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音楽用語|ら|『ラウドロック:Loud Rock』【音楽ジャンル/ムーヴメント】
『ラウドロック』とは、90年代末期から2000年代の日本でグルーヴメタルやニューメタル、N.S.H.C(ニュースクール・ハードコア)などのメタリックハードコアを中心としたヘヴィミュージックの呼び換えとして、用いられていたジャンル名。
トレンドロック誌/一般音楽メディアから広がった!?
グルーヴメタルやニューメタルは日本では近年になって定着した呼称で、リアルタイムでは『ラウドロック』や『モダンヘヴィネス』『モダンメタル』といった名称が便宜的に用いられていました。
『モダンヘヴィネス』が主にメタルシーンで使用されていたのに対して、『ラウドロック』は一般ロックシーンやパンク/ハードコアシーンを中心に広まりました。
トレンドロック/一般音楽メディアは基本的にアンチメタル!?
日本のトレンドロックメディアは、思想/嗜好面での拒否感やメディア間の棲み分けなどから、意図的な対立構造を生み出すようなアンチの立場を貫いていました。
例外的に、90年代初期のトレンドミュージックだった、初期のMINISTRYなどのインダストリアルメタル、RAGE AGAINST MACHINEらのラップメタル、KORNなどの最初期のニューメタル、あるいはハードコアフィールドのバンドなどについては、オルタナティヴロックの一形態として取り扱っていました。
トレンドロック/一般音楽メディアも取り上げる事態に!?
しかしそれらと音楽性もリスナー層も大きくリンクする新世代ヘヴィメタルが続出し、メインストリームの最新トレンドとして爆発的な人気を得るに至って、それらのアンチメタルメディアもマーケティング的に無視できない事態となり、アンチメタル系のトレンドロックメディアがこのジャンルを積極的に取り上げるようになります。
それには、これまでに取り上げていたヘヴィミュージックとの細かい線引きが難しいことや、80年代と異なりメタルに対抗できるほどの大きなロックムーヴメントが存在しなかったこと、メタルメディアがこれらの新世代バンドに対して否定的で誌面で取り上げなかったことなども影響しています。
『メタル』の名称は使いたくない!?
当時はこれら新世代ヘヴィミュージックを総括する、『ニューメタル』という呼称は定着していませんでした。
そもそも、こういったトレンドロック/一般音楽メディアは、過去にヘヴィメタルやハードロックを聴く価値のないジャンルとしてネガティヴに扱い、そのイメージをユーザーに広げていたため、『メタル』という名称を使うことに抵抗を持っていました。
そこで、苦し紛れに対応策として生み出されたのが、『ラウドロック』という名称だったわけです。
ハードコアもまとめて『ラウドロック』!?
90年代半ばから勢いを増していたメロコア(メロディクパンク)を中心とした各種ハードコアが、日本でもストリートカルチャー/ファッション込みでの一大ブームになっていました。
そのため、クロスオーバースラッシュやグルーヴコア、初期のメタルコアなど、オールドスクール/ニュースクールの各種ハードコアも『ラウドロック』に含まれていました。