Contents
- 1デスメタルに禁じ手とされたメロディを大胆に導入してシーンに革命を起こし、保守メタラーの意識にまでカタストロフを起こしたエクストリームメタルの重要ジャンル!
- 1.1スタイル - メロディック・デスメタルとは?
- 1.2背景 - メロディック・デスメタルはなぜ登場した?
- 1.3歴史 - メロディック・デスメタルの登場!そのパイオニアは?
- 1.4歴史 - メロディック・デスメタルのメジャー化!
- 1.4.1世界にはばたく北欧メロディック・デスメタル!
- 2メロディック・デスメタルのスタイルは?
- 2.1メロディ導入方法の違いによるスタイル分類
- 2.1.1基本はストレートなデスメタルで、部分的なギターソロやメロディパートでここぞとばかりに泣きまくるタイプ。
- 2.1.2メロリフ/エモリフを中心にした曲の組み立て攻めるタイプ
- 2.1.3メロディアスな曲も含む様々なスタイルで勝負する雑食タイプ。
- 2.2ベースとなるサウンドの違いによるスタイル分類
- 2.2.1オーソドックスデスメタル
- 2.2.2デスラッシュ
- 2.2.3メロディアスなゴシックメタルをに通じるスタイル
- 2.2.4従来のヘヴィメタルやハードロック
- 3メロディック・デスメタルバンドの代表的バンド紹介
- 3.1メロディック・デスメタルバンド - 第1世代
- 3.1.1EDGE OF SANITY|エッジ・オブ・サニティ [スウェーデン]
- 3.1.2AT THE GATES|アット・ザ・ゲイツ [スウェーデン]
- 3.1.3DARK TRANQUILLITY|ダーク・トランキュリティ [スウェーデン]
- 3.1.4DESULTORY|ディサルトリィ [スウェーデン]
- 3.1.5CEREMONIAL OATH|セレモニアル・オース [スウェーデン]
- 3.1.6UNANIMATED|アンナニメイテッド [スウェーデン]
- 3.1.7DEATH|デス [アメリカ]
- 3.1.8CYNIC|シニック [アメリカ]
- 3.1.9CARCASS|カーカス [イギリス]
- 3.1メロディック・デスメタルバンド - 第2世代 以降
- 3.1.1CROWN OF THORNS|クラウン・オブ・ソーンズ
- 3.1.2IN FLAMES|イン・フレムス [スウェーデン]
- 3.1.3ARCH ENEMY|アーチエネミィ [スウェーデン]
- 3.1.4SOILWORK|ソイルワーク [スウェーデン]
- 3.1.5CHILDREN OF BODOM|チルドレン・オブ・ボドム [フィンランド]
- 3.1.6KATAKLYSM|カタクリズム [アメリカ]
- 3.2メロデスに触発されたオールドスクールバンド
- 3.2.1DISMEMBER|ディスメンバー [スウェーデン]
- 3.2.2HYPOCRISY|ヒポクリシィ [スウェーデン]
- 3.2.3VITAL REMAINS|ヴァイタル・リメインズ [アメリカ]
- 3.1ゴシック系メロディック・デスメタル 系
- 3.1.1TIAMAT|ティアマト [スウェーデン]
- 3.1.2THERION|セリオン [スウェーデン]
- 3.1.3AMORPHIS|アモーフィス [フィンランド]
- 3.1.4SENTENCED|センテンスド [フィンランド]
- 3.2メロディック・ブラックメタル 系
- 3.2.1DISSECTION|ディセクション [スウェーデン]
- 3.2.2NAGLFAR|ナグルファー [スウェーデン]
- 3.2.3DIMMU BORGIR|ディム・ボガー [ノルウェイ]
- 3.2.4CRADLE OF FILTH|クレイドル・オブ・フィルス [イギリス]
デスメタルに禁じ手とされたメロディを大胆に導入してシーンに革命を起こし、保守メタラーの意識にまでカタストロフを起こしたエクストリームメタルの重要ジャンル!
スタイル – メロディック・デスメタルとは?
メロディック・デスメタル(以下メロデス)とは、その名の通りメロディ要素の強いデスメタルのこと。
実は、デスメタルへのメロディ導入自体はメロディック・デスメタルの登場以前から行われていましたが、それとは明確に異なるレベルで、メロディーのフィーチャー度が大幅に強化され、サウンドにおけるその重要性がアップしています。
メロディ導入のスタイルとしては、
②…メロディアスなフレーズをリフ化するなど基本のリフ自体にメロディを織り込んだもの。
③…もともとメロディラインを持った楽曲にデスヴォーカルを乗せたもの。
…などバンドによって異なりますが、いずれにしてもそれ以前のメロディを意識したデスメタルのスタイルから叙情性,耽美性,エモーションを大幅に強化し、メロディを前面に押し出した作風の曲構成というスタイルを実現している点で共通しています。
これは、頑なにアンチデスメタルのスタンスをとり、「メロディーのない音楽なんかゴミ」,「メロディアスなデスメタルを作れるものなら作ってみろ!(笑)」とコケにしていた、様式美至上主義の保守メタラーにカタストロフが起きた瞬間です。これは保守メタラーの固定観念を半笑でくつがえす爽快なものでした。
これにより、硬直化しつつあったデスメタルシーンに大きな風穴を開けてポストデスメタルの最右翼におどり出し、さらにはこれ以降同様のアプローチを行うバンドも増殖して、北欧シーンを中心に一大勢力に成長します。
背景 – メロディック・デスメタルはなぜ登場した?
デスメタルはもともとスラッシュメタルの分派/サブジャンルのひとつとして生まれたもの。
「攻撃性」「疾走感」「重量感」といった、ヘヴィメタル本来の個性を追求して生まれたスラッシュメタルが、さらにパワーアップ・デフォルメを重ねた究極進化系がデスメタルです。
より速く、より重く、より激しく、より複雑に、より凶暴に、より狂的に、より変態的に。
こういったデスメタルの基本的方法論によるエクストリーム進化の流れは、デスメタルが注目を浴びるようになる90年代前半の時点でほぼ完成系にたどり着き、オーソドックスなデスメタルのスタイルは行き詰まり、せいぜいが短距離走の記録更新レベルで手数とスピードを微妙に増していく程度になっていました。
本来、ヘヴィメタルの進化実験的な試みという側面もあったデスメタルシーンですから、先鋭的な感性と姿勢を保つバンドも多く、それらはある時期を境に新機軸を模索するポストデスメタル的展開へとシフトしていきます。
そこからいくつかの分派が生まれ、それぞれの方向で新機軸を追求することになりますが、それがドゥームメタルでありゴシックメタルでありプログレッシヴデスメタルであり、そしてメロディック・デスメタルだったというわけです。
歴史 – メロディック・デスメタルの登場!そのパイオニアは?
前記の通り、メロディを取り入れたバンドは元来メロディ/耽美志向の強い北欧シーンを中心にメロデス登場以前から存在しており、メロディック・デスメタルというカテゴライズが完成するまでは、日本では耽美派デスメタル・メロディ派デスメタルなどとよばれていました。
プログレ的な作風の中でメロディ導入を試みていた初期のEDGE OF SANITY(エッジ・オブ・サニティ),AT THE GATES(アット・ザ・ゲイツ),AMORPHIS(アモーフィス)THERION(セリオン)、耽美的な要素を追求しておりのちにゴシックメタルに移行するTIAMAT(ティアマト)やSENTENCED(センテンスド)がその代表格です。
ただしそれらは多く場合、作品に耽美性を与えるためのSEやギターソロ,局所的なフレーズなど、ささやかで部分的なメロディー導入にとどまっていました。
そこに、過去のスタイルとは全く異なる独自の本格的にメロディ主体に据えたスタイルを確立させて、ムーヴメントの口火を切ったのがDARK TRANQUILLITY(ダーク・トランキュリティ)、まさにメロディック・デスメタルのスタンダードとなるサウンドの基礎を作り上げました。
それと並行して、前記のバンドたちもメロディを大幅強化した独自のスタイルを確立、ほぼ同時期に独自のメロディック路線を完成していたDESOULTORY(ディサルトリィ)、DARK TRANQUILLITYに倣った弟分IN FLAMES(イン・フレムス)などもそこに加わります。
また、メロディの導入はポストデスメタルの流れとして同時発生的に各地で起こっており、米国ではDEATH(デス)やCYNIC(シニック)、英国ではCARCASS(カーカス)などがメロディを追求した作品を生み出し、メロディック・デスメタルのパイオニアに数えられるようになります。
歴史 – メロディック・デスメタルのメジャー化!
90年代中盤になると、日本のマスコミも新たなマーケットとしてメロディック・デスメタルをバックアップするようになったことで、ジャンルが認知されて高い支持を得るアーティストも続々と登場しメロデス戦国時代に突入します。
ここに至ってメロディックデスメタルは、保守的な一般メタルファンも無視できない存在となります。
それに合わせて、ARCH ENEMY(アーチエネミィ),SOILWORK(ソイルワーク),CHILDREN OF BODOM(チルドレン・オブ・ボドム)など、目利きのマニア層の手垢の付いていない新世代グループも登場し、新規リスナーにとっての同時代的バンドとして支持を集めるようになります。
さらには、DISSECTION(ディセクション),CRADLE OB FILTH(クレイドル・オブ・フィルス),NAGLFAR(ナグルファー),DIMMU BORGIR(ディム・ボガー)らメロディック/シンフォニックブラックメタルもそこに参入して、初期のメロディックなエクストリームメタルシーンを活性化させていきます。
これらの動きによってメロディック・デスメタル/メロディック・デスラッシュは次第にシェアを伸ばし、サブジャンルの枠を超えてヘヴィメタルの主流ジャンルのひとつとして大きな存在に成長したのです。
世界にはばたく北欧メロディック・デスメタル!
00年代に入るとアメリカのメタルコアシーンで、AT THE GATESなどスウェーデンのヨーテボリ(イエテボリ)系メロディック・デスメタルのスタイルを導入する流れが生まれます。
これにより、IN FLAMES,SOILWORK,ARCH ENEMYらの北欧メロディック・デスメタルも、米国を中心に世界的に認められる音楽となり、その独創的サウンドが世界中に伝播してゆきます。
また北欧のメロディック・デスメタルシーンでも、逆輸入的にメタルコアスタイルを導入するバンドまでが現れるようになります。