Contents
- 1群雄割拠のニューメタル黄金時代に個性的過ぎるエクストリームなハイブリッドサウンドで独自の地位を築いた、アルメニアン・ミュージックシーンが誇るワン・アンド・オンリーの異能集団!!
- 1...1メタルシーンには少ないアルメニアンバンド!?
- 1...2エクストリームなニューメタルシーン第3世代!?
- 1...3民族色を押し出したエスニックメタル!?
- 1...4幅広いバックグラウンドを反映した多面的サウンド!!
- 1...5ニューメタルムーヴメントが生んだ至宝!?
- 1.1SYSTEM OF A DOWN|DISCOGRAPHY
- 1.1.1System of a Down|システム・オブ・ア・ダウン
- 1.1.2Toxicity|トキシシティ
- 1.1.3Steal This Album!|スティール・ディス・アルバム!
- 1.1.4Mezmerize|メズマライズ
- 1.1.5Hypnotize|ヒプノタイズ
群雄割拠のニューメタル黄金時代に個性的過ぎるエクストリームなハイブリッドサウンドで独自の地位を築いた、アルメニアン・ミュージックシーンが誇るワン・アンド・オンリーの異能集団!!
SYSTEM OF A DOWN(システム・オブ・ア・ダウン)は、アメリカのアルメニア系ミュージションによって結成されたニューメタルバンド。
メタルシーンには少ないアルメニアンバンド!?
彼らのデビュー当時は、マイノリティながら有数のハイレベルな音楽シーンを有する、アルメニアコミュニティーの新世代ミュージシャンが、エスニシティを押し出したサウンドで注目を集めていた時期で、彼らもその一連の流れにあり筆頭格にもあげられる存在。その後もTHE APEX THEORYなどが同様のコンセプトのグループが登場することになります。
エクストリームなニューメタルシーン第3世代!?
SYSTEM OF A DOWNはニューメメタルムーヴメントの中ではSLIPKNOT(スリップノット)らと同様の第3世代にあたり、過去のニューメタルサウンドの総決算的なハイブリッドサウンド、よりエクストリームメタルに接近したスタイル、情報量が多く重層的で高密度な音づくりなどの共通要素が確認できます。
民族色を押し出したエスニックメタル!?
彼らを同様のグループの中でもひときわ特異な存在としているのは、アルメニアの民族的サウンドを取り入れることによるエスニックでオリエンタルなテイストと、豊富な音楽的バックグラウンドを生かした多面的でいくつもの表情を見せる前衛的でテクニカルな作風です。それにより類型的なサウンドであふれた当時のニューメタルシーンの中でもひときわ特異な存在感を持ち、決してシーンに埋没することない唯一無二の孤高の地位を築いていました。
幅広いバックグラウンドを反映した多面的サウンド!!
プログレッシヴロック/メタルとしても語られる彼らのスタイルは、本人たちも公言しているように90年代初頭のオルタナティヴロック全盛期にプログレマインドのファンクメタルとして名を成したFAITH NO MORE(フェイス・ノー・モア)と中心人物マイク・パットンの影響が色濃く、そのサウンドをニューメタルに変換したような一面もありますし、フロントマンサージ・タンキアンのヴォーカルスタイルにもパットンの影響が見て取れます。
ニューメタルムーヴメントが生んだ至宝!?
SYSTEM OF A DOWNは、ヘヴィメタルクラスタにとどまらない多くのリスナーから支持を集め、一般ロック, ハードコア, オルタナティヴ, プログレなど各方面で高い評価を獲得していましたが、当時の音楽性の中でやれることはやりつくしたとの判断からか、アルバムは5作品を残して打ち止めとなります。
その後、新作はリリースされていませんが、バンドとしての活動はブランクを挟みつつも現在も継続されています。
SYSTEM OF A DOWN|DISCOGRAPHY
System of a Down|システム・オブ・ア・ダウン
オリジナルアルバム 1作目 – (1998年)
ニューメタルがUSロックメインストリームの一大ビジネスとなり、有象無象のバンドが跋扈して類型的なポップミュージックに成り下がっていた時期に、古参/新規双方のリスナーに衝撃を与えたアルバム。
基本的にはメタル, ロック, ハードコア, ヒップホップ, ニューウェイヴ,インダストリアルなどをクロースオーバーした、ニューメタル特有のセオリーを用いたスタイル。しかしその独特のミクスチャーセンスに加え、アルメニアの伝統音楽を取り入れたことで、過去に類を見ないインパクト十分エクストリームかつキゾティックなサウンドを確立しています。
これ以降の作品と比較すると音楽性や作風の幅が広く、その分だけやや散漫だったり実験的な印象がやや強く感じられますが、アルバムの曲数肥大傾向があるこの時期の中では、全編通してスキがなく飽きずに聴きとおせる仕上がり。間違いなく、この時期のニューメタルとしては数少ない、時代の変化にも揺るがない強度を持った名盤。
プログ度:★★★☆☆|独自性:★★★★★|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Toxicity|トキシシティ
オリジナルアルバム 2作目 – (2001年)
前作の作風を踏襲しつつも、よりわかりやすいヘヴィ&アグレッシヴなスタイルに重点が当てらており、T-11のようなオールドスクールなヘヴィメタルチューンも聴けます。
作風の幅は前作より狭まり同傾向の曲が大半を占めながらも、楽曲はブラッシュアップされてそれぞれに固有の特徴的なフックが加味されており、並みのバンドなら持て余して手にあまる曲数の多さを物ともせず、どれを取ってもシングルカット可能なトラックが詰まった傑作アルバムとなりました。
とはいえ、さすがに手札をすべて切り尽くした印象もあり、事実これ以降のアルバムからは産みの苦しみも感じられるようになり、支持の高さに反してバンドはかなり早期の終結を迎えることにとなります。
プログ度:★★★☆☆|独自性:★★★★★|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Steal This Album!|スティール・ディス・アルバム!
オリジナルアルバム 3作目 – (2002年)
“Toxicity(2nd)”のアウトテイクという触れ込みで、ネット上でフリーダウンロード配信されていた音源を中心に作品化したもの。当時ようやく注目を集め始めたミュージシャンサイドからの音楽ネット配信に、いち早くアクションを起こすあたりには先見性を感じさせます。
ただし、音楽的には過去作からは悪実に一枚以上も落ちる仕上がりで、アウトテイクということに信憑性を与えています。それでも、当時引きも切らず生産されていた、有象無象のエクストリーム系ニューメタルのよりは、はるかに高水準な良作であり、全く別のステージに位置しているのは確かです。
プログ度:★★★☆☆|独自性:★★★★☆|総合評価:★★★☆☆
通好み スルメ盤
Mezmerize|メズマライズ
オリジナルアルバム 4作目 – (2005年)
基本的にはこれまでの作風を踏襲されたものですが、前作で垣間見せたオールドスクールなヘヴィメタルテイストに主眼が置かれています。
そのため、多彩な要素で構成楽曲をされた作風に変化はないものの、スラッシュメタル/パワーメタルにも通じるよりストレートなアグレッションを持ち、メタル的なダイナミクスや明快なドラマ性が大きく強調されたわかりやすいアルバムに仕上がりました。
また、本作からはギター&ヴォーカルのダロン・マラキアンのヴォーカル参加率が上がり、ほぼツインヴォーカル状態になっています。
代表作の座を更新するには至りませんが、次作と連作になることもあってか曲数は11曲と過去作よりもかなりシェイプされており、作風と相まって一気に聴き通すことができる快作です。
プログ度:★★★☆☆|独自性:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 通好み
Hypnotize|ヒプノタイズ
オリジナルアルバム 5作目 – (2005年)
前作から半年というスパンでリリースされたアルバム。統一のコンセプトはないものの、90年代半ばからこに時期にかけてよく見られた、連作アルバムや二枚組アルバムと同様のものと考えていいでしょう。ジャケットもイメージも踏襲されています。
比較的ストレートなメタルアルバムの前作とは異なり、1stの振り幅の広い多面性のある作風を発展させたようなスタイルで、メロディも多めで凝った曲展開やドラマ性の強い作風は、あれらのカタログ中でももっともオーソドックスなプログレ面が強く出たものといえます。
前作同様に曲数は少なめでコンパクトにまとまっており、過去作から逸脱する斬新な実験性は見られないため、初期2作ほどのインパクトはなく刺激は薄いものの、高水準で手堅い仕上がりの良質なアルバムで、力作と言っていいでしょう。
プログ度:★★★★★|独自性:★★★★★|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み 実験作