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★ ACCU§ER(アキューザー)ディスコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|ハードコアなストリート感覚とテクニカルなセンスが同居した異色のジャーマンスラッシュ!!…必聴アルバムは?

ACCU§ER_Logo

いち早く本格的なグルーヴ・スラッシュの先鞭をつけた、ポリティカルでハードコアでテクニカルな異色のジャーマン・スラッシュ・バンド!!

ACCU§ERのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

ACCU§ER(アキューザー)は、ドイツのスラッシュメタル・グループ。

ジャーマン・スラッシュ・ムーヴメント終盤の立役者!?

ACCU§ERは、ドイツのスラッシュメタル・シーンを牽引してジャーマンBIG3と称された、SODOM(ソドム), KREATOR(クリエイター), DESTRUCTION(デストラクション)をはじめとしたパイオニア勢に次ぐ、第2世代を代表するグループのひとつ。

シーンの中ではでもやや遅れてデビューした後発グループだっただけに、先駆者たちのサウンドからの影響も反映させつつ、それらにはない独自のアプローチを試みてきたグループとして知られています。

一般的には、かのSEPULTURAにも先駆けてUSヘヴィ・ミュージック・シーンのヘヴィグルーヴ・サウンドを取り入れ、本格的に独自の90年代型グルーヴ・スラッシュを確立したことで知られています。

これは当時の段階では、ジャーマンメタル・シーンに限らず、スラッシュメタル・シーン全体の中でもかなり先行した、意欲的なアクションといえるものでした。

 

アメリカン・スラッシュメタルの影響大!?

ACCU§ERをその他のジャーマン・スラッシュと隔てる大きな特徴として、そのスタイル形成のファクターとなっている大きなポイントは、ジャーマン・テイストとアメリカン・テイストスラッシュ・サウンドが、クロスオーバーされたている点です。

彼らの初期のサウンドは、DESTRUCTIONらのジャーマン・スラッシュをベースにしつつも、MATALLICA(メタリカ)やTESTAMENT(テスタメント)に類するベイエリアスラッシュテイストを大幅に取り入れたサウンドを展開していました。

ACCU§ERは意外にもポリティカルでテクニカル!?

比較的オーソドックスなヘヴィメタルの美意識を受け継ぐ傾向が目立つ、ジャーマン・スラッシュ・グループの中で、ACCU§ERは、ハードコア的なストリート感覚と、ポリティカルなアティチュードを持つという面でも、異彩を放っていました。

その一方で、プログレ的な複雑で長尺な楽曲や、適度にテクニカルなアプローチなども、意欲的に展開しており、これらがACCU§ERサウンドの大きな特徴となっています。

長いブランクを経て満を持しての復活!?

ACCU§ERは2004年に一度活動停止し、メンバーはそのままSCARTRIBE(スカートライブ)というバンド名で仕切り直しのアクションを起こし、デモ音源も製作していました。
しかし、2008年にはスラッシュメタル・リバイバル勃発の機運もあって、再びACCU§ER名義で活動を開始しています。

再結成後は、解散前のハードコアなヘヴィ・スラッシュ・サウンドはそのままに、ファスト・チューンを中心とした作風へと変化を見せており、精力的なアルバム・リリースを重ねつつ、コンスタントな活動を続けています。

次ページはACCU§ERのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

ACCU§ER|DISCOGRAPHY

The Conviction|ザ・コンヴィクション

オリジナルアルバム – 1作目 (1987年)

このデビュー作では、USスラッシュに多いパワーメタル寄りの、ややテクニカルなサウンドを展開しており、特に初期のMATALLICAやTESTAMENTの影響が濃厚。
簡単に言えば、ジャーマン・スラッシュとベイエリア系アメリカン・スラッシュの“いいとこ取り”といったところです。

ついでに、ベイエリア系に多く見られる、“曲がダラダラと無駄に長い”という欠点まで取り入れてしまったのはさすがに失敗でしょう。
もちろん、長くても構成力やセンス次第で魅力的に仕上げた曲はいくらでも存在します。しかし、ここではそれを達成するどころか、完全に持て余していると言っていいでしょう。

とにかく、未整理でシェイプが足りないまま、曲を垂れ流すだけに終わっており、アルバム1枚を通して聴くのが苦痛に感じられることさえあります。

既聴感が多々あり未熟な面も多いとはいえ、全部が全部悪いというわけではありません。T-03 T-04は比較的健闘していると言えますし、その他の曲にしても、部分的には印象に残るパートも存在します。
しかし、とにかく構成力を欠いているのが弱点で、せっかく光る部分があっても、それを魅力的に仕上げることができていません。

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルーヴ度:★☆☆☆☆
|独自性:★★☆☆☆
|ファスト度:★★★★☆
|テクニカル度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤

Experimental Errors|エクスペリメンタル・エラーズ

ミニアルバム:EP (1988年)

Who Dominates Who?|フー・ドミネイツ・フー?

オリジナルアルバム – 2作目 (1989年)

基本的には前作と同路線で、ベイエリア・スラッシュの影響を受けた、パワーメタル・テイストが濃厚なスラッシュメタルを展開しています。

ついでにいうなら、MATALLICAやTESTAMENT、おまけにEXODUSあたりからの影響と、楽曲の長尺傾向もまた前作同様。
さらに、構成力など力量不足がたたって、その長尺曲を持たせる力量がないのも同様なので、途中でダレてしまうだけで意味をなさないためマイナスでしかない…という欠点まで踏襲されています。

アルバムとしてみるとシェイプ不足は明らかですが、いくらかの成長も見ることもできます。
まず、フックの効いたパートが増えており、曲の長さも気持ち程度は短くなったりと、一応の改善傾向は確認できます。
そのため、前作よりは飽きずに聴くかせるが曲も多くなりましたし、また、ヴォーカルもいくぶんパワーアップしています。

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルーヴ度:★☆☆☆☆
|独自性:★★☆☆☆
|ファスト度:★★★★☆
|テクニカル度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤

Double Talk|ダブル・トーク

オリジナルアルバム – 3作目 (1991年)

ベイエリア風味が濃厚な作風は相変わらずですが、もろに“〇〇風”とアタリがつくような要素はいくらか薄められ、多少なりとも独自性が強まっています。

次作ほどではないもののスピード控えめで、ミッドテンポのヘヴィグルーヴ・パートも確認できますし、ラップ/ファンクメタル風味を含めたクロスオーバー風味も感じられるます。

曲の長尺傾向には変化はないものの、これまでよりも構成力が向上してアイデアも多彩になり、無駄に感じられる部分は改善された印象で、テクニカルなパートもアクセントとして交えながら、さほどダレること無く聴きとおすことができます。

これまでになくストリート感が強めでダウンテンポ気味ということもあってか、オールドファンからの不評も見らますが、少なくともこれまでの作品中ではベストの出来栄えと言っていいでしょう。

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルーヴ度:★★☆☆☆
|独自性:★★★☆☆
|ファスト度:★★★☆☆
|テクニカル度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論

Metal Machine Music|メタル・マシーン・ミュージック

コンピレーションアルバム (1992年)

ジャーマン・インダストリアルの老舗DIE KRUPPSSと、ACCU§ERのメンバーのコラボレーションによるインダストリアル・メタル・ナンバーに加え、そのリミックスなどのバリエーションを集めて収録したEP。

一般に、DIE KRUPPSSのメタルギター担当というと、HEATHENやEXODUSでおなじみのリー・アルタスが有名です。
しかし、メタルギターをフィーチャーした初のインダストリアル・メタル・ナンバーの本作は、それ以前に生まれており、そこで起用されていたのが、ACCU§ERののレネ・シュッツ(René Schütz)とフランク・トーマス(Frank Thoms)だったというわけです。

純メタラーからの評価はかんばしくないものの、DIE KRUPPSSのインダストリアル・メタル時代の幕開けを飾り、代表曲にも挙げられる名曲であり、続く“Repent(4th)”アルバムには、この曲のACCU§ERバージョン収録されています。

|メタル度:★☆☆☆☆
|エレポプ度:★★★★☆
|EDM度:★★★☆☆
|ファスト度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 賛否両論 通好み 実験作

Repent|リペント

オリジナルアルバム – 4作目 (1992年)

フロントマンで中心人物でもあったエーベルハルド・ヴェイエルの脱退を機に、バンド体制だけでなく音楽性もヘヴィに一新された、新生ACCU§ERの第1弾アルバム。

いわゆるヘヴィグルーヴ…当時で言うところの“モダンヘヴィネス”に鞍替えしたことから、“転びスラッシュ”と否定的に見る向きもあります。
しかし、何ぶんこれ以前が個性においても出来栄えにおいても微妙なものでした。
そのため、一般的にはようやく独自のサウンドを人様にお出しできるレベルにまで高めたことで、おおむね好意的に評価されており、代表作としても認められています。

SEPULTURAの『Chaos A.D.』のリリースがこの翌年、その成功でグルーヴ・スラッシュ革命の旋風が巻き起こったこと考えると、それに先駆けたというだけでも、かなり先進的で意欲的なアプローチと言えます。

ただし、『Chaos A.D.』以降のグルーヴ・スラッシュとは異なり、あくまでもスラッシュメタルの延長線上のものとして作り出されたサウンドです。
ファストなスラッシュとヘヴィグルーヴ双方の利点が活きた、高品質なハイブリッド・メタルであり、PANTERAら先例の安易や模倣には陥っていませんし、十分にスラッシュメタルとして聴けるアルバムといえます。

すでにMETAKKICAやTESTAMENTなどが、80年代の早い段階でミッドテンポ/グルーヴ路線を展開していたとはいえ、独自のメソッドでこれだけハイレベルな作品を作り上げたことは、もっと評価されてしかるべきでしょう。

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルーヴ度:★★★★☆
|独自性:★★★★☆
|ファスト度:★★★☆☆
|テクニカル度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作

Reflections|リフレクション

オリジナルアルバム – 5作目 (1994年)

前作と同じく、90年代型にアップデートされたグルーヴ・スラッシュ路線ですが、いろいろと小さな失点が重なって、全体のグレードを引き下げる結果となっています。

音楽性の幅が狭まって、ファストパートを交えたテンポ・チェンジでの緩急や、アクセントになるようなテクニカルなツイストも減ったため、ひとつの曲としても全編通してでも変化に乏しく、今ひとつ冴えやキレがありません。

軸になるT-03やT-08といったあたりは佳曲ではありますがやや小ぶりで、キラーチューンには届きませんし、その他も。曲単体で見ればそれほど悪くないと感じられるものの、アルバム全体で見るとメリハリの無い平板な仕上がりとなっています。

|スラッシュ度:★★★☆☆
|グルーヴ度:★★★★☆
|独自性:★★★☆☆
|ファスト度:★★☆☆☆
|テクニカル度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤 実験作

Confusion / Romance|コンフュージョン/ロマンス

ミニアルバム:EP (1994年)

かのNINE INCH NAILSが、インダストリアル・メタルの新鋭として名を上げる以前の名曲『Head Like a Hole』と、映画『ブギーナイツ』のサントラにも収録された、英国のポップロック・バンドSNIFF ‘N’ THE TEARSのヒット曲『Driver’s Seat』のカバー曲を含むミニアルバム。

Taken by the Throat|テイクン・バイ・ザ・スロート

オリジナルアルバム – 6作目 (1995年)

一旦の解散を前にした、この時点でのラストアルバムとなる本作も、おおむね前作と変わらないグルーヴ・スラッシュ路線。

前作ほどではないにしても、彼らの持ち味であるテクニカルな小技や変則的なツイストなどの、小難しい要素を極力抑え込んで、頭を使わなくて済むフィジカルに直接的に響くストリート的サウンドを追求したはいいけれど、そちらのセンスが今ひとつで、なんとも煮え切らない仕上がりになってしまった…といった印象です。

それでも、前作よりはいくらかはこなれた仕上がりで、いくらかは工夫の跡も見受けられますが、前作の欠点の根本的な解消には全く届いていません。

これで幕引きとするには、あまりに締まりの無いアルバムですが、そういう結果になるのも致し方なしというところでしょう。

|スラッシュ度:★★★☆☆
|グルーヴ度:★★★★☆
|独自性:★★★☆☆
|ファスト度:★★☆☆☆
|テクニカル度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 スルメ盤 実験作

Agitation|アジテーション

オリジナルアルバム – 7作目 (2010年)

スラッシュ・リバイバル華やかなりし時期に、ビッグウェーヴに乗るべくリリースされた、ACCU§ER再結成アルバムの第1弾。

再結成組に対しては、往年のスピード・スラッシュ以外は求められていないのは承知しているけれど、現在のメタル/スラッシュのトレンドも押さえておきたい…といった気配が漂うアルバムで、オールドスクールなスラッシュメタルと、北欧型のネオ・スラッシュ=メロディック・デスラッシュ、その発展系でもあるメタルコアなどを織り交ぜて、現代的なサウンドに仕上げています。

というように、内包する要素こそ多いものの、組み合わせが単調な上に独自のカラーやアレンジが見られなければ軸になる決め曲もないため、あくまでも「無難に聴けて悪くはない」という程度であって印象に残る部分がありません。
ただし、解散前と比較すると曲は長過ぎずいくぶんコンパクトにまとめられており、ダレること無く聴きとおせます。

疾い曲が中心作で、メロディアスなギターソロも入っていればそれだけで満足…という向きにはいいかもしれませんが、それ以上を求めるリスナーには、あまり聴き応えを感じられず、物足りなさが残ります。

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルーヴ度:★★★☆☆
|独自性:★★★☆☆
|ファスト度:★★★★☆
|テクニカル度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

入門盤 賛否両論

Dependent Domination|デペンデント・ドミネーション

オリジナルアルバム – 8作目 (2011年)

全体の音づくりについては、前作のゼロ年代型スラッシュ・サウンドを踏襲しつつも、徹頭徹尾スピード・チューンに特化した方向へとブラッシュアップされたアルバム。

北欧型ネオスラッシュ的なリフワークを用いた曲も、オールドスクール風のアレンジが施されており、その面では露骨な借りモノ臭さはやや薄れています。

疾走感重視のオールド・スラッシュ・フリークには涙ものかもしれませんが、正直なところ楽曲はかなり一本調子で変化に乏しく、よほど聴き込まないと自分が何曲目を聴いているかわからなくなることさえあります。

言ってみれば、「聴いている間は心地よいけれど、後に何も残らないスラッシュ・アルバム」の典型例のひとつですが、そこさえ割り切ることができるならば、迷いがなさ過ぎるほどに思い切りよく振り切ったスピード・スラッシュを堪能できます。

|スラッシュ度:★★★★★
|グルーヴ度:★★☆☆☆
|独自性:★★☆☆☆
|ファスト度:★★★★★
|テクニカル度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆

入門盤

Diabolic|ディアボリック

オリジナルアルバム – 9作目 (2013年)

ほぼ前作を踏襲した上で、さらにアクセルを踏み込んだようなアルバムで、ほぼ頭から尻尾まで一時たりとも勢いが止まらない、まさにスピード・チューンのつるべ打ち状態。

しかし、復活後は抑え気味だった、かつての無意味な長尺傾向が頭をもたげており、実質的には前作と同じ曲数ながらランニングタイムは10分以上も長くなっています。そして予想どおり、それに見合うだけのアイデアや構成力を駆使した曲は提供できていません。
まるで、味は微妙なのにボリュームだけは凄まじい、ガチ盛りのラーメンや丼モノといった趣です。

再結成後の2作品が、一本調子でフックに欠けるとはいえスンナリと聴き通せたのは、ACCU§ERとしてはコンパクトな尺と比較的無駄のない構成による部分が大きかっただけに、こうなるとかなりの集中力と根気を要するようになり、途中からは極めてストレスフルな状況に陥ります。

再結成後では、世間的には好評を得ていると思しきアルバムですが、“疾いスラッシュ”に惹かれるビギナーであれば、まず前作“Dependent Domination(9th)”がら試してみることをオススメします。

|スラッシュ度:★★★★★
|グルーヴ度:★☆☆☆☆
|独自性:★★☆☆☆
|ファスト度:★★★★★
|テクニカル度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆

代表作 賛否両論 スルメ盤

The Forlorn Divide|ザ・フォーローン・ディヴァイド

オリジナルアルバム – 10作目 (2016年)

再結成後からの基本路線については、ここでも大きな軌道修正はありません。
しかし、スラッシュ・リバイバルが一息ついた時期だけあってか、勢い任せのスピード勝負だけのスタイルからは脱却しようという意志も、感じられるようになりました。
また、冗長すぎた前作の反省かどうかはともかく、曲が再びシェイプされているのも歓迎すべき傾向です。

ファスト・チューンのモダン・スラッシュを主体としつつも、テクニカルな展開やギターソロも織り込んで曲に変化をつけており、相変わらずキラーチューンに欠けるという弱みこそあるものの、最後まで飽きずに聴きとおせる爽快な1枚です。

|スラッシュ度:★★★★★
|グルーヴ度:★★☆☆☆
|独自性:★★★☆☆
|ファスト度:★★★★☆
|テクニカル度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 入門盤

The Mastery|ザ・ミザリィ

オリジナルアルバム – 11作目 (2018年)

基本路線は相変わらずで、前作と同様に比較的コンパクトな構成の、ファストなモダン・スラッシュによって大半を占められたアルバムです。

前作と比較するとややストレートな作風となっており、北欧デスラッシュ=ネオスラッシュの影響下にあるナンバーが目立つあたりが特徴といえますが、メロデス寄りの方ソレではなく、あくまでもストロング・スタイルに近い無骨なものです。

取り立てて特徴的な新機軸や要素の上乗せは見られず、手堅く無難にまとめ過ぎたキライはありますが、キラーチューンこそ見られ無いものの適度なアクセントとフックを効かせた曲が並んで、心地よく完聴することのできる安定感のある出来栄えです。

オールドスクールなリスナーはともかく、モダン・スラッシャーであれば多少なりとも引っかかるところのある1枚と言えるでしょう。

|スラッシュ度:★★★★★
|グルーヴ度:★★☆☆☆
|独自性:★★★☆☆
|ファスト度:★★★★★
|テクニカル度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

入門盤

Accuser|アキューザー

オリジナルアルバム – 12作目 (2020年)

「MATALLICAがスラッシュを続けていたらこんな音に…」というのは、メタル界隈で“MATALLICAインスパイア系”のスラッシュ作品を好意的に評価する際に、よく用いられる表現ですが、本作はまさにそれに当てはまるものと言えます。

MATALLICA、そしてTESTAMENTがACCU§ERサウンドに与えた影響については、ジェイムズ・ヘットフィールド+チャック・ビリー風ヴォーカル・スタイルや、過去作品を聴けば語るまでもなく明白です。

本作のサウンドも、“MATALLICA風”という意味ではデビュー最初期と共通するものですが、その時期に見られた、「MATALLICAのフレーズやリフワークをそのまま取り込んだ、雑で稚拙なアプローチ」とは全く異なり、一旦全てのエッセンスを咀嚼/消化した上で、自分たちのメソッドで再構築したもの。その意味では、最初期のMESHUGGAHに近いものとも言えます。

結果的に、MATALLICA風アプローチとの対比で、自分たちのカラーもこれまで以上にあぶり出されるという、副産物も生んでいますし、イロモノ的とはいえそのアプローチがハマったのか、総合的な出来栄えでは再結成後でもベストに近いものとなりました。
曲も引き続きコンパクトにまとまっており、またファスト一辺倒ではなく、ミッドテンポのグルーヴ・ナンバーやメロディアスな曲まで、多彩で飽きさせません。

一聴して非常にキャッチーでフック満載のアルバムと感じられるにも関わらず、見事なほどに後に何も残らないのはここ数作と変わらずですが、ここまでくるとそれもひとつの個性とも思えますし、「現在の空洞化したMATALLICAに対する皮肉」では?とまで勘ぐれてしまいます。

|スラッシュ度:★★★★☆
|グルーヴ度:★★★☆☆
|独自性:★★★☆☆
|ファスト度:★★★☆☆
|テクニカル度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
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