Contents
- 1METALLICAのによって腕ききベーシストを引き抜かれながらも、マイペースな活動の中で多彩な作風に挑戦しつつ、着実なレベルアップを遂げてきた実力派のスラッシュ/パワー・メタルバンド!!
- 1...1METALLICAのメンバーを輩出して有名に!?
- 1...2FLOTSAM AND JETSAMはスラッシュ?パワメタ!?
- 1...3FLOTSAM AND JETSAMの音楽性の変遷!?
- 1...4地道な活動と精力的なアルバム・リリースを続ける!?
- 1.1FLOTSAM AND JETSAM|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Doomsday for the Deceiver|ドゥームズデイ・フォー・ザ・デシーヴァー
- 1.1.2No Place for Disgrace|ノー・プレース・フォー・ディスグレース
- 1.1.3When the Storm Comes Down|ウェン・ザ・ストーム・カムズ・ダウン
- 1.1.4Cuatro|クアトロ
- 1.1.5Drift|ドリフト
- 1.1.6High|ハイ
- 1.1.7Unnatural Selection|アンナチュラル・セレクション
- 1.1.8My God|マイ・ゴッド
- 1.1.9Dreams of Death|ドリームス・オブ・デス
- 1.1.10The Cold|ザ・コールド
- 1.1.11Ugly Noise|アグリィ・ノイズ
- 1.1.12No Place for Disgrace 2014|ノー・プレース・フォー・ディスグレース 2014
- 1.1.13Flotsam and Jetsam|フロットサム・アンド・ジェットサム
- 1.1.14The End of Chaos|ジ・エンド・オブ・ケイオス
- Doomsday for the Deceiver|ドゥームズデイ・フォー・ザ・デシーヴァー
- No Place for Disgrace|ノー・プレース・フォー・ディスグレース
- When the Storm Comes Down|ウェン・ザ・ストーム・カムズ・ダウン
- Cuatro|クアトロ
- Drift|ドリフト
- High|ハイ
- Unnatural Selection|アンナチュラル・セレクション
- My God|マイ・ゴッド
- Dreams of Death|ドリームス・オブ・デス
- The Cold|ザ・コールド
- Ugly Noise|アグリィ・ノイズ
- No Place for Disgrace 2014|ノー・プレース・フォー・ディスグレース 2014
- Flotsam and Jetsam|フロットサム・アンド・ジェットサム
- The End of Chaos|ジ・エンド・オブ・ケイオス
METALLICAのによって腕ききベーシストを引き抜かれながらも、マイペースな活動の中で多彩な作風に挑戦しつつ、着実なレベルアップを遂げてきた実力派のスラッシュ/パワー・メタルバンド!!
FLOTSAM AND JETSAM(フロットサム・アンド・ジェットサム)は、アメリカ合衆国アリゾナ州出身のスラッシュメタル/パワーメタル・バンド。
METALLICAのメンバーを輩出して有名に!?
FLOTSAM AND JETSAMは、80年代の初頭より何度かバンド名を変えつつ活動を続けていましたが、FLOTSAM AND JETSAM名義でのデビュー1986年とやや遅く、スラッシュメタル・ムーヴメントにおいては、“第2世代”に属するグループとして振り分けられています。
一般には、クリフ・バートンの後任としてMETALLICAに加入したジェイソン・ニューステッドが、それ以前に在籍していたバンドとして知られており、それを理由としてスラッシュフリーク以外からも注目を集め、広く知られるようになりました。
FLOTSAM AND JETSAMの本拠地アリゾナはとりわけスラッシュメタルが盛んな土地ではありませんが、同時代にはSACRED REICH(セイクレッド・ライク)がおり、同様にスラッシュ第2世代のマイナー・メジャー・グループとしてシーンの活性化に貢献しました。
FLOTSAM AND JETSAMはスラッシュ?パワメタ!?
一般に、スラッシュメタルにカテゴライズされているFLOTSAM AND JETSAMですが、USスラッシュにはよく見られるパワーメタルに近いスタイルを特徴としていました。
また、その時期やアルバムによって、スラッシュ色とパワーメタル色のバランスに変化が見られ、スラッシュ色の強めな作品もあるものの、キャリア全体絵見るとパワーメタル寄りの作品が大半を占めています。
そのため、総括的に判断するなら、パワースラッシュ(スラッシーなパワーメタル)系のスタイルを基本として、マイナーチェンジを続けてきたバンドと考えるのが適切でしょう。
FLOTSAM AND JETSAMの音楽性の変遷!?
FLOTSAM AND JETSAMは、ややプログレ的なテクニカルで複雑な音楽性を志向する面が目につくものの、本来が明確な独自のスタイル完成させていたわけではなく、時流に合わせて何度となくに音楽性を変化させています。
デビューから90年代初期にかけては、スラッシュメタルに近いパワーメタルや、全盛期のMETALLICAを意識したようなパワーメタルを展開します。
90年代から00年代にかけては、グルーヴメタル/ニューメタル全盛期を反映して、それらを意識したミッドテンポ主体のヘヴィグルーヴなパワーメタルが中心となっていました。
それ以降は、NEVERMOREに代表されるようなダークパワーメタルや、スラッシュリバイバルの機運を反映した、ストレートでファストなパワーメタル/パワースラッシュという、原点回帰系のオールドスクールなスタイルが中心となっています。
このように、時期によって作風に変化が激しいため、リスナーの嗜好性によって評価に大きなブレがあり、人気も安定しませんが、どの時期も常に水準以上のクオリティは維持しています。
地道な活動と精力的なアルバム・リリースを続ける!?
技量的にも安定して作風も多彩で仕上がりもソツがない反面、突出した押し出しポイントも無ければこれといった名曲/名盤も持っていないなど、決め手に欠けるため器用貧乏という印象が強く、デビュー当初こそ注目を集めたものの、第一線で活躍したとも目覚ましいインパクトを残したとも言えません。
しかし、多くのスラッシュバンドが活動停止の道を選ぶ中、大きなブランクもなく地道に活動を続け、アルバムもコンスタントなリリースを続けており、作品数もアメリカン・バンドとしては比較的多作の部類に入ります。
なお、現在のオリジナルメンバーは、フロントマンのAKことエリック・ナッツソンと、2011年に復帰を果たした創設メンバーのケリー・デイビッド・スミス(Dr.)のみとなっています。
FLOTSAM AND JETSAM|DISCOGRAPHY
Doomsday for the Deceiver|ドゥームズデイ・フォー・ザ・デシーヴァー
オリジナルアルバム – 1作目 (1986年)
〈METALLICA〉に引き抜かれて名を挙げた、ジェイソン・ニューステッド在籍していた時期の唯一のアルバム。
音楽性は、ややテクニカルな面も見せるパワースラッシュ(パワーメタル寄りのスラッシュメタル)サウンドで、楽曲はファストチューンが大半を占めています。
楽曲に長尺傾向が見られるあたりを含め、〈METALLICA〉に通じる要素が端々に見え隠れしますが、後のアルバムで聴けるような直接的なインスパイア路線は意図的に避けているようです。
疾走曲が中心なので勢いで聴き通すことができるものの、趣向を凝らして手が込んでいるわりにはフックやメリハリを欠いているため、漫然と聴き流すだけに終わりがちな面は否めません。
ニューステッドのベースは、〈METALLICA〉時代が想像つかないほどに存在感を主張しており、それだけに、全体に練り込不足の印象を漂わせた仕上がりが少々惜しく感じられます。
|スピード:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|メロディ:★★☆☆☆
|インパクト:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
代表作 賛否両論
No Place for Disgrace|ノー・プレース・フォー・ディスグレース
オリジナルアルバム – 2作目 (1988年)
音楽性自体は、前作同様にパワーメタル寄りの印象が強めではあるものの、前作ほどには手の込んだ複雑な構成は持ち込んでおらず、いくぶんストレートな作風となりました。
曲の長さはおおむね5分オーバーといったところで、やや長尺気味の傾向は否めないものの、彼らのカタログ中では最もスラッシーな質感を持っており、純スラッシュメタルとしても聴ける数少ないFLOTSAM AND JETSAM作品と言ってもいいでしょう。
独自性は希薄ですし、キラーチューンと呼べるような曲も見られませんが、上々の楽曲アベレージとスラッシーな作風が相まって、スラッシャー人気の高さにおいては前作と双璧であり、“セップク・アルバム or ハラキリ・アルバム”と呼ばれて一応の代表作とされてます。
2014年のスラッシュリ・バイバル全盛期には、本作を丸ごと再録したリレコーディング・バージョンのアルバムまでもリリースされました。
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|メロディ:★★☆☆☆
|インパクト:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤
When the Storm Comes Down|ウェン・ザ・ストーム・カムズ・ダウン
オリジナルアルバム – 3作目 (1990年)
この持期までの〈METALLICA〉が展開していた、“テクニカル&ドラマティック&グルーヴィー”な作風へと明確に寄せてきたアルバムで、『Master of Puppets』や『…and Justice for All』あたりに近いフレーズがそこここに見られます。
〈METALLICA〉の大ブレイクを受け、ニューステッドの古巣という関係性をアピールすることで、話題性と売上に転化しようという意図は確実でしょうが、あくまで自分たちのカラーを織り込もうとしているあたりには、レーベルの意図に従わざるをえない彼らの不本意さも感じられます。
到底、高評価に直結するアプローチでもなければ、それに対するリアクションもかんばしくありませんが、スラッシュメタルの範疇で水準以上の出来には収まっているので、さほど独自性にこだわらないスラッシャーならば、それなりに楽しめることでしょう。
もっとも、彼らならではのトリッキーな展開には光るものがあるのは確かで、もっとテクニカルな変態性を極めていれば、〈MESHUGGAH〉に近い立ち位置に到達できた可能性もあります。
|スピード:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|メロディ:★★☆☆☆
|インパクト:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 実験作
Cuatro|クアトロ
オリジナルアルバム – 4作目 (1992年)
前作に引き続き、“METALLICAインスパイア”路線を追求して(させられて?)いるアルバム。
『ブラックアルバム』が世に出た後ということもあり、その作風も取り入れたグルーヴ・スラッシュ/ポスト・グランジ系ヘヴィロックのテイストが濃厚になっています。
今回はヴォーカルもジェイムス・ヘットフィールドを意識しており、「ん〜ニャッ!」とコブシを効かせたヘット節まで聴かせます。
〈METALLICA〉インスパイアがハナにつかなければ、前作同様にそれなりには楽しめる仕上がりなのですが、今回は彼ら本来の持ち味との食い合わせが良くないのか、全体的に消化不良気味で後半は息切れの印象も強まります。
また、〈PANTERA〉ブレイク以前ということで、ソレ系のグルーヴメタルには接近していないので、“インスパイアの渋滞”となる事態は避けられています。
|スピード:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|メロディ:★★☆☆☆
|インパクト:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Drift|ドリフト
オリジナルアルバム – 5作目 (1995年)
〈METALLICA〉がセレブ化して神通力を失ったこともあってか、そのインスパイア路線からは足を洗ってもっと広い意味でのヘヴィスラッシュを試みています。
〈PANTERA〉系のグルーヴメタルと言うよりも、もっとオーソドックスなヘヴィメタル/ハードロックに根ざした楽曲は時にグランジ風味も感じさせ、曲によっては〈ANNIHILATOR(アナイアレーター)〉の『KING OFTHE KILL』アルバムなどに近い感触もあります。
スラッシュにこだわらなければ、水準以上のアベレージの上質なヘヴィロックを楽しめるアルバムで、印象的なフレーズも時折聴けるものの、突出した楽曲を欠くためこれといった強烈な印象は残せていません。
|スピード:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|インパクト:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤 実験作
High|ハイ
オリジナルアルバム – 6作目 (1997年)
今作では、グルーヴメタルを意識したようなパワースラッシュ系の楽曲が目立ちますが、これが、“今更”な印象は拭えないとはいえ意外にも健闘しており、「悪くないかも?」と思える程度にはサマになっています。
楽曲面でキメ手に欠ける傾向は毎度のことながら、その中でもファスト・チューンのT-02,T-03については、フックも効いてなかなかの冴えを見せています。
アベレージ面でも及第点はクリア出来ていますし、疾走曲が上々の出来栄えで好印象ということもあって、オールド・スラッシャーでも思いのほか抵抗無く聴けるかもしれません。
なお、T-11は、〈MINISTRY(ミニストリー)〉のアル・ジュールゲンセンと、〈DEAD KENNEDYS(デッド・ケネディーズ)〉のジェロ・ビアフラが組んだ、インダストリア・ルメタル・ユニット〈LARD(ラード)〉のカバー。
曲力が桁違いのキラーチューンだけに致し方ないところとはいえアルバムが完全にこの1曲に喰われており、取り上げたのは痛し痒しでしょう。
|スピード:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|メロディ:★★☆☆☆
|インパクト:★★☆☆☆
|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤 実験作
Unnatural Selection|アンナチュラル・セレクション
オリジナルアルバム – 7作目 (1999年)
My God|マイ・ゴッド
オリジナルアルバム – 8作目 (2001年)
Dreams of Death|ドリームス・オブ・デス
オリジナルアルバム – 9作目 (2005年)
The Cold|ザ・コールド
オリジナルアルバム – 10作目 (2010年)
Ugly Noise|アグリィ・ノイズ
オリジナルアルバム – 11作目 (2012年)
No Place for Disgrace 2014|ノー・プレース・フォー・ディスグレース 2014
オリジナルアルバム – 12作目 (2014年)
Flotsam and Jetsam|フロットサム・アンド・ジェットサム
オリジナルアルバム – 13作目 (2016年)
スラッシュメタルというよりも、時に〈IRON MAIDEN〉あたりも思い起こさせるオールドスクールなヘヴィメタルにパワーメタルを展開。
〈JUDAI PREAST〉の『Painkiller』や〈RIOT〉の『Thundersteel』といった、名盤群と肩を並べる…とまではお世辞にも言えませんが、今時珍しいくらいの真っ当なメタルサウンドは微笑ましいほどです。
楽曲面で決め手を欠くウィークポイントは相変わらずですが、アルバム単位で見れば水準以上の仕上がりなので、オールドスクールなヘヴィメタルが好みなら十分に楽しめるでしょう。
|スピード:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|インパクト:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 実験作
The End of Chaos|ジ・エンド・オブ・ケイオス
オリジナルアルバム – 14作目 (2019年)
いくぶんスラッシーな感触が増したようにも思えますが、あくまでも基調となるのは前作を踏襲したストレートなパワーメタル路線。
毎度のように突出した楽曲は少なく、加えて楽曲が一本調子な傾向にあり、全体を通すとどうしてもメリハリを欠くという事実は否めません。
とはいえ、“スピードは七難隠す”といわれる通りで、疾走感のあるファストチューン中心がとなっているため勢いで持って行ってくれる面はあり、間延びすることもなく苦せずしてな聴き通すことができます。
|スピード:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|インパクト:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤