- ドライヴィンベースが唸る!USスラッシュシーンで最多作品数を誇るヘヴィでパンキッシュなニューヨークスラッシュメタル!
- OVERKILL|DISCOGRAPHY
- Feel the Fire|フィール・ザ・ファイア
- Taking Over|テイキング・オーバー
- !!!Fuck You!!!|ファック・ユー
- Under the Influence|アンダー・ザ・インフルエンス
- The Years of Decay|ザ・イヤー・オブ・ディケイ
- Horrorscope|ホラースコープ
- I Hear Black|アイ・ヒアー・ブラック
- W.F.O.|ダブリュー・エイチ・オー
- The Killing Kind|ザ・キリング・カインド
- From The Underground And Below|フロム・ザ・アンダーグラウンド・アンド・ビロウ
- Necroshine|ネクロシャイン
- Coverkill|カヴァーキル
- Bloodletting|ブラッドレッティング
- Killbox 13|キルボックス 13
- ReliXIV|レリックスIV
- Immortalis|インモータルズ
- Ironbound|アイアンバウンド
- The Electric Age|ザ・エレクトリック・エイジ
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ドライヴィンベースが唸る!USスラッシュシーンで最多作品数を誇るヘヴィでパンキッシュなニューヨークスラッシュメタル!
OVERKILL(オーヴァーキル)はANTHRAX(アンスラックス)と並んでニューヨークスラッシュシーンを代表するバンドで、やはり同郷であるMANOWAR(マノウォー)と同じく、当初はNYパンク/ハードコアバンドとして活動していたメンバーによって結成された変わり種です。
ヘヴィメタル/ハードロックとパンク/ハードコアをバックグラウンドに持って双方に精通し、ドライヴするベースを中心に据えた適度にポップで猪突猛進になりすぎない、ニューヨーク的な狂気とクールネスを持ち合わせた個性的なサウンドで独自のポジションを築いています。
彼らも多くのスラッシュメタルグループ同様に、NWOBHM(ニューウェイヴ・オブ・ブリティッシュヘヴィメタル)から影響を受けていますが、彼らのバックボーンは、さらにJUDAS PREAST(ジューダス・プリースト)やMOTORHEAD(モーターヘッド)らの初期ヘヴィメタルや、70年代のハードロック/ヘヴィロックにまでさかのぼります。
また完全に消化しきって血肉に変えているため直接的にサウンドに反映させることはあまりありませんが、パンク/ハードコアは彼らにとって重要な存在であり、時折カバーソングでリスペクトを示しています。
しかし、OVERKILLにとって特に強い影響を感じさせるのは何といってもBLACK SABBATH(ブラック・サバス)の存在で、そのためグランジやグルーヴメタルのメジャー浮上以前から“SABBATHインスパイア”的なドゥーミーなヘヴィロックテイストも導入しており、元祖グルーヴスラッシュも呼ぶことも可能な存在です。
スラッシュメタルムーヴメントの黎明期から現在に至るまで休まずコンスタントな活動を続けており、USスラッシュメタルシーンでも最多クラスの作品数を誇るハードワーカーとしても知られ、ピーク時は年に1枚ペースでのアルバムリリースを続けていました。
OVERKILL|DISCOGRAPHY
Feel the Fire|フィール・ザ・ファイア
オリジナルアルバム 1作目 (1985年)
基本的には、同じニューヨーク出身のANTHRAXをはじめとした初期のUSスラッシュメタルに多く見られた、パワーメタル/スピードメタル寄りのサウンドですが、それらの中でもハイテンションなスピード感では群を抜いたもの。
この時期はNWOBHMや初期ヘヴィメタルからの影響がダイレクトに現れており、ヘヴィメタル的な構築美を持った練られた楽曲にパンク/ハードコア由来の荒々しい初期衝動と突進力が加わったことで、一聴するとオールドスクールのようでありながらその枠を突き抜けた新世代のヘヴィメタルを作り上げています。
曲によっては、やはり同郷のMANOWARの初期サウンドを、よりスピーディ&アグレッシヴにエクストリーム化したような印象も受けるものもあります。
代表作 入門盤 通好み スルメ盤
Taking Over|テイキング・オーバー
オリジナルアルバム 2作目 (1987年)
基本的には前作の延長線上にあるものですが、トルクフルなヘヴィネスも増してリフもスラッシーなものとなり、オールドスクールヘヴィメタルの形式に則ったパワーメタル/スピードメタルからはさらに大きく逸脱しつつある作風です。NWOBHMの影響を残した楽曲では初期のMATALLICAを思わせるアプローチも見せています。
全体的にはアグレッションが増してはいますが、パンキッシュな荒々しさは後退してより構成力がアップした作り込まれた作風になっているので、前作の“破れかぶれ感”にしびれた初期衝動重視のリスナーにはやや物足りないかもしれません。しかし、ここでは従来のヘヴィメタル様式の枠からに止まらないOVERKILL流のスラッシュメタルがひとつの完成を見せており、初期のキャリアを代表するアルバムであることは間違いありません。
代表作 入門盤 通好み スルメ盤
!!!Fuck You!!!|ファック・ユー
ミニアルバム (1987年)
殿堂入り 代表作 入門盤
Under the Influence|アンダー・ザ・インフルエンス
オリジナルアルバム 3作目 (1988年)
サウンドは前作で完成されたスラッシュメタルスタイルなのですが、曲調自体は70年代ロックの影響を前面に押し出したことでハードロックと呼んでもいいほどです。
前作でやや控えめになったと思われた突進力やスピードはさらに抑えられ、むしろヘヴィネスを重視したミドルテンポよりさらに遅めの楽曲が中心ですが、楽曲展開には工夫が凝らされており、スラッシュメタルのミッド〜スローテンポ路線にありがちな、メリハリに欠けて単調に流れていくような愚はおかしていません。
過去作を踏襲したファストサウンドを待っていたリスナーはやや煮え切らない思いをしたかもしれませんが、速さにこだわらずじっくりと聴き込めるリスナーならば、粒ぞろいの楽曲を十分楽しめるアルバムです。
通好み スルメ盤 実験作
The Years of Decay|ザ・イヤー・オブ・ディケイ
オリジナルアルバム 4作目 (1989年)
前作から一転して立ち上がりから突進曲を連発され、再びスピーディーなファストナンバーを主体とした作風に戻ったかと思えば、T-05のようにBLACK SABBATHの影響が濃い10分近いナンバーも収録していますし、T-06などは疾走曲ながらサウンドメイクをには後のPANTERAに思わせるような部分もあります、やはり長編のT-07は展開に第2期METALLICAを思わせる部分があるだけでなく、ブラックアルバムに先駆けたような印象さえ感じさせます。
8分越えが3曲と長尺傾向にありやや間延びが気になるところですが、ここでは楽曲がバリエーションに富んでいて大作でも比較的よく練られているので、充実度が高くバランスの良いアルバムではありますし、何気に同時代性を超えて時代に先駆けた部分も見られる興味深い作品でもあります。
代表作 入門盤 実験作
Horrorscope|ホラースコープ
オリジナルアルバム 5作目 (1991年)
一般的にはBIG4をはじめとしてスラッシュからの脱却が目立っていた時期ですが、彼らは前2作で実験的な試みを繰り返してきたこともあってか、ここにきて初期作品に回帰したようなスラッシィな突進力と疾走感を前面に押し出してきました。
とはいえ過去2作での経験もしっかり生かされており、後半にはミッドテンポのグルーヴスラッシュやドゥーミィスラッシュもアクセント的に織り交ぜ、最後はバラッド調から始まってドラマティックな展開を見せるという、全盛期のMETALLICAを思わせるような構成の佳曲で閉じられます。
全体的には前作The Years of Decayに近い印象がありますが、無駄な長尺曲を省いてその分を疾走曲を充実させたことでバランスの良さと充実度は大きくアップしていますし、楽曲がバリエーションに富んでいることでメリハリがついて飽きのこない仕上がりになっており、初期OVERKILLのシメを飾る代表作と呼ばれるのも納得の完成度の高い作品です。
殿堂入り 代表作 入門盤
I Hear Black|アイ・ヒアー・ブラック
オリジナルアルバム 6作目 (1993年)
彼らのカタログ中では最大の問題作とされるアルバムで、その大きな要因はこの時期の多くのスラッシュアルバムと同様、ミッドテンポが中心となったグルーヴスラッシュ化。
彼らは、最近ではグルーヴスラッシュの先駆けとも呼ばれるEXORDERどころかPANTERAにも先んじて、BLACK SABBATHの影響を反映したグルーヴを感じさせる作風を実践していただけあって、ここではPANTERAを意識しつつもその亜流にとどまらないサウンドを作り出しています。
本作の原型にもなった3rdや4thに比べると曲調がバリエーションが乏しく、アクセントになるような変化がつくパートも欠けているためやや単調に流されがちな面は否めませんが、T-08-T-11のような疾走を持ったナンバーをあと1〜2曲を用意して、微妙な楽曲と入れ替えて適度に配置しておけばかなり印象は好転したと思われます。
いずれにせよ、ここからOVERKILLの第2幕がスタートすることになります。
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
W.F.O.|ダブリュー・エイチ・オー
オリジナルアルバム 7作目 (1994年)
再び突進力と疾走感を取り戻しましたが、同時期のSLAYER,SODOM,KREATORと同様に、空前のハードコアブームだった状況を反映させたような荒々しく生々しい音作りになっています。
さらには、サウンドの質感だけを取り上げてPANTERA化の汚名をかぶされ、前作と並んで黙殺されがちな作品ですが、その実は中期の代表作どころか全キャリア中でも上位に位置すべき充実度を誇る1枚。
過去作もしっかり聴いてきたリスナーならばグルーヴフレーバーも以前から見られたもので、万事いつも通りだということがわかるはずですし、むしろBLACK SABBATH以上にMOTORHEADを感じることが多い作風と、ラフでパンキッシュなサウンドが相まって初期のテンションを取り戻したような印象さえ受けます。
また、サウンド面で特筆すべきは、ベースサウンドが過去にないほどまでに前面押し出されていること。D.D.Verniの存在感抜群のドライヴィンなベースラインは実に魅力的で、楽曲に深みとメリハリを与えています。
楽曲はファストナンバーとグルーヴナンバーがバランスよく並び、中には転調やブレイクダウンを見せるものもありますが、どれも粒ぞろいのスキのない作り。中でもT-02は彼らにとってのACE OF SPADESと呼んでも差し支えない名曲で、アベレージは高いもののアンセムクラスの曲を欠いていたOVERKILLにとっては、まさに当時の看板に据えるにふさわしい1曲。
異色作ながら、諸々を加味するならもっと高位に位置すべきなのにもかかわらず、なぜかリスナーからもバンドからも冷遇されがちな悲運のアルバムです。
殿堂入り 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
The Killing Kind|ザ・キリング・カインド
オリジナルアルバム 8作目 (1996年)
賛否両論 実験作
From The Underground And Below|フロム・ザ・アンダーグラウンド・アンド・ビロウ
オリジナルアルバム 9作目 (1997年)
賛否両論 実験作
Necroshine|ネクロシャイン
オリジナルアルバム 10作目 (1999年)
賛否両論 スルメ盤 実験作
Coverkill|カヴァーキル
カヴァーアルバム (1999年)
通好み 実験作
Bloodletting|ブラッドレッティング
オリジナルアルバム 11作目 (2000年)
入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Killbox 13|キルボックス 13
オリジナルアルバム 12作目 (2003年)
入門盤 スルメ盤
ReliXIV|レリックスIV
オリジナルアルバム 13作目 (2005年)
入門盤 スルメ盤
Immortalis|インモータルズ
オリジナルアルバム 14作目 (2007年)
入門盤 スルメ盤
Ironbound|アイアンバウンド
オリジナルアルバム 15作目 (2010年)
殿堂入り 代表作 入門盤
The Electric Age|ザ・エレクトリック・エイジ
オリジナルアルバム 16作目 (2012年)
殿堂入り 代表作 入門盤
White Devil Armory|ホワイト・デビル・アーモリィ
オリジナルアルバム 17作目 (2014年)
The Grinding Wheel|ザ・グラインディング・ホィール
オリジナルアルバム 18作目 (2017年)
The Wings of War|ザ・ウィングス・オブ・ウォー
オリジナルアルバム 19作目 (2019年)