Contents
- 1スウェーディッシュ・ゴシックメタルムーヴメントの先駆けとしてシーンをリードしたプログレッシヴでオルタナティヴな個性派バンド!
- 1.1TIAMAT|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Sumerian Cry|サムリアン・クライ
- 1.1.2The Astral Sleep|ザ・アストラル・スリープ
- 1.1.3Clouds|クラウズ
- 1.1.4Wildhoney|ワイルドハニィ
- 1.1.5A Deeper Kind of Slumber|ア・ディーパー・カインド・オブ・スランバー
- 1.1.6Skeleton Skeletron|スケルトン・スケルトロン
- 1.1.7Judas Christ|ジーザス・クライスト
- 1.1.8Prey|プレイ
- 1.1.9Amanethes|アマネシス
- 1.1.10The Scarred People|ザ・スカード・ピープル
スウェーディッシュ・ゴシックメタルムーヴメントの先駆けとしてシーンをリードしたプログレッシヴでオルタナティヴな個性派バンド!
TIAMAT(ティアマット)はゴシックメタル第一世代としてはPARADESE LOST(パラダイス・ロスト)と並ぶルーツ的存在で、スウェーデンのゴシックメタルシーンの先駆者としてシーンをリードしてきました。
ゴシックメタル第一世代はそのほぼ全てがデスメタルとしてスタートしていますが、その多くがスローなドゥームデススタイルに端を発していたのに対して、TIAMATはブラックメタル要素の濃い北欧デスラッシュをベースにしたスタイルでデビューした少数派。
ゴシックメタル黎明期のシーンの主流派だった英国勢やその他大勢のフォロアー達とは、音楽的背景もゴシックメタルへとたどり着くまでの経緯も大きく異なる変わり種であり、個性あふれるパイオニアたちが独自のメソッドによるサウンドを競っていたゴシックメタル第1世代の中でも、ひときわ特異さが際立っており立ち位置もやや異なったものでした。
PINK FROYD(ピンク・フロイド)に例えられるプログレッシヴロック的なサウンドや、エレポップ/クラブミュージック的な作風など、作品ごとにスタイルを変えながらラジカル音楽的実験を続け、エキゾチック&サイケデリックなダークな耽美性と独自のポップネスを併せ持ったオンリーワンのスタイルを追求しており、後に続くオリエンタル/エスニックサウンドを取り入れたのゴシックメタルやプログレッシヴメタル,耽美派ブラックメタルなどに道を示した存在でもあります。
TIAMAT|DISCOGRAPHY
Sumerian Cry|サムリアン・クライ
オリジナルアルバム – 1作目 (1990)
ブラックメタルテイストも感じさせるスウェーディッシュデスラッシュですが、メロディアスなパートやドゥーミーなートもあり、耽美志向とオリエンタルなエスニックテイストや得意なポップセンスもこの時点ですでに見られます。
当時のスウェーディッシュデスメタルシーンの中では突出したレベルでもなく、北欧デス特有のB級感も拭えず特に注目もされていませんでしたが、改めて聴くととその他大勢とは一線を画すだけの個性の萌芽も感じられます。
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
The Astral Sleep|ザ・アストラル・スリープ
オリジナルアルバム – 2作目 (1991)
前作で見られた彼らならではの個性を推し進めた作品。デスラッシュベースの作風に変わりはありませんが、メロディ,耽美性,オリエンタルテイストなど全てが大幅にパワーアップしているだけでなくす。
当時北欧シーンで時折見られた、ほんのりとメロディ/耽美性を盛り込んだプレメロデス的な作風ですが、それらの中でも間違いなく最上位レベルにありメロディと耽美性のフィーチャー度も突出していますし、次作に続くゴシックドゥームパートもすでにカタチになっています。
彼らの才能はまだ全開になっていませんが、ドゥームに舵を切らずこのままデスラッシュを維持して進んでいれば、元祖北欧ゴシックメタルではなく元祖メロディックデスメタルと呼ばれていたかもしれない…、そう思えるほどのポテンシャルを感じさせる作品です。
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Clouds|クラウズ
オリジナルアルバム – 3作目 (1992)
前作から一転してゴシックドゥーム路線に舵を切った作風で、90年代スウェーディッシュ・ゴシックメタルの先駆けとなるアルバムでありTIAMAT初期の名盤でもありますが、日本では当時は注目度が高くなかったことから未だに過小評価の傾向が強い作品です。
疾走パートも含めたデスメタル要素は残され前作を踏襲した部分も少なくありませんが、ここではドゥーミィな展開がメインとなり、彼ら特有の暗黒耽美センスと陰鬱なメロディも充満していおり、されにそれらが全て前作から大きくパワーアップされています。
スウェーディッシュ・ゴシックメタルのもうひとつの古参グループKATATONIAは、PARADISE LOSTら英国勢のフォロアー第1世代としてそれらの最大公約数的サウンドを追求しており、それと比較すると彼ら独自のセンスとメソッドで醸成されたサウンドはその特異性が際立っています。
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Wildhoney|ワイルドハニィ
オリジナルアルバム – 4作目 (1994)
前作Cloudsに続いてゴシックドゥーム路線でヘヴィネスは健在ですが、疾走パートなどデスラッシュ時代の名残は完全に払拭され、メタルエッジな質感や禍々しさもやや角が取れてオーガニックな質感が増しており、フォーキィなトラッド風アコースティック曲も収録されています。
曲によってはスペーシーなトリップ感やダークな呪術的エスニシティも感じさせる、無国籍サイケデリアに満ちた作風は、PINK FLOYD(ピンク・フロイド)にも例えられることがありました。
この音楽性の変化は、次作では復帰するThomas Wyreson(Gt.)を含むメンバーが一気に抜けて、フロントマンのJohan EdlundとJohnny Hagel(Ba.)だけという実質ヨハンのソロ状態になっていたことも大きいでしょう。
WildhoneyはTIAMATにとって一応のブレイクスルーとなった作品で、日本デビュー作でもあり、当時のゴシックメタル/ドゥームメタルの普及とともに幅広い層に注目された作品でもあります。
しかし、これまでのようなヘヴィメタリックな作風でも、後年のような明快なメロディーを持ったコンパクトな作風でもなく、ソフトで聴きやすい反面アトモスフェア重視のつかみどころのなさもあるアルバムなので、「ゴシックメタルが聴きたい!」というリスナーが最初に手にするにはどうかと思我ます。
代表作 入門盤 通好み スルメ盤 実験作
A Deeper Kind of Slumber|ア・ディーパー・カインド・オブ・スランバー
オリジナルアルバム – 5作目 (1997)
前作のサイケデリック感覚はそのままにエレクトロサウンドを大胆にフィーチャーして、モダンな音作りに舵を切ったアルバム。
この時期はTIAMATをはじめANATHEMA,THA GATHERINGら第1世代グループを中心に(ブラックメタル系も含め)、安易なフォロアーの増加で類型化が進行しつつあったゴシックメタル/ゴシックドゥームを脱却し、よりラディカルにメタル色をも払拭したオルタナティヴなサウンドを試みるケースが増えていました。
プログレッシヴロックやサイケデリックロックから、トリップホップなどのクラブ系アンビエントミュージックまでもを視野に入れたサウンドは、ある意味ではこの後続出してくるポストロック系の一部グループに先駆けたものとも言えますが、そこに彼らの持ち味でもある郷愁を感じさせるポップネスと無国籍なエスニックテイストが相まって、モダンでテクノロジカルでありながらオーガニックな印象をも与える耽美なサイケデリックサウンドスケープを作り上げています。
TIAMATは基本的に駄作無しでカタログの多くが代表作ともいっても過言ではなく、各アルバムそれぞれが熱心な支持層を持っていますが、その中でもこのA Deeper Kind of Slumberは一歩抜きん出た存在なのは認めざるを得ませんし、ゴシックメタルファン以外にも聴かれるべき多様性をも持った作品とも言えます。
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Skeleton Skeletron|スケルトン・スケルトロン
オリジナルアルバム 6作目 (1999)
スタイルは変われどTIAMATサウンドの根底にあり続け彼らの持ち味として定着した、無国籍なエスニックサイケデリアはここでも健在なのですが、基本路線については再び方向性を軌道修正を施されています。
前作A Deeper Kind of Slumberで成功を収めたエレクトロニカルな音作りは影を潜め、近作で見られたアトモスフェアなサウンドスケープに比重を置いた曲調やアルバムオリエンテッドな構成から、明快な展開を持ってコンパクトにまとまった楽曲重視のつくりへの変化が見られます。
前作では見られなかった以前のドゥーミィなテイストもやや取り戻していますが、本作で特に重要なポイントは、これまでも時折見せていたとレトロな郷愁を漂わせたポップネスで、時にTHE BEATLESあたりまでさかのぼれるようなノスタルジックなサイケポップセンスさえ感じられます。
同じく過去作にも見られたフォーキーなテイストも目立つようになりましたが、それは近年のフォークメタルなどで聴けるようなトラッドミュージック系サウンドではなく、かつてのフォークロックを思わせるもので、聴きようによっては昭和歌謡までも想起させます。
しかし、曲調こそ多彩で楽曲が粒ぞろいではあるものの、良くも悪くも色調が統一されて平坦にも感じられることと、平均値は高いものの突出したキメ曲を欠くことから、どうしても地味な印象は拭えません。
通好み スルメ盤
Judas Christ|ジーザス・クライスト
オリジナルアルバム 7作目 (2002)
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
Prey|プレイ
オリジナルアルバム 8作目 (2003)
Amanethes|アマネシス
オリジナルアルバム 9作目 (2008)
The Scarred People|ザ・スカード・ピープル
オリジナルアルバム 10作目 (2012)