Contents
- 1アメリカン・メタル・バンドながら欧州的メロディ満載のサウンドが日本で圧倒的な支持を得た“ビッグ・イン・ジャパン”は、度重なるメンバー・チェンジと本国での影の薄さにも負けずに時代をサバイヴ!!
- 1...1アメリカン・ヘヴィメタルのパイオニア!?
- 1...2アメリカでは異色のヨーロピアン・スタイル!?
- 1...3日本ではアイドルがカバーするほどの人気!?
- 1...4創設メンバーを失った出入りの激しいバンド!?
- 1...5アザラシ男『ジョニー』がトレードマーク!?
- 1.1RIOT|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Rock City|ロック・シティ:怒りの廃墟
- 1.1.2Narita|ナリタ
- 1.1.3Fire Down Under|ファイア・ダウン・アンダー:非常警戒
- 1.1.4Restless Breed|レストレス・ブリード
- 1.1.5Born in America|ボーン・イン・アメリカ
- 1.1.6Thundersteel|サンダースティール
- 1.1.7The Privilege of Power|ザ・プリヴィレイジ・オブ・パワー
- 1.1.8Nightbreaker|ナイトブレイカー
- 1.1.9The Brethren of the Long House|ザ・ブレスレン・オブ・ザ・ロング・ハウス
- 1.1.10Inishmore|イニッシュモア
- 1.1.11Sons of Society|サンズ・オブ・ソサエティ
- 1.1.12Through the Storm|スロウ・ザ・ストーム
- 1.1.13Army of One|アーミィ・オブ・ワン
- 1.1.14Immortal Soul|イモータル・ソウル
- 1.1.15Unleash the Fire|アンリーシュ・ザ・ファイア
- 1.1.16Armor of Light|アーマー・オブ・ライト
- 1.1RIOTはどれから聴けばいいの?ライターおすすめアルバム!
- 1.1.16.1定番:パワーメタル期のオススメは!?
- 1.1.16.2定番:初期ハードロック時代のオススメは!?
- 1.1.16.3ゼロ年代以降の人気作のオススメは!?
- 1.1.16.4通好みの逸品のオススメは!?
- Rock City|ロック・シティ:怒りの廃墟
- Narita|ナリタ
- Fire Down Under|ファイア・ダウン・アンダー:非常警戒
- Restless Breed|レストレス・ブリード
- Born in America|ボーン・イン・アメリカ
- Thundersteel|サンダースティール
- The Privilege of Power|ザ・プリヴィレイジ・オブ・パワー
- Nightbreaker|ナイトブレイカー
- The Brethren of the Long House|ザ・ブレスレン・オブ・ザ・ロング・ハウス
- Inishmore|イニッシュモア
- Sons of Society|サンズ・オブ・ソサエティ
- Through the Storm|スロウ・ザ・ストーム
- Army of One|アーミィ・オブ・ワン
- Immortal Soul|イモータル・ソウル
- Unleash the Fire|アンリーシュ・ザ・ファイア
- Armor of Light|アーマー・オブ・ライト
アメリカン・メタル・バンドながら欧州的メロディ満載のサウンドが日本で圧倒的な支持を得た“ビッグ・イン・ジャパン”は、度重なるメンバー・チェンジと本国での影の薄さにも負けずに時代をサバイヴ!!
RIOT(ライオット)は、アメリカ合衆国ニューヨークを拠点とするヘヴィメタル・グループ。
なお、現在はRIOT V(ライオット・ファイヴ)とバンド名を改めていますが、以前より人気の高い日本などでは、ほぼRIOTのまま通っており、本稿でも基本的にはRIOTと表記しています。
アメリカン・ヘヴィメタルのパイオニア!?
RIOTは、ギタリストのマーク・リアリ(Mark Reale)を中心に結成され、活動を続けているグループです。
70年代にはすでにアルバム・デビューを果たしており、アメリカにおけるヘヴィメタル・バンドとしては最古参に近いポジションにある、老舗グループのひとつとみなされています。
アメリカでは異色のヨーロピアン・スタイル!?
RIOTのデビューは、ヘヴィメタル発祥の地イギリスにおいても、まだそのスタンダードが確立される以前であり、当初の音楽性は、ロックンロールをベースとしたアメリカン・ハードロックを主体とものでした。
その中に、欧州的な憂いを感じる叙情性を織り交ぜる作風が、RIOTの大きな持ち味となっていました。
またRIOTは、デビュー当時から“プロト・ヘヴィメタル”呼べそうな楽曲も見せており、これがアメリカン・ヘヴィメタルのパイオニアと目される理由にもなっています。
80年代のアメリカンメタル・バブルの時期も、メインストリームのグラムメタル/ポップメタルとは一線を画した活動をつづけており、ヨーロピアン・テイストを持った独自のアメリカン・ヘヴィメタル/パワーメタルを完成させています。
音楽性は、ハードロックとヘヴィメタル/パワーメタルの間を行き来する時期が続きますが、現在は黄金期のパワーメタル路線に近いサウンドを展開しており、米国シーンを代表するトラディショナなルヘヴィメタル・バンドとして世界中で認められています。
日本ではアイドルがカバーするほどの人気!?
RIOTは、そのサウンドが俗に言う「日本人の琴線に触れる」特に日本人受けの良いものだったことから、日本では早期から注目を集めていました。
それを象徴するエピソードとしては、1stアルバム収録の代表曲Warrior(ウォリアー)は、当時のアイドル歌手五十嵐夕紀によってカバーされたトピックが挙げられます、その際は独自に日本語詩が当てられ、タイトルも「バイ・バイ・ボーイ」と改められていました。
バンドもまた、日本をメイン・マーケットのひとつに定めてゆくこととなり、一時期はアルバムも日本先行リリースが常態化していました。
そのため、いわゆる“ビッグ・イン・ジャパン”の代表的存在として、揶揄の対象となることもありましたが、日本国内では磐石な人気を確立していました。
創設メンバーを失った出入りの激しいバンド!?
RIOTは、フロントマンを含めたメンバーの出入りが激しいグループであり、創設からのおオリジナルメンバーは80年代からはすでにマーク・リアリ唯1人を残すのみとなっていました。
このバンド体質ことが災いして、活動が不安定な傾向も見られましたが、根強いファンに支えられて、大きなブランクの無い活動とアルバムリリースを続けてきました。
2012年には、その中心人物マーク・リアリを病で失ったことでによって活動停止となりますが、翌年には、パワーメタル期を支えたドン・バン・ステイヴァーンを主軸に新メンバーを加え、名義もRIOT V (ライオット・ファイブ)と改め活動再開。
現在に至るまで、コンスタントな活動を続けています。
アザラシ男『ジョニー』がトレードマーク!?
デビュー以来RIOTは、アルバムのジャケットにアザラシの頭に人間の体という、アザラシ人間のキャラクター『ジョニー』をモチーフとして登場させていることで知られており、そのユーモラスなキャラクターは、あふれる存在感で見る者に強烈なインパクトを残し続けています。
これによってRIOTのアルバムは、いわゆる“バカジャケ”, “ダサジャケ”の代表例にも何度となく選出されていますし、また、時代性を考えるならば、この『ジョニー』は“元祖ゆるキャラ”と呼べる存在とも言えます。
アルバム・アートワークへの『ジョニー』の登場は5作目まで続きますが、それ以降はイメージチェンジを狙ったためか、長らく登場しない時期が続いていました。
しかし、RIOT V体制となった2015年リリースの通算15柵目の“Unleash the Fire”で、『ジョニー』が久々にジャケットアートへの復活を果たしており、それ以降はイメージ・キャラクターとして積極的に推されるようにもなっています。
RIOT|DISCOGRAPHY
Rock City|ロック・シティ:怒りの廃墟
オリジナルアルバム 1作目 – (1977年)
デビューアルバムとなる本作は、一般には、日本のアイドルにもカバーされて名曲と名高い哀愁のファスト・チューン、T-01『Warrior』を収録していることでも知られています。
この曲はRIOT史に残るキラーチューンなのですが、本作の時点での基本的な音楽性は、欧州テイストも取り入れつつも、アメリカン・ハードロックを基調としたサウンドであり、実のところこのT-01『Warrior』は、アルバムでは例外的ともいえる異色曲でした。
しかし、このアルバムの価値の80%はこの曲にあると言っていいほどで、SCORPIONSや RAINBOW、あるいはSWEETのSet Me Freeなどと並んで、ヘヴィメタルが確立させる以前にスピードメタル/パワーメタルのプロトタイプを提示した、歴史的重要曲と言っても過言ではないでしょう。
このT-01『Warrior』は、今後のRIOTの方向性を示唆し、彼らがヘヴィメタルバンドとして現在まで活動を続ける原動力にもなったと考えられ、バンドにとっても重要な楽曲と言えます。
そのため、この曲や後年のパワーメタル/メロディック・ハードを聴いたリスナーが、それを期待して本作を手にすると、肩透かしとなる可能性は否めません、
ついでに、T-06“Tokyo Rose”は特に日本がテーマなわけではありません。よくある『香港〇〇』とか『上海〇〇』くらいのノリと考えたほうがいいでしょう。
メロディ:★★★☆☆|アメリカ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 通好み スルメ盤
Narita|ナリタ
オリジナルアルバム 2作目 – (1979年)
基本的な作風については、おおむね前作を踏襲したものですが、ここではあらゆる面で1段階も2段階もレベルアップ/グレードアップした、見事な仕上がりを見せています。
前作収録の名曲『Warrior』に比肩するほどの、突出したインパクトを持つキラーチューンこそ見当たらないものの、佳曲も多く全体的に楽曲クオリティが底上げされて名曲頼りの作風から脱却したため、アベレージは大きく向上しています。
中でも、ヘヴィメタルのインスト・ナンバーを代表する1曲として欠かせない、タイトルトラックT-05“Narita”、アメリカン・ヘヴィメタルの原型でもあるロッキンなT-10“Road Racin’ ”などは、その『Warrior』に続く初期の名曲として人気の高いナンバーです。
アルバムとT-05のタイトルは、その名のとおり日本の玄関口『成田空港』のイメージしたもの…ではなく、成田空港建設をめぐる“推進派の利権団体”Vs“地域住民を中心とした反対派”の、血で血を洗う泥沼の闘争をテーマにした、まさにRIOT(暴動)の名にふさわしい反権力魂を感じさせるものです。
なお、T-04“Born to Be Wild”は、おなじみSTEPPENWOLFの名曲のカバー。
|パワー度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|メロディ:★★★★☆
|アメリカ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Fire Down Under|ファイア・ダウン・アンダー:非常警戒
オリジナルアルバム 3作目 – (1981年)
ブルーズなどルーツロック色を残しつつも、より硬質なサウンドでアップテンポが中心にスピート・チューンも交えた作風となっており、本格的にRIOT流のヘヴィメタル確立にされたアルバムと言っていいでしょう。
前の2作のような圧倒的なアンセム曲を欠くという弱みはあるものの、スピート・チューンのT-02とT-09はいずれも完成度の高いプロト・スピードメタルで“らしさ”を全開にしてきていますし、その他の曲もさらに完成度を上げてきており、アベレージの高さでもトップクラスに位置する充実作です。
ここから5thまでの3枚は市場から姿を消していた時期が長く、そのため知名度は大きく低下していましたが、長年隠れた名盤として通好みなマニアから高い支持を得てきた、ファン必携の1枚です。
|パワー度:★★★☆☆
|スピード:★★★★☆
|メロディ:★★★★☆
|アメリカ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Restless Breed|レストレス・ブリード
オリジナルアルバム 4作目 – (1982年)
音づくり自体は、前作にも増してヘヴィ&メタリックな、メタルそのもののサウンド傾向を強めたものとなっています。
しかし、アメリカ市場を意識してか、ファストチューンはT-10を残して姿を消して、ミッドテンポ主体となっており、大陸的とも言えそうなアメリカン・メタル・テイストが強化され、T-06などは(これはオージーですが)AC/DCをも思わせる作風です。
一方で、T-04やT-06などは、IRON MAIDENを想起させる曲で、当時真っ最中のNWOBHMをも視野に入れていることがうかがえます。
決してクオリティが低いわけではなく、軽くボーダー超えは達成しているのですが、彼らの持ち味が十二分に発揮されているとは言えませんし、アメリカンな作風を強めたことでファンからは賛否両論という一面があることも確かです。
しかし、アザラシ男“ジョニー”の素顔?が確認できるアルバムとして、重要な1枚というのもまた事実です。
|スピード:★★☆☆☆
|パワー度:★★★★☆
|メロディ:★★★★☆
|アメリカ度:★★★★★☆
|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤
Born in America|ボーン・イン・アメリカ
オリジナルアルバム 5作目 – (1983年)
前作に続いて…もしくはそれにも増して、アメリカンなヘヴィメタル・テイストが濃厚な、ミッドテンポを主体としたアルバム。
とはいえ、産業ロック寄りの軽薄なポップメタルではなく、TWISTED SISTERや後のW.A.S.P.あたりに近い骨太なサウンドで、どうやっても能天気になれない暗さが漂っているあたりは、RIOTならではと言えます。
本作もまた、アメリカンなスタイルを強まったと同時にヨーロピアン・テイストが希薄になったこともあって、従来のファンからの評判はあまりかんばしいものとは言えません、
しかし、ヘヴィメタリックな質感は過去最高で、前作よりもダークな雰囲気を纏ったサウンドとなっているので、ファストチューンの少ないアメリカン・スタイルに抵抗のないメタルファンなら十分に楽しめることでしょう。
|パワー度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|メロディ:★★☆☆☆
|アメリカ度:★★★★★
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
Thundersteel|サンダースティール
オリジナルアルバム 6作目 – (1988年)
レット・フォリスターに代わって、ハイトーンのトニー・ムーアをヴォーカルに据えたアルバム。
ヘヴィメタルのスタンダードが、オールドスクールなものからパワーメタルに近いものへと移り変わっていた時流を背景に、RIOTもまたパワーメタルへと大きな変化を遂げました。
パワーメタルといっても、ジャーマン系の過剰なメロディ/ポップネスを上乗せしたものや、のちの北欧系のようなネオクラシカル/ゴシック風のデコレーションに頼ったものとは異なります。
あくまでも、オーソドックスなストロング・スタイルのパワーメタルで、80年代らしく、時にスラッシーなリフワークも織り交ぜたアグレッシヴなサウンドです。
かといって、イメージされがちなパワー&スピード全振りのスタイルというわけでもなく、実際はかなり多彩な楽曲が並んだバラエティ豊かなアルバムに仕上がっています。
いずれにせよ、70年代からのベテランによるパワーメタル・アプローチとしては、JUDAS PREASTのPAINKILLERにも匹敵する1枚として、後世に語り継がれる名盤と言えます。
ベテランRIOTが、ここに来てカタログ中でもトップを争う作品をドロップし、第二の黄金期を迎えたのは絶頂期を迎えたのは喜ぶべきことですが、なまじ歴史的名盤/代表作として絶大な支持を得たがために、これ以降はバンドもファンも、今後はこのアルバムの幻影とも戦い続ける事態になります。
|パワー度:★★★★★
|スピード:★★★★★
|メロディ:★★★☆☆
|アメリカ度:★★☆☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
The Privilege of Power|ザ・プリヴィレイジ・オブ・パワー
オリジナルアルバム 7作目 – (1990年)
前作を踏襲しつつ、さらなる高みを目指したアルバムながら、長年にわたって過小評価を受けている不遇のアルバム。
ところが、実の所はパワフルなパワー/スピード・メタルとしての完成度では前作に匹敵し、楽曲も多様性もやはり前作に負けず劣らずで、そのいずれもがハイクオリティ。
アルバムとしての総合力では、“名盤Thundersteel”を凌駕しようかという出来栄えです。
にもかかわらず不評な原因は明白で、主にふたつの要因が災いしたものです。
ひとつは、ファンクバンドTOWER OF POWERの参加による、ファンキーなホーン・セクションやファンクテイストの曲、スクラッチ風のSEまでもを加えるという意表をついた試み。
もうひとつは、全ての曲の冒頭に長めのSE挿入される構成によって、スムーズな流れを妨げていること。
これらが原因で、保守的なメタルファンの反感を集めることになってしまいました。
しかし、近年の「Thundersteel回帰路線」が足元にも及ばない高みにある本作のこと、耳さえ曇っていなければ、その出来栄えの素晴らしさは聴き紛いようもなく、心あるリスナーは常に高い評価を与えきており、近年ではようやく再評価も進んできました。
|パワー度:★★★★★
|スピード:★★★★★
|メロディ:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★★+
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Privilege of Power ライオット ライオット・ファイブ
Nightbreaker|ナイトブレイカー
オリジナルアルバム 8作目 – (1993年)
またまた、ヴォーカルストの交代が行われており、本作からは新ヴォーカリストとしてマイク・ディメオ(Mike DiMeo)が加入しています。
音楽性は、直近2作に近い方向性ではありますが、アグレッシヴなパワーメタルはやや鳴りを潜め、オーソドックスなヘヴィメタル/ハードロックの比重が増しています。
また、ディメオの資質もあってか、より叙情性のあるエモーションを押し出すようになっており、ややオーガニックな質感も増しています。
及第点はクリアして佳曲も収録されたアルバムですが、やや楽曲の焼き増し感が強まってきたことや、出来不出来の波が荒いことから、さすがに名盤の直近2作には及ぶべくもない仕上がりです。
DEEP PURPLEの“Burn”T-03と、Procol HarumのT-09“青い影”という、2曲の名曲カバーも唐突で、あまりにも浮いた印象があります。
ここからは、米国ヘヴィメタル・ブームの衰退の煽りもあって、日本先行リリースが常態化するなど、“ビッグ・イン・ジャパン”化がさらに加速。
また、初期のDTP/CGデザインによる、今となっては…というより、当時のセンスでも稚拙過ぎるアートワークが原因で、たびたびジャケットが差し替えられていることもあり、何かと印象が薄いアルバムという立ち位置になっています。
|パワー度:★★☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論
The Brethren of the Long House|ザ・ブレスレン・オブ・ザ・ロング・ハウス
オリジナルアルバム 9作目 – (1995年)
映画『ダンス・ウィズ・ウルブズ』にインスパイアされたといわれる、ネイティヴ・アメリカン=インディアンの歴史をテーマとした、コンセプト・アルバム。
アメリカにおいてはナイーブなテーマながらも、作品としては比較的好意的に受け止められているようです。
ここでは、ややメタリックな質感とエッジはさらに控えめになり、いつにも増してブリティッシュ・ハードロックの匂いを漂わせたサウンドで、パワーメタルとも呼び難い作風となっています。
そのため、これまでの定番だった、即効性のある高揚感を持ったスピード・チューンを欠くという弱味はあるものの、多様性に富んだ楽曲自体はおおむね高水準で、それぞれ魅力的な仕上がりを見せています。
T-03などで時折見せる変則的でテクニカルな展開も良いアクセントになっていますし、バラードのT-04も、メタルバンドのバラード曲にありがちなノルマ的な無意味なルーチン曲には陥っていません。
ベースが前面に出たことで生まれている独自のグルーヴも心地よく、落ち着いた作風と好みの分かれる音質に抵抗がなければ、一聴の価値ありの充実作と言えます。
本作もカバー曲を収録しており、今回のT-07“Out In The Fields”は、アイルランドのギターヒーロー、ゲイリー・ムーアの名曲で、大国に迫害されるという意味で本作に合わせた選曲とされています。
|パワー度:★★★☆☆
|スピード:★★★☆☆
|メロディ:★★★★☆
|アメリカ度:★☆☆☆☆
|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Inishmore|イニッシュモア
オリジナルアルバム 10作目 – (1997年)
民族テーマを取り上げたのアルバムの第二弾。
前作のカバー曲にゲイリー・ムーアを取り上げた流れか、今回はムーアの祖国アイルランドにスポットを当てています。
本作では、再びスピーディーなパワーメタル・ナンバーが増えていますが、そのサウンドは、名作“Thundersteel(6th)”や、“The Privilege of Power(7th)”あたりの路線とは、やや異なるものです。
そのパワー・メタル・ナンバーは、パワー重視の米国系/ドイツ系に近いスタイルから、北欧メロスピ系へと接近したようにも感じられるもので、初期に見られた、メロディック・ハードロックのファスト・チューンを、そのままパワーメタル化したような印象もあります。
前作、前々作と、やや大人し目な印象のアルバムが続いたために、物足りなさを感じていたリスナーでも、満足感を得られるかもしれない、比較的アグレッシヴなパワーメタル色の強いアルバムです。
|パワー度:★★☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Sons of Society|サンズ・オブ・ソサエティ
オリジナルアルバム 11作目 – (1999年)
ターニングポイントとなった名盤、“Thundersteel”を意識したパワーメタル・チューンが増え、黄金期への回帰を狙ったアルバム。これ以降はそれを意図した作風のアルバムを中心にリリースしてゆくとなります。
パワーメタル・チューンに及第点以上の魅力がありますが、それとても全盛期には及ばす、全体的にアベレージは低めです。
|スピード:★★★★☆
|パワー度:★★★☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論
SONS OF SOCIETY ライオット ライオット・ファイブ
Through the Storm|スロウ・ザ・ストーム
オリジナルアルバム 12作目 – (2002年)
Through the Storm ライオット ライオット・ファイブ
Army of One|アーミィ・オブ・ワン
オリジナルアルバム 13作目 – (2006年)
Immortal Soul|イモータル・ソウル
オリジナルアルバム 14作目 – (2011年)
多くのリスナーが求めるヨーロピアンなパワーメタルスタイルで手堅く仕上げたアルバム。ファストチューンも多く勢いで聴き通せますが、熱量と満足度は黄金期に及ぶべくもありません。
それでも同系統のバンドの水準を上回るレベルではありますし、ましてこれが初RIOTとなる新規リスナーなら印象も大きく変わるはずなので、オールドファンと新規ファンで評価が分かれるかもしれません。
|パワー度:★★☆☆☆
|スピード:★★☆☆☆
|メロディ:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論
Unleash the Fire|アンリーシュ・ザ・ファイア
オリジナルアルバム 15作目 – (2014年)
Armor of Light|アーマー・オブ・ライト
オリジナルアルバム 16作目 – (2018年)
アーマー・オブ・ライト(初回限定盤)/CD/GQCS-90576
RIOTはどれから聴けばいいの?ライターおすすめアルバム!
RIOTは時期によって音楽性が変わるので、メロディック様式美系に多い「適当にどれを選んでOK」というセオリーは当てはまりません。
基本的に初期は、ブルーズ, ロックンロールなどがルーツの、アメリカン・ハードロックがベースとなっているため、アメリカンなエッセンスが色濃くメタル色は薄め。後期になるほどに、メタル色とヨーロピアンテイストが強まってゆきます。
定番:パワーメタル期のオススメは!?
現代にも通じるパワーメタル路線なら、RIOTの最高傑作と名高い人気アルバム『Thundersteel(6th)』でトドメをさします。後年のパワーメタル路線は、全てこのアルバムのコピーとさえ言われています。
忘れられがちな『The Privilege of Power(7th)』も見逃せません。
曲頭の眺めのSEが気になるものの、楽曲は『Thundersteel(6th)』を上回ろうかという粒ぞろいで、これもまた、パワーメタルの名盤と言えます。
定番:初期ハードロック時代のオススメは!?
ハードロック時代のオススメなら、彼らのキャリアでも一二を争う代表曲でメタル史に残る名曲を含む代表作『Rock City(1st)』と、やはり代表曲を含み総合力では(1st)を上回る『Narita(2nd)』、その陰に隠れがちですが初期の名盤と名高い『Fire Down Under(3rd)』。
この初期3作はどれも要チェックの必聴盤ですが、パワーメタル路線に慣れたメタルファンは、ファストチューンが充実の『Fire Down Under(3rd)』が入りやすいでしょう。
ゼロ年代以降の人気作のオススメは!?
新し目のアルバムでは、トニー・ムーアが復帰した『Immortal Soul(14th)』や、RIOT V体制で2作目の『Armor of Light(16th)』あたりが、『Thundersteel(6th)』の再来として人気です。
現代的なメロパワ要素が強まったことでオールドファンには賛否両論ですが、新しいリスナーの入り口にはいいかもしれません。
通好みの逸品のオススメは!?
変化球としては、オーガニックなハードロック的なサウンドと音質で評価が割れがちな『The Brethren of the Long House(9th)』は、派手さはないものの完成度ではトップを狙える、通好みの隠れた名盤です。
また、ミッドテンポ主体のアメリカン・メタル路線が一般には不評の、『Restless Breed(4th)』と『Born in America(5th)』も、骨太な大陸型ヘヴィサウンドがイケる口なら押さえておきたい、これまた通好みな逸品です。