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★ HEAVENS GATE(ヘヴンズ・ゲート) ディスコグラフィー ★ このアルバムがスゴイ!?|メタル魂とオルタナマインドが交差する異色のジャーマンメロディクメタル!!…必聴アルバムは?

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野心的な異端児かブームが生んだ徒花か!?ジャーマンメロディックパーワーメタル期待の新鋭からファンキーなオルタナメタルへと変貌を遂げムーヴメント末期を駆け抜ける!!

HEAVENS GATEのディスコグラフィ/レビュー、おすすめアルバムだけをチェックしたい方は【記事下部】か【目次】のリンクからも移動できます!!

HEAVENS GATE(ヘヴンズ・ゲート)は、1990年前後に日本で人気を博したドイツのヘヴィメタル・バンド。

ジャーマンメタル・バブルの申し子!?

HEAVENS GATEは、80年代後半ジャーマン・パワーメタル(メロディック・パワーメタル)を中心としたジャーマンメタルムーヴメントの最中、続々と登場し第二世代バンドのひとつ。
ムーヴメントの中ではかなり後発のグループに属していますが、ジャーマンヘヴィメタル/パワーメタルの王道を行くメロディックなサウンドで注目を集めます。

特にジャーマンメタル・バブルと呼んでもいいほどの活性化で沸いていた日本では、パイオニア勢に続く後発組の中ではHELLOWEENやRAGEに続く期待の次世代バンドとして、BLIND GUARDIANらとともにファンの期待と人気を一身に集めていました。

短すぎた黄金時代!?

一時期は、それらのビッグネームと肩を並べるほどの存在となっていましたが、ファンクテイストも取り入れたアメリカンなスタイルへの音楽性の変化が保守的なファンに不評を買います。

同時に、ジャーマンメタル・ブーム自体がすでに収束をを迎えつつあったことも重なって、実力の衰えはなくキャリアのピークはこれからという時期だったにもかかわらず、急速に勢いを失ってゆきます。

また、当時の多くのジャーマンメタル・ラベルのグループと同様、日本でのブームに合わせて急ごしらえて売り出した“ビッグ・イン・ジャパン”だったため、来日公演でライヴ経験が伴わないことが露呈してマスコミの批判を浴びたことも、人気の低迷と凋落の速さに影響を及ぼしています。

解散後の活動/再結成は?

HEAVENS GATEは1999年まで活動を続けますが、初期の勢いと人気は取り戻せないままに、5枚のアルバムを残して解散となります。

解散後、サッシャ・ペイス(Gt.)とロバート・フーネケ=リッツォ(Ba.)は、イタリアのRHAPSODY OF FIRE(元RHAPSODY)や、そのメンバールカ・トゥリリのソロプロジェクトであるアメリカのKAMELOT、同郷のAVANTASIAなどに参加。ペイスは現在もAVANTASIAに在籍中です。

メタル人気の高まりで、オールドスクール・バンドの再結成ブームが続いた時期もありましたが、HEAVENS GATEとしての再結成/リユニオンは実現していません。

次ページはHEAVENS GATEのディスコグラフィ&レビューを紹介!!▼リンクはページ下!▼

HEAVENS GATE|DISCOGRAPHY

In Control|イン・コントロール

オリジナルアルバム – 1作目 (1989年)

パワーメタル水準のアグレッションを持ちながらも、曲調自体はHELLOWEEN型のジャーマンパワーよりもオーソドックスな初期ヘヴィメタルに近い作風。
といっても、古典的なUKスタイルやNWOBHMそのものではなく、それらを基にしてローカライズあれた80年最初期のUSヘヴィメタル/パワーメタルに、さらにジャーマン・チューニングを施したような印象です。

収録曲については、パワフル&スピーディーなT-06をのぞくと、大半がせいぜいが及第点に届くか届かないかというレベル。
特にアルバムの半数近をも占めるミッドチューンは、軒並み魅力の薄い凡曲ぞろいで頭数合わせ以上の役割を果たしておらず、アルバムの大きな弱点として足を引っ張っています。

後発バンドのデビュー作としては、シーンの中で存在感をアピールできるだけの独自性は見られず、勢いやインパクトにおいても純粋なクオリティにおいても残念ながら特筆できるレベルにはありません。

エピックメタル的な大仰さや過剰さはそれほど見られませんが、いつそれに傾いてもおかしくないくらいにはその片鱗が感じられます。

|パワメタ度:★★★☆☆
|オースク度:★★★★★
|アメリカ度:★★☆☆☆
|ヘヴィネス:★★☆☆☆
|スピード:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆

賛否両論 お布施

Livin’ in Hysteria|リヴィン・イン・ヒステリア

オリジナルアルバム – 2作目 (1991年)

日本で本格的にブレイクすることになったアルバムで、実質的な代表作とされています。

前作をブラッシュアップしたようなサウンドは、スタンダードなジャーマン・パワーメタルとは言いかねるものの、若干そのテイストは強めています。

その一方で、アメリカンなメタルテイストが一聴しただけでも明確に感じられるようになっており、グラムメタル的なポップなエッセンスを持つ曲も見られるなど、楽曲のバリエーションは思いのほか多彩です。

前作の弱点だったミッドチューンの出来栄えはいくらか向上していますが、それで看板を張れるほどではないので、数は抑えてあくまでもアクセント程度にとどめたのは好判断。
安定の目玉商品であるファストチューンを主体として仕上げたことで、結果的にアルバムとしてのクオリティは大きく向上しています。

|パワメタ度:★★★★☆
|オースク度:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤

Hell for Sale!|ヘル・フォー・セール!

オリジナルアルバム – 3作目 (1992年)

保守派メタラーの反感を煽るような変化球を織り交ぜてきたアルバムで、来日公演の不評ぶりと相まって一気に支持率を下げることになりました。

アメリカンテイストを交えつつも定番のパワー/スピードメタルチューンはしっかり押さえてあるのは前作同様ですが、曲によってはファンクやジャズのエッセンスを内包し、ホーンセクションを導入した曲や、QUEENを想起させるポップチューンなどまで見られます。

本筋のパワーメタルとしてのフレージングやリフワークには、ややテクニカルでツイストの効いた個性が見られるようになっており、作風としては同時期のHELLOWEENに通じるものがあります。
また、いかにもエピック的なジャケットに反して、現実の的社会的なテーマも取り上げるようになっています。

作風の変化に加えパワーメタルのキラーチューンを欠くという弱点もあり、メタラー界隈での低評価はやむを得ないところですが、アルバム単位でのアベレージは高いレベルを維持しており、前作に引けを取らない充実ぶりです。

ラストのT-12は、英国のコメディ集団モンティ・パイソンのエリック・アイドルのカバーで、映画『ライフ・オブ・ブライアン』のテーマ曲。

|パワメタ度:★★★☆☆
|オースク度:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★★☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 賛否両論 通好み 実験作

Planet E.|プラネット・イー

オリジナルアルバム – 4作目 (1996年)

ファンクテイストに加え、エクストリームメタル風のアプローチも見られるなど、前作同様に多様性を持ったメタルアルバムです。
ストレートなパワーメタル・ナンバーも独自のツイストがひと味加えられており、キラーチューンも満載。アルバムとしての完成度においても楽曲のアベレージにおいても、過去最高の出来栄えと言ってもいいでしょう。

ジャーマンメタルムーヴメントが収束した時期ということに加え、バンドの失速もあって、それほど話題になることもありませんでしたが、単なる類型的なB級パワメタというイメージを持って期待せずに聴くと、意外にもユニークなアプローチと完成度の高さに驚かされます。ナカナカの掘り出し物に出会えたと思える隠れた良作です。

|パワメタ度:★★★★☆
|オースク度:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★

殿堂入り 入門盤 通好み

Menergy|メナジー

オリジナルアルバム – 5作目 (1999年)

インターネットとサイバーテクノロジーが一応のアルバムトータルテーマとなっており、各曲の間に短いSE/インストを挟んだ構成のコンセプチュアルなアルバム。

楽曲の方向性に大きな変化はなく、クオリティも水準以上の良作ではありますが、アルバム通して聴くとSEが邪魔くさく感じられてしまうなどマイナス面が強くやや印象を落としています。

このあたりは、曲の頭に長いSEが挿入されるRIOTの隠れた名盤、“The Privilege of Power(7th)”にも通じるものですが、本作はSE自体が独立したトラックとなっているため、スキップできる分だけいくらか聴きやすいでしょう。

|パワメタ度:★★★☆☆
|オースク度:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★☆☆
|ヘヴィネス:★★★★☆
|スピード:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
次ページはライターが選ぶHEAVENS GATEのおすすめアルバムを紹介!!▼リンクはページ下!▼

HEAVENS GATEはコレを聴け!! ライターおすすめアルバム!

一般的に代表作とされているのは、唯一オーソドックスなジャーマンスタイルのメロディック・パワーメタルを聴かせる『Livin’ in Hysteria(2nd)』とされています。

HEAVENS GATEはここで瞬間的に盛り上がって、その後は坂道を転がるように失速したという印象がありますが、むしろこれ以降の方が、やや異色ながらユニークで完成度の高い作品を残しています。

ファンキーなアメリカン・オルタナティヴ・テイストがいけるなら、軽妙なユーモアとツイストの効いた曲が楽しめる、『Hell for Sale!(3rd)』は一聴の価値ありです。

しかし、様式美パワメタファンの好みからは外れるものの、よりヘヴィなサウンドとより幅広い楽曲、そしてキャリア中でもダントツの完成度を誇り、実質的な最高傑作と呼んで差し支えないのは、やはり『Planet E.(4th)』でしょう。

『Menergy(5th)』も、頻繁に入るSEが気にならなければ楽曲自体は上々なのですが、フィジカルではタマ数が少ないのが難点です。

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