Contents
- 1グルーヴメタル/ヘヴィグルーヴ黎明期よりPANTERAとともにムーヴメントを牽引し、黄金時代を築いたパイオニアにして、90年代最重要のインテリジェント・ヘヴィネス・バンド!!
- 1...1スマートな大人のグルーヴメタルで頭角を表す!?
- 1...2HELMETの中核ペイジ・ハミルトンとは!?
- 1...3HELMETがカテゴライズされるジャンルは!?
- 1...4音楽性:ノイズ/ジャンクロックとしてのHELMET!!
- 1...5音楽性:グルーヴメタルとしてのHELMET!!
- 1...6音楽性:エクスペリメンタル・メタルとしてのHELMET!!
- 1...7解散〜再結成後のHELMETの動向は!!
- 1.1HELMET|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Strap It On|ストラップ・イット・オン
- 1.1.2Meantime|ミーンタイム
- 1.1.3Born Annoying|ボーン・アノイング ~アンフェタミン・シングルズ~
- 1.1.4Betty|ベティ
- 1.1.5Aftertaste|アフターテイスト
- 1.1.6Size Matters|サイズ・マター
- 1.1.7Monochrome|モノクローム
- 1.1.8Seeing Eye Dog|シーイング・アイ・ドッグ
- 1.1.9Dead to the World|デッド・トゥ・ザ・ワールド
- 1.1HELMETはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
- 1.1.9.1代表作3作が覇権を競う!?
- 1.1.9.2メタラー向けのセレクトは!?
- 1.1.9.3万人受けしやすいアルバムは!?
グルーヴメタル/ヘヴィグルーヴ黎明期よりPANTERAとともにムーヴメントを牽引し、黄金時代を築いたパイオニアにして、90年代最重要のインテリジェント・ヘヴィネス・バンド!!
HELMET(ヘルメット)は、アメリカ合衆国はニューヨークを拠点とする、オルタナティヴ・ロック/メタル・バンド。
スマートな大人のグルーヴメタルで頭角を表す!?
HELMETは、ギタリストでフロントマンのペイジ・ハミルトン率いるグループで、一般的にはPANTERAやBIOHAZARDらと共に、グルーヴメタル/ヘヴィグルーヴ黎明期をの主力をなした、ムーヴメントのパイオニアたる存在として知られています。
ただし、グルーヴメタル第1世代の多くがそうであったように、本来はヘヴィメタルのフィールドとは異なるシーンから登場したグループでしたが、HELMETも同様で、本来はニューヨーク・アンダーグラウンドのポストハードコア、オルタナティヴ・ロックのシーンに属し、その立ち位置は、前衛的/先鋭的なアートシーンとも重なるものでした。
HELMETは、フィジカルな高揚感に満ちたダイナミズムとグルーヴを感じさせならがも、過剰なケレン味や虚飾を排して適度にツイストを効かせた、抑制の効いたヘヴィサウンドを持ち味としており、肉体的/直情的な傾向の強い、グルーヴメタル/グルーヴコアの主流派とは一線を画していました。
この作風は、メタルやハードコア界隈以外のリスナーや年齢層の高いリスナーにも支持され、リテラシーを要するスマートなグルーヴメタルとも評されています。
HELMETの中核ペイジ・ハミルトンとは!?
HELMETの創始者で中心人物でもあるペイジ・ハミルトンは、ジャズギターを専門的に学んだ経歴を持っており、また、初期にはニューヨークの前衛音楽家グレン・ブランカのギタオーケストラへの参加経験がありました。
これらは、往年のグルーヴメタルのミュージシャンとしては、やや異色ともいえるキャリアとであり、グルーヴメタル界隈では知性葉/理論派と呼ばれる所以となります。
その後、女性ヴォーカルを擁するオルタナティヴ・ロックバンド、BAND OF SUSANSへの参加を経て、j真のバンドとしてHELMETを結成することとなります。
HELMETがカテゴライズされるジャンルは!?
HELMETは、バックグラウンドや音楽的な出自、属していたシーンや全盛期の音楽シーンの特殊性などが相まって、いくつかのジャンルをまたいで語られる存在となっています。
そのため、大枠の広義的メインジャンルとしては、オルタナティヴ・ロック,オルタナティヴ・メタル,ポスト・ハードコア、狭義的なサブジャンルとしては、グルーヴメタル/ヘヴィグルーヴのほかにも、ノイズロック/ジャンクロック,エクスペリメンタル・メタル/ロックなどのカテゴリが適用されています。
音楽性:ノイズ/ジャンクロックとしてのHELMET!!
デビュー当初のHELMETは、ノイジーなでロウなハードコア的な音づくりの、ヘヴィロックを展開していました。
この音楽性は、一般には『ノイズロック』と、日本では『ジャンクロック』とも呼ばれていたジャンルにラベリングされていますが、より広義的にはポストハードコア、オルタナティヴ・ロックとしてカテゴライズされることもあります。
なお、この『ノイズ/ジャンクロック』のジャンルは、現在でいうスラッジメタルの一部の源流にもなっており、近年では、このシーンのグループをスラッジメタルに取り込もうとする動きもあります、
この時期は、全盛期のようにメインストリームで人気を博していたわけではなく、知る人ぞ知るややマニアックでエッジィなバンドという立ち位置でしたが、ファンの中には、この時期のサウンドを至高とする推す支持層も根強く存在しています。
音楽性:グルーヴメタルとしてのHELMET!!
HELMETがシーンに台頭する90年代初期には、ヘヴィメタル,ハードコア,その他ミクスチャー系を含むオルタナティヴ・ロックの各シーンにおいて、ダウンテンポ気味のヘヴィなグルーヴを主軸に据えたサウンドが、同時発生的に登場してシーンを席巻していました、
これらは、当時は明確なジャンル定義はありませんでしたが、現在ではグルーヴメタル/ヘヴィグルーヴというラベルのもとに統括されています。
HELMETは、ソリッドでメタルエッジなサウンドとヘヴィなグルーヴを持ったスタイルへと変化を遂げた、フルレンス2作目の『Meantime(2nd)』が大ヒットしたことでブレイクにを果たし、グルーヴメタルの騎手としてシーンを牽引することになります。
HELMETの影響は、グルーヴメタルの後続グループのみならず、ニューメタル,メタルコア,ポストロック/メタル/ハードコアなど、広いジャンルに及んでいます。
音楽性:エクスペリメンタル・メタルとしてのHELMET!!
HELMETは、時に実験性を織り交ぜた作品をリリースしていることもあって、エクスペリメンタル・メタルとして語られることもあります。
これについてはは、ペイジ・ハミルトンの音楽的なバックグラウンドやキャリア、活動フィールドが、ジャズや前衛音楽にも及んでいることも影響しています。
ただし、エクスペリメンタルとは言っても、プログレ/ポスト系のジャンルにイメージされる、過剰な技巧性や変態的な変則展開を押し出した作風ではなく、コンパクトでシンプルにも感じられる楽曲の中にも、変則的なリズムや曲展開を織り込んでツイストを効かせるスタイルです。
解散〜再結成後のHELMETの動向は!!
90年代ヘヴィグルーヴ全盛期において、ひとつの頂点を極めたHELMETですが、4作目『Aftertaste』での、メロディを導入したソフィスティケートされた作風の不評や、米国ヘヴィ・グルーヴの新潮流として台頭したニューメタルへの代替わりなどが重なって、メインストリーム第一線でのピークは長く続かず失速気味となります。
結果的に、1998年には活動停止となり、それから2004年までの6年間は全キャリアを通して唯一明確な解散状態にありました。
2004年の復活後は、過去の作風を織り交ぜつつアルバムごとに異なるアプローチを試みていますが、全体を通して、作品中のメロディやエモーションを強調した、ポップな作風の比重を増しています。
テクニカルでプログレ的な…いわゆるポストメタルなどの“ポスト〜系”ヘヴィミュージックが、一定のシェアを描く膣した近年において、HELMETは正当な評価を受けているとは言えない状況ですが、マイペースな活動を続けながらこだわりぬいた作品をドロップしています。
HELMET|DISCOGRAPHY
Strap It On|ストラップ・イット・オン
オリジナルアルバム 1作目 – (1990年)
ニューヨークのポストハードコア/オルタナティヴ・ロックのシーンで、ノイズ/ジャンクロック・スタイルで活動していた時期のデビュー作。
生々しい音作りが特徴的な、この時代にしか聴けないサウンド。
|ヘヴィ度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★★★
|キャッチー度:★★☆☆☆
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 通好み 実験作
Meantime|ミーンタイム
オリジナルアルバム 2作目 – (1992年)
HELMETが一躍メインストリームにおどり出て、グルーヴメタルのカリスマとされるキッカケとなった歴史的アルバムでもちろん代表作。
ソリッドでヘヴィメタリックなサウンドと、フックの効いた絶妙な粒ぞろいな楽曲で、メタラーからの人気も高い名盤。
|ヘヴィ度:★★★★★
|オルタナ度:★★☆☆☆
|キャッチー度:★★☆☆☆
|マニア度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Born Annoying|ボーン・アノイング ~アンフェタミン・シングルズ~
初期音源コンピレーション – (1994年)
レアレアトラックを中心とした初期音源集。その後には見られないほどのテンションがみなぎっており、疾走曲が多くみ見られるのも初期ならでは。
|ヘヴィ度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★★★
|キャッチー度:★★☆☆☆
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み
Betty|ベティ
オリジナルアルバム 3作目 – (1994年)
HELMETのキャリアのピークにあった時期のある作品で、前作にも比肩する代表作。
実験的要素や多様性を強めた、オルタナティヴ・ロック寄りの作風となっており、メタルシーンよりも一般ロック界隈で特に絶賛されていました。
|ヘヴィ度:★★★★★
|オルタナ度:★★★★☆
|キャッチー度:★★★☆☆
|マニア度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Aftertaste|アフターテイスト
オリジナルアルバム 4作目 – (1997年)
ポップなメロディの導入や、作風がソフィスティケートされたことで評価が分かれがちですが、完成度では直近2作にも劣らない見事な出来栄え。
|ヘヴィ度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★★☆
|キャッチー度:★★★★☆
|マニア度:★★☆☆☆|
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Size Matters|サイズ・マター
オリジナルアルバム 6作目 – (2006年)
ジョン・テンペスタ(EXODUS,TESTAMENT etc)が参加、チャーリー・クローザーのプロデュースという豪華な布陣だが、作風はおおむね前作を踏襲したもの。
当時在籍となっているフランク・ベロ(ANTHRAX)は、本作レコーディングは不参加。
|ヘヴィ度:★★★☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|キャッチー度:★★★★☆
|マニア度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤
Monochrome|モノクローム
オリジナルアルバム 6作目 – (2006年)
ポップネスよりもヘヴィネス&アグレッション重視の作風で、ニューメタルにも匹敵する重量級サウンドに。
|ヘヴィ度:★★☆☆☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|キャッチー度:★★★★★
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Seeing Eye Dog|シーイング・アイ・ドッグ
オリジナルアルバム 7作目 – (2010年)
ヘヴィ路線も維持しつつ、よりエモーショナルな歌を聴かせるポップで多彩な作風の新境地。
|ヘヴィ度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|キャッチー度:★★★☆☆
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み 実験作
Dead to the World|デッド・トゥ・ザ・ワールド
オリジナルアルバム 8作目 – (2016年)
前作のポップネスも忘れずに、ヘヴィネスを大幅強化。
全盛期の3作『Meantime(2nd)』『Betty(3rd)』『Aftertaste(4th)』の集大成に近い作風に。
|ヘヴィ度:★★★★☆
|オルタナ度:★★★☆☆
|キャッチー度:★★★☆☆
|マニア度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み
DEAD TO THE WORLD アルバム OTCD-6656
HELMETはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
HELMET作品アベレージは高値安定で、評判の良くない再結成後ですら水準は軽く上回りますが、特に評価が高く人気もあるのはやはり90年代の初期作品に尽きます。
代表作3作が覇権を競う!?
初期衝動系のジャンクなポストハードコアの『Strap It On(1st)』、グルーヴ・メタリックでストレートな『Meantime(2nd)』、ツイストの効いたヘヴィオルタナの『Betty(3rd)』、それぞれの支持者が三つ巴で「押しアルバム」を争っています。
メタラー向けのセレクトは!?
メタル系リスナーの最初の1枚なら、グルーヴメタルの名盤で勢いもある『Meantime(2nd)』がベスト。
その次は他の人気2作品に進むのもアリですが、再結成後では最もヘヴィな『Monochrome(6th)』もオススメです。
万人受けしやすいアルバムは!?
ただし、聴きやすさということならポップさを増した『Aftertaste(4th)』や、総決算的な『Dead to the World(8th)』の方が間口が広いと言えるかもしれません。