- アメリカンヘヴィメタルながら欧州的メロディ満載のサウンドが日本で圧倒的な支持を持つ“ビッグ・イン・ジャパン”グループは、度重なるメンバーチェンジと本国での影の薄さにも負けずに時代をサバイヴし続ける!!
- RIOT|DISCOGRAPHY
- Rock City|ロック・シティ
- Narita|ナリタ
- Fire Down Under|ファイア・ダウン・アンダー
- Restless Breed|レストレス・ブリード
- Born in America|ボーン・イン・アメリカ
- Thundersteel|サンダースティール
- The Privilege of Power|ザ・プリヴィレイジ・オブ・パワー
- Nightbreaker|ナイトブレイーカー
- The Brethren of the Long House|ザ・ブレスレン・オブ・ザ・ロング・ハウス
- Inishmore|イニッシュモア
- Sons of Society|サンズ・オブ・ソサエティ
- Through the Storm|スロウ・ザ・ストーム
- Army of One|アーミィ・オブ・ワン
- Immortal Soul|イモータル・ソウル
- Unleash the Fire|アンリーシュ・ザ・ファイア
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アメリカンヘヴィメタルながら欧州的メロディ満載のサウンドが日本で圧倒的な支持を持つ“ビッグ・イン・ジャパン”グループは、度重なるメンバーチェンジと本国での影の薄さにも負けずに時代をサバイヴし続ける!!
RIOT(ライオット)ギタリストのマーク・リアリ(Mark Reale)を中心に70年代から活動を続ける、アメリカでも老舗の部類に入るヘヴィメタルバンドで、ジャケットに描かれたマスコットキャラクターのアザラシ人間『ジョニー』の強烈な存在感でも有名です。
本来はロックンロールベースのアメリカンハードロックですが欧州的な憂いを感じる叙情性が持ち味で、80年代にもメインストリームのグラムメタル/ポップメタルとは一線を画した活動をつづけ、独自のヨーロピアンテイストのヘヴィメタルを完成させます。
日本人好みのサウンドから特に日本国内で早くから注目を集めていた、いわゆる“ビッグ・イン・ジャパン”の代表的存在でもあり、代表曲Warrior(ウォリアー)は日本のアイドル歌手にもカバーされてそれなりにヒットしたほどでした。
のちにパワーメタルスタイルへとサウンドを強化させて、米国シーンを代表するトラディショナルヘヴィメタル
バンドとなりますが、フロントマンを含めたメンバーの出入りが激しいグループでだったことがわざわいいしてバンドが不安定ではあるものの、根強いファンに支えられ大きなブランクの無い活動とアルバムリリースを続けてきました。
2012年には中心人物マーク・リアリを病で失ったことで活動停止となりますが、翌年には新メンバーを加えてRIOT V (ライオット・ファイブ)と改め活動再開しコンスタントな活動をつづけています。
RIOT|DISCOGRAPHY
Rock City|ロック・シティ
オリジナルアルバム 1作目 – (1977年)
欧州テイストも取り入れつつも基本となるのはアメリカンハードロックであって、実のところ名曲Warriorはこのアルバムでは例外的な異色曲。しかし、このアルバムの価値の80%はこの曲にあると言っていいほどで、SWEETのSet Me Freeなどと並んでヘヴィメタルが確立される以前にスピードメタル/パワーメタルの原型を提示した歴史的重要曲であり、彼らがヘヴィメタルバンドとして現在まで活動をつ受ける原動力にもなっているバンドにとっての重要曲でもあります。
メロディ:★★★☆☆|アメリカ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 通好み スルメ盤
Narita|ナリタ
オリジナルアルバム 2作目 – (1979年)
基本的な作風は前作を踏襲したものですが、あらゆる面で1段階も2段階もレベルアップした仕上がりとなっています。
前作のWarriorほどの突出したインパクトを持つ楽曲こそ見当たらないものの、ヘヴィメタルのインストナンバーを代表する名曲のタイトルトラックT-05や、アメリカンヘヴィメタルの原型でもあるロッキンなT-10などはそのWarriorに続く名曲として人気の高いナンバーです。
タイトルは日本の玄関口『成田空港』のイメージしたもの……ではなく、成田空港建設をめぐる推進派の利権団体と地域住民を中心とした反対派の血で血を洗う泥沼の闘争、いわゆる『三里塚闘争』をテーマにした、まさにRIOT(暴動)の名にふさわしいもの。
メロディ:★★★★☆|アメリカ度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Fire Down Under|ファイア・ダウン・アンダー
オリジナルアルバム 3作目 – (1981年)
ブルーズなどルーツロック色を残しつつもより硬質なサウンドになり、RIOT流のヘヴィメタルを確立させたアルバムで、全2作のようなアンセム曲を欠くものの、ファストナンバーが半数を占める“らしさ全開”の作風と折り紙付きのアベレージの高さを持つ充実作。ここから5thまでの3枚は市場から姿を消していた時期が長く知名度は低いものの、長年隠れた名盤として通好みなマニアから高い指示を得てきたファン必携の1枚です。
メロディ:★★★★☆|アメリカ度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Restless Breed|レストレス・ブリード
オリジナルアルバム 4作目 – (1982年)
彼らの初期の持ち味だったアメリカンテイストを煮詰めたような作風で、いかにもアメリカンロックな大陸的な曲が目立つため好みが分かれます。決してクオリティはが低いわけではありませんが残念ながら持ち味が十分に発揮されているとは言えません。しかし、アザラシ男“ジョニー”の素顔?が確認できる重要なアルバムではあります。
メロディ:★★★★☆|アメリカ度:★★★★★☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤
Born in America|ボーン・イン・アメリカ
オリジナルアルバム 5作目 – (1983年)
引き続きアメリカンな作風ながら、ヘヴィメタルテイストは前作よりも濃くなっています。ただし、ヨーロピアンスタイルのそれではなく、オジーのソロやTWISTED SISTER, W.A.S.P.などのUSメタルバンドが聴かせるようなポップにアメリカナイズされたものなので、前作同様に多数のRIOTファンには不評です。
メロディ:★★☆☆☆|アメリカ度:★★★★★|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤
Thundersteel|サンダースティール
オリジナルアルバム 6作目 – (1988年)
パワフルなハイトーンのマーク・リアリを迎えたアルバムで、過剰なメロディ/エモーションやネネオクラシカル/ゴシック風のデコレーションに頼らないストロングスタイルのパワーメルとしては、JUDAS PREASTのPAINKILLERなどにも匹敵する名盤。ただし、イメージされがちなパワー&スピード一本やりというわけでもなく、実際は比較的多様性を持った作風でもあります。
RIOTのキャリア黄金期にあたりカタログ中でもトップを争うほどの代表作となっただけに、これ以降はこのアルバムの幻影と戦い続けることになります。
メロディ:★★★☆☆|アメリカ度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
The Privilege of Power|ザ・プリヴィレイジ・オブ・パワー
オリジナルアルバム 7作目 – (1990年)
前作を踏襲した高水準なアルバムながら、長年にわたって過小評価を受けているアルバム。その原因は、ファンキーなホーンセクションを加えるという意表をついた試みと、毎度のように長めのSEが曲の初めに入る構成が災いしたものです。しかし、その実パワフルなパワー/スピードメタルとしての完成度では前作に匹敵し、楽曲も多様性に富んで高クオリティ。のちのThundersteel回帰路線が足元にも及ばないレベルにあります。近年ではそれが周知されるようになり、再評価も進んできました。
メロディ:★★★☆☆|アメリカ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み 実験作
Nightbreaker|ナイトブレイーカー
オリジナルアルバム 8作目 – (1993年)
過去2作に近い路線ではありますが、アグレッシヴなパワーメタルやや鳴りを潜めオーソドックスなヘヴィメタル/ハードロックに接近しています。本作から加入した新ヴォーカリストマイク・ディメオ(Mike DiMeo)の資質からか、より叙情性のあるエモーションを押し出したややオーガニックな質感も増しています。
ここから日本先行発売が常態化するなど、“ビッグ・イン・ジャパン”化がさらに加速しますし、初期のDTP/CGデザインによる残念すぎるアートワークが原因で、たびたびジャケットが差し替えられていることもあってか何かと印象が薄いアルバムです。
メロディ:★★★☆☆|アメリカ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
入門盤 賛否両論
The Brethren of the Long House|ザ・ブレスレン・オブ・ザ・ロング・ハウス
オリジナルアルバム 9作目 – (1995年)
ネイティヴアメリカン=インディアンの歴史をテーマにしたコンセプトアルバム。テーマはナイーブなものながら比較的好意的に受け止められているようです。
メタリックな質感とエッジはさらに控えめになり、いつにも増してブリティッシュハードロックの匂いを漂わせたサウンドになりました。即効性のある高揚感を持ったパワーメタルナンバーを欠くという弱味はあるものの、多様性に富んだ楽曲自体は比較的高水準なので、落ち着いた作風に抵抗がなければ一聴の価値ありです。
メロディ:★★★★☆|アメリカ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Inishmore|イニッシュモア
オリジナルアルバム 10作目 – (1997年)
民族テーマ路線第二弾で、今回はアイルランドにスポットを当てています。スピーディーなパワーメタルナンバーが増えましたが、Thundersteel路線というよりは初期のメロディックハードロック曲をパワーメタル化したような作風で、印象としてはパワー重視の米国系/ドイツ系に近いスタイルから北欧メロスピ系に接近したようにも感じされます。前作、前々作が大人しくなりすぎで物足りなかったリスナーにとっても比較的満足度の高いアルバムと言っていいでしょう。
メロディ:★★★☆☆|アメリカ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Sons of Society|サンズ・オブ・ソサエティ
オリジナルアルバム 11作目 – (1999年)
Thundersteelを意識したパワーメタルナンバーが増えた黄金期への回帰を狙ったアルバムで、これ以降はそれを意図した作風が中心となります。パワーメタルナンバーは水準以上の魅力を持っていますがアベレージはやや低め。
メロディ:★★★☆☆|アメリカ度:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
入門盤 賛否両論
Through the Storm|スロウ・ザ・ストーム
オリジナルアルバム 12作目 – (2002年)
Army of One|アーミィ・オブ・ワン
オリジナルアルバム 13作目 – (2006年)
Immortal Soul|イモータル・ソウル
オリジナルアルバム 14作目 – (2011年)
多くのリスナーが求めるヨーロピアンなパワーメタルスタイルで手堅く仕上げたアルバム。ファストチューンも多く勢いで聴き通せますが、熱量と満足度は黄金期に及ぶべくもありません。それでも同系統のバンドの水準を上回るレベルではありますし、ましてこれが初RIOTとなる新規リスナーなら印象も大きく変わるはずなので、オールドファンと新規ファンで評価が分かれるかもしれません。
メロディ:★★★☆☆|アメリカ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論
Unleash the Fire|アンリーシュ・ザ・ファイア
オリジナルアルバム 15作目 – (2014年)
Armor of Light|アーマー・オブ・ライト
オリジナルアルバム 16作目 – (2018年)
◎ RIOTはどれから聴けばいいの?ライターおすすめアルバム!
RIOTは時期によって音楽性が変わるので、メロディック様式美系に多い「適当にどれを選んでOK」というセオリーは当てはまりません。基本的に初期はアメリカンハードロックのエッセンスが色濃く、後期になるほどヨーロッパ的になっていきます。
現代にも通じるパワーメタル路線なら、RIOTの最高傑作と名高い“Thundersteel(6th)”でトドメをさしますが、“The Privilege of Power(7th)”も頭のSEが気になるものの同路線で粒ぞろいのアルバムです。
ハードロック時代なら、彼らのキャリアでも一二を争いメタル史にも残る名曲を含む代表作“Rock City(1st)”と、やはり代表曲を含み総合力では上回る“Narita(2nd)”、その陰に隠れがちですが初期の名盤と名高い“Fire Down Under(3rd)”はどれも要チェックですが、新しいメタルファンには“Fire Down Under”が入りやすいでしょう。