Contents
- 1技術とセンスに裏打ちされたエンタメ・ギミックとショーアップされたステージでロック・キッズの絶大な支持を集め、トップ・アリーナバンドの地位を築いたUSショックロック・アイコン!!
- 1...1ギミック・ロック最大の成功者!?
- 1...2KISS音楽性とジャンルは!?
- 1...3KISSのギミックの影響は!?
- 1...4ノーメイクで活動していた時代も!?
- 1...5再びメイクで仕切り直し!?
- 1.1KISS|DISCOGRAPHY|スタジオ・アルバム
- 1.1.1Kiss|キッス・ファースト:地獄からの使者
- 1.1.2Hotter Than Hell|ホッター・ザン・ヘル:地獄のさけび
- 1.1.3Dressed to Kill|ドレスド・トゥ・キル:地獄への接吻
- 1.1.4Destroyer|デストロイヤー:地獄の軍団
- 1.1.5Rock and Roll Over|ロックンロール・オーヴァー:地獄のロックファイアー
- 1.1.6Love Gun|ラヴ・ガン
- 1.1.7Dynasty|ダイナスティ:地獄からの脱出
- 1.1.8Unmasked|アンマスクド:仮面の正体
- 1.1.9Music from "The Elder"|ミュージック・フロム・ザ・エルダー:〜エルダー〜 魔界大決戦
- 1.1.10Creatures of the Night|クリーチャー・オブ・ザ・ナイト:暗黒の神話
- 1.1.11Lick It Up|リック・イット・アップ:地獄の回想
- 1.1.12Animalize|アニマライズ
- 1.1.13Asylum|アサイラム
- 1.1.14Crazy Nights|クレイジー・ナイト
- 1.1.15Hot in the Shade|ホット・イン・ザ・シェイド
- 1.1.16Revenge|リヴェンジ
- 1.1.17Carnival of Souls: The Final Sessions|カーニバル・オブ・ソウルズ:ザ・ファイナル・セッション
- 1.1.18Psycho Circus|サイコ・サーカス
- 1.1.19Sonic Boom|ソニック・ブーム
- 1.1.20Monster|モンスター:地獄の獣神
- 1.2KISS|DISCOGRAPHY|ライヴ/コンピレーション
- 1.2.1Alive!|アライヴ!:地獄の狂獣 キッス・ライヴ
- 1.2.2Alive II|アライヴ2
- 1.2.3Alive III|アライヴ3
- 1.2.4Double Platinum|ダブル・プラチナム
- Kiss|キッス・ファースト:地獄からの使者
- Hotter Than Hell|ホッター・ザン・ヘル:地獄のさけび
- Dressed to Kill|ドレスド・トゥ・キル:地獄への接吻
- Destroyer|デストロイヤー:地獄の軍団
- Rock and Roll Over|ロックンロール・オーヴァー:地獄のロックファイアー
- Love Gun|ラヴ・ガン
- Dynasty|ダイナスティ:地獄からの脱出
- Unmasked|アンマスクド:仮面の正体
- Music from “The Elder”|ミュージック・フロム・ザ・エルダー:〜エルダー〜 魔界大決戦
- Creatures of the Night|クリーチャー・オブ・ザ・ナイト:暗黒の神話
- Lick It Up|リック・イット・アップ:地獄の回想
- Animalize|アニマライズ
- Asylum|アサイラム
- Crazy Nights|クレイジー・ナイト
- Hot in the Shade|ホット・イン・ザ・シェイド
- Revenge|リヴェンジ
- Carnival of Souls: The Final Sessions|カーニバル・オブ・ソウルズ:ザ・ファイナル・セッション
- Psycho Circus|サイコ・サーカス
- Monster|モンスター:地獄の獣神
技術とセンスに裏打ちされたエンタメ・ギミックとショーアップされたステージでロック・キッズの絶大な支持を集め、トップ・アリーナバンドの地位を築いたUSショックロック・アイコン!!
KISS(キッス)は、アメリカ合衆国はニューヨークのハード・ロック/ショックロック・グループ。
ギミック・ロック最大の成功者!?
KISSの大きな特徴は、派手なメイクや衣装とショーアップされたステージングといった、エンターテインメントに特化したバンド・コンセプト。
各メンバーにもコミック・キャラクター的な設定があてがわれ、それぞれ「デーモン(ジーン・シモンズ)」「スターチャイルド(ポール・スタンレー)」「スペースマン(エース・フレーリー)」「キャットマン(ピーター・クリス)」といったイメージをデザインしたメイクを施しています。
これは、ある種のアート性や社会的なメッセージ性が含まれていた初期のグラムロックのと比較すると、完全にエンタメ方向に振り切ったもので、その徹底度合いについてはシーンの中でも一線を画したレベルにありました。
KISS音楽性とジャンルは!?
KISSは、ヘヴィな曲からポップソングやバラードまで比較的幅が広く、また時代によって音楽性の変化も見られます。
大枠では主に初期から根幹をなす音楽性から『ハードロック』や、ショーアップされたステージやマーケティング重視な面から『アリーナロック/産業ロック』と見なされています。
また、グラムロックの流れを汲むビジュアルから『グラムロック』『グラムメタル』、ある種のホラーテイストや過激なパフォーマンスから『グラムロック』の派生系ともいえる『ショックロック』にもカテゴライズされます。
さらに、70年代から『ヘヴィメタル』のプロトタイプとも言えるサウンドをも展開していたことから、『ヘヴィメタルとしても語られており、実際に80年代からは本格的な『ヘヴィメタル』サウンドが中心になっています。
それ以外にも時期やアルバムによって、『ポップロック』『メロディックロック』『バラード』『ディスコ』『プログレッシヴロック』『グランジ』なども試みていました。
KISSのギミックの影響は!?
KISSは、そのメイクや衣装をなどのビジュアルから、主にメタル/ハードロック系のメイクアップ・バンドの直系のルーツとして名を挙げられます。
メイクバンド/ギミックバンドの元祖と呼べるほどの歴史はありませんが、そのスタイルをメインストリーム第一線に押し上げた存在として、その影響は多岐にわたって広がっています。
主に、80年代アメリカのグラムメタルや、『聖飢魔II』などに代表される日本のハードロックやヘヴィメタルの“お化粧系バンド”に大きな影響を及ぼしており、これは現在のビジュアル系の源流のひとつにもなっています。
ノーメイクで活動していた時代も!?
やや人気に停滞が見られた80年代には、素顔を公開することを“逆ギミック”として大きな話題作りにも活用して盛り上がりました。
このノーメーク時代は短期間では終わらず、しばらくの間は素顔で活動する期間が続いていました。
ただし、80年代突入以降というものmバンドの中核であるシモンズとスタンレー以外は流動的であり、何度かのメンバーチェンジが行われています。
再びメイクで仕切り直し!?
10年以上にわたってノーメイクで活動していた彼らですが、90年代末には再びオリジナル・メンバーが結集してメイクを施してのリユニオンを、心機一転のための一大イベントとして企画し、完全復活を目論みます。
そこに加えて、1999年に公開された“キッス・アーミー(熱心なKISSファン)”のキッズを主役にした映画、『デトロイト・ロック・シティ』のスマッシュ・ヒットとの相乗効果もあって、新世代ファンも取り込んで再び第一線に返り咲くことに成功。
それ以降は現在に至るまで、黄金期同様のメイクを施した本来のスタイルで活動を続けていますが、再びオリジナルメンバーはシモンズとスタンレーのみとなっています。
また、スタジオアルバムのリリースについては2012年以来行われていません。(2022年現在)
KISS|DISCOGRAPHY|スタジオ・アルバム
Kiss|キッス・ファースト:地獄からの使者
オリジナルアルバム – 1作目 (1974年)
このデビューアルバムで聴けるのは、ブルース, ロックンロール, ブギーなど、米国ルーツ・ミュージックに根ざした、オーソドックスなアメリカン・ハードロック。
この時点ですでに十分にポップな作風ではありますが、本作はどちらかというとヘヴィで無骨なイメージが勝っており、過剰に媚びたような印象はありません。
特にラストの2曲T-09とT−10はプロト・メタル的なヘヴィ・チューンで、この時代ではかなり意欲的なサウンドです。
黄金期のヒット・アルバムと比較すると、一般的には注目度はやや低い傾向はあるものの、上記の曲に加えてT-04, T-07などライヴの定番曲や代表曲も多い重要作です。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|アッパー度:★★★☆☆
|異 色 度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 通好み
Hotter Than Hell|ホッター・ザン・ヘル:地獄のさけび
オリジナルアルバム – 2作目 (1974年)
横尾忠則を思わせるようなアートワークが特徴的な本作は、ほぼ前作を踏襲しつつ一段と楽曲の幅を広げています。
もちろんヘヴィな曲も健在ですが、ポップな曲はよりポップになった一方で、ダークな曲も印象に残るなど、バラエティに富んだアルバムに仕上がっています。
楽曲はの出来栄えは全体的に高水準で、中でもヘヴィ・チューンは特に粒ぞろい。
前作同様のアッパーな躍動感のあるT-02、〈BLUE CHEER〉などを想起させる豪快なT-07、ドゥーミィとも表現でき得るT-10など聴きどころは満載です。
近年では、ベスト盤やライヴでも取りこぼしされがちな傾向もあるので、アルバム単独で押さえておいても損のない、初期ヘヴィロック時代の隠れた名盤と言えるでしょう。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ポップネス:★★★☆☆
|アッパー度:★☆☆☆☆
|異 色 度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 通好み 実験作
Kiss キッス / Hotter Than Hell 180gr
Dressed to Kill|ドレスド・トゥ・キル:地獄への接吻
オリジナルアルバム – 3作目 (1975年)
KISSの代表曲の中でも特に知名度の高いナンバーのひとつ、T-10″Rock and Roll All Nite”の存在で知られるアルバム。
ポップ度が増してアップテンポの曲が中心となったアルバムで、本格的なヘヴィ・チューンはT-08程度。全体的に見ると、ヘヴィネスはほどほどに抑えられています。
どの曲も及第点には達しており、目立った穴のない作品ですが、彼らにしては作風の幅が狭くフラットな仕上がりで、キラーチューンも上記のT-10くらいなので、どうしてもやや決め手に欠いた印象が残るのは否めません。
強烈なインパクトよりもアベレージ重視の、優等生的なハードロック・アルバムといったところです。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|アッパー度:★★★★☆
|異 色 度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
スルメ盤
Destroyer|デストロイヤー:地獄の軍団
オリジナルアルバム – 4作目 (1976年)
ショックロックの先輩〈アリス・クーパー〉との仕事で知られるボブ・エズリンを、プロデューサーに迎えたアルバム。
KISSの代名詞といえるほどの知名度を誇るT-01″Detroit Rock City”と、メタル・バンドからも度々カバーされるヘヴィなT-03″God of Thunder”という、歴史的な超名曲2曲を収録していることから、一般的にも全キャリアを通しての代表作とみなされており、また、メタル・クラシックのベスト・ランキングでも常連となっているアルバムです。
ただし、上記2曲のようなヘヴィ・チューンのつるべ打ちを期待すると肩透かしで、基本的にはこれまで以上にポップネスを追求した、産業ロック寄りの曲が中心となっています。
さらには、ドラマティックなシンフォ調のT-04から、バラードのT-08までを取りそろえた過去最高にバラエテイ豊かな内容で、本気で売りにきた感はビンビンに伝わります。
しかし、そのわりには出来不出来の波がかなり激しく、特に蛇足的なバラードを含める後半は全く冴えが見られません。
それでも上記2曲のヘヴィチューンの圧倒的な存在感で、十分に元が取れるレベルにはある…のですが、特にオリジナル・アルバムという形態にこだわりのないリスナーであれば、代表作だからと本作を手にするよりも、むしろベスト盤かライヴ盤を選んだほうが良いのかもしれません。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|アッパー度:★★★★☆
|異 色 度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Rock and Roll Over|ロックンロール・オーヴァー:地獄のロックファイアー
オリジナルアルバム – 5作目 (1976年)
比較的オーソドックスでアップテンポなハードロックが中心となっており、全体的なイメージとしては前々作『Dressed to Kill(3rd)』に近いものがあります。
それを、やや産業ロック的なポップ路線に寄せつつ、グレードを落とした…といったような印象が漂うアルバムです。
無難な仕上がりで明確なアラはないものの、楽曲はおおむね及第点ギリギリの出来栄えであり、全盛期ではありながらジャケットほどにはインパクトは残せていません。
ポップなハード・チューンT-03は代表曲とされており、ライヴでもピックアップされますが、一聴しただけで響くような強烈な存在感はなく、前作の名曲を聴いた後だと色褪せてしまいます。
それよりも、ロッド・スチュワートのために書かれたというメロウなT-09の方が、一般には知られているくらいですし、ハードな曲としてはむしろT-10の方が健闘しており、これらは、同傾向の平均的な曲が並ぶ本作の中で頭ひとつ以上抜きん出ています。
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★★☆
|アッパー度:★★★☆☆
|異 色 度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
スルメ盤
Love Gun|ラヴ・ガン
オリジナルアルバム – 6作目 (1977年)
代表作『Destroyer(4th)』を彷彿させるコンセプトのジャケットが象徴するように、作風としてもその再現を狙ったような部分がイメージある作品。
ハード&ヘヴィな曲からポップ・チューンまで、幅広く多彩な楽曲が並んでおり、これらのナンバーは軒並み高水準。
ボンヤリした印象の前作とは打って変わってどれも粒が立っており、ヘヴィなタイトル・トラックT-06などは、『Destroyer』収録の名曲にも匹敵しうる出来栄えを見せています。
十分過ぎるほどにポップでキャッチーではあるものの、本作はへヴィネスとポップネスのバランスが良い塩梅で、また、産業ロック的な狙いすぎたイヤらしさ上手く押さえ込めているのも大きなポイント。
アルバムトータルとしての完成度で見るならば、『Destroyer』をも上回ると言っても過言ではありません。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|ポップネス:★★★★☆
|アッパー度:★★★☆☆
|異 色 度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Dynasty|ダイナスティ:地獄からの脱出
オリジナルアルバム – 7作目 (1979年)
ディスコ・チューンのT-01で度肝を抜いた本作は、吹っ切れたほど完全なポップ路線に舵を切ったアルバム。
オールドファンからは否に傾いた賛否両論なのは予想に難くありませんが、一般的にはヒット作で人気も知名度も抜群というなかなかにアンビバレントな1枚です。
実のところクオリティは極めて高く、ポール・スタンレーが本作のプロデューサーのヴィニ・ポンシアと、ヒットメイカーのデズモンド・チャイルドとの共作で生み出した上記のT-01は、異色曲ながらも紛うことなきバンド史上に残る名曲で世界的なヒットにもなっていますし、それ以外も高水準な曲が並ぶスキのない仕上がりです。
徹底してポップに振り切ってそれを追求したことで、逆に産業ロック特有の媚びたあざとい印象を回避することに成功しており、従来のヘヴィ/ハードロック路線と切り離すことができるならば、高品質なポップアルバムとして楽しむことができます。
|ヘヴィネス:★☆☆☆☆
|ポップネス:★★★★★
|アッパー度:★★★★☆
|異 色 度:★★★★★
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Unmasked|アンマスクド:仮面の正体
オリジナルアルバム – 8作目 (1980年)
タイトルは意味深ですが、本作ではまだ素顔を明かしているわけではありません。
完全にポップ路線に振り切っているという点は前作同様ながら、本作の基本路線は、その前作よりも以前のハードロック路線に置かれている印象を受けるスタイルです。
結果的に、単なる産業ロック・テイストのハードポップといった仕上がりとなっており、前作ほどの突き抜けたユニークさも無ければ、オールタイムベスト級の傑出したナンバーも見当たらないため、いまひとつ聴きどころを欠いたアルバムとなっています。
なお、ドラムスのピーター・クリスは、本作を最後に脱落することになります。
|ヘヴィネス:★☆☆☆☆
|ポップネス:★☆☆☆☆
|アッパー度:★★★☆☆
|異 色 度:★★☆☆☆
|総合評価:★★☆☆☆
お布施
Music from “The Elder”|ミュージック・フロム・ザ・エルダー:〜エルダー〜 魔界大決戦
オリジナルアルバム – 9作目 (1981年)
一般にKISS史上最大の問題作とされる異色のアルバムなのですが、何が異色かというと、ひとことで言うならばいわゆる“プログレ”路線です。
とはいえ、あくまでもストーリー仕立てのコンセプト・アルバムというだけのことであって、それほど技巧や実験に走っているわけでもなければ、エピックメタルのような演出過剰に陥っているわけでもありません。
また、大作長編志向に囚われているというわけでもなく、比較的多彩と言ってもいい楽曲は、それぞれがコンパクトにまとまった仕上がりを見せています。
問題があるとすれば、楽曲重視に見える反面アルバムの核となる傑出したキラーチューンが無く、すべてが良くも悪くもないレベルにとどまっていること。
そして、プログレ風のコンセプト・アルバムという形式が、KISSファンの嗜好にはあましそぐわないことでしょう。
なお、本作を最後にクリスに続いてフレーリーもバンドを離れることなります。
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|アッパー度:★★☆☆☆
|異 色 度:★★★★★
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Creatures of the Night|クリーチャー・オブ・ザ・ナイト:暗黒の神話
オリジナルアルバム – 10作目 (1982年)
前作から一転、ストレートなつくりのヘヴィ&ハードな曲が並んでおり、KISSのカタログ中でも最もヘヴィメタリックでストロング・スタイルのアルバムといえます。
フレーリーに代わって本作から参加となる、80年代メタル・ギターヒーローのひとり、ヴィニー・ヴィンセントもそこに貢献しています。
楽曲は、まだメタルのステレオタイプが完成していなかった70年代の、実験的なプロト-メタル・サウンドとは異なり、当時はひとつの完成を見せていたヘヴィメタルの定型スタイルに則ったものとなっており、バラードもヘヴィなメタル・バラードに仕上げられています。
なお、リフがインパクト抜群のT-06は、プロレスラーの殺人魚雷コンビ(テリー・ゴディ&スティーヴ・ウィリアムス)が入場曲として用いたことで知られています。
独自性という点では既聴感が気になる曲もあり、KISSアルバムとしては賛否両論も致し方ないところですが、キラーリフが詰まった一級品のメタル・アルバムであることは事実。
彼らを子供向けのコミックバンドと侮っているメタラーが聴くと、卒倒することになるかもしれません。
|ヘヴィネス:★★★★★
|ポップネス:★★★☆☆
アッパー度:★★★☆☆
|異 色 度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 実験作
Lick It Up|リック・イット・アップ:地獄の回想
オリジナルアルバム – 11作目 (1983年)
トレードマークのメイクと衣装を封印した、80年代ノーメイク時代の第一弾となるアルバム。
ジャケットでも素顔をさらすという話題性のおかげで、セールスが上向いたと公言されており、主にそのマーケティングの巧さが取りざたされがちですが、中身も前作に続いて高品質なヘヴィメタル・アルバムとなっています。
引き続きヴィニー・ヴィンセントが参加しており、ストロング・スタイルのヘヴィメタルながらも、よりオーソドックスなスタイルへとマイナーチェンジして、作風も前作よりも多彩になりました。
T-05のようなスピードメタルも聴かせる一方でポップネスも大きく強化されており、後のグラムメタルほどにはノーテンキな軽薄さは感じさせないものの、前作の重厚なヘヴィネスを評価する向きには好みが分かれるとことでしょう。
T-01では、ジョニー&エドガーのウィンター兄弟との活動で知られるブルーズロック・ギタリスト、リック・デリンジャーもゲストとして色を添えています。
|ヘヴィネス:★★★★★
|ポップネス:★★★★☆
|アッパー度:★★★★☆
|異 色 度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 賛否両論
Animalize|アニマライズ
オリジナルアルバム – 12作目 (1983年)
ヴィンセントに代わって、スポット参加となるマーク・セント・ジョンをギターに迎えた本作も、引き続きアメリカンなヘヴィメタル路線。
ただし、ここでもT-01やT-06のような比較的ストロング・スタイルのメタル・チューンは聴けるものの、アルバム全体として見ると、グラムメタル系のポップメタル・ナンバーが大半を占めるようになっています。
もっとも、これはKISSの特性を考えれば起こるべくして起こった変化であって、あたり前のように想定しうることなので特に意外性はありません。
凡百のグラムメタルに比較すれば、クオリティも数段上回っていますし、事実ヒットアルバムにもなっていますが、前作までの流れを考えると好みが分かれるのは間違い無く、評価が二分されるのもやむなしと言えます。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★★
|アッパー度:★★★★☆
|異 色 度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤 賛否両論
Asylum|アサイラム
オリジナルアルバム – 13作目 (1985年)
前作でサポート参加していた職人ブルース・キューリックを、あらためて正式なギタリストとして迎えたアルバムで、キューリックはここからリユニオンまで固定メンバーとして在籍することになります。
作風は前作同様で、グラムメタル系のポップ・チューンの合間に、比較的オーソドックスなメタル・ナンバーが数曲配置されるというスタイルです。
前作よりもアグレッシヴな曲や印象的な曲が目立ち、T-03,T-05,T-06といったそれらのナンバーは上々の出来栄えを見せていることもあり、メタラーにとっては前作よりもなじみやすいアルバムと言えるかもしれません。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|ポップネス:★★★★★
|アッパー度:★★★★☆
|異 色 度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論
Crazy Nights|クレイジー・ナイト
オリジナルアルバム – 14作目 (1987年)
前作と比較しても、さらに大幅にグラムメタルの主流サウンドに接近して、フラッシーなキラキラ産業ロック/AOR寄りのポップ・チューンで占められたアルバム。
ヘヴィメタル/ハードロックとしてのヘヴィ・ミュージック的カタルシスは皆無に近く、唯一気を吐いているのはファストなロックンロールのT-04くらいですが、これもグラムメタル的なアレンジが仇となってアグレッシヴな魅力を活かし損なっています。
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|ポップネス:★★★★★
|アッパー度:★★☆☆☆
|異 色 度:★★☆☆☆
|総合評価:★★☆☆☆
賛否両論 お布施
Hot in the Shade|ホット・イン・ザ・シェイド
オリジナルアルバム – 15作目 (1989年)
Revenge|リヴェンジ
オリジナルアルバム – 16作目 (1992年)
Carnival of Souls: The Final Sessions|カーニバル・オブ・ソウルズ:ザ・ファイナル・セッション
オリジナルアルバム – 17作目 (1997年)
Psycho Circus|サイコ・サーカス
オリジナルアルバム – 18作目 (1998年)
Kiss キッス / Psycho Circus 180gr
Monster|モンスター:地獄の獣神
オリジナルアルバム – 20作目 (2012年)
KISS|DISCOGRAPHY|ライヴ/コンピレーション
Alive!|アライヴ!:地獄の狂獣 キッス・ライヴ
ライヴアルバム (1975年)
最初期のベスト・セレクションといった選曲のライヴ・アルバムで、本作の大ヒットによって一気にスターダムにのし上がることになった記念碑的な作品です。
Alive II|アライヴ2
ライヴアルバム (1977年)
Alive III|アライヴ3
ライヴアルバム (1993年)
Double Platinum|ダブル・プラチナム
コンピレーションアルバム (1978年)
黄金期のベストアルバムで、主だった代表曲はひと通り収録されており、サンプラーにももってこいの1枚。
ただし、収録時間の都合上、曲によっては部分的なカットやテンポ調整などで、若干の短縮バージョンへとアレンジ/リミックスが施されています。