Contents
- 1RAINBOWとBLACK SABBATHをハシゴしたヘヴィメタル界の“北島三郎”、ロニー・ジェイムス・ディオのライフワークとして進化を続けたレジェンドバンド!!
- 1...1輝かしい経歴を持つ英米混成バンド!?
- 1...2ディオはルーツロック時代からのベテラン!?
- 1...3英国のメタル界の伝説的グループをハシゴ!!
- 1...4DIOはただの様式美バンドではない!?
- 1...5ディオとDIOとHEAVEN & HELL…その終結!?
- 1...6ディオが残した大いなる遺産!?
- 1.1DIO|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Holy Diver|ホーリィ・ダイヴァー:情念の炎
- 1.1.2The Last in Line|ラスト・イン・ライン
- 1.1.3Sacred Heart|セイクレッド・ハート
- 1.1.4Dream Evil|ドリーム・イーヴル
- 1.1.5Lock Up the Wolves|ロック・アップ・ザ・ウルヴス
- 1.1.6Strange Highways|ストレンジ・ハイウェイズ
- 1.1.7Angry Machines|アングリー・マシーンズ
- 1.1.8Magica|マジカ
- 1.1.9Killing the Dragon|キリング・ザ・ドラゴン
- 1.1.10Master of the Moon|マスター・オブ・ザ・ムーン
- 1.1DIOはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
RAINBOWとBLACK SABBATHをハシゴしたヘヴィメタル界の“北島三郎”、ロニー・ジェイムス・ディオのライフワークとして進化を続けたレジェンドバンド!!
DIO(ディオ)は、アメリカ合衆国出身のヴォーカリスト、ロニー・ジェイムス・ディオ率いるヘヴィメタルバンド。
輝かしい経歴を持つ英米混成バンド!?
ロニー・ジェイムス・ディオは、リッチー・ブラックモアのソロプロジェクト〈RAINBOW〉と、ドゥームメタル/ロックと90年代ヘヴィネスの始祖〈BLACK SABBATH〉という、ヘヴィミュージックシーンにおけるふたつの重要バンドで一時期フロントマンを務め、それぞれでロック史に残る活躍をして一時代を築いた人物。
そのディオが、〈BLACK SABBATH〉脱退後にその知名度を生かし、自らの名を冠して結成したグループがDIOです。
DIOの構成メンバーについては、そのキャリアの多くの時期がイギリスとアメリカのミュージシャンによる“英米混成バンド”体制となっています。
バンドリーダーであるディオ本人は、前述の〈RAINBOW〉と〈BLACK SABBATH〉というイギリスを代表するグループのフロントマンとして名をなしましたが、本来は米国籍であり、バンドもアメリカを拠点にしていたことから、DIO名義の場合はアメリカン・バンドと認識されています。
ディオはルーツロック時代からのベテラン!?
ロニー・ジェイムス・ディオは、“ヘヴィメタル・アイコン”と呼ぶべきポジションにある人物のひとりですが、ヘヴィメタル・シーンの中でも最年長に近い存在であり、年齢的には〈THE BEATLES〉のメンバーらと同世代。
それだけに、そのキャリアはヘヴィメタルの登場よりも更に古くまでさかのぼります。
ディオは、ヘヴィメタルやハードロックはおろか“ロック”という定義さえ確立していない50年代末より、現在では“オールディーズ”と呼ばれるようなジャンル界隈で活動しており、ハードロック・ジャンルでの最初のキャリアは、1972年にアルバム・デビューしたブルーズ・ロック・バンド〈ELF(エルフ)〉から始まっています。
英国のメタル界の伝説的グループをハシゴ!!
その後、〈DEEP PURPLE〉の“元祖様式美ギターヒーロー”リッチー・ブラックモアに見出され、ともに〈RAINBOW〉を結成して、実力派の上に存在感抜群のカリスマ的ヴォーカリストとして、メタル界隈でも一気に名を上げます。
さらに〈RAINBOW〉脱退後は、オジー・オズボーンの後任として〈BLACK SABBATH〉へ加入。
この“第2期”と呼ばれる〈BLACK SABBATH〉は、ディオとのコラボレーションによるケミストリーによって、後に“メタル様式美”として根付くひとつの“ヘヴィメタル・スタンダード”と呼べるスタイルを確立ており、ヘヴィメタルの・ムーヴメント胎動期に〈JUDAS PREAST〉らと肩を並べてシーンのフラッグシップとして活躍していました。
この英国の2大トップ・バンド関連での経験を糧にして、いよいよディオは自身のバンドとしてDIO立ち上げるという運びになりました。
DIOはただの様式美バンドではない!?
DIOでの音楽性は、この〈RAINBOW〉と〈BLACK SABBATH〉でのキャリアをもとに確立した、英米ふたつの伝統が息づくヘヴィメタルであり、さらにその中には、ハードロック以前の「ブルーズロック」や、「ロックンロール」のジャンルで活動した経験も下地として見ることができます。
また、DIOはファンタジーを代表的テーマとなして取り上げており、一般にもそのイメージが定着していますが、いわゆるそれ一辺倒というわけでもなく、またファンタジー・ストーリーであっても、そこに現実のメタファー込めているケースも見られます。
また、DIOはデビュー以来古典的なヘヴィメタル・スタンダードと呼べるサウンドを主軸にしていましたが、ディオ本人にもメタル様式美の権化といったイメージで定着していますが、その実は、〈JUDAS PREAST〉のロブ・ハルフォードと同じく、ヘヴィミュージックのトレンドも意識した展開を見せてきた人物です。
そのため、80年代にはポップメタルに接近した時期もありましたし、90年代にはグルーヴメタル,グランジ,ドゥームメタルといった同時代的な次世代ヘヴィサウンドも積極的に取り入れていました。
ディオとDIOとHEAVEN & HELL…その終結!?
DIOとしては、1991年〜1993年の短いブランクを除いては、浮き沈みはあれどアルバム・リリースも含めた息の長い活動を続けていましたが、2006年からは、〈HEAVEN & HELL〉としての活動へと移行します。
この〈HEAVEN & HELL〉は、実質的には第2期〈BLACK SABBATH〉のリユニオンですが、オズボーン家による利権獲得を目的とした横槍が原因で、〈BLACK SABBATH〉の名義での活動に制限がかけられたため、やむなく改名されたものです。
〈HEAVEN & HELL〉での活動は成功を収め、新たな黄金時代を迎えていましたが、2010年にディオが逝去したことでDIOと〈HEAVEN & HELL〉は共に活動を終えました。
ディオが残した大いなる遺産!?
ディオは、手の人差し指と小指だけを立てる伝統的な魔除けのハンドサイン、“角の印=メイロックサイン(コルナ,メタルホーンなどとも)”を、トレードマークとして用いたことでも知られています。
これについては、〈BLACK SABBATH〉のベーシストであるギーザー・バトラーも元祖として名乗りを上げていますが、ディオがが決めポーズとして用いるようになったことをきっかけに、ディオ自身のトレードマークの枠を超えて世界中に広がり、ヘヴィメタルの代名詞的なポーズとして世間一般にもに定着しています。
また近年では、マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』が人気を得たことによって、そこに登場する名悪役キャラクター、“ディオ・ブランドー”のネーミングの元として、メタルクラスタ以外にもその名を知らしめています。
DIO|DISCOGRAPHY
Holy Diver|ホーリィ・ダイヴァー:情念の炎
オリジナルアルバム – 1作目 (1983年)
ディオ在籍時の〈BLACK SABBATH(第2期)〉をベースに、〈RAINBOW(=ブラックモア)〉の叙情性やナルな美意識をふりかけ、アメリカンなハードロック/ヘヴィメタル仕立てにしたようなサウンド。
ここでの重要なポイントは、アルバムの半数を占めるミッドチューンがしっかりと魅力的でカッコイイことでしょう。
スピーディーで疾走感のある曲が売りのバンドにとって、ミッド〜スローの曲はファスト・チューンのつなぎや単なる数合わせ、ライヴでの息抜き程度の扱いになりがちですが、ここではそれらの曲を看板にできるレベルにまで仕上げられています。
これは、そもそもディオ本人が、スピードメタルの登場で平均速度が上がる以前の世代であり、そこで経験を積んでいたことも大きな要因と考えられ、元祖ドゥームの〈BLACK SABBATH〉やそれ以前のブルーズロックなど、早さを売りにしないスタイルが長いことや、米国特有のダウンテンポ主体なグルーヴ/ヘヴィネス重視の下地がプラスに働いています。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★☆☆☆
|叙 情 度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
The Last in Line|ラスト・イン・ライン
オリジナルアルバム – 2作目 (1984年)
キャリア的にはピークにあたる時期で、ファストチューンを含めアップテンポな楽曲が増えたことから、DIOのカタログ中でもとりわけ人気の高いアルバム。
ヘヴィメタル・アルバムとしての出来栄えについては前作とは甲乙つけがたいものであり、ビギナー向けのわかりやすさとツカミのよさでは本作に分がありますが、総合的なクオリティとスキのない仕上がりという意味では前作に軍配が上がるかもしれません。
このあたりから、USメタル的なポップネスも顔をのぞかせるようになるものの、それほどそこに比重が置かれているわけではなく、本来の持ち味である重厚なヘヴィネスを損なうなど、音楽性を大きく左右するまでには至っていないので、まだその影響を気にする必要はないでしょう。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|叙 情 度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Dio ディオ / Last In Line アナログレコード
Sacred Heart|セイクレッド・ハート
オリジナルアルバム – 3作目 (1985年)
基本的なスタイルに大きな変化はありませんが、グラムメタルや産業ロックなどの、ポップなメロディを軸にしたキャッチーなサウンドが主流となっていた米国シーン情勢が確実に反映されています。
とはいえ、T-01,T-04,T-07,T-08をはじめ名曲/佳曲が満載でアベレージも上々であり、当時のメタルシーンにおいては間違いなく上澄みに位置していることは間違いなく、事実、英米チャートにおいても前作に続く位置につけキャリアのピークは継続されています。
しかし、T-05やT-09のようなかなりストレートなポップチューンや、80年代特有のなシンセサウンドの多用など、全体的に当時のメインストリームを意識したかのようなわかりやすいポップネス強化が施されていることもあって、ファンの界隈でもやや評価が分かれる1枚となっています。
賛否両論で不評も多い中で、プログレ風の品のいいジャケット・アートのセンスは、ベタでいかにもなダサジャケが目立つDIOカタログ中でも異例で、キャリア中ベストでといえる仕上がりですが、「ダサジャケこそメタルの命」と考える愛好家にとっては、そこも不満が残るポイントなのかもしれません。
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|叙 情 度:★★★★☆
|ポップネス:★★★★★
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 スルメ盤 実験作
Dio ディオ / Sacred Heart アナログレコード
Dream Evil|ドリーム・イーヴル
オリジナルアルバム – 4作目 (1987年)
前作に見られたUSポップメタルに追従したアプローチは、T-07の歌メロに見られる程度であり、再び重厚でシリアスなヘヴィメタルサウンドに回帰したようなアルバムとなっています。
ギターが、黄金期のヴィヴィアン・キャンベルからクレイヴ・ゴールディへと交代したことの、直接的な影響のほどは不明ながら、曲によってはこれまでのDIO本来の作風とはやや乖離が見える部分もあり、まるで、後発のメタルバンドによって定形化が進んだ80年代ヘヴィメタルの基本フォーマットへと、あえて接近したような印象さえあります。
とはいえ、総合的に見るなら出来映え自体は上々なものであり、結果的に初期ファンの支持は下落してチャート的にもやや後退したものの、その出来栄えは初期の名盤2作品に比肩するほどの仕上がりを見せており、3rd以降では例外的ともいえるクオリティを達成したアルバムのひとつと呼べるでしょう。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|叙 情 度:★★★☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論
Lock Up the Wolves|ロック・アップ・ザ・ウルヴス
オリジナルアルバム – 5作目 (1990年)
ほどなく一時解散となる直前の、“第1期”のラストを飾るアルバム。
メンバーが総入れ替えになった影響か、基本的なラインは過去作から大きく外していないにもかかわらず、前作以上に往年のDIOとの“似て非なるもの感”が強く、まるでDIO風の別バンドの演奏の上でディオが歌っているような印象さえ与えます。
また、メタルシーンの総ヘヴィネス時代の到来が近付いている先ぶれか、再びファストチューンが減少してアルバムの大半がほぼミッド〜スローで占められており、それらのヘヴィチューンはこれまでより一層ヘヴィネスが強化されています。
その一方で、妙に軽薄なグラムメタル的ポップセンスを感じさせる側面もあって、これはミスマッチの妙というよりは単なるアンバランスに感じられるものとなっています。
さすがに、代表作として別格の『1st』と『2nd』を差し置いても聴くべき …とまでの強弁はさすがにできせんが、キャッチーなファストチューンのT-01やT-08、初期に近いヘヴィなT-02,T-04など佳曲も多く、聴きどころは少なくありません。
初期の名盤2枚の次ぐらいならば…というのが許される程度には楽曲のアベレージも高く、隠れた好盤と呼ぶことはできるでしょう。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★☆☆☆
|叙 情 度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Strange Highways|ストレンジ・ハイウェイズ
オリジナルアルバム – 6作目 (1993年)
ディオがDIOとしての活動を中断して一時復帰していた第二の古巣、〈BLACK SABBATH〉再び脱退して活動を再開した、“再結成DIO”としての復活第一弾アルバム。
ここでの作風は、直前にディオが参加した〈BLACK SABBATH〉作品『Dehumanizer』での90’sヘヴィネス・サウンドが踏襲されており、かつてDIOの持ち味とされていたドラマティックな古典的メタル様式美色が払拭されたことで、リアルタイムでは旧来のファンから長らく酷評され続けた不幸なアルバムです。
後に再評価が進んだのはよいのですが、今度は酷評の反動で過剰に持ち上げる向きもあるという、なんとも微妙な立ち位置にある1枚。
とはいえ、同時代的なヘヴィサウンドを見据えたアプローチを中心とした“再結成DIO”の作品では、ベストの1枚と見なす向きも少なくはありません。
本作が、〈CATHEDRAL〉以降のドゥームメタルや、〈ALICE IN CHAINS〉などのダウナー系グランジを視野に入れているのは確実ですが、聴けるサウンドはもっとソリッドなヘヴィメタルの王道に寄ったものです。
しかしながら、やはりディオ在籍時の〈BLACK SABBATH〉に影響を受けた〈CANDLEMASS〉などと比較すれば、ヘヴィメタルの王道の脇を並走しつつも、かなりトレンド方面にハンドルを寄せていると言えます。
似た曲調が続くアルバムを飽きずに聴きとおせるだけのアイデアを費やした力作ではありますが、かといって何度も繰り返し聴きたいアンセミック曲は無い。
手放しで絶賛するほどではないけれど、変化をいとわないベテランの頑張りと意欲は評価したい…。
そんなバランスの1枚で、DIOキャリアにおいても当時のメタルシーンの中においても、色々な意味でなんとも収まりの悪いアルバムではあります。
|ヘヴィネス:★★★★★
|スピード:★☆☆☆☆
|叙 情 度:★☆☆☆☆
|ポップネス:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Angry Machines|アングリー・マシーンズ
オリジナルアルバム – 7作目 (1996年)
基本的には前作の発展型ともいえるスタイルの作品で、やはりリアルタイムでオールドファンに酷評された反動で、後に過剰に持ち上げられがちなのも同様です。
本作での大きなポイントとなるは、グルーヴメタル/ニューメタル/スラッシュなどの、ややエクストリームな90年代型ヘヴィサウンドを用いつつ、それを前作以上に普遍的で古典的なメタル/ロック成分と同居させていることで、その結果、前作と比較すると個々の楽曲が持つ表情は豊かになったと同時に音楽的な多様性も大きく広がっています。
全体的な印象は、ダウナーなメタリックなドゥームメタル・チューンやグルーヴ・スラッシュ風のファストチューンの存在が強い印象を残しますが、中にはオーソドックスなハード/ヘヴィロックも見られ、さらにプログレ的な変則リフワーク、ドラマティックな展開、ネオクラシカルなメロディなども織り込まれています。
ただ、佳曲は多いものの出来不出来については波がやや荒めなのが難点で、突出した曲を欠きつつも軒並み及第点を超えていた前作と比較した際に、総合力やアベレージにおいては大きな差は無いものの、そのあたりが好対照となっています。
|ヘヴィネス:★★★★★
|スピード:★★★☆☆
|叙 情 度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Magica|マジカ
オリジナルアルバム – 8作目 (2000年)
再結成後のスロー&ダウナー路線の延長上にあるような、ドゥーミィなヘヴィサウンド。
ただし、近作で見せた根本的にモダン傾向の強いスタイルとは異なり、第2期〈BLACK SABBATH〉とDIOの1作目『Holy Diver(1st)』をミックスしたような作風で、オールドスクールなヘヴィメタルに近い印象を強めています。
本作を皮切りに、自身のキャリアを振り返るような、ある種の原点回帰…あるいは回顧路線へと突入します。
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★☆☆☆
|叙 情 度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 通好み スルメ盤
Killing the Dragon|キリング・ザ・ドラゴン
オリジナルアルバム – 9作目 (2002年)
前作でのミッド〜スロー主体のスタイルから、ファスチューンも大幅に交えたアップテンポ重視のスタイルに。
このあたりはどうしても、『Holy Diver(1st)』から『The Last in Line(2nd)』への流れを思い起こさせます。
再結成後の“第2期DIO”の中でも、とりわけヘヴィメタルとディオ自身に期待されるパブリックイメージに殉じた、オルドスクールなメタルアルバムと言えるかもしれません。
そうは言っても、名盤の初期2作はもちろん、第1期DIOのどの作品にもあと一歩及びませんし、リサイクルや古典からの流用も目立ちますが、保守的なメタルファンやオールドファンには、「この作風だけで100万点」という声があるのも確か。
そういった意味では、ディオによるファンサービスとも受け取ることのできそうなアルバムです。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|叙 情 度:★★★☆☆
|ポップネス:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤
Master of the Moon|マスター・オブ・ザ・ムーン
オリジナルアルバム – 10作目 (2004年)
DIO名義としてはラストアルバムで、有終の美を飾る遺作でもある作品。
奇しくも、ある種のキャリア総決算といった趣を漂わせる仕上がりとなっただけに、余計にそれを意識せざるをえません。
基本的には、直近2作の流れをくんだ、往年の作風を現代的な音づくりで焼き直した、原点回帰/回顧路線の延長線上にあるもの。
ややモダンな要素がも端々に散りばめられ、同時代的なヘヴィグルーヴ・テイストも感じられますが、ニューメタルやメタルコアに乗り換えたわけではなく、あくまでも、オーソドックスなDIO風ヘヴィメタルの枠に収まるサウンドです。
よほどの原理主義者でもない限り、オールドファンでも安心して聴けるアルバムですが、その無難さが物足りなくもあります。
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|叙 情 度:★★☆☆☆
|ポップネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤
DIOはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
解散前の“第1期DIO”のアルバムはいずれも高水準ですが、その中でも特に独自の“らしさ”が強く、クオリティでも傑出した初期2作はやはり別格。
ミッド〜スローテンポが主体の『Holy Diver(1st)』、アップテンポが半数を超えスピードメタルも聴ける『The Last in Line(2nd)』と、作風に差はありますが、いずれもスキ無しの絶品アルバムです。
再結成後の“第2期DIO”作品で傑出してるのは、モダンドゥーム路線の『Strange Highways(6th)』と、エクストリーム&グルーヴ路線の『Angry Machines(7th)』で、いずれも力作ですが。やや変化球なので王道メタルファン向きとは言いかねます。
むしろ新世代リスナーの方が、ニュートラルに楽しめるでしょう。
逆に原点回帰路線のラスト3作、特にファストチューンも交えた最後の2作品は完全な王道メタル路線で、第1期作品には届かないまでも高水準で無難な出来栄えです。
より往年に近いサウンドなら『Killing the Dragon(9th)』、少しモダンな様式美なら『Master of the Moon(10th)』がオススメ。
現代的音づくりでもあるので、モダン様式美サウンドに慣れた新しいリスナーには、第1期より馴染みやすいかもしれません。