Contents
- 1エクストリームなスタイルのジャーマンスラッシュBIG3の中で唯一、常に時代と共に進化を続けてきた実験精神あふれるスラッシュメタルバンド!
- 1...1ジャーマン・スラッシュBIG3の一角!!
- 1...2絶えず進化を続けて現役感を維持!?
- 1...3KREATORの音楽性は!?:80年代
- 1...4KREATORの音楽性は!?:90年代
- 1...5KREATORの音楽性は!?:00年代〜
- 1.1KREATOR|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Endless Pain|エンドレス・ペイン
- 1.1.2Pleasure to Kill|プレジャー・トゥ・キル
- 1.1.3Terrible Certainty|テリブル・サータニティ
- 1.1.4Extreme Aggression|エクストリーム・アグレッション
- 1.1.5Coma of Souls|コーマ・オブ・ソウル
- 1.1.6Renewal|リニューアル
- 1.1.7Cause for Conflict|コース・フォー・コンフリクト
- 1.1.8Outcast|アウトキャスト
- 1.1.9Endorama|エンドラマ
- 1.1.10Violent Revolution|バイオレント・レヴォリューション
- 1.1.11Enemy of God|エネミィ・オブ・ゴッド
- 1.1.12Hordes of Chaos|ホーズ・オブ・ケイオス
- 1.1.13Phantom Antichrist|ファントム・アンティクライスト
- 1.1.14Gods of Violence|ゴッズ・オブ・ヴァイオレンス
- 1.1.15Hate über alles|ヘイト・ユーバー・アレス
- 1.1.15.1◎ KREATORはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
- 1.1.15.2オールドスクールなスラッシュメタルのオススメは!?
- 1.1.15.3中期の実験路線おオススメは?
- 1.1.15.4スラッシュ・リヴァイヴァル路線のおオススメは?
- 1.1.15.5末期モダンスラッシュ路線のおオススメは?
- Endless Pain|エンドレス・ペイン
- Pleasure to Kill|プレジャー・トゥ・キル
- Terrible Certainty|テリブル・サータニティ
- Extreme Aggression|エクストリーム・アグレッション
- Coma of Souls|コーマ・オブ・ソウル
- Renewal|リニューアル
- Cause for Conflict|コース・フォー・コンフリクト
- Outcast|アウトキャスト
- Endorama|エンドラマ
- Violent Revolution|バイオレント・レヴォリューション
- Enemy of God|エネミィ・オブ・ゴッド
- Hordes of Chaos|ホーズ・オブ・ケイオス
- Phantom Antichrist|ファントム・アンティクライスト
- Gods of Violence|ゴッズ・オブ・ヴァイオレンス
- Hate über alles|ヘイト・ユーバー・アレス
エクストリームなスタイルのジャーマンスラッシュBIG3の中で唯一、常に時代と共に進化を続けてきた実験精神あふれるスラッシュメタルバンド!
KREATOR(クリエーター)は、スラッシュメタルを基盤とするドイツのグループ。
ジャーマン・スラッシュBIG3の一角!!
HELLOWEENらパワーメタル勢による、ジャーマン・メタル・ブームに沸いていた80年代のドイツは、スラッシュメタル・ムーヴメントにおいても、本場アメリカに次ぐシーンを形成し、多くの名バンドを生み出してきました。
その中でKREATORは、〈SODOM(ソドム)〉や〈DESTRUCTION(デストラクション)〉と共に、それらジャーマン・スラッシュのトップグループとしてBIG3と並び称されており、日本では『ジャーマン・スラッシュ三羽ガラス』などという恥ずかしい称号も与えられていました。
なお、近年の一部の界隈では、そこに〈TANKARD(タンカード)〉を加えてBIG4(チュートニック4)と称することもありますが、これについては実績や影響力の面から異論もあります。
絶えず進化を続けて現役感を維持!?
KREATORは、ジャーマン・スラッシュメタルんの中でも、特に実験的/先進的なアプローチで知られており、その時期ごと・アルバムごとに何度となく大胆な音楽性の更新を試みてきました。
その音楽性の変化の激しさから、KREATORは賛否両論の作品も尽きない存在となっていますが、今に至るまで常に特に同時代性を意識した進化を模索し続けていることもあって、ジャーマン・スラッシュ・シーンの中でも最も現役感の強いバンドとなっています。
KREATORの音楽性は!?:80年代
KREATORは、ハードコアでプリミティヴサウンドを持つストレートなスラッシュメタルとしてスタートしており、ジャーマン・スラッシュBIG3の中でも、エクストリームな突進力を持つファストなサウンドに定評がありました。
また、KREATORはジャーマンBIG3の中でも最も若手のグループで、メンバー全員がまだ10代の段階でデビューしており、当初はティーンズ・バンドという一面も持っていました。
その後、80年代のスラッシュメタル全盛期の間は、基本的なスタイルはそのままに、整合感を強めて多様性を増していく方向で、ブラッシュアップを重ねて行きます。
KREATORの音楽性は!?:90年代
スラッシュメタルが、ムーヴメントとしてもブームとしても終息を迎え、多くのグループが引退や路線変更を余儀なくされていた90年代には、KREATORもポスト・スラッシュとしての新機軸を模索してゆく流れになります。
KREATORは、ゴシカルともいえるヨーロッパ的な暗黒耽美趣味や、インダストリアル・メタル風味のサウンドを取り入れ、また、メロディやエモーションも強調したスタイルを追求してゆきます。
KREATORの音楽性は!?:00年代〜
00年代に突入すると、過去に試みたサウンドを組み合わせた総決算的な作風をとりつつ、ファストチューンを軸にしたアップテンポなスラッシュ路線への回帰傾向を見せた、モダンスラッシュ・サウンドを展開します。
新世代スラッシュの登場を含め、折からスラッシュメタル再評価の機運が高まる中、KREATORは〈DESTRUCTION〉や〈TESTAMENT〉らのグループを共にベテランの原点回帰路線の先陣を切り、スラッシュ・リヴァイヴァルのシーンを牽引してゆくことになります。
10年代からは、従来の総決算型スラッシュメタルをベースに、北欧系のネオスラッシュ=デスラッシュやメロディック・デスメタルの要素も取り入れるようになり、より同時代的なモダン・スラッシュメタルを展開しています。
KREATOR|DISCOGRAPHY
Endless Pain|エンドレス・ペイン
オリジナルアルバム – 1作目 (1985年)
初期の〈SLAYER(スレイヤー)〉と同様に〈VENOM(ヴェノム)〉からの流れをくみつつも、より突進力重視でハードコア寄りのプリミティウなサウンドと、デスヴォイスと紙一重の凶悪なヴォーカル・スタイルを聴かせるデビューアルバム。
事実、この時期はのサウンドはデスメタルのプロトタイプとして見なされることも多く、この時代のメタル・アルバムとしては、もっともエクストリームな部類といえる1枚と言えるでしょう。
他のジャーマンBIG3のデビュー作も同様でしたが、ハードコアな勢いだけ突っ走るサウンドは、あくまで発展途上であり、アイデアや楽曲の練り込みなど完成度の面ではまだまだ荒削りではあるものの、フレージングなどにはさすがに非凡なものが見られます。
一部の“1st原理主義”や“初期衝動至上主義”系リスナー界隈の「これこそ最高傑作」という物言いには、さすがに「ちょっと待て!」と言いたくなりますが、こういったチープで青臭いサウンドを稚拙というだけで切り捨てるべきではないでしょう。
なにぶん、ごく限られたタイミングでしか生み出しえないものですし、こういったサウンドを偏愛するリスナーは尽きず、いつの世にも一定のニーズがあることも確かです。
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★☆☆☆☆
|ハーコー度:★★★☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み
Kreator クリエイター / Endless Pain 180g
Pleasure to Kill|プレジャー・トゥ・キル
オリジナルアルバム – 2作目 (1986年)
育ち盛りの時期だけに、バンドの成長の痕跡は確実に見て取れますし、最高速度もいくらかアップして平均速度では歴代最高。
キラーチューンのタイトルトラックT-04に加え、T-02,T-09となどの後の北欧デス/ブラックの原型ともなった重要曲も有するなど、古参ファンからも人気の高い1枚ならではの独自の魅力は多く、決して悪いアルバムはありません。
しかし、前作よりも作曲面が多少こなれている反面、突き抜けたプリミティヴな勢いと荒々しさはやや薄れており、かといって次作と比較してしまうと、楽曲の練り上げや総合的な完成度では大きく見劣りする…というように一長一短があり。
これを過激さと整合感のいいとこ取りと見るか、どっちつかずと見るかで評価も変動するため、作品としてはやや微妙な立ち位置に収まった印象は拭えません。
初期衝動に満ちた1作目と、ブレイクスルーとなった3作目に挟まれた2作目というのは、よく見られるシチュエーションですが、往々にして単なる成長過程という以上の評価がしづらいケースが多く、何かしら特筆するのようなポイントが見られない限りは、「過渡期の作品ですね…」だけで終わってしまいます。
本作もまさに、それに近い位置にはまり込んでいるので、「初めて聴いたKREATORアルバム」「初めて聴いたスラッシュメタル」などの、聴き手の思い入れ補正が込みでないと、中途半端な印象や物足りなさを感じてしまうかもしれません。
|スピード:★★★★★
|メロディ:★☆☆☆☆
|ハーコー度:★★★☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 賛否両論
Kreator クリエイター / Pleasure To Kill
Terrible Certainty|テリブル・サータニティ
オリジナルアルバム – 3作目 (1987年)
デビューアルバム以来の、ハードコアでプリミティヴなオールドスクール・スラッシュ路線が、ひとつの頂点を迎えたアルバムで、初期の代表作にも挙げられることも少なくありません。
基本的なスタイルについては、これまでの流れを汲んだものながらも、過去作を踏襲しつつも見事な大幅ブラッシュアップが施されており、見違えるほど大きな成長と洗練を遂げています。
効果的なフックを持った楽曲はまさに粒ぞろいで、全編飛ばしまくりながらも展開は緩急を心得てよく練られており、それでいてスピード感や突進力は全く衰えていません。
時代ごとにスタイルを変えつつ、名盤と呼ぶに恥じない作品をドロップして行くことになる〈KREATOR〉ですが、オールドスクールなスラッシュメタルという点では間違いなくピークにある作品であり、オールドファンの中には「自分とってのKREATORはここまで。」と主張する人も少なくありません。
|スピード:★★★★★
|メロディ:★☆☆☆☆
|ハーコー度:★★★☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Kreator クリエイター / Terrible Certainty
Extreme Aggression|エクストリーム・アグレッション
オリジナルアルバム – 4作目 (1989年)
デビューから続いた、ストレートな突進型スラッシュメタルを展開する“初期KREATOR”から、新機軸を取り入れるアプローチを模索しつつ洗練と多様化を推し進める、実験性に満ちた“中期KREATOR”への橋渡しとなったアルバム。
やはり前作と並んで、オールタイムの代表作に挙げられることも珍しくないアルバムですが、“初期KREATORの総決算”というよりは、むしろ“KREATORバージョン2の幕開け”と呼ぶべき1枚で、改めて聴いてみると、アルバムリリースごとに賛否両論を巻き起こしてゆくという、この後の展開を予感させるような要素も散見されます。
突進力のあるアグレッシヴなナンバーは健在なのですが、様々なアイデアを詰め込んだことにより、曲調のバリエーションの幅は大きく広がっており、このあたりを“多様性”と好意的に評価するか“散漫”と感じるかでも、評価が分かれるでしょう。
また、曲作りがこなれて余裕が出てきたためか、やや小綺麗にまとまりすぎた印象があるあたりは、特にオールドファンにとっては好みが分かれるポイントかもしれません。
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★★☆☆☆
|ハーコー度:★★☆☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤 実験作
Coma of Souls|コーマ・オブ・ソウル
オリジナルアルバム – 5作目 (1990年)
前作から顔をのぞかせるようになったサウンドの新機軸を推し進めて、中期KREATOR特有の実験的なアプローチが本格的にあらわになったアルバム。
本作においては、次作以降で顕著になるゴシック的な欧州暗黒耽美趣味が本格的に導入され、同時に、ある意味では“プログレ的”とも表現されそうな要素も取り入れられています。
楽曲面では、スロー/ミドルとファストなパートを行き来するような凝った展開の増え、ドラマ性も強調されたことで、初期の直球一本槍の突進型スタイルとは別物のようになりました。
とはいえ、攻撃的な要素が薄まったわけではありませんし、楽曲はよく練られてフックの効いた強烈な印象を残すパートも多く、完成度については文句なしの出来栄えを見せています。
また、前作以上に整合感が増しており、ギターソロやメロディ要素が増していますが、ここで聴けるメロディは同郷の〈RAGE〉のように定型のメタル様式美とは一線を画したもので、独自のダークな個性の確立にも寄与しています。
オールド・スラッシャーからは否定的な声も少なくない作品ですが、一聴するとオーソドックスなメタル様式に近い印象を受けるためか、中期作品としては、次作以降に比べると比較的メタラー評価の高い傾向にあります。
|スピード:★★★☆☆
|メロディ:★★★★☆
|ハーコー度:★☆☆☆☆
|ゴシック度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 通好み スルメ盤 実験作
Renewal|リニューアル
オリジナルアルバム – 6作目 (1992年)
インダストリアル・メタル的と評される無機質でノイジーな音づくりに、ゴシック的な陰鬱なダークネスや生々しいヴォーカルなど、当時のメタルファンには受け入れ難かった要素がつまったアルバム。
当然のようにメタラー受けが最悪で、特にオールドファンから酷評されがちな作品ですが、音質のせいで損をしている部分も大きいと思われます。
とはいえ、純粋なクオリティのみに目をやるなら、キャリア中でもトップクラスの位置にある1枚であり、前作以上に大きなターニングポイントになった重要作でもあります。
|スピード:★★★☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|ハーコー度:★★★☆☆
|ゴシック度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 賛否両論 通好み 実験作
Cause for Conflict|コース・フォー・コンフリクト
オリジナルアルバム – 7作目 (1995年)
前作から一転して、ファスト・パートの比重を大幅に増したハードコア・スラッシュを展開するアルバムながら、メタラー人気はいまひとつで、過小評価も多く忘れられがちな1枚という印象。
ファスト主体といっても、安易に初期のイーヴォーなヴェノム直系サウンドへ回帰したわけではありません。
ここでは、インダストリアルやゴシックの要素は微量ながらも、あくまでも中期KREATORの同時代性と実験性の濃いスタイルをベースとした、モダン・スラッシュ/ポスト・スラッシュが展開されています。
そのため、全編フルスピードというわけはなく、ドゥーミィ/グルーヴィなダウンテンポのタメと、そこから時にブラストビートまでも交えて一気に突っ走るファストパートとの、コントラストがキモとなっており、その意味では『Coma of Souls(5th)』に通じる面もあります。
また、音づくりは、あの〈SLAYER〉がハードコアのカバー集を発表するほどの勢いがあった、当時のハードコア・ブームの世相も反映させようなロウなものとなっており、これは同郷の〈SODOM〉の『Masquerade in Blood』など、同時期のスラッシュ・アルバムの一部に見られる傾向でした。
その生っぽい音づくりと、ギターソロなどのメタル様式をオミットした無愛想な作風、同時代的なモダン・アプローチも交えたことによって、突進型スラッシュながら初期とは毛色の異なるものとなったことが、本作の過小評価の大きな要因として考えられます。
しかし、緩急の効いた突進力を持つ楽曲は魅力的ですし、アルバムとしても文句無しの出来栄えで、スラッシャーであれば必聴盤となる可能性は高い、90年代スラッシュメタルの名盤の1枚と呼び得るでしょう。
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★☆☆☆☆
|ハーコー度:★★★★☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Kreator クリエイター / Cause For Conflict
Outcast|アウトキャスト
オリジナルアルバム – 8作目 (1997年)
前々作『Renewal(6th)』から次作『Endorama(9th)』まで続く、迷走期の1枚としてカウントされている1枚。
その『Renewal(6th)』で展開したアプローチをさらに押し進めたような作風ということもから、同様に問題作とされており、とても評判が良いとはいえないアルバムです。
そんな本作ですが、現在はライヴに欠かせないアンセムとなっているKREATOR史上に残る超名曲、T-02を収録するという点においてだけでも、見逃すことのできない1枚となっています。
作風については、『Renewal(6th)』のようなインダストリアル的な無機質な質感は薄れており、ゴシックメタルにも通じる色を強めたキャッチーでエモーション重視な仕上がりとなりました。
ダウンテンポ中心でやや曲調の幅が狭く表情に乏しい面もあり、また、無駄に曲数が多く出来不出来のムラが激しいという欠点はあります。
しかし、名曲T-02を軸として、ミッドテンポのヘヴィなゴシックメタルT-01、ミニマルなキラーリフが光るダークでグルーヴィなT-03、ドゥーミィでダウナーな耽美ゴシックメタルT-04…という佳曲の並んだ序盤の流れは見事。
それ以降はグレードが下がりますが、4thの頃の〈TIAMAT〉を思わせるT-07や、インダストリアル風味のT-10はなかなか魅力的ですし、アップテンポのT-12はT-02に次ぐ名曲と言っていい出来栄えであり、一定以上のアベレージは維持されています。
|スピード:★★★☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|ハーコー度:★☆☆☆☆
|ゴシック度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Endorama|エンドラマ
オリジナルアルバム – 9作目 (1999年)
メロディ主体でインダストリアル・テイストを持った、ゴシックメタル路線へと完全に振り切ったことで物議をかもした、異色作にして問題作。
曲調はソフトに傾いたもののベースになっているのは『Coma of Souls(5th)』や『Renewal(6th)』以降のスタイルで、端々にらしいフレーズも見られますが、ヴォーカルスタイルはクリーンヴォイスの比率が増え、ヒステリックな絶叫はあまり聴かれなくなります。
KREATORは、ゴシックメタル登場以前からゴシック的な耽美趣味を取り入れていた実績もあり、納得できない変化ではありませんが、ややタイミングを逃した印象が強いアプローチではあります。
純粋にクオリティだけを見るならば、それ自体は上々と言えるので、「コレはコレで」と割りきれるリスナーなら楽しめるでしょう。
なおT-02には、ゴシックメタルの古参グループ〈LACRIMOSA〉のティロ・ヴォルフが参加し、ツインヴォーカルとなっています。
|スピード:★★☆☆☆
|メロディ:★★★★★
|ハーコー度:★☆☆☆☆
|ゴシック度:★★★★★
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み 実験作
Violent Revolution|バイオレント・レヴォリューション
オリジナルアルバム – 10作目 (2001年)
一般的に、本作を含めたここからの3作品が、スラッシュメタルへの原点回帰路線のアルバムと呼ばれがちですが、実のところ本作については、あくまでも90年代からの(イレギュラーな前作を除く)第二期KREATORの流れを汲んだ、その総集編的なアルバムです。
確かに若干ながらテンポアップしてファストパートも増え、ややスラッシーになった印象もあるものの、初期作品のスタイルとは全く別物のミッドテンポ主体の作風であり、突進力はそれら遠く及ばず比較にすらなりません。
印象としていちばん近いのは『Outcast(8th)』で、そこからややスラッシュ色を強めて、ややファストパートの割合を増した…といったところで、本格的なスラッシュ路線は次作を待たなければなりません。
その『Outcast(8th)』と比較するならば、楽曲面では本作の方が曲数が抑えられて無駄が少ないため、結果的に凡曲アベレージが底上げされていますが、『Outcast』のような強力なキラーチューンも無く目玉曲も小粒なため、一長一短とはいえ総合力では一歩及ばない印象です。
|スピード:★★★☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|ハーコー度:★☆☆☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤
Enemy of God|エネミィ・オブ・ゴッド
オリジナルアルバム – 11作目 (2005年)
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★★★☆☆
|ハーコー度:★☆☆☆☆
|ゴシック度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
代表作 入門盤
Hordes of Chaos|ホーズ・オブ・ケイオス
オリジナルアルバム – 12作目 (2009年)
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★★☆☆☆
|ハーコー度:★★☆☆☆
|ゴシック度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤
Phantom Antichrist|ファントム・アンティクライスト
オリジナルアルバム – 13作目 (2012年)
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★★★☆☆
|パワメタ度:★★★☆☆
|ゴシック度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Gods of Violence|ゴッズ・オブ・ヴァイオレンス
オリジナルアルバム – 14作目 (2017年)
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★★★☆☆
|パワメタ度:★★★☆☆
|ゴシック度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤
Kreator クリエイター / Gods Of Violence
Hate über alles|ヘイト・ユーバー・アレス
オリジナルアルバム – 15作目 (2022年)
基本的には、前作同様に『Phantom Antichrist(13th)』で確立したKREATOR流のモダンスラッシュ・サウンドを踏襲した作風。
ただし、直近2作以上に古典的なヘヴィメタルへの接近が目立ち、曲によっては最早パワーメタル/スピードメタルと呼ぶ方が適切とも思えるものまで見られることもあって、保守メタラーからもこれまでにないほどの好評をもって迎えられたようです。
アルバムとして総合的に評価するならば、新たなターニングポイントとなった『Phantom Antichrist(13th)』には1歩も2歩も及びません、
とはいえ、メタルアルバムとしての水準レベルはクリアしているので、スラッシュメタルを苦手とする一般メタラーの入り口としては無難な1枚とは言えるでしょう。
ただし、この路線も早3作目で、いつも通りならばそろそろ転換期となります。
やや頭打ちの気配も見えているので、次作では大胆な新しいアプローチを期待したいところです。
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★★★☆☆
|パワメタ度:★★★★☆
|ゴシック度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 実験作
ヘイト・ユーバー・アレス(初回生産限定盤)/CD/GQCS-91184
◎ KREATORはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!
KREATORは常に進化を続けて作風が変化しているいるバンドなので、最初はこれを聴いておけば間違いないという決定盤を決めるのは難しい面があります。
アルバムごとの作風と聴き手の好みによって、“ファーストKREATOR”を選ぶとよいでしょう。
オールドスクールなスラッシュメタルのオススメは!?
やはりKREATORにはオールドスクールな王道スラッシュメタルを期待するリスナーが多いでしょう。
その点においては、やはり初期作品がから選ぶことになりますし、人気昨夜オススメも初期に集中します。
プリミティヴ・スラッシュの頂点にあたるという意味では、『Terrible Certainty(3rd)』。
丹精な音づくりで整合感を重視するならば、多様性が増してバランスもよい『Extreme Aggression(4th)』あたりが入り口には最適です。
ただし、より初期衝動重視の作風が好みなら『Endless Pain(1st)』も選択肢に入ります。
中期の実験路線おオススメは?
ゴシックやインダストリアルの要素を取りいれて試行錯誤を繰り返していた90年代は、カタログ中でも特に実験性が強いものが多い時期です。
そのため、スラッシャーにとっては好き嫌いが大きく別れ、リスナー/メディア共にその評価は千差万別ですが、いずれもクオリティ自体は非常に高いレベルにあり、非常に個性的でユニークな仕上がりを見せており、興味があれば一聴の価値ありです。
ヘヴィメタル的なメロディやドラマ性重視なら、ゴシカルでダークなテイストとメタル様式美が共存した『Coma of Souls(5th)』がイチ押し。
個々の楽曲の多様性と独創性、総合的な完成度においては、『Renewal(6th)』が際立っていますが、少食ミニマル気味な作風とややインダストリアル的な音づくりで、好みが分かれる面があります、
ゴシックメタラーならば、完全にゴシックメタルのに転じた異色作『Endorama(12th)』もオススメです。
この時期では例外的なスラッシュアルバム『Cause for Conflict(7th)』は、ハードコアな音づくりとヘヴィネス重視の作風ながら、スラッシャーならば必聴の隠れた名盤です。
スラッシュ・リヴァイヴァル路線のおオススメは?
スラッシュリヴァイヴァルのブームを背景とした、00年代のスラッシュ回帰時代と呼ばれるアルバムの中では、完成度については『Hordes of Chaos(12th)』がベストでしょう。
それには一歩及びませんが、『Enemy of God(11th)』もそれに次ぐレベルで、なかなかの出来栄えと言えます。
末期モダンスラッシュ路線のおオススメは?
メロデスやパワーメタルを取り入れた、10年代以降のモダンスラッシュ路線3作は、いずれも水準以上で好評を得ており、近年は新たな黄金期ともいえる状況となっています。
その中でも純粋な完成度問う意味では、『Phantom Antichrist(13th)』が頭ひとつ以上抜きんでています。
ただし、スラッシュよりも正統派のヘヴィメタル/パワーメタルを好むリスナーならば、『Hate über alles(15th)』の方が入りやすいでしょう
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