Contents
- 1ニューメタルのパイオニア達に大きすぎる影響を与えてスタイルの基盤となり、その個性的サウンドを構成する様々なエッセンスのルーツにあたる重要グループ!
- 1...1多様すぎるニューメタルのバックグラウンド!!
- 1...2ニューメタルのバックグラウンドあ知っておくべき??
- 1.1ニューメタルサウンドに影響を与えた重要グループ
- 1.1.1PANTERA|パンテラ
- 1.1.2BIOHAZARD|バイオハザード
- 1.1.3RAGE AGAINST THE MACHINE|レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
- 1.1.4FAITH NO MORE|フェイス・ノー・モア
- 1.1.5MARILYN MANSON|マリリン・マンソン
- 1.1.6TOOL|トゥール
- 1.1.7FUGAZI|フガジ
- 1.1.8QUICKSAND|クイックサンド
- 1.1.9THE CURE|ザ・キュアー
- 1.1.10DEPECHE MODE|デペッシュ・モード
- 1.1.11BEASTY BOYS|ビースティー・ボーイズ
- 1.1.12BODY COUNT|ボディ・カウント
- 1.1.13JUDGHMENT NIGHT|ジャッジメント・ナイト(OST…オリジナルサウンドトラックアルバム)
ニューメタルのパイオニア達に大きすぎる影響を与えてスタイルの基盤となり、その個性的サウンドを構成する様々なエッセンスのルーツにあたる重要グループ!
基本的にニューメタルと呼ばれるサウンドは、様々な音楽をミクスチャーしたクロスオーバー手法で生まれたスタイルでありジャンルですが、それらのニューメタルシーンに影響を与えたグループについては、あまり語られることがないようです。ここでは、それらのニューメタルのバックグラウンドにある、重要バンドについて解説したいと思います。
多様すぎるニューメタルのバックグラウンド!!
もっとも、それらのニューメタルのルーツにあたるアーティストは、ヘヴィメタルバンドに限ったものではありません。
複合型ジャンルであるニューメタルの背景には、グルーヴメタル/ヘヴィグルーヴ, スラッシュ/デスメタル, ハードコア, グランジ, ハードロック/ヘヴィロック・クラシック, ポストパンク/ニューウェイヴ, オールドスクールなファンクロック/ラップメタル, 初期のインダストリアルメタル, ノイズ/ジャンクロック, ドゥーム/ストーナー/スラッジなどのダウナーサウンド…など様々なジャンルの影響が控えています。
されに言えば、これらのニューメタルの要素となった各ジャンルにも、さらに多くのバックグラウンドが控えているわけですが、そこ前話を広げると収拾がつかなくなるので、ここでは触れないこととしましょう。
ニューメタルのバックグラウンドあ知っておくべき??
もちろんこれら全てのジャンルを知ることなくニューメタルを楽しむことも可能ですが、ニューメタルを理解したり深掘りしようと思うなら、最低限の要所となるポイントは確実にチェックしておきたいところです。
ここでは、それらの重要ジャンルの中からニューメタル直近のルーツに近い、あるいは特に直接的な影響力の大きい代表的なグループについて、紹介しておきたいと思います。
ニューメタルサウンドに影響を与えた重要グループ
PANTERA|パンテラ
ニューメタルの前身でもあるグルーヴメタル世代を代表するグループ。
BLACK SABBATH的なヘヴィネスと米国の伝統でもあるミッドテンポのグルーヴが効いたヘヴィ/ハードロックを、ハードコアやスラッシュメタルのエクストリームセンスで再構築した、他に類を見ないヘヴィグーヴでメタルシーンを一変させた超重要バンド。
ひと世代上のムーヴメントで活躍したバンドではありますが、グルーヴメタルは完全にニューメタルムーヴメントと直結していることもあり、「PANTERAなくしてはKORNもニューメタルシーンも存在し得なかった」と言えるレベルの大きすぎる存在です。
BIOHAZARD|バイオハザード
PANTERAらと同様のグルーヴメタル、あるいはそれと対をなすグルーヴコアとして、初期のヘヴィグルーヴスタイルを牽引した“メタルmeetsハードコア”のクロスオーバーバンド。
彼らもまた、その存在が無ければその後のヘヴィメタル/ハードコアシーンが大きく変わっていたと考えられる、原点とも言えるグループのひとつ。
ラップメタルに接近したりニューメタル寄りになったりと、時代ごとにマイナーチェンジを重ねており、それには彼らが時流に合わせた面もありますが、それ以上にグルーヴメタル/コア〜ニューメタル〜メタルコアがひとつの線上にあることの証左と考えるべきでしょう。
RAGE AGAINST THE MACHINE|レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
もはや生ける伝説になってしまった感のあるRAGE AGAINST THE MACHINEは、世代的にはグルーヴメタル世代とニューメタル世代の間に位置し、それまでのミクスチャーロック/ラップメタルを別の次元に押し上げたグループですが、サウンドからしてもKORN系のやラップメタル系のニューメタルとは完全に一線を画した存在です。
ミュージシャンであると同時にポリティカルなアジテーターとしての側面が強いことや、直接的なフォロアーが見られない一代限りのワン・アンド・オンリーな存在ということもあって、何処にも属しない独自のポジションを築いていますが、時にニューメタルのパイオニアのひとつとして語られることもあります。
解散後はヴォーカルのザック(Zack de la Rocha)と楽器隊に分裂。バンドはSOUNDGARDENのクリス・コーネルとポストグランジバンドのAUDIOSLAVEを結成し一線のヒットメイカーとして活躍。ザックはよりオルタナティヴなサウンドと政治色の強い活動を追求してゆきます。
FAITH NO MORE|フェイス・ノー・モア
FAITH NO MOREは、90年前後の米国オルタナティヴロック全盛期を代表するグループのひとつ。
Mr.BUNGLE(ミスターバングル)名義で前衛的な活動も行っていたマイク・パットン(Mike Patton)の、多彩な歌唱法/発声法を駆使するヴォイスパフォーマー的なスタイルが、KORNのジョナサン・デイヴィスやSISTEM OF A DOWNのサージ・タンキアンらに代表される、ニューメタル系のヴォーカルスタイルへの影響が大きいことが知られるようになり再評価も進みました。
活動初期はミクスチャー/ファンクロックのパイオニアとして、RED HOT CHILI PEPPERSに次ぐ存在でしたが、パットン加入の影響でプログレ的な実験色の強いスタイルとなり一躍名を挙げます。
当時の彼らはメタルシーンに対して否定的なコメントも多く、バンドに貢献してきたメタル志向の強いジム・マーティン(Gt.)を方向性を巡る対立の末解雇したこともあり、アンチメタルの急先鋒的存在とも目されていました。
しかし、ヘヴィメタルマンのジム脱退後、ダーティーなシャウトもフィーチャーしたヘヴィロックも交えた作風になり、逆に初期ニューメタル的なスタイルに接近。解散後はメタル系のアーティストとのコラボレーションも行なっています。
MARILYN MANSON|マリリン・マンソン
おなじみMARILYN MANSONは、米国インダストリアルメタルの第2世代を代表するアーティストで、ROB ZOMBIEと並ぶサブカル系ロックのカリスマ。
先輩格のNINE INCH NAILSをエンタメショックロック路線に全振りしたようなスタイルが特徴で、ニューウェイヴやグラムロックなどの要素も強く、ニューメタルの類型的サウンドとは趣が異にするもの。そのためニューメタルと時期が重なっていても、単純にひとくくりにするのは抵抗を感じる存在です。
しかし、幼少期の家庭問題などのトラウマを題材にした、キッズの共感を得やすいトラウマロックとしてはKORNと双璧でしたし、グランジから継承した陰鬱でネガティヴなエッセンスをエレクトリックサウンドでスタイリッシュに表現した作風は、ナード系エモ/ゴスクラスタから圧倒的な支持を受けて一大勢力となり、ニューメタルシーンの一部にも確実に受け継がれています。
また、現在のメタルシーンにコンセプチュアルなコスプレ系やビジュアル系のスタイルを、ポピュラーなものとして普及させるきっかけにもなりました。
TOOL|トゥール
TOOLは、グルーヴメタル勢と並んでニューメタルに先駆けたオルナタティヴロック世代のグループであり、90年代を代表する最重要バンドのひとつ。一般的にはプログレメタルとして扱われていますが、時にニューメタル文脈で語られることもあります。
ポリリズムも用いた複雑で変則的なリズム展開と、ゴシック的な耽美性も持ち合わせたダークでサイケデリックなヘヴィロックサウンドが持ち味で、ニューメタルシーンに彼らの直接的なフォロアーは見当たらず、ニューメタルの定型までには至っていませんが、多少なりとも彼らのサウンドにインスパイアされているグループであれば相当数に上ります。
FUGAZI|フガジ
FUGAZIは、80年代NYHC(ニューヨークハードコア)シーンの代表格MINOR THREAT(マイナー・スレット)のメンバーだった、イアン・マッケイらが結成したグループ。
ハードコア系アーティストによる非ハードコアサウンドを追求するグループ…いわゆるポストハードコアのパイオニアのひとつに位置付けられており、HELMET(ヘルメット)やQUICKSAND(クイックサンド)などと並ぶニューヨークのヘヴィオルタナティヴシーンの顔的な存在。
それと同時に、のちのニューウェイヴ由来の叙情性をウリにした一連の“エモ系”につながる、エモコア(エモーショナル・ハードコア)の先駆けともされており、それにふさわしい内省的な情感あふれるメロディと歌唱が特徴。
後のエモ勢とは別モノと言っていいほど大きく異なる、80年代のニューウェイヴ/ポストパンクシーンに見られたミニマムな実験性や前衛性を受け継いだような作風で、オルタナティヴ志向のニューメタルバンドから影響を受けた存在として名前が挙がることの多いグループです。
ポストハードコアには、ハードコア世代のハードコアメソッドによる、オールドスクールなロック/ハードロック/プログレ再構築という側面がありますが、彼らにもその一面が見てとれます。
QUICKSAND|クイックサンド
QUICKSANDは、GORILLA BISCUITS(ゴリラ・ビスケッツ)やYOUTH OF TODAY(ユース・オブ・トゥデイ)などに参加していたウォルター・シュライフェルス(Walter Schreifels)を中心とした、NY(ニューヨーク)ハードコアシーンの個性派バンドのメンバーで構成されたグループ。
HELMETやORANGE9mm(オレンジ・ナインミリメーター)などのNYヘヴィオルタナティヴ系グループとつながりも深く、通好みのバンドやリスナーにとってはカリスマ的な存在です。
FUGAZIらとともに“エモ”やポストハードコアのルーツとして語られることの多いグループですが、これらの中では特にヘヴィでメタリックな作風が特徴で、同期のグルーヴメタル勢にも通じるサウンドを持っていました。
メンバー間のいさかいが絶えずアルバム2枚の短期間の活動に終わっていますが、ニューヨークのオルタナティヴ/ハードコアシーンでは重要バンドのひとつと目され、DEFTONES(デフトーンズ)やGLASSJAW(グラスジョウ)をはじめとしたオルタナティヴロック志向のグループらには、彼らの強く影響が見て取れます。
メンバーのセルジオ・ベガ(Ba.)は、QUICKSAND解散後DEFTONESに加入。
THE CURE|ザ・キュアー
ニューメタルの大きな特徴のひとつに、英国のニューウェイヴ/ポストパンクからの影響をサウンドに反映させていることが挙げられますが、ニューメタルシーンにの影響与えたグループの中でも最も存在感の強いのがTHE CUREでしょう。
THE CUREは英国のニューウェイヴ/ポストパンクグループの中では、DEPECHE MODE(デペッシュ・モード)と並んでアメリカでも最も高い知名度と人気を誇るグループで、米国流ゴス/エモサウンドの源流として、それらのグループのサウンドの根底に少なからず影を落としています。
装飾過剰にならないシンプルでポップな作風ながら、ゴシックロックとしても語られるメランコリックなメロディーと退廃的な耽美性を持ったサウンドが魅力で、欧米ではメタル系を含む幅広い層に支持されるカリスマです。
ニューメタルシーンでも、KORNやDEFTONESらのオルタナティヴ・ロック色の濃い第1世代や、COLDなどのよりニューウェイヴ色の強いグループをはじめとして、多くのバンドがそのバックグラウンドとして彼らの名を挙げています。
DEPECHE MODE|デペッシュ・モード
DEPECHE MODEは、米国でもTHE CUREと並んで高い知名度と人気を持つ、英国ニューウェイヴ/ポストパンクシーンのグループ
いわゆるエレポップと呼ばれる、電子音を駆使したエレクトリックなポップサウンドが持ち味ですが、彼らの作風はインダストリアルやゴシックともリンクするもので、それらのシーンにもかなりの影響力を持っています。
ニューメタルシーンでも、ニューウェイヴ志向の強いインダストリアル系グループを中心に支持者が多く、それらのサウンドには彼らからの影響が見え隠れしています。
BEASTY BOYS|ビースティー・ボーイズ
BEASTY BOYSはパンク/ハードコアフィールドからHIPHOPに接近していったグループで、ファンクロックスタイルが主流だった80年代ミクスチャーシーンの中で、本格的なHIPHOPを取り入れたスタイルを実践していた先進的存在です。また、音楽レーベル『グランドロイヤル(Grand Royal)』も運営して、オルタナティヴロックシーンの顔役のひとつにまでなってました。
初期以降はサウンドがHIPHOPに寄りすぎて、ロックマインドのHIOHOPユニットといった立ち位置になり、ヘヴィネスやロック的ダイナミズムは感じられなくなりますが、全盛期のLIMP BIZKIT(リンプ・ビズキット)や311(スリーイレブン),SYUGAR RAY(シュガー・レイ)などのポップで軽快なスタイルは、ルーツたる彼らの存在無くしてはあり得なかったでしょう。
BODY COUNT|ボディ・カウント
CYPLESS HILL(サイプレス・ヒル)やHOUSE OF PAIN(ハウス・オブ・ペイン)と共に親メタル派HIOHOPアーティストの筆頭に数えられ、BLACK SABBATH(ブラック・サバス)やSLAYER(スレイヤー)とのコラボレーションでも知られる、ラッパーのICE-T(アイスティー)によるラップメタルユニットがBODY COUNT。
オーソドックスなハードロック/ヘヴィメタル/スラッシュメタルをHIPHOPメソッドで組み立てたようなサウンドは、一般的なミクスチャーやラップメタルのイメージとは全く異なるものですが、彼らのような存在がヘヴィメタルシーンとHIPHOPシーンをつなぎ、両者のコラボレーションを推し進めた事は間違いありませんし、それはニューメタルにもつながる重要な試みでした。
BODY COUNT=ICE-Tは新たなメタルムーヴメントに対しても貪欲なスタンスで、近作ではニューメタルやメタルコアにも接近しています。
JUDGHMENT NIGHT|ジャッジメント・ナイト(OST…オリジナルサウンドトラックアルバム)
ロック/メタルとHIPHOPのコラボレーションは、RUN DMC(ラン・ディーエムシー) & AEROSMITH(エアロスミス)やPUBLIC ENEMY(パブリック・エナミー) & ANTHRAX(アンスラックス)などのように、すでに80年代から行われていたものですが、それを映画サントラというかたちで豪華メンツを揃えたコンセプトアルバムに仕上げたのが映画JUDGHMENT NIGHTのOSTです。
SLAYER,HELMET,BIOHAZARDといったメタル,ハードコア,グランジなどロックシーンの大物が、やはりHIPHOPシーンのビッグネームとコラボするという夢の共演を実現して、さらに名曲ぞろいという伝説的なサントラアルバムで、ラップメタル新時代の扉を開いてシーンに刺激を与えた超重要作でもあります。
これをきっかけにしてメタルシーンでの異ジャンルコラボレーションも盛んになり、ラップメタル全盛期には同じコンセプトが繰り返されることになりました。