェイヴス
- 1.1.8Moving Pictures|ムーヴィング・ピクチャーズ
- 1.1.9Signals|シグナルズ
- 1.1.10Grace Under Pressure|グレイス・アンダー・プレッシャー
- 1.1.11Power Windows|パワー・ウィンドウズ
- 1.1.12Hold Your Fire|ホールド・ユア・ファイア
- 1.1.13Presto|プレスト
- 1.1.14Roll the Bones|ロール・ザ・ボーンズ
- 1.1.15Counterparts|カウンターパーツ
- 1.1.16Test for Echo|テスト・フォー・エコー
- 1.1.17Vapor Trails|ヴェイパー・トレイルズ
- 1.1.18Snakes & Arrows|スネークス・アンド・アローズ
- 1.1.19Clockwork Angels|クロックワーク・エンジェルズ
- 1.1VICTOR|DISCOGRAPHY
- 1.1.1VICTOR:Alex Lifesons|ヴィクター:アレックス・ライフソン
- 1.2ENVY OF NONE|エンヴィ・オブ・ノーン|DISCOGRAPHY
- 1.2.1Envy of None|エンヴィ・オブ・ノーン
RUSH|DISCOGRAPHY
Rush|ラッシュ:閃光のラッシュ
オリジナルアルバム – 1作目 (1974年)
ニール・パート加入前の唯一の作品となるデビューアルバムで、本作では前任者のジョン・ラッツィーがドラムを担当。
この時点は、ブルースやロックンロールなどのルーツミュージックをベースにした、コンパクトでキャッチーな70年代型ハードロック/ヘヴィロックを展開しており、〈LED ZEPPELIN〉の影響も濃厚に漂わせ、曲によっては〈THE WHO〉を思わせる部分もあります。
時期的にハードロックのムーヴメントのピークを過ぎて次のフェーズへ移っており、この時点での音楽性や立ち位置は、〈AEROSMITH〉や〈AC/DC〉など同様の、よく言えば次世代ハードロック・バンド、悪く言えば旬を逃した出遅れフォロアーといったところ。
明確なスタイルの確立にまでは至っておらず、テクニカルなプログレ・テイストが希薄なことから、全盛期のファンからの評価や注目度はいまひとつですが、純粋なロック的アグレッションやダイナミクスについてはこの最初期が圧倒的に際立っています。
「これぞ!」といったキメの1曲こそ見られないものの、軒並み高水準な楽曲が並んだスキのない手堅い仕上がりで、オーソドックスなハードロックとしては極上に近いクオリティと言えるでしょう。
80年前後のプログレハード時代や、90年代以降のプログレメタル時代の音は響かなくても、この時代のアルバムならイケるというリスナーは少なくないはずです。
|ポップ度:★★★★☆
|ヘヴィ度:★★★★☆
|モダン度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
賛否両論 通好み スルメ盤
Fly by Night|フライ・バイ・ナイト:夜間飛行
オリジナルアルバム – 2作目 (1975年)
ややプログレ的なアプローチが増えただけでなく、前作からヘヴィネスが強化されてクオリティも格段にグレードアップした、初期ハードロック時代の代表作。
特に、アナログでA面にあたるT-04までの前半は完璧に近く、時折スリリングな展開やツイストの効いたストレンジなアプローチも見せる、ヘヴィでハイテンションなナンバーがそろって圧倒されます。
一転、B面にあたる後半はレイドバックしたユルユルな大陸的ハードポップチューンが集中し、その好き嫌いは別にしても、凡曲が目立って褒められた出来栄えではありません。
本作のグレードは完全に前半の素晴らしさによるものですが、その前半の出来栄えが後半をカバーしてあまりあるので、ハードロックファンなら一聴の価値がある名盤として成立しています。
|ポップ度:★★★★☆
|ヘヴィ度:★★★★★
|モダン度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Caress of Steel|カレス・オブ・スティール:鋼の抱擁
オリジナルアルバム – 3作目 (1975年)
ハードロック時代の代表作とされる前作と、プログレ路線へのターニングポイントとなる次作に挟まれて、やや印象が薄く、リアルタイムでも受けが良くなかったとされるアルバム。
前作の流れにあるアグレッシヴなハードロック/ヘヴィロック主体の作風ですが、今回はオールドスクールなプログレテイストと、ヘヴィなプロト・メタル的サウンドが同居したブリティッシュ・ハードロックといった印象です。
コンセプチュアルな大作主義も顔を見せており、アナログLPでいうA面後半に3部構成12分超のT-04を配置し、B面はまるごと6部構成全1曲の約20分の長編大作T-05にあてています。
変則的なリフワークとハイトーンの組み合わせが〈BUDGIE〉を想起させるT-01と、長尺が苦にならないインスト主体のヘヴィ&ダークなT-04は、共に文句なしの名曲で、これ以降というもの次第に希薄になる、原初のロック的ダイナミクスとカタルシスを味わえます。
残念ながら、本作の目玉ともいえるT-05は、部分的に光るところはあるものの全体で見ると冗長な印象が勝っており、組曲形式と尺の長さを持て余し気味。
かようにいびつな部分も多く名盤とは呼び難いものの、上記のキラーチューンを含めて捨てがたい魅力のある1枚です。
|ポップ度:★★★☆☆
|ヘヴィ度:★★★★☆
|モダン度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤
2112|西暦2112年
オリジナルアルバム – 4作目 (1976年)
初期の代表作とされることも多い本作は、前作からさらにプログレ路線へ踏み込んだ作品で、懲りもせずに前作に続いてアナログ片面使い切りの20分超の大作をぶつけてきた上に、今回はそれをA面に持ってくるという構成。
そのT-01はやはり組曲形式の7部構成で、前作の長編よりは無難に処理されており飽きずに聴けはするものの、到底成功とと呼ぶわけにはいかない仕上がりです。
個々のパートには個別に曲に仕上げれば魅力的になりそうなものもありますが、コンセプトを考慮しても無理に長編にまとめる必要は特に無く、それによる効果もあげていません。
通常運転のB面=後半では、ヘヴィでメタル風味のアグレッシヴなヘヴィチューンT-06が傑出している程度で、その他はせいぜいが及第点とはいえ、極端な駄曲は見られず無難に仕上げられてはいます。
片面では健闘してクオリティを高めたところを、もう一面の微妙な出来栄えで足を引っ張っているというのが、ここ3作の全てに共通する特徴。
その3枚の中で本作は、ターニングポイントという意味では重要な位置を占めていますが、こと楽曲の充実度や完成度という意味ではあと一歩で、前の2作品の方が総合力で上回ってさえいます。
|ポップ度:★★★☆☆
|ヘヴィ度:★★★★☆
|モダン度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 通好み スルメ盤
A Farewell to Kings|フェアウェル・トゥ・キングス
オリジナルアルバム – 5作目 (1977年)
主に「コンセプチュアルでドラマティックな大作ハードロック」という意味でのプログレ風味だったこれまでのスタイルから、より本格的なプログレ道に足を踏み入れたアルバム。
ハードロック的なアグレッションやダイナミクスよりも、技巧的な整合感と構築美、そして叙情的なメロディが重視された、職人的に練り上げられたサウンドで、一般的にイメージされる古典的なプログレッシヴ・ロックへの接近という意味では、本作と次作がピークと言えるでしょう。
また、本作には“アナログLPの1面まるごとで1曲”という超大作こそ無いものの、A面には11分あまりのT-02、B面には4部構成10分超のT-06と、各面の後半部分に長尺の中編曲を配置されており、いずれもそれなりに上手く仕上げられています。
正直なところそのサウンドは、すでにムーヴメントを終えた英国プログレの形骸化した様式美の一部だけを煮染めたようなもので、単なる“プログレ再履修の提出課題”といってしまえばそれまで。
それを、かなり高いレベルでパッケージ化することに成功しているのは事実ですが、プログレをどう定義するか?、RUSHに何を望むか?によって評価が左右されるのは避けられないでしょう。
|ポップ度:★★★☆☆
|ヘヴィ度:★★★☆☆
|モダン度:★☆☆☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 実験作
Hemispheres|ヘミスフィア:神々の戦い
オリジナルアルバム – 6作目 (1978年)
|ポップ度:★★☆☆☆
|ヘヴィ度:★★★☆☆
|モダン度:★☆☆☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 通好み
Permanent Waves|パーマネント・ウェイヴス
オリジナルアルバム – 7作目 (1980年)
前作で70年的な旧世代型プログレ様式にひとつの決着をつけて、80年代型プログレへのアップデートを試みたターニング・ポイントとも呼べるアルバム。
ヘヴィでアグレッシヴなハードロック・テイストは抑えめに、テクニカルな要素も適度にツイストを効かせるにとどめた、80年代的な音作りの比較的コンパクトなポップロックに変貌を遂げており、そこにニューウェイヴ風味のサウンドも取り入れられ、T-01では〈THE POLICE〉ばりのレゲエ・アプローチも見せています。
この当時、失速したプログレッシヴ・ロックの精神性は、主に一部のニューウェイヴ/ポストパンクの界隈に受け継がれていました。
オールドウェイヴなバンドがそこに接近する動き自体は、英国/欧州ではごく当たり前に見られたものですが、プログレバンドがAOR/産業ロックに移行して商業的成功を収める流れが出来上がっていた北米シーンで、あえてこのアプローチを取るのは異例と言っていいものでした。
とりわけ際立った曲はありませんが、T-01, T-02, T-03に加え、長尺プログレ路線の名残を残す3部構成9分超のT-06と、比較的佳曲が多いことも手伝って、それほど大きくダレることはありません。
|ポップ度:★★★☆☆
|ヘヴィ度:★★☆☆☆
|モダン度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 通好み 実験作
Moving Pictures|ムーヴィング・ピクチャーズ
オリジナルアルバム – 8作目 (1981年)
RUSH全キャリアの代表作として挙げられることも多く、セールスやチャートとの面で見てもピークに近い位置にある1枚。
ハードロック・サウンドとプログレ的な壮大で叙情的なメロディ、ヘヴィメタル由来のソリッドなヘヴィネス、産業ロックのポピュラリティ……これらを融合し、そこにニューウェイヴ的なセンスをスパイスに振りかけたポップな作風は、前作にも増して磨きがかかっています。
RUSH流プログレハード/ポンプロックともいうべきサウンドは、80年代メインストリーム対応型のプログレポップ路線のひとつの結論とも言えるものであり、また、80年代のRUSHとしては比較的ヘヴィでメタル的な音づくりから、プログレメタルの原点とも見なされています。
フュージョン風のT-03や、前作に続いてレゲエテイストの〈THE POLICE〉風なT-07など、実験性は控えめながらもそれなりに多彩な楽曲はおおむね良好な出来栄えですし、RUSHとしてはかなりフックの効いたキャッチーでわかりやすい作風もあって、取り立ててスキの見つからない優等生的なアルバムに仕上がっています。
ついでに言えば、長尺曲のT-05は2部構成11分余りと過去作よりはコンパクトですが、これを最後にこういった形式は見られないため、本作が組曲形式の大作が収録される最後のアルバムとなりました。
|ポップ度:★★★★☆
|ヘヴィ度:★★☆☆☆
|モダン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み
Signals|シグナルズ
オリジナルアルバム – 9作目 (1982年)
|ポップ度:★★★★☆
|ヘヴィ度:★☆☆☆☆
|モダン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Grace Under Pressure|グレイス・アンダー・プレッシャー
オリジナルアルバム – 10作目 (1984年)
|ポップ度:★★★★★
|ヘヴィ度:★☆☆☆☆
|モダン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み
Power Windows|パワー・ウィンドウズ
オリジナルアルバム – 11作目 (1985年)
|ポップ度:★★★★☆
|ヘヴィ度:★☆☆☆☆
|モダン度:★★★☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 賛否両論 スルメ盤
Hold Your Fire|ホールド・ユア・ファイア
オリジナルアルバム – 12作目 (1987年)
|ポップ度:★★★★★
|ヘヴィ度:★☆☆☆☆
|モダン度:★★★☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Presto|プレスト
オリジナルアルバム – 13作目 (1989年)
|ポップ度:★★★★★
|ヘヴィ度:★★☆☆☆
|モダン度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み
Roll the Bones|ロール・ザ・ボーンズ
オリジナルアルバム – 14作目 (1991年)
|ポップ度:★★★★★
|ヘヴィ度:★☆☆☆☆
|モダン度:★☆☆☆☆
|オルタナ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Counterparts|カウンターパーツ
オリジナルアルバム – 15作目 (1993年)
|ポップ度:★★★★★
|ヘヴィ度:★★☆☆☆
|モダン度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Test for Echo|テスト・フォー・エコー
オリジナルアルバム – 16作目 (1996年)
|ポップ度:★★★★★
|ヘヴィ度:★★★★☆
|モダン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Vapor Trails|ヴェイパー・トレイルズ
オリジナルアルバム – 17作目 (2002年)
|ポップ度:★★★☆☆
|ヘヴィ度:★★★★☆
|モダン度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Snakes & Arrows|スネークス・アンド・アローズ
オリジナルアルバム – 18作目 (2007年)
|ポップ度:★★★☆☆
|ヘヴィ度:★★★☆☆
|モダン度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 スルメ盤
Clockwork Angels|クロックワーク・エンジェルズ
オリジナルアルバム – 19作目 (2012年)
|ポップ度:★★★☆☆
|ヘヴィ度:★★★★☆
|モダン度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤