Contents
- 1第一線のトップ・ミュージシャンと共に活躍したメンバーで結成され、インテリジェントなツイストの効いたサウンドで異彩を放った、グラムメタル末期のミュージシャンズ・ミュージシャン”グループ!!
- 1...1グラムメタルのブーム末期に滑り込み参戦!?
- 1...2一線級の腕利きミュージシャンが集結!!
- 1...3耳の肥えたマニアや好事家も一目置く実力派!?
- 1...4衰退〜解散〜リユニオン〜再結成!!
- 1.1WINGER|ウィンガー|DISCOGRAPHY|スタジオ・アルバム
- 1.1.1Winger|ウィンガー
- 1.1.2In the Heart of the Young|イン・ザ・ハート・オブ・ザ・ヤング
- 1.1.3Pull|プル
- 1.1.4Winger IV|IV
- 1.1.5KARMA|カーマ
- 1.1.6Better Days Comin'|ベター・デイズ・カミン
- 1.1.7Seven|セヴン
- 1.2WINGER|ウィンガー|DISCOGRAPHY:Live|コンピレーション・アルバム
- 1.2.1The Very Best of Winger|ヴェリー・ベスト・オブ・ウィンガー
- 1.2.2Demo Anthology|デモ・アンソロジー
- 1.3KIP WINGER|キップ・ウィンガー ソロ|DISCOGRAPHY
- 1.3.1This Conversation Seems Like A Dream|ディス・コンヴァセイション・シーム・ライク・ア・ドリーム
- 1.3.2Down Incognito|ダウン・インコグニート
- 1.3.3Songs From The Ocean Floor|ソング・フロム・ザ・オーシャン・フロアー
- 1.4BLACKWOOD CREEK|ブラックウッド・クリーク|DISCOGRAPHY
- 1.4.1Blackwood Creek|ブラックウッド・クリーク
WINGER|ウィンガー|DISCOGRAPHY|スタジオ・アルバム
Winger|ウィンガー
オリジナルアルバム – 1作目 (1988年)
WINGERのカタログ中で最もオーソドックスなグラムメタル系のポップメタルを展開していることから、グラムメタルとしてのWINGERを支持する多くのファンの中でも最も人気の高い1枚。
職人ミュージシャン集団ならではの確かなスキルに加え、メソッドが出尽くしたムーヴメント末期のデビューというアドバンテージもあって、この時点で既にかなり出来上がっており、新人離れしたデビューアルバムとなっています。
ポップでありながらも軽薄さを感じさせないため、一般のメタルリスナーにも比較的聴きやすい仕上がりといえますが、反面、ケレン味やハッチャケぶりは期待できないため、グラムメタル系の“馬鹿ロック”として半笑いで楽しみたいリスナーには、少々物足りないかもしれません。
また、個々の楽曲は概ね水準以上でソツの無い出来栄えではあるものの、ポップ・ミュージックとして見るとフックが弱く、際立ったキラーチューンが無いというあたり、〈BON JOVI〉らメインストリーム第一線と比較すると見劣りすることも否めません。
後のキャリアや作品展開を俯瞰してみると、ここでは“グラムメタル”の枠組みが枷となって、音楽性の自由度が狭まったことで持ち味を出し切れていないように感じられ、無難な作品ではあるものの彼らの本領発揮とはなっていない印象です。
T-05は〈ジミ・ヘンドリックス〉の名曲カバー。
||ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|プログレ度:★☆☆☆☆
|オルタナ度:☆☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤
In the Heart of the Young|イン・ザ・ハート・オブ・ザ・ヤング
オリジナルアルバム – 2作目 (1990年)
ややエッジが取れたものの、おおむね前作のスタイルを踏襲されたグラムメタル系のポップメタル/産業メタルを展開していますが、ここでは、同時期の〈EXTREME〉ほどでは無いもののファンク・テイストが目立つアルバムとなっています。
前作1stの支持者からは「メタル色が弱まった」として批判されがちですが、それは主にこのファンク・テイストが要因と思われます。
とはいえ、前作路線やファンキー路線にとどまらず、後の展開を予感させるようなプログレ風味の曲や、〈BON JOVI〉風のポップチューンなど多彩な作風となっており、楽曲バリエーションは大きく広がりました。
いずれにせよ、楽曲のクオリティについては確実に底上げされており、名曲と呼び得るフッキーなT-06をはじめ、T-05,T-08,T-09,T-10といった、メロディや展開が印象を残す粒の立った曲も増えていおり、総合力では前作を上回ってさえいます。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★★
|プログレ度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Pull|プル
オリジナルアルバム – 3作目 (1993年)
グランジやグルーヴメタルに席巻されたいた時期のアルバム。
ここまで生き延たグラムメタル勢の多くは、シーンの趨勢に抗うことはできず、それらを反映したサウンドへと変化して、きらびやかな80年代バブルの夢から覚めたくないオールドファンを、絶望のどん底に突き落としていました。
その中でWINGERが選んだアプローチは、フラッシーな装飾や軽薄さを取り払った、ロウでややオーガニックな質感の、より普遍的で骨太なアメリカンロック路線という至極オーソドックスで真っ当なスタイルで、時には〈KING’SX〉あたりに通じる部分もあります。
同時代的なヘヴィサウンドとダークな作風を取り入れ、それが特徴的な要素となっていることも事実ではあるので、当然のように、ファンからは「雑に“グランジ化”と片付けられ、モダン・ヘヴィネス」に染まったは問題作として否定的に語られがちですし、セールス面も減退しています。
しかし、グラムメタル系の90年代アップデートのダメな例に多く見られる、既存の主流グランジからの直接的な流用や、上辺だけ陰鬱で内省的なポーズで取り繕うだけといった、安易な結果には落ち着いてはいません。
確かに、マイナー調のシリアスな雰囲気の曲が目立つほか、ときおり前作のようなファンクテイストも見られるものの、それ一辺倒というわけではありませんし、これまで通りメロディやキャッチーなポップネスも重視されています。
また、本来が商業ベースの職人バンドだけに、スタイルは変われど楽曲の完成度はと安定感は折り紙付きですし、以前のような『グラムメタル』の枠にとらわれずに済んだことは、確実にプラスに働いています。
そのため、バブルのくびきから逃れたリスナーからは高く評価される傾向も見られ、後年では再評価の傾向も進んでいるなど、同じような立ち位置にある〈EXTREME〉〈LILLIAN AXE〉らと並んで、骨太ハードロック路線への転換をクリエイティヴ面での向上に転化することに成功した、稀有な1例とも言えるでしょう
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ポップネス:★★★★★
|プログレ度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Winger IV|IV
オリジナルアルバム – 4作目 (2006年)
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ポップネス:★★★★☆
|プログレ度:★★★★☆
|オルタナ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
KARMA|カーマ
オリジナルアルバム – 5作目 (2009年)
Better Days Comin’|ベター・デイズ・カミン
オリジナルアルバム – 6作目 (2014年)
Seven|セヴン
オリジナルアルバム – 7作目 (2023年)
WINGER|ウィンガー|DISCOGRAPHY:Live|コンピレーション・アルバム
The Very Best of Winger|ヴェリー・ベスト・オブ・ウィンガー
コンピレーションアルバム (2001年)
Demo Anthology|デモ・アンソロジー
コンピレーションアルバム (2007年)
KIP WINGER|キップ・ウィンガー ソロ|DISCOGRAPHY
キップ・ウィンガーは、WINGERが解散していた1994年よりソロ活動をスタートしており、WINGERが正式に再結成して本格的に活動を再開した2006年以降もそれと平行してソロでも活動を続けています。
ウィンガー以外のメンバーは、アルバム/楽曲単位で異なるミュージシャンを起用し、曲によっては共作も行うというスタイルで、パーマネントなメンバーは存在しません。
音楽性はアルバムによって多少の変化は見られるものの、ソロキャリアを通してヘヴィメタルとして扱える楽曲はほとんど見られません。
基本的にはアコースティックな曲が主体のソフィスティケートされたメロディック・ロックといったスタイルで、曲によってはシンフォニック色の強いものもあります。
This Conversation Seems Like A Dream|ディス・コンヴァセイション・シーム・ライク・ア・ドリーム
オリジナルアルバム – 1作目 (1996年)
Down Incognito|ダウン・インコグニート
オリジナルアルバム – 2作目 (1998)
Songs From The Ocean Floor|ソング・フロム・ザ・オーシャン・フロアー
オリジナルアルバム – 3作目 (2000)
BLACKWOOD CREEK|ブラックウッド・クリーク|DISCOGRAPHY
ティーン時代のキップ・ウィンガーが、いつの兄弟であるネイトとポールと共に活動していたのウィンガー兄弟によるパワートリオ。
ネイトとポールはキップと同様に音楽業界で活動しており、両者とも主にセッション・ミュージシャンとして多数のトップグループをサポートしています。
BLACKWOOD CREEKは1980年に解散し音源も残していませんが、2009年に活動再開し、アルバム1枚をリリースしています。
再結成時はポールは不参加となっており、後任ギタリストには、ネイトがサポートを務めたことがあるオルタナハード・バンド〈PIGMY LOVE CIRCUS〉の、ペーター・フレッチャーを迎えています。
音楽性は、後期のWINGERにも見られるような、70年代ロックからの影響の強いハードロックが中心です。
Blackwood Creek|ブラックウッド・クリーク
オリジナルアルバム – 1作目 (2009年)