Contents
- 1開放的な爆走R&Rとは一線を画した、ダーク&ヘヴィな暗黒ハードR&Rサウンドとは?
- 1...1メタラー好みのオカルティックでホラーなロックンロールバンド!!
- 1...2様々なシーンから生まれた暗黒ロックンロール!!
- 1.1忘れてはいけない!暗黒ハードR&Rのルーツ的バンド
- 1.1.1THE DAMNED|ザ・ダムド
- 1.1.2VENOM|ヴェノム
- 1.2暗黒ロックンロールのレジェンドもおさらい!!
- 1.2.1SCREAMIN' JAY HAWKINS|スクリーミング・ジェイ・ホーキンス
- 1.2.2SCREAMING LORD SUTCH|スクリーミング・ロード・サッチ
- 1.2.3ROKY ERICKSON|ロッキー・エリクソン
- 1.1デスロール[デス&ロール/デスロック]
- 1.1.3.1デスメタル/グラインドコアのパイオニアによるカウンター!?
- 1.1.3.2様々なスタイルから派生し混じり合うデッスンロール!!
- 1.1.4CARCASS|カーカス
- 1.1.5ENTOMBED|エントゥームド
- 1.1.6GOREFEST|ゴアフェスト
- 1.2デスラッシンロール[デスラッシュ meets デッスンロール]
- 1.2.1THE CROWN|ザ・クラウン
- 1.2.2CHILDREN OF BODOM|チルドレン・オブ・ボトム
- 1.2.3GEHENNAH|ゲヘナ
- 1.2.4BEWITCHED|ビウィッチド
- 1.3ゴスロール[ゴス&ロール]
- 1.3.1SENTENCED|センテンスド
- 1.3.2THE 69 EYES|ザ・69アイズ
- 1.3.3BABYLON WHORES|バビロン・ホワーズ
- 1.1ヘヴィメタルに大接近したホラーパンク/サイコビリー
- 1.2ホラーパンク
- 1.2.1THE MISFITS|ミスフィッツ
- 1.2.2ELECTRIC FRANKENSTEIN|エレクトリック・フランケンシュタイン
- 1.2.3TURBONEGRO|ターボネグロ
- 1.3サイコビリー
- 1.3.1NEKROMANTIX|ネクロマンティックス
- 1.3.2TIGER ARMY|タイガー・アーミー
- 1.3.3HELLBENT|ヘルベント
- 1.3.4MAD MONGOLS|マッド・モンゴルズ
- 1.3.5デスマーチ艦隊|ですまーちかんたい
開放的な爆走R&Rとは一線を画した、ダーク&ヘヴィな暗黒ハードR&Rサウンドとは?
ここでは、特にエクストリームミュージックシーンから多く登場した、アンダーグラウンフィーリングあふれるダークなでグルーミーな暗黒世界のハードロックンロールバンドを紹介します。
メタラー好みのオカルティックでホラーなロックンロールバンド!!
ハードR&R(ロックンロール)シーンには、ヘヴィネスとダークネスにあふれたサウンドとホラー/オカルト的な世界観やギミックを持った、暗黒R&Rとでも呼ぶべき一群が存在します。
R&Rとしては異端の部類となりますが、外連味重視の虚仮威し的様式美にあふれたスタイルは、同じ特徴を持つヘヴィメタルのファンにとってはより馴染みやすいものです。
様々なシーンから生まれた暗黒ロックンロール!!
デスメタルから派生したデスロール(デッスンロール)、ゴシックメタル寄りのゴスロール(ゴッスンロール)、MOTORHEADの盟友THE DAMNED(ダムド)からMETALLICAも影響を受けたTHE MISFITS(ミスフィッツ)へと連なるホラーパンクや、その姉妹ジャンルのサイコビリーなどがそれです。
これらのバンドの中には、ヘヴィメタルから派生したものや多大な影響を受けているも多く、サウンド面でもヘヴィメタル/ハードロック色の強いバンドが少なくありません。
忘れてはいけない!暗黒ハードR&Rのルーツ的バンド
こういった暗黒R&Rにとってのルーツ的存在としては、さかのぼるならホラーギミックで売り出した“英米2大スクリーミン”ことスクリーミング・ロード・サッチとスクリーミン・ジェイ・ホーキンスあたりにたどり着きます。
また、かのロッキー・エリクソンが70年代から80年代にかけて見せた、ホラーロックアプローチの存在も忘れるわけにはいきません。
しかし、より直近のパイオニアと言えるバンドというと、前回の王道編でも軽く紹介したTHE DAMNED(ダムド)とVENOM(ヴェノム)となります。
THE DAMNED|ザ・ダムド
THE DAMNEDはSEX PISTOLES(セックス・ピストルズ)、THE CLUSH(ザ・クラッシュ)と並び英国3大パンクと称されるバンドですが、他の2バンドと比較するとハードロックやヘヴィメタルに通じる要素が多く、実はメタルシーンとも縁の深いバンドです。
ヘヴィメタルフィールドで活躍していたMOTORHEADのレミーも、唯一の盟友ととして常々THE DAMNEDの名を挙げていましたし、全盛期のメンバーだったアルジー・ワードはのちにNWOBHMシーンでMOTORHEADの弟分として活躍するTANK(タンク)を結成することになります。
ポリティカルなアティチュードよりも、虚仮威しとも受け取られかねないホラー趣味のギミックやゴシック要素を押し出すケレン味が大きな特徴で、サウンドは疾走感が強く半端なメタルよりもはるかにヘヴィでハード。
後に耽美的なポジティブパンク/ゴシックパンクのアプローチも展開しますが、それも含めてTHE MISFITSなどのホラーパンク、DANZIG(ダンジグ)やTYPE O NEGATIVE(タイプ・オー・ネガティブ)などのUSハードゴシック,サイコビリー,デスロックなどあらゆるダーク系R&Rの源流となった重要バンドです。
VENOM|ヴェノム
言わずと知れたNWOBHMムーヴメントを代表するバンド。
TANKやGIRLSCOOL(ガールスクール)のようなMOTORHEADファミリーとして扱いはされていませんが、彼らもMOTORHEADをルーツにしその影響下にあるバンドで、そのハードR&Rを極端にデフォルメして、さらにデコレーションを加えた異端で異形のサウンドを作り上げています。
サタニズムやアンチキリストなどアンモラルでオカルティックなテーマが特徴ですが、あくまでエンタメの範疇の虚仮威しギミックと割り切っているようで、一部のブラックメタルやゴシックバンドに見られる厨二的ナルシシズムは感じさせません。
音楽性は次第にメタル的構築美を増していきますが、多くのスラッシュメタル、デスメタル、ブラックメタルに影響を与えた初期は、間違いなくMOTORHEAD直系の激烈なハードR&Rでした。
UKエクストリームメタルの創始者として後続に多大な影響を与えた最重要バンドでもあり、SODOM(ソドム),ENTOMBERD(エントゥームド)をはじめとしたロッキンなエクストリームメタルのほぼ全てのルーツにはVENOMの存在があります。
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SCREAMIN’ JAY HAWKINS|スクリーミング・ジェイ・ホーキンス
スクリーミング・ジェイ・ホーキンスは、ロックンロールオリジンのひとりにしてショックロック/ビジュアル系のパイオニアとされる、アメリカのアーティスト。
ヴードゥー教の司祭をイメージしたビジュアルのいでたちによる、オカルティックなパフォーマンスや、ダークなテイストを持った作風で知られていました。
SCREAMING LORD SUTCH|スクリーミング・ロード・サッチ
スクリーミング・ロード・サッチはイギリスのロックンロールミュージシャンで、その名はスクリーミング・ジェイ・ホーキンスに由来します。
“バンパイア”や“切り裂きジャック”をモチーフとしたステージファッションやホラーテイストの世界観に加え、一般にはリッチー・ブラックモアやジミー・ペイジなど、ロックレジェンドの師匠格の存在だったことで知られています。
ROKY ERICKSON|ロッキー・エリクソン
ロッキー・エリクソンは60年代のカルト的サイケバンド、THE 13th FLOOR ELEVATORS(サーティーンフロア・エレヴェーターズ)の中心人物として知られています。
ホラーテイストのコスプレ/ビジュアル系演出こそ行わなかったものの、70年代半ば頃からホラーやSFをテーマにしたロックンロールサウンドを展開するするようになり、それ以降のホラーロックにも多大な影響を与えています。
デスロール[デス&ロール/デスロック]
デスメタルから派生したハードR&Rで、基本的にはデスメタル/スラッシュメタルをベースにハードロック的な要素を強めて、R&R的なビートやドライヴ感を強調したスタイルです。
デスメタル/グラインドコアのパイオニアによるカウンター!?
スピード重視のオールドスクールなデスメタルが、そのベクトルの中ではスタイルでもバンド数でも飽和状態を迎えた90年代に、そのカウンターとしての様々な派生ジャンルが登場します。
スロー/ダウナー方向に180度転換してヴィンテージテイストもっ取り入れた“ドゥームメタル”。メロディと叙情性を追求した“メロディックデスメタル”。非メタルジャンル由来の耽美性/叙情性を取り入れた“ゴシックメタル”。トレンドでもあったヘヴィグルーヴを取り入れた“グルーヴデス”。スラッシュメタル回帰を狙った“ネオデスラッシュ”。
そして、ルーツミュージックたるロックンサウンドを取り入れたデッスンロールもそのひとつ。デスメタル/スラッシュメタルをベースにハードロックやハードコアパンクの要素を強めて、R&R的なビートやドライヴ感を強調したサウンドを展開するグループが一気に増加します。
様々なスタイルから派生し混じり合うデッスンロール!!
代表的な存在は一時期のCARCASS(カーカス)とENTOMBED(エントゥームド)。特にENTOMBEDの地元スウェーデンやフィンランドなどの北欧シーンは以前からR&R/ガレージロックの盛んな上に、瞬間的にフォロアーが増殖する“猫も杓子も”な土地柄もあって、ENTOMBEDのブレイクにより瞬く間にデスロールスタイルがあふれかえります。
活動シーンや人脈が重なるデスメタル,デスラッシュ,ブラックメタル,メロディックデスメタル, ドゥームメタルとも相互に影響を受け合い、これら周辺ジャンルにもTHE CROWN(ザ・クラウン)やCHILDREN OF BODOM(チルドレン・オブ・ボトム)の様にデスロールスタイルを取り入れたバンドが現れました。
CARCASS|カーカス
NAPALM DEATH(ナパーム・デス)と並ぶグラインドコアのカリスマからスタートしてデス/スラッシュメタル要素を強めてゆき、泣きのギターを大胆にフィーチャーした4作目HEATWORK(ハートワーク)でメロディックデスメタルとしてイギリスを代表する存在となったデスメタルバンド。
大きくブレイクしたにも関わらず、その後メンバー脱退を経て解散も確定してしまいますが、そんな最悪な状況の中で、デスメタルにハード&ヘヴィなR&R/ハードロックをサウンドに取り入れた画期的なスタイルを生み出します。
その5作目SWANSONG(スワンソング)は、独創性と完成度の高さにもかかわらず泣きメロファンの不評を買い問題作扱いされますが、後年デスロールの先駆けとして再評価を受けるようになります。
後に再結成し新作もリリースしますが、その時点では再びHEATWORKに近いスタイルに回帰していました。
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デビュー当初はスラッシュ色の強い典型的なスウェーディッシュ・デスメタルでしたが、その端々にハードコア・パンク的な要素も感じさせていました。
ロッキンでグルーヴィーなハードコアデススラッシュ路線で出世作となった、3作目WOLVERINE BLUES(ウルヴァリン・ブルース)を経て、さらにヘヴィガレージロック的なスタイルに寄った次作To Ride, Shoot Straight and Speak the Truthで新たな人気を獲得します。
のちにブレイクする北欧ハードR&Rブームの火付け役でもあり、そのシーンの中心的バンドTHE HELLACOPTERS(ヘラコプラーズ)を結成するニッケ(Nicke)も在籍していました。
ニッケ脱退後はオルタナ路線,VENOM路線,デスロック,デスラッシュ,ドゥーム,ゴシックなど度々の路線変更を重ねたあげく2つに分裂。どちらも再びデスメタル色を強めています。
GOREFEST|ゴアフェスト
近年、デスロールのパイオニア的バンドとも呼ばれるバンド。その評価は一面では正解ですが基本的には的外れ。
彼らがデスロール化したとされるのは1996年の4作目“Soul Survivor”アルバムですが、当時は、デスメタル主流へのカウンターとして、グルーヴメタルを意識したハードコアなグルーヴスラッシュ路線を試みるバンドが続出した時期。“Soul Survivor”アルバムも、どちらかというとそちらが本来のベクトルと思われます。
このアプローチをとったバンドはザッと挙げてもENTOMBEDを筆頭にCANCER(キャンサー),UNLEASHED(アンリーシュド),GRAVE(グレイヴ),MASSACRE(マサカー),KONKHARA(コンカラ),MORGOTH(モーゴス)…と枚挙に暇がありません。
確かにロッキンな印象は強めですが、それは、ヘヴィグルーヴに加えてCATHEDRAL系のドゥームサウンドをも取り入れたアプローチのによるものでした。つまり、単にドゥームへの接近の一環で混入したヴィンテージなハード/ヘヴィロックテイストとの食い合わせの結果に過ぎませんし、パイオニアとの評価は過分に思われます。
デスラッシンロール[デスラッシュ meets デッスンロール]
00年代のスラッシュリバイバルと同時期に、デスメタルのカウンター的派生系として隆盛を極めたネオデスラッシュシーンには、デッスンロールとのクロスオーバースタイルがひとつの定番モードとして定着していました。同様の傾向は、デスメタルの姉妹ジャンルでもあるグラインドコアやブラックメタルにも見ることができました。
THE CROWN|ザ・クラウン
THE CROWNは、THE HAUNTEDやDEFLESHEDと並ぶ、スウェディッシュ・ネオデスラッシュのパイオニアで代表的存在。前身にあたる“CROWN OF THORNS”時代から、一貫して独自のメロディックデスラッシュを展開してきましたが、通算四作目の“Deathrace King”から本格的にロッキンテイストを大きく増加させていきます。デッスンロールスタイルへと移行します。
CHILDREN OF BODOM|チルドレン・オブ・ボトム
メロデスとしてはかなり後発組ながら、古典的なヘヴィメタル/パワーメタル様式にデスヴォーカルをフィーチャーしたサウンドがデスメタルに批判的な保守的なメタラーの心をわしづかみしたフィンニッシュバンド。
一気に保守メタラーのアイドルになり上がりますが、トレンドにも目ざとくメタルコア風やデッスンロール風サウンドも取り入れていました。
GEHENNAH|ゲヘナ
スウェーデンのスラッシュ/ハードコア系のブラックメタルバンド。MOtORHEADやVENOM、ロッキンな初期メタルやハードコアパンクのテイストが色濃い、スラッシュ黎明kのハードコアスラッシュを想起させる突進型サウンドが持ち味。ブラックメタル特有の様式は希薄ですが、ブラッケンロールの先駆け的存在のひとつでした。
BEWITCHED|ビウィッチド
デスラッシュのブラックメタル版、いわゆる“ブラッケンスラッシュ”のパイオニアのひとつであるスウェディッシュバンド。当然デスラッシュ同様デッスンロール化とも無縁ではいられません。BEWITCHEDの場合は初期の色の傾向が強く、後年になるとオールドスクールなメタル様式を強めています。
ゴスロール[ゴス&ロール]
そのルーツやジャンル確立に至る経緯はデスロールとほとんど同じですが、その名のとおりゴシック要素が強いことが唯一の違いです。
北欧R&RのルーツHANOI ROCKSや、ゴスロールの原点SENTENSED(センテンスド)の影響が大きいことからその地元であるフィンランドで特に盛んで、ある意味フィンランド流デッスンロールと呼んでもいいスタイルです。
SENTENSED以外では69eyes,Babylon Whoresなどが代表的なバンドです。
サウンドには、ゴシックメタルを中心に80年代のゴシックロック/ポジティブパンク、THE DAMNEDからTHE MISFITS〜DANZIGへと連なるホラーパンクからの影響が色濃く見られます。
余談ですが、フィンランドはお国柄なのか、ビジュアルとギミックを重視したビジュアル系バンドが目立ちます。
SENTENCED|センテンスド
メロディックデスメタルのパイオニアとしても知られ、比較的早い時期から耽美性やメロディを意識して楽曲に取り入れていたバンド。
出世作となった1995年の3作目AMOK(アモーク)はメロディックデスメタルの名盤の一枚に数えられるアルバムですが、そのサウンドは類型的な北欧メロデスとは一線を画していて、デスロック/デスロールテイストが漂う個性的な作風でした。
続くミニアルバムLove & Death(ラヴ&デス)でゴシックメタルに急接近して、ゴスロール的なスタイルを確立します。
それ以降はややR&R的なダイナミズムが薄れ、耽美性や叙情性を重視した楽曲が増えて、様式美的なゴシックメタルに流れていきます。
THE 69 EYES|ザ・69アイズ
THE 69 EYESはHANOI ROCKS(ハノイ・ロックス)やグラムメタル,ポジティヴパンクをルーツに、SENTENCEDらゴシックメタルの様式美を取り入れてゴスロール的スタイルにたどり着いたバンド。
ファッション面でもサウンド面でも、ゴシック的なナルシシズムや耽美嗜好よりもグラムメタル的な様式美が強く、グラマラスなメイクもバッチリでアイドルパーリーロック要素が濃厚なのが人気の秘密。
90年代から、ビジュアル系ゴスロールバンドとして比較的安定した活動を続けていますが、かなり好き嫌いが分かれるグループではあります。
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90年代中期から活動を続けるゴスロール系としてはやや後発のバンドで、作品数もフルアルバム3枚と少ないですが、クオリティの高い楽曲でマニアックなリスナーからの評価が高いグループです。
ゴシック的な耽美性とメタリックなエッジがあるサウンドとドライヴ感のあるR&R/ハードロックのバランスが絶妙で、時折まじるサイケデリックなフレーバーも効果的。
叙情的ながら甘過ぎないストイックなゴスロールは、この手のバンドにありがちな叙情性や耽美性に傾きすぎる傾向が気になる硬派リスナーも一聴の価値があります。
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ヘヴィメタルに大接近したホラーパンク/サイコビリー
90年代の米国では、METALLICAHがカバーしたことでメタルクラスタにも知名度を高めた、伝説のUSハードコアバンドTHE MISFITS(ミスフィッツ)が活動再開するというサプライズがあり、メタルファンからも高い支持を集めました。
その流れでNEKROMANTIX(ネクロマンティックス)やTIGER ARMY(タイガー・アーミー)のようなハードな新世代サイコビリーも含め、ホラーテイストのロックロールバンドが注目を浴びるようになります。
ホラーパンク
前述のとおり、ミュージックシーンのホラーギミックという存在は古くからあり、ルーツミュージクにまでさかのぼれます。パンクムーヴメントの中でそのエンタメ的ホラー要素を取り入れたのが、英国3大パンクのひとつTHE DAMNEDでした。
さらにアメリカ的なエンタメ色を強めつつ、よりハードなサウンドでそのスタイルを再解釈したのがTHE MISFITSを筆頭としたるホラーパンク勢です。
90年代には、ヘヴィメタルからの影響も強いハードコア/メロコアの世界的なブームという追い風もあり、なんと解散状態にあったホラーパンクのカリスマTHE MISFITSが復活。
その影響もあってヘヴィメタルをルーツに持つバンドも多いホラーパンクやサイコビリーのシーンも活性化していきました。
THE MISFITS|ミスフィッツ
METALLICAがカバー曲を発表したことでメタルファンにも広く知られるようになった伝説のホラーパンク/ハードコアバンド。
パンクファッションやロックTシャツが流行った時期に著名人もこぞって彼らのTシャツを着ていたので、イメージキャラクター「クリムゾン・ゴースト」だけは見たことがある人も多いはず。
ヴォーカルのグレン・ダンジグは、ゴシックホラーテイストの強い本人名義のハードロック/ヘヴィロックバンドDANZIGとして活動しており、復活には消極的だったため、残りのメンバーは新ヴォーカルを迎えてよりハード&メタリックなサウンドで活動再開します。その後、喧嘩別れしたダンジグと和解。現在は再びヴォーカルに迎えています。
ELECTRIC FRANKENSTEIN|エレクトリック・フランケンシュタイン
バンド名のとおり、フランケンシュタインのモンスターをいバンドキャラクターにした、アメリカのホラーパンクバンドで、ADRENALIN O.D.らハードコア/ポストパンクシーンのミュージシャンによって結成されています。
ヘヴィメタル/ハードロックのエッセンスが濃厚なガレージパンクサウンドが持ち味としており、メロコアブームやガレージロックリバイバル、イメージやコンセプトに共通点の多いTHE MISFITSのブレイクも追い風となって、90年代には大きく知名度を上げることになります。
TURBONEGRO|ターボネグロ
幅広いバックグラウンドを持り自ら“デスパンク”と称する、見た目が“ホラー”なグラムビジュアル変態系ハードロックンロールバンド。ジャンクでスカムなアングラテイストのサウンドからスタートして、BLUE ÖYSTER CULTのメソッドに倣ったというダークな中にもポップでメロディを導入したスタイルを試みます。
その後、さらにポップネスを強化したメジャー感のある作風へ移行したことで本国で大ヒット、さらに北欧ロックンロールブームの追い風も受けて、欧州を中心に他の地域でも準メジャー級のソコソコの知名度を獲得することになりました。
サイコビリー
サイコビリーはアメリカンオールディーズに欠かせないロカビリーのサブジャンルにしてホラーパンクの姉妹ジャンルともいえる音楽で、やはりホラー/オカルト的なギミックや世界観が特徴です。
ロカビリー同様ウッドベースを要としたアコースティック編成が多くメタリックな重量感は得られませんが、近年はプラグインしたエレクトリック体制のバンドも増えています。新世代のサイコビリーバンドの中にはヘヴィメタルに影響を受けたバンドも多く、ヘヴィメタルナンバーをカバーすることもありました。
これらは過去のバンドと比べるとサウンドもハードかつヘヴィで、ドライヴするサウンドに加えキャッチーなメロディを聞かせるものも多く、メロディック・パンクと同様にメロディックパワーメタルに近い感触を持つバンドも存在します。
NEKROMANTIX|ネクロマンティックス
棺桶型のウッドベースをトレードマークにホラーテーマのサウンドを展開する、デンマークのサイコビリーバンド。
中心人物のキム・ネクロマンがロカビリーバンド出身ということもあってか、比較的オールドスクールなサウンドを持ち味としています。
TIGER ARMY|タイガー・アーミー
フロントマンのニック13を中心に、メロコアブーム/ガレージロックリバイバルの最中にデビューを果たした、サイコビリーバンドとしては比較的後発のバンド。
サウンドもハードコア的なスピード感やヘヴィメタル的なヘヴィネスをも持っており、ロカビリー化したTHE MISFITSという印象もありました。特に初期はその傾向が強く、後年はややオーガニックでソフトなサウンドへの変化が見えます。
HELLBENT|ヘルベント
90年代に世界一ヘヴィメタリックなサイコビリーとして名を馳せた、国産サイコビリーバンド。
スラッシュメタルやハードコアをバックグラウンドに持った、デッスンロールにも通じるエクストリームでロッキンサウンドが特徴で、IRON MAIDENのカバーもレパートリーに加えていました。
MAD MONGOLS|マッド・モンゴルズ
90年代突入とともに活動をスタートした、国産サイコビリーの元祖とも呼ばれるグループ。早期に海外展開も行っており、ヨーロッパでは日本以上の知名度を誇ります。
ホラーパンク/サイコビリーにつきもののスカルメイクを施し、ダークなホラーテイストを持ち味としたサウンドは海外勢にも引けを取りません。。
デスマーチ艦隊|ですまーちかんたい
現在は日本風俗ロックバンドとして活動中の、ダイナマイト和尚を中心とした“浅草ジンタ”の前進にあたるバンド。
アート志向のメンバーによるキッチュなビジュアルと、レトロな和風テイストと和風ホラーテイストを持った、コミックサイコビリーを持ち味としていました。
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