THIN LIZZY(現BLACK STAR RIDERS)の二代目ヴォーカリストを襲名したリッキー・ウォーイックがフロントマンを務め、90年代ハードロックンロールブームの先陣を切ったスコットランドのド硬派バンド!!
THE ALMIGHTY(ジ・オールマティ)はスコットランドのロックバンドで、現在はTHIN LIZZYの残党組のスコット・ゴーハムらによるTHIN LIZZYのオフィシャル後継バンド、BLACK STAR RIDERS(ブラック・スター・ライダーズ)にて故フィル・ライノットの代役としてヴォーカルを務める、リッキー・ウォーイック(Ricky Warwick)と、その旧友スタンプ・モンロー、フロイド・ロンドンよって結成されました。
ハードロック/ヘヴィメタル, パンク/ハードコア, オルタナティヴロックなどを股にかけたロックサウンドが持ち味ですが、一般的にはハードロック/ヘヴィメタルフィールドのバンドとして認識されています。
ウォーイックが、ポジティヴパンクの中でも特にハードで硬派なサウンドで知られる、NEW MODEL ARMYと縁が深かったことからもわかるように、当時ハードロックに接近していたのゴシックロック/ポジティヴパンクに近しい存在で、それは初期の音楽性にも反映されていました。
その後、80年代末期にハードロックサウンドに移行してグラムメタル全盛期の米国メインストリームで注目を集めた、THE CULT(ザ・カルト)のブレイクに続けとばかりに、米国シーンもターゲットに入れたグランジに通じるダークでヘヴィなテストを取り入れたサウンドで米国でも評価され、MEGADETHらヘヴィメタルシーンのビッグネームにも注目される存在となります。
続いては、MOTORHEAD(モーターヘッド)にも通じるパンキッシュなハード・ロックンロールサウンドに移行、同時期のシンプル&ハードなロックンロールリバイバルの火付け役になり、日本でもハードロック/メタル界隈で大ブレイクします。
しかし、そこからさらにハードロック/メタルクラスタが嫌うメロディックパンク/ポップパンクを意識したスタイルへと移行したことで、日本はを含めたこれまでの支持層はもちろんんこと、米国トレンドへのアンチ傾向が強いUKシーンでも評判を落とそのまま解散。のちに復活するも起死回生とはならず、アルバムリリースごとに低迷の度合いを深めながらシーンからフェイドアウトしてゆきます。
THE ALMIGHTY解散後、ウォーイックは再結成THIN LIZZYのヴォーカルに起用されたことを機に、BLACK STAR RIDERでもヴォーカリストに座に収まることとなります。
THE ALMIGHTY|DISCOGRAPHY
Blood, Fire and Love|ブラッド, ファイア・アンド・ラヴ
オリジナルアルバム – 1作目 (1989年)
米国的なポップメタルサウンドと、ゴス/ポジパンがルーツらしい翳りのあるサウンドをミックスしたような作風で、当時グラムメタル風のハードロックサウンドに移行して、最新アルバムSonic Templeが米国メインストリームでヒットを飛ばしていた、THE CULTに近いスタイルです。
一方で、T-01のようにMOTORHEAD風のハードロックンロールもこの時点から確認できますし、今後に続く本質的なスタイルは完成しています。基本的にはUSポップメタルに通じるサウンドですが、ポップながら脳天気過ぎないロックンアルバムとしてはなかなかの力作です。
パンク度:★★☆☆☆|ポップネス:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
通好み スルメ盤
Blood, Fire and Live|ブラッド, ファイア・アンド・ライヴ
ライヴアルバム (1990年)
1stアルバムリリース時のライヴ音源。ライヴバンドとしてならしているだけあって、熱の入ったライヴならではのサウンドが聴けますが、当然1st収録曲のみのセットリストなので、すでにベスト選曲のライヴ盤がいくつかリリースされた今となっては、1st原理主義者意外にはあまり必要性は感じられません。とはいえ、この時点でライヴ盤がリリースされているあたりに、当時の彼らに対する期待の大きさだけはうかがえます。
パンク度:★★☆☆☆|ポップネス:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
通好み スルメ盤
Soul Destruction|ソウル・ディストラクション
オリジナルアルバム – 2作目 (1991年)
前作を踏襲しつつも、さらに米国メインストリームを意識したサウンド。グラムメタルからグランジへの移行期ということもあってその両方を視野に入ているものの、どちらかというとグランジ要素よりはグラムメタル系のポップネスが勝っており、前作の薄暗さとは対照的な脳天気な明るさを感じさせるサウンドが印象的。
前作に続き、冒頭にMORTORHEADばりのハードロックンロールナンバーを配置していますが、このT−01“Crucify”こそがバンドを代表する超名曲。この尋常でない格好よさを持つ1曲のためだけにでも、アルバムを入手する価値があります。それ以外の曲は、残念ながら前後のアルバムと比較するとかなり凡庸です。
パンク度:★☆☆☆☆|ポップネス:★★★★☆|総合評価:★★★☆☆
通好み スルメ盤
Powertrippin’|パワートリッピン
オリジナルアルバム – 3作目 (1993年)
グランジ&ヘヴィグルーヴ全盛期を迎えた時期のだけに、本作にはその影響も垣間見えます。ただし、本来がモダンなセンスや器用さには欠けるオーソドックスなロックンロールバンドなので、どちらかというと同時期のヘヴィネス路線のMÖTLEY CRÜEやSKID ROWになどを思わせるような、グランジ&ヘヴィグルーヴを意識したオールドスクールという印象のサウンドです。
とはいえ、ポップネスはこれまで通りに、前作のややヌル目のサウンドから変身を遂げたており、また、このヘヴィ&ソリッドでタフなスタイルが彼らの資質に合っていたようで、楽曲クオリティもサウンドの魅力も大きく向上。結果的にセールス的にはこのあたりがピークでしたが、ここから解散の間までしばし続くクリエイティヴ面での黄金期の幕開けを飾る、ターニングポイント的なアルバムとなりました。
パンク度:★★☆☆☆|ポップネス:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Crank|クランク
オリジナルアルバム – 4作目 (1994年)
これまではアルバムの内1〜2曲にとどめられていた、MOTORHEADを直系のルーツとしたハードロックンロールナンバーを主体としたアルバム。熱量に満ちあふれた徹頭徹尾ハイテンションでハード&ヘヴィなロックンロールが並び、その多くが水準を大きく上回る名曲ぞろいという規格外の超名盤で、セールス的には前作に及びませんでしたが、クリエイティビティの面ではのTHE ALMIGHTYのキャリアの中でもピークにあたる作品です。
この少し後に世界的に巻き起こるハードロックンロールブームの先駆けともいえるアルバムで、この存在がTHE HELLACOPTERSらスウェーデンの北欧爆走R&Rなどの後続バンドにも、何らかの影響を与えたことは間違い無いでしょう。
パンク度:★★★★☆|ポップネス:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Just Add Life|ジャスト・アド・ライフ
オリジナルアルバム – 5作目 (1996年)
彼らを日本のメタルファンにまでも知らしめた、メタルエッジなヘヴィネスと突進力にあふれたMOTORHEAD直系の楽曲も健在ですが、その比率は大きく減退しポップでパンキッシュなロックンロールナンバーに取って代わりました。そこにはメロディックパンク/ハードコアに近い作風も見られ、この変化について当時の世界的なメロコアブームの影響を否定することは難しいでしょう。
そういう事情もあって、前作で飛びついたメタラーは一気に手のひらを返し、結果的にTHE ALMIGHTY活動停止の遠因にもなっています。しかし、全盛期のアルバムだけあって、作風は変われどクオリテティヴ面では前2作に匹敵する水準を維持しており、復活後の凡庸な作品群とは比ぶべくもありません。なお、ライヴアルバムとの2枚組も存在しています。
パンク度:★★★★☆|ポップネス:★★★★★|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
The Almighty|ジ・オールマイティ
オリジナルアルバム – 6作目 (2000年)
Psycho-Narco|サイコ-ナルコ
オリジナルアルバム – 7作目 (2001年)
Wild and Wonderful|ワイルド・アンド・ワンダフル
オリジナルアルバム – 8作目 (2002年)