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★ VIPER(ヴァイパー) ディスコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|ラテン・メロディックメタルの基礎を築いた後も進化の歩みを止めない伝説のブラジリアン・パワーメタルの革命児!!…必聴アルバムは?

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VIPER|DISCOGRAPHY

Soldiers of Sunrise|ソルジャーズ・オブ・サンライズ

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オリジナルアルバム – 1作目 (1987年)

初期のヘヴィメタルやN.W.O.B.H.M.の影響を受けつつも、スラッシュメタル以降のアグレッションを持った、初期の〈HELLOWEEN〉にも通じるパワー/スピードメタル。
ファンタジーストーリーをテーマにした勇壮なサウンドといった、いわゆるアメリカン・エピックメタルに近いテイストも感じさせます。

メンバーが10代の頃の作品ということもあり、良くも悪くも粗さと稚拙さが目立つB級の域を超えることのないアルバムで、次作がスマッシュヒットとなった日本でも過渡期の習作に近い扱いをされがち。

その評価はおおむね正解ですし、好みが別れるアルバムではありますが、小細工に頼らないストロングスタイルのパワーメタルサウンドを好むリスナーならば、スピードチューン主体で勢いで聴きとおせる仕上がりの本作は、代表作とされる2nd以上に楽しむことが出来るかもしれません。

|メタル度:★★★★★
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★★
|叙情メロ度:★★☆☆☆
|エピック度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

入門盤 通好み

Theatre of Fate|シアター・オブ・フェイト

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オリジナルアルバム – 2作目 (1989年)

マトスの志向性が強く反映された作風で、ベートーベンの「月光のソナタ」のカバーを収録しているほか、他の曲にもときおりクラシック由来のフレーズを織り交ぜており、いわゆるネオクラシカルテイストやプログレ的な凝った展開など、後の〈ANGRA〉にも通じる作風へと変化しています。

ことに日本においては、リッチー・ブラックモアやイングヴェイ・マルムスティーンなどの系譜に連なる日本ウケの良い作風が好評を得て、彼らの最高傑作ともされているアルバムです。

確かに技量的には大幅に向上しており、良質なパワーメタルナンバーも聴けるので、ネオクラ系やシンフォ系のメロディック・パワーメタルに慣れ親しんでいるリスナーであれば、そのルーツとして押さえておきたい1枚でしょう。

一方で、シンフォ系に慣れないリスナーは、あまりにベタベタ過ぎる“おなじみのクラシックフレーズ”がテンコ盛りの楽曲には、さすがに気恥ずかしさがこみ上げてくるかもしれません。

|メタル度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|叙情メロ度:★★★★☆
|エピック度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤

Evolution|エヴォリューション

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オリジナルアルバム – 3作目 (1992年)

マトスが抜けたことによって、ネオクラシカルな様式美テイストが完全に払拭されたアルバム。

スラッシーながらもややオーソドックスなパワーメタルに、クロスオーバー・スラッシュに見られるパンキッシュテイストやファンクメタルテイストをミックスしたようなスタイルで、ある種ファニーとも表現可能なサウンドには初期の〈ANTHRAX〉なども思わせる部分もあります。ヴォーカルはオーソドックスなハイトーンスタイル。

前作の“ネオクラ”スタイルの支持者からはおおむね不評で、そこで得たリスナーの多くを失うことになったとはいえ、ようやく彼らなりの独自性を確立しており、アイデアも多彩で完成度では過去最高といえるでしょう。

ややつかみどころのない部分はあるものの、なかなか味わい深いサウンドですし、エピック的な大仰さがない分だけ間口は広がったともいえます。

|メタル度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|叙情メロ度:★★☆☆☆
|エピック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作

Vipera Sapiens|ヴァイパラ・サピエンス

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ミニアルバム:EP (1993年)

『Evolution(3rd)アルバムと同時期の音源によるミニアルバムで、再結成後を別にすれば日本盤がリリースされた最後の作品です。

作風も『Evolution』アルバムと同路線で、同様に楽曲のクオリティも高く、また収録曲も『Evolution』と重ならないので、アルバムが気に入ったリスナーなら併せて押さえておきたいところです。

|メタル度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|叙情メロ度:★★☆☆☆
|エピック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作

Coma Rage|コーマ・レイジ

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オリジナルアルバム – 4作目 (1995年)

前作での作風をベースにしつつパンキッシュな要素を増して、ハードコア/オルタナ方面に舵を切ったアルバム。
日本盤はリリースされず日本ではほぼ黙殺状態でしたが、海外ではメタル最大手レーベルの“ロードランナー”からリリースされました。

ここでの変化は、メロコア/ポップパンクのブームを含む当時のハードコア人気が背景にあるのは確かで、ここでは事実それに類するスピーディーなハードコアパンク・ナンバーも披露しています。

しかしそれは、メタル上がりのメロコアバンドによく見られる、メロパワをチューニングしたスピードパンクとは異なるもの。
もっと以前のオールドスクール・ハードコアやクロスオーバー・スラッシュを原型として、さらに遡ったパンクロックや、より原初的なプロト・パンクまでを飲み込んだサウンドと言えます。

ポップながらやや通好みな仕上がりで、メロコアの人気バンドのようなわかりやすさはありませんが、メタルもハードコアパンクもOKなリスナーなら聴いて損のないアルバムでしょう。

T-13の「I Fought the Law」は、〈ソニー・カーティス〉の…というよりも〈THE CRUSH〉によるバージョンで知られている名曲のカバー。

|メタル度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|ハーコー度:★★★☆☆
|ポップ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

Tem pra Todo Mundo|テン・プラ・トード・ムンド

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オリジナルアルバム – 5作目 (1996年)

レーベルの倒産とそれに絡むマスター音源の紛失などで、一時はお蔵入りになっていたというアルバム。
ここではメタル要素は払拭され、ネオクラシカル系のを中心としたメタル専門のリスナーには、もはや論外と見なされそうなサウンドを展開。

パンキッシュながらも、ヘヴィメタリックなサウンドを基調としていた前作とは異なり、民族楽器奏者も含む多くのローカルミュージシャンを迎えてヴォーカルにもポルトガル語を用いた、パンキッシュなラテンロック・アルバムへと大変貌を遂げています。

基本となるのは軽快なパンクロックは主体のサウンドですが、そこに濃厚なラテン・テイストが加わっており、また、曲によってはレゲエ/スカテイストのいわゆるラガパンク/スカパンクもあり、時にはストリングスを交えたアコースティックロックも聴かせます。

守備範囲の広いリスナーにとっては、取り立てて特異で珍しいスタイルではありませんが、クオリティは上々なのでラテンロック/ラテンパンクファンなら聴いて損はないかもしれません。

|ラテン度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|パンク度:★★★★☆
|ポップ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作

All My Life|オール・マイ・ライフ

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オリジナルアルバム – 6作目 (2007年)

初期のメロディック・パワーメタルに回帰したアルバムですが、その単純な焼き直しには終わっていません。
直近のキャリアを反映してかロッキンなリズムの曲も見られ、それらはむしろメロコアそのものといっても過言でない仕上がりを見せています。
結果的にメロディックパワーメタルとある種のメロコアの、実質的なサウンドの距離の近さを再認識させてくれます。

ネオクラシカル/シンフォニックなテイストは希薄で、歌詞も初期のようなエピック風のファンタジー路線ではないため、メロディアスでありながらパワフルな、ストロング・スタイルのメロディック・パワーメタルと考えたほうが良いでしょう。

アルバムを印象付けるほどの、コレといったキラーチューンは無いものの、佳曲も多くおおむね高水準の出来栄えで、何よりその小細工にはしらない骨太なスタイルは近年では思いのほか貴重なもの。

00年代以降のパワー/スピードメタルで幅を利かせる、フラッシーなシンフォニックサウンドや、過剰に高密度で情報量の多いサウンドに辟易してるリスナーならば、一聴の価値アリです。

|メタル度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|叙情メロ度:★★★★☆
|エピック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
◎ VIPERはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!

日本ではネオクラシカル系と見做されがちなVIPERですが、その実、作風は頻繁に大変貌しています。
そのため、時期/アルバムごとの毀誉褒貶の激しいバンドでもあり「VIPERらしさって何」と聞かれると難しいところがありますが、どのスタイルにおいても水準以上の完成度のアルバムを残しています。

“おシンフォ”なクサメロ満載のメロパワが聴きたければ、『Theatre of Fate(2nd)』一択で間違いありません。

一方、そういったメロパワが苦手な人や、純粋に個性的でよくできたメタルアルバムを聴きたければ、『Evolution(3rd)』『All My Life(6th)』がオススメです。

ハードコアパンク寄りの『Coma Rage(4th)』や、ラテンパンクの『Tem pra Todo Mundo(5th)』も、クオリティでは他に引けを取らないので、守備範囲に当てはまるなら要チェックです。

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