Contents
- 1世界有数のアートメタルを展開するもメンバーの確執で空中分解したジャーマン・スラッシュBIG3の一角は、苦節の低迷期を乗り越えて再びシーンのトップに返り咲く!!
- 1...1ジャーマン・スラッシュBIG3の一角!!
- 1...2DESTRUCTIONサウンドの特徴は!!:初期
- 1...3DESTRUCTIONサウンドの特徴は!!:黄金期
- 1...4DESTRUCTIONサウンドの特徴は!!:低迷期
- 1...5DESTRUCTIONサウンドの特徴は!!:再結成〜現在
- 1.1DESTRUCTION|デストラクション|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Sentence Of Death|センテンス・オブ・デス
- 1.1.2Infernal Overkill|インファーナル・オーヴァーキル
- 1.1.3Eternal Devastation|エターナル・デヴァステーション
- 1.1.4Mad Butcher|マッド・ブッチャー
- 1.1.5Release from Agony|リリース・フロム・アゴニー
- 1.1.6Live Without Sense|ライヴ・ウィズアウト・センス
- 1.1.7Cracked Brain|クラックド・ブレイン
- 1.1.8Destruction|デストラクション
- 1.1.9Them Not Me|ゼム・ノット・ミー
- 1.1.10The Least Successful Human Cannonball|ザ・リースト・サクセスフル・ヒューマン・キャノンボール
- 1.1.11All Hell Breaks Loose|オール・ヘル・ブレイクス・ルース
- 1.1.12The Antichrist|ジ・アンチクライスト
- 1.1.13Metal Discharge|メタル・ディスチャージ
- 1.1.14Inventor of Evil|インベンター・オブ・イーヴル
- 1.1.15D.E.V.O.L.U.T.I.O.N.|デヴォリューション
- 1.1.16Thrash Anthems|スラッシュ・アンセム
- 1.1.17Day Of Reckoning|デイ・オブ・レッコニング
- 1.1.18Spiritual Genocide|スピリチュアル・ジェノサイド
- 1.1.19Under Attack|アンダー・アタック
- 1.1.20Thrash Anthems II|スラッシュ・アンセム II
- 1.1.21Born to Perish|バーン・トゥ・ペリッシュ
- 1.1.22Diabolical|ディアボリカル
- 1.1HEADHUNTER|ヘッドハンター|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Parody of Life|パロディ・オブ・ライフ
- 1.1.2A Bizarre Gardening Accident|ア・ビザール・ガーデニング・アクシデント:制覇への誓い
- 1.1.3Rebirth|ラビリス
- 1.1.4Parasite of Society|パラサイト・オブ・ソサエティ
- 1.1DESTRUCTIONはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
- 1.1.4.1プリミティヴなハードコア・スラッシュ路線は!?
- 1.1.4.2トリッキーな変則的アート・スラッシュ路線は!?
- 1.1.4.3驚異の完成度ながら問題作と呼ばれる隠れた名盤は!?
- 1.1.4.4第2期シュミーア体制のおすすめアルバムは!?
- Sentence Of Death|センテンス・オブ・デス
- Infernal Overkill|インファーナル・オーヴァーキル
- Eternal Devastation|エターナル・デヴァステーション
- Mad Butcher|マッド・ブッチャー
- Release from Agony|リリース・フロム・アゴニー
- Live Without Sense|ライヴ・ウィズアウト・センス
- Cracked Brain|クラックド・ブレイン
- Destruction|デストラクション
- Them Not Me|ゼム・ノット・ミー
- The Least Successful Human Cannonball|ザ・リースト・サクセスフル・ヒューマン・キャノンボール
- All Hell Breaks Loose|オール・ヘル・ブレイクス・ルース
- The Antichrist|ジ・アンチクライスト
- Metal Discharge|メタル・ディスチャージ
- Inventor of Evil|インベンター・オブ・イーヴル
- D.E.V.O.L.U.T.I.O.N.|デヴォリューション
- Thrash Anthems|スラッシュ・アンセム
- Day Of Reckoning|デイ・オブ・レッコニング
- Spiritual Genocide|スピリチュアル・ジェノサイド
- Under Attack|アンダー・アタック
- Thrash Anthems II|スラッシュ・アンセム II
- Born to Perish|バーン・トゥ・ペリッシュ
- Diabolical|ディアボリカル
世界有数のアートメタルを展開するもメンバーの確執で空中分解したジャーマン・スラッシュBIG3の一角は、苦節の低迷期を乗り越えて再びシーンのトップに返り咲く!!
DESTRUCTION(デストラクション)は、ドイツのスラッシュメタル・バンド。
ジャーマン・スラッシュBIG3の一角!!
HELLOWEENを筆頭としたパワーメタル勢による、ジャーマン・メタル・ブームに沸いていた80年代のドイツは、スラッシュメタル・ムーヴメントの中でも、本場アメリカに次ぐボリュームのあるシーンを形成し、数々の名バンドを生み出して存在感を見せていました。
DESTRUCTIONは、SODOM(ソドム)やKREATOR(クリエーター)と共に、それらジャーマン・スラッシュのトップグループとしてBIG3と並び称されており、日本では『ジャーマン・スラッシュ三羽ガラス』などという恥ずかしい呼び方をされていました。
なお、一部の界隈では近年そこにTANKARD(タンカード)を加えて、BIG4(チュートニック4)と称することもあります。
DESTRUCTIONサウンドの特徴は!!:初期
初期ののDESTRUCTIONの音楽性は、デビュー当初のスラッシュメタル・バンドに多く見られる、VENOMなどのN.W.O.B.H.M.時代のエクストリームなヘヴィメタルやハードコアやなどの影響を受けた、ファストでプリミティヴなスラッシュサウンドを展開していました。
しかし、常にバンドの中核であり続けたギタリストのマイクの変則的リフワークと、ベーシスト兼フロントマンのシュミーアのヒステリックなヴォーカルという、バンドのツートップのアクの強い個性と他のグループには無い存在感で異彩を放っていました。
DESTRUCTIONサウンドの特徴は!!:黄金期
デビューアルバム以降のDESTRUCTIONは、作品を重ねるごとに、独自の変則的で複雑なリフワークやツイストの効いた予測不能な楽曲展開に磨きをかけ、ある種プログレッシヴでオルタナティヴとも言える要素を持った、アート・スラッシュを展開するようになります。
この路線は、リードギターのハリー・ウィルケンスと、ドラムのオリーことオリバー・カイザーを新メンバーに迎えたことで格段の向上を遂げ、この4人編成による3rdアルバムでピークを迎ます。
これにより、他に類するものがないユニークな個性を持ったグループのひとつと認められるまでになり、スタッシュメタルの域を超えて幅広いリスナー層から高い評価を獲得しました。
しかし、古参のシュミーアがハリーが持ち込んだ新しい音楽性に反感を示したことで両者の間に確執が生まれ、それが原因となって最後にはシュミーアが脱退する事態となります。
DESTRUCTIONサウンドの特徴は!!:低迷期
シュミーアの脱退を、それに同情的なシンパ的なファン/マスコミが、「コマーシャル路線にはしるためにシュミーア追放」という印象を喧伝したことからバンドのイメージが悪化し、一般層までが同調してバッシングする空気が生まれます。
さらに、スラッシュメタル・ブームが収束を迎えたことによるシーンの衰退もあって、新作の売り上げや評価も落ち込み、DESTRUCTIONは大きく失速することとなります。
さらにはハリーも脱退し、所属レーベルからも離脱したことから、しばらくは開店休業となってしまいます。
90年代はの半ばからは、マイクとオリーを中心に細々としたインディペンデント活動を行うようになり、グルーヴスラッシュやミクスチャーなどの同時代的な要素を取り入れた作品を、自主制作に近いかたちでリリースしていました。
しかし、この時期の活動は現在では公式には黒歴史とされており、作品の再発も行われていません。
DESTRUCTIONサウンドの特徴は!!:再結成〜現在
よく言えば実験、悪く言えば迷走とも呼べる展開を続けていたDESTRUCTIONですが、90年代末期からのスラッシュ再評価の機運を背景に、1999年にはシュミーアがバンドに復帰。
翌年2000年には疾走型のスタッシュメタルへと軌道変更したアルバムもリリースして、ベテランバンドによる原点回帰路線の口火を切ることになります。
それ以降は、オールドスクール・スラッシュメタル・リバイバルのブームも追い風となって、メタルシーンの第一線でコンスタントな活動を行っており、アルバムもジャーマンスラッシュ勢でも最もハイペースなリリースを続けています。
しかし、黄金期のメンバーの不在もあってその時代の再現には至らず、またマンネリは隠せないため、クリエイティヴ面ではやや精彩を欠いた状態が続いています。
DESTRUCTION|デストラクション|DISCOGRAPHY
Sentence Of Death|センテンス・オブ・デス
ミニアルバム:EP (1984年)
T-02とT-04という、ライヴに欠かせない代表曲2曲を含むことで現在でも人気の高い、ジャーマン・スラッシュメタル・ムーヴメントの火付け役となった記念すべきデビューEP(ミニアルバム)。
収録曲は6曲ですが、1曲はイントロなので実質的には5曲で、後年では主に1stや他のアルバム/EPとカップリングされるケースも増えています。
ここではまだ、プリミティヴな荒々しさの強い、勢い重視のハードコアなサウンドが展開されていますが、前記の2曲は基本的なスタイルが確立されており、キラーチューンの名に恥じない仕上がりを見せています。
特にT-04“Mad Butcher”は、DESTRUCTIONの代名詞にもなっている名曲で、オールタイムでの代表曲のひとつとして特に広く知られています。
|ハーコー度:★★★★☆
|アート度:★☆☆☆☆
|スピード:★★★★☆
|キャッチー度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作
Infernal Overkill|インファーナル・オーヴァーキル
オリジナルアルバム – 1作目 (1985年)
ジャーマン・スラッシュメタル・ムーヴメントの黎明期を代表する1枚として知られる、記念すべきデビュー・フルレンス・アルバム。
ハードコアな突進力を持つプリミティヴなサウンドを基調とした音楽性は、デビュー以前から変化はありませんが、もうひとつの大きな持ち味でもある変則的なリフワークにも磨きがかかっており、DESTRUCTION特有の独創的なスラッシュメタルが完成を見ています。
良くも悪くも青い初期衝動全開だった同時期のSODOMやKREATOR比較すると、この練り上げられたデビュー作はすでに完全に出来上がっており、この時期はBIG3の筆頭格としてシーンを牽引する立ち位置にあったことも頷けます。
ライヴにも欠かせないT-01,T-04,T-05,T-06をはじめとして、アルバムの大半が名曲/代表曲と呼べる充実ぶりで、ストレートなスラッシュメタルとしては全キャリア中でもベストの出来栄えを誇っており、オールドファンからはフェイバリットに挙げられることも多い名盤です。
|ハーコー度:★★★★☆
|アート度:★☆☆☆☆
|スピード:★★★★★
|キャッチー度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Eternal Devastation|エターナル・デヴァステーション
オリジナルアルバム – 2作目 (1986年)
これまでに磨き上げてきた彼らの個性が本格的に花開いた作品で、これまでのストレートなスラッシュ色が強い作風と、次作でさらに強化されるプログレ的とも評されるテクニカルで変測的な作風の中間に位置するもの。
基本的にはこれまでの延長線上にあるサウンドですが、クセはあるものの突進力重視の直線的でわかりやすいサウンドから、手の込んだ変則的な要素が強まったことから離れて行く初期リスナーもあったものの、それ以上の新しいリスナーを獲得しより幅広い層から高い評価を受けます。
よって、「DESTRUCTIONは終わった!」とも、「DESTRUCTIONはここまで!」とも、逆に「DESTRUCTIONはここから!」とも意見が割れることになり、さらには、初期ラインナップでの最後の作品でもあり…と、いろいろな意味で分岐点となる作品です。
DESTRUCTIONは、活動停止までのアルバム全てが名盤と呼べる仕上がりを見せていますが、これもまた楽曲は粒ぞろいで捨て曲ナシの必聴盤です。
彼らの特徴である、ヂリヂリとささくれ立ったいい意味で耳障りなサウンドは、ここでも際立っていますが、これはある種のちの初期北欧デスメタルのサウンドも通じる部分があり、ここから伝播したものとも考えられます。
|ハーコー度:★★☆☆☆
|アート度:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|キャッチー度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Mad Butcher|マッド・ブッチャー
ライヴEP:ミニアルバム (1987年)
Mad Butcher / Eternal Devastation
Release from Agony|リリース・フロム・アゴニー
オリジナルアルバム – 3作目 (1988年)
一般的には、DESTRUCTIONの代表作であり最高傑作と見なされる作品。それにとどまらず、ジャーマン・スラッシュの枠を超えて、この時代のスラッシュメタル・シーンを代表する名盤に数えられるアルバムのひとつです。
ドラムがオリーに交代したことと、ハリーの加入でツインギターとなったことがケミストリーに発展し、演奏が安定した上に手札が増えてアプローチの幅が大きく広がったことが効果的に働いています。
これにより、一聴すると前作と同路線ながらも各方面に進化が見られ、明らかに1段も2段も上のステージに到達しています。
「テクニカルでプログレ的」と評されることの多いアルバムですが、『プログレメタル』のステレオタイプとは一線を画しており、あくまでも骨子はスラッシュメタルそのものであり、ヘヴィメタルの枠に収まるスタイルです。
“アカデミックな音楽理論”や“クラシックやジャズの素養”を押し出すこともなければ、これ見よがしの超絶技巧や、変拍子,ポリリズムを駆使したすることもなく、大仰でドラマティックな長尺/大作志向とも一線を画しています。
実際、技巧だけを取り出してみるならば、テクニカル界隈においてはそれほどハイレベルというわけではなく、むしろ技よりもアイデアで勝負するタイプ。
独創的で変則的なリフやフレーズと、聴き手の意表をつき予断を許さない斜め上系の曲展開を武器にするアプローチで、彼らにしか創り出しえない過去に類を見ないサウンドを創り上げています。
この音楽性は、方向性はやや異なれどVOIVODなどに近く、それらと同様に『アートメタル』と呼ぶ方が適切かもしれません。
このあたりのギャップのおかげで、「“プログレ”のワードに惹かれたリスナーが聴いてガッカリ」…ということも、まれに起こるようですが、だからこそ“スラッシュメタルの名盤”の枠にとどまっていられるとも言えます。
|ハーコー度:★★☆☆☆
|アート度:★★★★★
|スピード:★★★★☆
|キャッチー度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み 実験作
Live Without Sense|ライヴ・ウィズアウト・センス
ライヴアルバム (1989年)
80年代の黄金期では唯一のライヴアルバムであると同時に、第1期シミューア在籍時のトリを飾る作品。
クリエイティヴ面でひとつのピークを極めていた、初期〜黄金期の名曲の数々が目白押しの、ライヴベストと呼べるアルバムで、音質の荒さは否めないものの、それも込みで脂ののった時期の熱量にあふれた演奏が聴ける名盤です。
|ハーコー度:★★☆☆☆
|アート度:★★★★★
|スピード:★★★★☆
|キャッチー度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Cracked Brain|クラックド・ブレイン
オリジナルアルバム – 4作目 (1990年)
前作から加入の2人との音楽観の相違によるイニシアチヴ争いからフロントマンのシュミーアの脱退…というトラブルに起因する、ネガキャンに近いバッシングによるイメージダウンに加え、音楽性の変化も要因となり、賛否両論を巻き起こしたアルバム。
サポーターが手のひらを返したことと、スラッシュムーヴメントの収束も重なり、本作を最後にバンドは開店休業状態に入ってしまいます。
長年、カタログからの抹消に近い黒歴史的な扱いをされていましたが、それは過小評価が過ぎるというもので、実態は、バンドのキャリア中でも上位に位置するクオリティを持った掛け値なしの名盤。
確かに、フリーキーな作風で通好みな前作と比較すると、コンパクトでポップネスを重視したつくりになっていますが、彼らならではの持ち味は全く失われておらず、十分すぎるほど独創性ですし完成度も文句なしです。
|ハーコー度:★☆☆☆☆
|アート度:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|キャッチー度:★★★★★
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 実験作
※詳細は関連記事を参照してください。
Destruction|デストラクション
ミニアルバム (1994年)
本作からしばらくは、バンド創設メンバーのマイク(Gt.)と黄金期を支えたオリー(Dr.)の残党組による活動が続くこととなり、この体制は一部ファンからは『NEO-DESTRUCTION』とも称されています。
地道なインディーズ活動期間が続いたこの期間は、現在では黒歴史として抹消されており、この時期にリリースされた自主制作に近い音源は再発すらされていません。
音楽性はPANTERA系のグルーヴメタルを取り入れた、同時代的なヘヴィネスを押し出したグルーヴ・スラッシュにシフトしており、当然、律儀にフォローしていたオールドファンからも、酷評か黙殺で迎えられました。
しかし、とても名作は呼べないまでもそれほど悪い出来栄えでもなく、純粋なクオリティでは、全盛期には遠く及ばないまでも、再ブレイク後との比較ならばさほど見劣りしません。
|ハーコー度:★★★☆☆
|アート度:★☆☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|キャッチー度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Them Not Me|ゼム・ノット・ミー
ミニアルバム (1995年)
前作と同じく、90年代グルーヴ・スラッシュ路線を展開しているミニアルバム。
時代背景を考えれば、やや安易なアプローチと言わざるをえない面はありますが、同時期の有象無象の中では頭ひとつ抜けた出来栄えですし、DESTRUCTION特有の変則的な作曲センスも生かされています。
疾走型のオールドスクール・スラッシュに拘らないリスナーならば、シミューア復帰後よりもこの時期のサウンドの方にこそ価値を見出せる可能性は、少なくないでしょう。
|ハーコー度:★★★☆☆
|アート度:★☆☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|キャッチー度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
The Least Successful Human Cannonball|ザ・リースト・サクセスフル・ヒューマン・キャノンボール
オリジナルアルバム – 5作目 (2000年)
ミッドテンポを交えたヘヴィなグルーヴサウンドという意味では、直近の2枚のミニアルバムと同様ですが、全体的な印象は一変。
直近に見せたPANTER風味のスタイルとも、SEPULTURAやMACHINE HEADなどの“ポスト・スラッシュ”系とも異なる、独自のヘヴィグルーヴ・サウンドに到達しています。
あえて言うならば、HELMETに代表される“オルタナティヴ”,“ポスト・ハードコア”系のヘヴィグルーヴサウンドに近く、パンキッシュともハードロック的とも表現可能なロッキンな風合いも感じさせます。
また、『Release from Agony(3rd)』とは異なるかたちで、変則的でトリッキーな持ち味を追求しており、曲によってはいわゆる“マスコア”に通じるテイストも見られます。
スラッシュメタル色が希薄になったどころか、普遍的なヘヴィメタルからすら逸脱しつつあり、往年のような強烈フックが満載というわけでもないので、スラッシュ・フリークはもちろん、メタラー全般からの不評もやむを得ない面はあります。
しかし、ユニークこの上ない魅力的なサウンドを創り上げていることは事実で、その完成度の高さと独創性のいずれにおいても、シミューア復帰後の全作品を凌駕していることは間違いありません。
|ハーコー度:★★★★☆
|アート度:★★★★★
|スピード:★★★☆☆
|キャッチー度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
All Hell Breaks Loose|オール・ヘル・ブレイクス・ルース
オリジナルアルバム – 5作目 (2000年)
バンドを離れていたシミューアが復帰して、ファストなスラッシュメタルへと原点回帰を図って、オールドファンの喝采を浴びたアルバムで、スラッシュリバイバル時代に増加する、ベテラン・スラッシャーによる原点回帰路線の口火を切ったとも言える1枚。
とはいえ、初期の作風の完全再現というわけではなく、デスメタルやグルーヴメタルを通過した同時代的な厚みのある音づくりで、オールドスクールなスラッシュ・サウンドを展開をするという、再結成組や原点回帰組の主流となったスタイルです。
本作で聴ける音楽性は、あくまでもデビュー当初の最初期に通じるプリミティヴな突進型スラッシュであり、黄金期のメンバーの不在もあってか、その時期の特徴である変則的でトリッキーな要素は希薄なので、それを期待するとガッツリ裏切られます。
基本的に、「頭を空っぽで速い曲を聴ければそれでいい」というリスナー向けで、後には何も残りませんが、聴いている間は爽快な突進型スラッシュを心地よく堪能できます。
出来栄えは初期の名作群には到底及ばず、キラーチューンと呼べる曲も皆無とはいえ、駄曲は少なくおおむね及第点超えでアベレージは上々なので、本格再始動のご祝儀という意味合い抜きでもそれ相応の評価は与えられます。
|ハーコー度:★★★★☆
|アート度:★★★★★
|スピード:★★★☆☆
|キャッチー度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 スルメ盤
The Antichrist|ジ・アンチクライスト
オリジナルアルバム – 6作目 (2001年)
前作に引き続いての、ファストチューン主体のストレートなスラッシュメタルで、曲によっては前作以上にスピード全振りのものも見られますが、一方で前作よりもスロ〜ミドルのパートも目立つようになっています。
イントロのT-01に続くスピードスラッシュのT-02とT-03あたりは、名曲には届かないまでも勢いで聴ける爽快なナンバーなのですが、中盤以降は駄曲も目立つ収録曲は全体的に波が荒く、作品としてはグレードに難ありでアベレージも急降下しています。
シミューアが復帰後の代表作に挙げる向きも見られますが、前後のアルバムと比較すると一歩も二歩も及ばない…という印象は拭えません。
|ハーコー度:★★★☆☆
|アート度:★☆☆☆☆
|スピード:★★★★☆
|キャッチー度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 スルメ盤
Metal Discharge|メタル・ディスチャージ
オリジナルアルバム – 7作目 (2003年)
基本的には直近2作の流れを引き継いだ作風ではあるものの、勢いだけで聴かせる最初期リバイバルな作風だけではなく、往年の変則的で凝った曲展開やリフワークも見られるなど、黄金期を想起させる面が強調されています。
独創性やクオリティでは黄金期に及ばない…のというは、シミューアが復帰後の全ての作品に言えることで、本作も収録曲の全てが及第点以上をキープしているものの、後半はやや息切れ気味に感じられますし、セルフパロディ的なかつての名曲の引用や、焼き直しに近い部分も評価が分かれるかもしれません。
しかし、その中でも本作は、『All Hell Breaks Loose(6th)』と並んでかなりの健闘を見せており、突進力と勢いではその前々作に譲るものの、“DESTRUCTIONらしさ”とフックの強さについては本作に軍配が上がります。
特に、フックが効いており印象に残る楽曲の数々という点においては、シミューア復帰後では間違いなく本作がベストで、中でもT-01,T-02,T-04,T-05あたりは“準名曲”程度には呼んでも差し支えない仕上がりです。
|ハーコー度:★★☆☆☆
|アート度:★★☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|キャッチー度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Inventor of Evil|インベンター・オブ・イーヴル
オリジナルアルバム – 8作目 (2005年)
D.E.V.O.L.U.T.I.O.N.|デヴォリューション
オリジナルアルバム – 9作目 (2008年)
Thrash Anthems|スラッシュ・アンセム
リレコーディング・ベスト – 第1弾 (2007年)
Day Of Reckoning|デイ・オブ・レッコニング
オリジナルアルバム – 10作目 (2011年)
Spiritual Genocide|スピリチュアル・ジェノサイド
オリジナルアルバム – 11作目 (2012年)
Under Attack|アンダー・アタック
オリジナルアルバム – 12作目 (2016年)
Thrash Anthems II|スラッシュ・アンセム II
リレコーディング・ベスト – 第2弾 (2007年)
Born to Perish|バーン・トゥ・ペリッシュ
オリジナルアルバム – 13作目 (2019年)
Diabolical|ディアボリカル
オリジナルアルバム 15作目 (2022年)
HEADHUNTER|ヘッドハンター|DISCOGRAPHY
HEADHUNTERは、DESTRUCTIONを脱退したフロントマンのシュミーアが立ち上げたグループ。
DESTRUCTIONの顔でもあったシュミーアが、バンドの事情による陰謀で追放されたというストーリーで同情票を稼いだことから、デビュー以前より注目と期待を集めており、特に、判官贔屓気質の日本では、DESTRUCTIONの正当後継者という見方さえ広がっていました。
しかし、音楽性はDESTRUCTION黄金期の変則的なサウンドとは異なる、ストレートなパワースラッシュ(スラッシーなパワーメタル)であり、作品を重ねるごとにスタッシュメタルの要素が後退し、パワーメタル寄りの作風へとシフトしてゆきます。
ヴォーカルスタイル以外はDESTRUCTIONと似ても似つかないことに加え、出来栄えもDESTRUCTIONの黄金期には遠く及ばないことから、DESTRUCTIONサウンドの継承を期待したファンは遠ざかってゆきます。
また、DESTRUCTIONファンを当て込んマーケティングを展開したことや、及第点を大きく上回ることなく圧倒的な作品クオリティには届かないためにアピール要素も薄いことから、一般メタラー層へのシェア拡大にも失敗します。
さらには、スラッシュメタルの凋落もあって3作目を最後に活動を終えますが、00年代のスラッシュリバイバルによるDESTRUCTIONの人気再燃も手伝って、2008年には復活して新作もリリースしています。
Parody of Life|パロディ・オブ・ライフ
オリジナルアルバム – 1作目 (1990年)
|パワメタ度:★★★★☆
|ポップ度:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 スルメ盤
A Bizarre Gardening Accident|ア・ビザール・ガーデニング・アクシデント:制覇への誓い
オリジナルアルバム – 2作目 (1992年)
|パワメタ度:★★★★★
|ポップ度:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Rebirth|ラビリス
オリジナルアルバム – 3作目 (1994年)
|パワメタ度:★★★★★
|ポップ度:★★★★☆
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論
Parasite of Society|パラサイト・オブ・ソサエティ
オリジナルアルバム – 4作目 (2008年)
|パワメタ度:★★★★★
|ポップ度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
スルメ盤
DESTRUCTIONはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
レーベルからドロップするまでのDESTRUCTIONの初期アルバムは、その全てがスラッシュメタルの歴史に燦然と輝くの名盤ぞろいで一切ハズレなし。
どれをとっても、ビギナーでも十分に楽しめる出来栄えですが、それぞれスラッシュの枠の中で音楽性に変化が見られるので、好みの作風をから手に取るのがベストです。
プリミティヴなハードコア・スラッシュ路線は!?
ハードコアでプリミティヴなサウンドの中に持ち前のツイストを効かせた、ファストチューン満載のでアグレッシヴなDESTRUCTION流スラッシュメタルを堪能するなら、アルバムならばデビュー作の『Infernal Overkill(1st)』一択ですが、代表曲を含むミニアルバム『Sentence Of Death(EP:1st)』も見逃せません。
トリッキーな変則的アート・スラッシュ路線は!?
DESTRUCTIONは突進型スラッシュの最初期も人気ですが、やはり独自のトリッキーな変則アート・スラッシュを追求した黄金期の『Eternal Devastation(2nd)』と『Release from Agony(3rd)』の2作は、間違いなくクリエイティヴィティのピークと言えます。
前作のプリミティヴな突進型ハードコア・スラッシュのテイストを維持しつつも、一気にトリッキーな変則サウンドへと傾いた『Eternal Devastation(2nd)』は、ストレートなスラッシュを好むリスナーにも受け入れやすい名盤。
しかし、変則アートスラッシュのひとつの頂点を極めたという意味では、『Release from Agony(3rd)』は、スラッシャー以外の幅広いリスナーが手に取る価値さえある、歴史的なマスターピースです。
驚異の完成度ながら問題作と呼ばれる隠れた名盤は!?
シュミーア脱退から復帰までの期間は、一般的には迷走期とされて黙殺されています。
しかし、アートスラッシュ時代とは異なる独自の手法で完成度の高い作品をリリースしており、いずれも、実験性や独自性という意味では黄金期にも匹敵する隠れた名盤と言えます。
『Cracked Brain(4th)』は、キャッチーな疾走型サウンドと変則的でテクニカルな展開が共存した、黄金期に全く引けを取らないスラッシュメタルの名盤。
続く『The Least Successful Human Cannonball(5th)』は、自主制作に近い体制ながら、ヘヴィグルーヴ取り入れて独自のエクスペリメンタルなオルタナティヴ・メタルを追求した意欲作です。
第2期シュミーア体制のおすすめアルバムは!?
シュミーア復帰後は、オールドスクールなスラッシュに回帰して、かなりハイペースなリリースを続け、再びシーンのトップグループに返り咲いていますが、クリエイティヴィティでは黄金期とは格段の差があり遠く及びません。
どうしてもこの時期の作品から選びたいというならば、右肩下がりのマンネリ状態に突入する以前で、完成度でも数段飛び抜けている『All Hell Breaks Loose(6th)』と『Metal Discharge(8th)』がオススメ。
最初期のようなファストチューン主体で突進力重視の作風ならば、シュミーア復帰第1弾の『All Hell Breaks Loose(6th)』、そこから黄金期の変則スラッシュに接近したキャッチーなスタイルなら『Metal Discharge(8th)』といったところです。