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- 1体・技ともにまさにフィンランドのイングヴェイたるティモ・トルキ率いる、90年代北欧メロディックメタルシーンをリードしたパワーメタルバンドは、血で血を洗う内紛の末に名前だけはそのままにほぼ別のバンドへ変貌を遂げた!!
- 1.1STRATOVARIUS|DISCOGRAPHY
- 1.1.1Fright Night|フライト・ナイト
- 1.1.2Twilight Time (Stratovarius II)|トワイライト・タイム
- 1.1.3Dreamspace|ドリームスペース
- 1.1.4Fourth Dimension|フォース・ディメンション
- 1.1.5Episode|エピソード
- 1.1.6Visions|ヴィジョンズ
- 1.1.7Destiny|デスティニー
- 1.1.8Infinite|インフィニット
- 1.1.9Elements Pt. 1|エレメンツ・パート1
- 1.1.10Elements Pt. 2|エレメンツ・パート2
- 1.1.11Stratovarius|ストラトヴァリウス
- 1.1.12Polaris|ポラリス
- 1.1.13Elysium|エリジウム
- 1.1.14Nemesis|ネメシス
- 1.1.15Eternal|エターナル
体・技ともにまさにフィンランドのイングヴェイたるティモ・トルキ率いる、90年代北欧メロディックメタルシーンをリードしたパワーメタルバンドは、血で血を洗う内紛の末に名前だけはそのままにほぼ別のバンドへ変貌を遂げた!!
STRATOVARIUS(ストラトヴァリウス)は、国を挙げてヘヴィメタル産業を推進するすることで知名度を上げた、フィンランドを代表するメロディックパワー/スピードメタルバンド。
80年代の初期から中期にかけて、スウェーデンのEUROPE, SILVER MOUNTAIN, CANDLEMASS、ノルウェーのTNT、デンマークのPRETTY MAIDSやKING DIAMOND/MERCYFUL FATEといったグループによって、北欧メタル(ノルディックメタル/スカンジナビアンメタルとも)シーンの基礎が形成されました。
1990年前後になると、北欧シーンもデスメタル, ブラックメタルなどのエクストリームメタルが幅をきかせるようになっていきますが、STRATOVARIUSはそれと時期を同じくして、80年代にEUROPEやSILVER MOUNTAINなどによって確立された、オールドスクールな北欧メタルを同時代的なスタイルを受け継いだ音楽性を追求していきます。
北欧メタルの特徴される、クールな哀愁を感じさせるメロディにネオクラシカルテイストを持ったサウンドと、HELLOWEEN以降のキャッチーなジャーマンスタイルのパワーメタルサウンドを融合させ、メロディアスでクラシカルテイストを持ったパワーメタル/スピードメタルを展開し、それ以降の欧州シンフォニック系ヘヴィメタルブームの先陣を切ったグループとなりました。
90年台の後半には、専任ヴォーカリストのティモ・コルペトや、RAGE, MEKONG DELTAなどジャーマンシーンを中心に様々なバンドに参加して“渡り鳥ドラマー”とも呼ばれた、ヨルグ・マイケルらを含む、キャリア黄金期のメンバーがそろいます。
のちに、同郷のNIGHTWISHやSONATA ARCTICAといった新世代メロディックメタルバンドがブレイクしたこともあり、そのパイオニアでもあるSTRATOVARIUSもまた、それまで以上の支持を獲得してゆきます。
しかしSTRATOVARIUSの内情は、デビュー当時からの中核的存在であるティモ・トルキのワンマンバンドに近いもので、トルキ本来の癖の強い性格もあって円満な状態とはいえないようでしたが、トルキが精神を病んだことからさらに状況が悪化しバンドの状況はさらに悪化してゆき分裂状態となり、解散という形でトルキ時代の終焉を迎えます。
その後、トルキを除くメンバーでSTRATOVARIUSを再始動させ、現在まで活動は継続中。トルキはいくつものプロジェクトで活動しており、現時点では本人名義のほかAVALONなどがアクティヴなバンドとして動いています。
STRATOVARIUS|DISCOGRAPHY
Fright Night|フライト・ナイト
オリジナルアルバム – 1作目 (1989年)
今となっては彼らのカタログ中でも異色といえる荒削りなパワー/スピードメタルで、ティモ・トルキによるヴォーカルもヘタウマに近いラフなもの。メロディアスである以上にアグレッシヴでパワフルな作風が魅力なサウンドは、NWOBHMや初期のジャーマンパワーメタルに通じるB級臭さやマイナー臭さが漂うものですが、のちの無難なメロディックメタルサウンドにはない魅力があります。
STRATOVARIUSのメロディアス&シンフォニックな軟弱様式美サウンドというイメージを避けて、聴かず嫌いしているリスナーにこそ聴いて欲しい初期衝動型メロディックメタルアルバムです。
叙情メロ度:★★☆☆☆|多 様 性:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作
Twilight Time (Stratovarius II)|トワイライト・タイム
オリジナルアルバム – 2作目 (1992年)
STRATOVARIUSがブレイクするきっかけとなったアルバム。当初は“Stratovarius II”のタイトルで、フィンランドのみでリリースされていましたが、のちにタイトルとアートワークを改めたものが各国でリリースされます。
本作の魅力は何と言ってもキラーチューンのT-02『The Hands of Time』の存在につきます。EUROPEの名曲『The Final Countdown』を思い起こさせる(ある意味焼き直しともいえる)この曲は、日本のメタルメディアで大プッシュされたこともあって、日本未発売ながらヒットチューンとして彼らの名を知らしめ、本作は輸入盤店の目玉商品となります。
前作と比較すると、いくぶんメロディ重視でシンフォニックな作風となり、プログレ風の長尺曲やドゥーミィともいえるダークなナンバーなど楽曲の幅も広がりました。T-02あってのアルバムという印象は拭えませんが、どれも及第点には仕上がっています。
叙情メロ度:★★★★☆|多 様 性:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤
Dreamspace|ドリームスペース
オリジナルアルバム – 3作目 (1994年)
トルキがヴォーカルをとった最後のアルバムとなる本作は、収録曲数が過去作品との比較で50%増のボリュームとなりました。
このロングタイムをもたせるには力及ばなかったようで、T-01, T-06, T-13のように水準に達したの曲もあるものの、全体的には見所のない凡庸な捨て曲があふれてかえっています。前作の『The Hands of Time』ほどのキラーチューンを欠いているのも痛手です。
のちの大容量時代を迎えても10曲前後に抑えらてていることからも、本作では本人達の力量を超える多すぎる収録時間を持て余していたことは確実でしょう。
叙情メロ度:★★★☆☆|多 様 性:★★★☆☆|総合評価:★★☆☆☆
賛否両論 スルメ盤
Fourth Dimension|フォース・ディメンション
オリジナルアルバム – 4作目 (1995年)
前作から大きな成長を遂げて、のちのシンフォニックスピードメタルに継承される本格的なスタイルが確立されたアルバム。本作から専任ヴォーカリストとしてティモ・コルペトを迎えています。
本作は、大仰なシンフォ装飾の度が過ぎないパワー/スピードメタルアルバムであり、シンフォ様式路線とストレートなパワー/スピードメタル路線のどちらを好むかで微妙に評価が分かれますが、楽曲単位でもアルバムオリエンテッドな視点でも、STRATOVARIUSのカタログ中では最高傑作と呼ぶに値する充実度を誇る一枚です。
近年では、知名度が高まった時期の“Visions(6th)”が代表作たる名盤とされがちですが、クリエイティヴィティについては本作ががピークと言っていいでしょう。実際、この楽曲の手札はほぼここで切り尽くしており、ここから先のパワー/スピードメタルナンバーは本作からの焼き直しが中心となります。
叙情メロ度:★★★★☆|多 様 性:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門
Episode|エピソード
オリジナルアルバム – 5作目 (1996年)
T-01, T-05んどのパワフルなスピードチューンについては、これまでに通りマンネリになりそうでならない安定の仕上がりでなかなかに魅力的。それ以外の大半はミッド〜スローチューン都なっているものの、前作とは打って変わって肝心のクオリティがイマイチで、なんともパッとしない仕上がりです。
当然のように全体的に勢いを欠いて、楽曲の多様性が増しているわりには途中で退屈することも多く、一枚通して聴き通すのはややつらいアルバムです。
叙情メロ度:★★★☆☆|多 様 性:★★★★☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Visions|ヴィジョンズ
オリジナルアルバム – 6作目 (1997年)
ジャーマンメタルシーンの大御所ヨルグ・マイケルが加入したことで、バンドの総合力はパワーアップ。それもあって00年代以降では代表作とされることの多いアルバムです。
ただし、それは主にドラマティックでエピカルな大仰さを持った、メロディアスなシンフォニック/ネオクラシカル系メタルとしての評価に限ります。アグレッシヴなパワーメタル/スピードメタルとしては、とうてい好意的に評価できるものではありません。
どちらに重点を置くかによって評価の変動はあるかもしれませんが、ベストに挙げられるほどのアルバムかどうかは甚だ疑問です。
叙情メロ度:★★★☆☆|多 様 性:★★★☆☆|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤 賛否両
Destiny|デスティニー
オリジナルアルバム – 7作目 (1998年)
Infinite|インフィニット
オリジナルアルバム – 8作目 (2000年)
Elements Pt. 1|エレメンツ・パート1
オリジナルアルバム – 9作目 (2003年)
Elements Pt. 2|エレメンツ・パート2
オリジナルアルバム – 10作目 (2003年)
Stratovarius|ストラトヴァリウス
オリジナルアルバム – 11作目 (2005年)
Polaris|ポラリス
オリジナルアルバム – 12作目 (2009年)
Elysium|エリジウム
オリジナルアルバム – 13作目 (2011年)
Nemesis|ネメシス
オリジナルアルバム – 14作目 (2013年)
Eternal|エターナル
オリジナルアルバム – 15作目 (2015年)