Contents
- 1レミーが兄弟と認めた“UKパンク生まれUKメタル育ち”のMOTORHEADファミリー筆頭グループは『メタル’ン’ロール』を極めるも空中分解!ふたつのTANKに別れて活動を続ける!
- 1...1TANKはMOTORHEADファミリーの筆頭各!!
- 1...2創始者アルジー・ワードとTHE DAMNED!!
- 1...3ロックンロールなTANKの音楽スタイル!!
- 1...4TANKの方向性をめぐる内紛と解散!!
- 1...5再結成と再度の分裂で2つのTANKに!!
- 1.1TANK:ORIGINAL TANK|オリジナル・タンク|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Filth Hounds of Hades|フィルス・ホーンズ・オブ・ハデス
- 1.1.2Power of the Hunter|パワー・オブ・ザ・ハンター
- 1.1.3This Means War|ディス・ミーンズ・ウォー
- 1.1.4Honour & Blood|ホーナー・アンド・ブラッド
- 1.1.5Tank|タンク
- 1.1.6Still at War|スティル・アット・ウォー
- 1.2TANK:ALGY WARD's TANK|アルジー・ワード's・タンク|DISCOGRAPHY
- 1.2.1Breath of the Pit|ブレース・オブ・ザ・ピット
- 1.2.2Sturmpanzer|シュトゥルムパンツァー
- 1.3TANK:TUCKER/EVANS' TANK|タッカー/エヴァンス's・タンク|DISCOGRAPHY
- 1.3.1War Machine|ウォー・マシーン
- 1.3.2War Nation|ウォー・ネイション
- 1.3.3Valley of Tears|ヴァレイ・オブ・ティアーズ
- 1.3.4Re-Ignition|リ-イグニッション
TANK:ORIGINAL TANK|オリジナル・タンク|DISCOGRAPHY
Filth Hounds of Hades|フィルス・ホーンズ・オブ・ハデス
オリジナルアルバム 1作目 – (1982年)
TANKのキャリアの中では最も〈MOTORHEAD〉テイストが濃厚なアルバムで、まさに“メタリックMOTORHEAD”といった趣の、パンキッシュでハードコアな勢いあふれる、ヘヴィ&ソリッドなハード・ロックンロールを聴かせます。
また、アルジーのヴォーカルも、かなりレミーを意識したと思われるスタイルとなっています。
これを、単なる“MOTORHEADインスパイア系”の、クローン・バンドと言ってしまえばそれまでですが、とはいえ、クオリティ面に目をやれば、楽曲はキャッチーなフックが効いて印象を残す、抜群の完成度を見せています。
また、ここではTANKの持ち味でもあるヘヴィメタル・テイストも、絶妙なアクセントとして効果を上げており、これまでに多数生み出された、同系統の〈MOTORHEAD〉直系アルバムの中においては、現在に至るまで最上クラスに位置をキープする1枚と言えます。
スピード:★★★★☆|モタヘ度:★★★★☆|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 通好み
Power of the Hunter|パワー・オブ・ザ・ハンター
オリジナルアルバム 2作目 – (1982年)
アルバムデビューからおよそ3ヶ月という、短いうスパンでのリリースとなった2ndアルバム。
基本路線には大きな変化はなく、〈MOTORHEAD〉直系のロックンロールにヘヴィメタルの要素ミックスするという、前作のスタイルがおおむね踏襲されています。
しかし、ファスト〜アップテンポのナンバーは全曲中の半数程度と、その割合だけを見れば前作とさほど差がないにもかかわらず、最高速度/平均速度の両面でセーブ気味なためか、エクストリームでアグレッシヴな突進力はやや後退し、いくぶん落ち着いた印象を強めています。
一方で、パンキッシュなロックンロール・テイストは前作以上に濃厚になっており、ポップネスが強化されて明るめな雰囲気にを漂わせるなど、前作とはほぼ同一路線にもかかわらず、そこから受ける印象はかなり色合いの異なるもの。
とはいえ、楽曲のクオリティは確かで、末期のアルバムでは足を引っ張るだけのミッドチューンまでもが、ここでは良好な出来栄えを見せており、駄曲の見当たらないスキのないアルバムに仕上がっています。
インパクトだけを見るならば前作には及ばないことは否めないため、聴き込みを要する“スルメ系”傾向にもあり、TANK作品としてはやや影の薄い存在にとなっていますが、見過ごすことなく押さえておきたい1枚と言えます。
スピード:★★★★☆|モタヘ度:★★★★☆|総合評価:★★★★★+
入門盤 通好み
This Means War|ディス・ミーンズ・ウォー
オリジナルアルバム 3作目 – (1983年)
のちにアルジー・ワードとの間で、音楽性をめぐる禍根を残すことになる、様式美メタル志向のミック・タッカーとクリフ・エヴァンスが加入した最初のアルバム。
その影響からか、これまでどおりに“MOTORHEADインスパイア系”メタル’ン’ロールはそのまま維持したまま、ヘヴィメタル的な美意識や様式美を押し出したようなスタイルとなっています。
それは、ヘヴィメタリックな音づくりのみならず、8分超のT-01を含めほぼ全曲5分超という楽曲の長尺傾向や、メロディやギターソロの比重を増した作風などにもあらわれていますが、ここでは、それを持て余すことなく無難に昇華できています。
メタル路線のTANK作品では、一般的には次作の『Honour & Blood(4th)』が代表作とされていますが、本作はやや作風は 異なれど、それと比較しても全く見落とりするところはありませんし、初期のロックンロール路線を好むリスナーであれば、本作のこそがベストな塩梅と言えるかもしれません。
スピード:★★★★☆|モタヘ度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み
Honour & Blood|ホーナー・アンド・ブラッド
オリジナルアルバム 4作目 – (1984年)
前作にも増して伝統的なヘヴィメタルテイストを強めた作風から、保守系メタルリスナーには特に人気の高く、前作と共に代表作として挙げられることの多いいアルバム。
雄々しい中に哀愁を漂わせたメロディや、ドラマティックで整合感の強い曲展開などといった、タッカーとエヴァンスによって持ち込まれたメタル的なサウンド様式と美意識が一気に大幅強化。
〈MOTORHEAD〉的な突進力は薄れてミッドテンポの比重が増すなど、全体的にスピードは控え目で、また、8分台が2曲に6分台が1曲と長尺傾向にも拍車がかかっています。
ただし、ここでは分裂後とは異なり、アルジー・ワードによる従来の〈MOTORHEAD〉直径スタイルと、タッカー&エヴァンスのヘヴィメタル様式美が奇跡的に化学反応を起こしており、絶妙な相乗効果を生んでいます。
戦争をテーマに叙事的ロマンチシズムを持ち込んだ『ウォー・メタル』ということもあり、歌詞の面では非難を浴びてもやむを得ない部分もありますが、楽曲面では名曲のT-01,T-03をはじめT-06,T-07などかよくがそろっており、代表作の名に恥じない出来栄えと言っていいでしょう。
なお、T-04はアレサ・フランクリンの名曲カバーですが、大胆なアレンジで完全なTANKサウンドへと染め上げられており、理想的なカバーぶりを見せています。
スピード:★★★★☆|モタヘ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Tank|タンク
オリジナルアルバム 5作目 – (1987年)
スピード:★☆☆☆☆|モタヘ度:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤 お布施
Still at War|スティル・アット・ウォー
オリジナルアルバム 6作目 – (2002年)
スピード:★★★☆☆|モタヘ度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★☆
賛否両論
TANK:ALGY WARD’s TANK|アルジー・ワード’s・タンク|DISCOGRAPHY
再結成するも早々に分裂した〈オリジナルTANK〉の、創始者にして何度の中心人物でもあった、フロントマンのアルジー・ワードによる、二派に分裂した新生TANKの一翼。
基本的には、ヴォーカルのみならず全ての楽器パートに至るまで、完全にワードひとりの手によるワンマン・バンドという、まさしくオリジナル・パンクスならではの、D.I.Y.精神あふれる展開を見せています。
音楽的には、初期のスタイルをヘヴィメタリックなハード・ロックン・ロール踏襲しつつも、より幅広いアプローチを試みています。
よりTANK本来のコンセプトに近い音楽性であることはもちろんのこと、創始者であるワードの存在こそがTANKの要であるとことはまぎれもない事実。
それを考えれば、たとえ1人だけであろうとも、サウンドプロ・ダクションがチープであろうとも、TANKの名を引き継ぐにふさわしい存在が、この〈アルジー・ワードTAN〉であることは明白です。
Breath of the Pit|ブレース・オブ・ザ・ピット
オリジナルアルバム 1作目 – (2013年)
スピード:★☆☆☆☆|モタヘ度:★★☆☆|総合評価:★★★★☆
通好み 実験作
Sturmpanzer|シュトゥルムパンツァー
オリジナルアルバム 2作目 – (2018年)
スピード:★☆☆☆☆|モーターヘッ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
通好み 実験作
TANK:TUCKER/EVANS’ TANK|タッカー/エヴァンス’s・タンク|DISCOGRAPHY
〈オリジナルTANK〉の3rdアルバムから、後任メンバーとして加入していた、ミック・タッカーとクリフ・エヴァンスのふたりのギタリストを中心として、TANKの名を冠した新生バンドとして結成されたグループ。
タッカーとエヴァンスは、本来がヘヴィメタル志向のミュージシャンで、〈オリジナルTANK〉におけるヘヴィメタル・エッセンスの強化に貢献した存在でした。
それだけに、初期のメタリックなハード・ロックンロールともスタイルを異にした、オーソドックスなヘヴィメタル・バンドへと生まれ変わっており、UKハードロックをルーツとしたドラマティックでメロディックなサウンドを追求しています。
War Machine|ウォー・マシーン
オリジナルアルバム 1作目 – (2010年)
スピード:★★★☆☆|モタヘ度:☆☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 お布施
War Nation|ウォー・ネイション
オリジナルアルバム 2作目 – (2012年)
スピード:★★★☆☆|モタヘ度:☆☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 お布施
Valley of Tears|ヴァレイ・オブ・ティアーズ
オリジナルアルバム 3作目 – (2015年)
スピード:★★☆☆☆|モタヘ度:☆☆☆☆☆|総合評価:★★☆☆☆
賛否両論 お布施
Re-Ignition|リ-イグニッション
オリジナルアルバム 4作目 – (2019年)
新作ではなく、『オリジナルTANK』時代の楽曲を現行のリレコーディングした再録ベストアルバム。
タッカーとエヴァンスの手によるものだけに、ドライヴ感あふれるロックンロール・テイストは薄れ、MOTORHEAD直系のファストチューンも、パワーメタル風のアレンジが施されたものとなっています。
ヴォーカルには、前任者のドギー・ホワイトつながりで、PINK CREAM 69のデイヴィッド・リードマンが参加しており、荒々しさのあるヴォーカル・スタイルで初期に近いイメージを演出しています。
原曲については文句無しの名曲ぞろいなので、必然的に、最低限のクオリティは保証されたも同然です。
しかし、『オリジナルTANK』時代の、アグレッション重視のロックンロールの名曲に頼ったこの試みは、アルジー・ワードに反旗を翻してまで様式美メタルを推し進めていた、タッカー&エヴァンスにとっては、結果的にクリエイティヴ面での敗北を意味しています。
スピード:★★★★☆|モタヘ度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 お布施