キッチュなホラー系ビジュアルとポップでハードコアなロックンロールサウンドで、エクストリームメタル, ハードコア, サイコビリー, デッスンロール, ゴシックなどあらゆるシーンで愛され続けた80年代アメリカンハードコアのカルトなカリスマバンド!!
MISFITS(ミスフィッツ)は、フロントマンのグレン・ダンジグとギタリストのジェリー・オンリーを中心とした、アメリカのパンク/ハードコアバンド。アンダーグラウンドな存在ながら交友関係にもあったBLACK FLAとともに80年代USハードコアシーンで特に後世に影響を及ぼした重要バンドと見なされ、カルトレジェンド的な地位を築いています。
また、90年代のハードコアファンションブームの時は、キャッチーなイメージシャラクターの“クリムゾン・ゴースト”のTシャツを一般人も切るまでになっていましたし、METALLICAが彼らの曲をカバーしライヴの定番曲にもしていたことで、ヘヴィメタルリスナーにも高い知名度もを誇るグループとなりました。
様々な面でUK三代パンクの一角THE DAMNED(ダムド)の影響下にあり、それをさらにキッチュにしたようなホラー演出と、ロックンロールベースのポップネス/キャッチネスを持った楽曲が持ち味で、そのサウンドはのちのメロディックパンク/メロディックハードコアの原点のひとつにも挙げられます。
コンセプトや世界観は、パルプ雑誌やB級映画などのホラー作品やSF作品が主なアイデアの源泉になった、キッチュでファニーながら独自の美意識にあふれたもの。
ファッションも特徴的で、ドクロを模した“スカルメイク”と髪の毛を顔前に流して逆三角形状に垂らした“デビロックヘア”は後年のホラーパンク/サイコビリーはもちろん、ホラー/ゴシックギミックのビジュアル系バンドまでがこぞって真似ていました。
残念ながらメンバー間の関係が良好ではなく衝突が多かったこともあってバンドは長く持ちませんでしたし、解散後もダンジグとオンリィらの間でアルバムやキャラクタービジネスのロイヤリティをめぐる権利関係の争いを続くなど問題を抱えていました。
MISFITS権利関係の問題が和解にたどり着いたことを契機に、オンリィとその実弟のドイルは再結成に向けて動きますが、自身のバンドで活動していたダンジグが参加要請を断ったため、若手シンガーMichael Emanuelを迎えてMISFITSを再始動します。ちょうどハードコアブームの最中で、MISFITSがルーツの一つでもあるメロディックハードコアも全盛期だったことから、この再結成当初は好評で迎えられました。
しかし2000年を迎えるとそのマイケルも脱退、オンリィがヴォーカルをとるようになりますがヴォーカルの力量不足に加え音楽的な停滞とクオリティの低下も進行して失速気味となり、ダンジグへの助力を乞うてのリユニオンや周年イベントが中心となってしまいます。
その後、ダンジグがまさかの正式復帰を果たし、新作リリースのアナウンスもありましたがこれは未だ実現はしていません。
MISFITS -ORAGENAL ALBUM|DISCOGRAPHY
Static Age|スタティック・エイジ
オリジナルアルバム – 1作目 (1996年)
リリースがお蔵入りとなり長く未発表状態にあった幻のデビューアルバムで、収録曲の大半はコンピレーションアルバムのLegacy of Brutalityに収録されていましたが、1996年の再結成のタイミングに合わせて正式にアルバムとしてリリースされました。
METALLICAがカバーしたLast Caressはじめ、代表曲も多数収録されています。
50’s度:★★☆☆☆|アンセム度:★★★★★|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Walk Among Us|ウォーク・アモング・アス
オリジナルアルバム – 2作目 (1982年)
1959年のB級SF映画『巨大アメーバの惑星』に登場する超有名クリーチャー、“火星の蝙蝠蜘蛛”をあしらったジャケットで知られるアルバム。
シンプルでポップなハードコアパンクサウンドで、他の作品と比較するとロックンロールやロカビリーなどオールディーズ系の影響が濃厚です。ほぼ2分以内の曲の中で唯一3分オーバーのT-06は、彼ららしさが十二分に出た代表曲。
50’s度:★★★☆☆|アンセム度:★★★☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 実験作
Earth A.D./Wolf’s Blood|アース・エー・ディー
オリジナルアルバム – 3作目 (1983年)
前作にあったオールディーズ色が薄れて、MISFITS印のハードコアスタイルが確立されています。収録時間20分程度のアルバムながらどれも名曲ぞろいで非常に充実の高い作品。名盤と言っていいでしょう。
50’s度:★☆☆☆☆|アンセム度:★★☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
American Psycho|アメリカン・サイコ
オリジナルアルバム – 4作目 (1997年)
再結成アルバム第1弾。ヘヴィメタリックなサウンドがオールドファンには不評気味でしたが、初期のサウンドを現代風にアレンジするならどうしてもこうなるでしょう。とはいえ、折からのハードコア/メロコアブームが追い風となってソコソコのヒットとなり、このタイミングで初来日も果たしています。
これ以上ない好機を得てここぞとばかりに全力を注入しているようで、楽曲の充実では初期も含めて最高レベルに達しており、彼ららしいフックの効いたキャッチーなハードロックンロールが満載です。
新ヴォーカリストのマイケルはダンジグと比較すると、アクの強さや存在感ではさすがに及びませんが、若さとキャリアを考えれば健闘している部類しょう。
50’s度:★☆☆☆☆|アンセム度:★★★★☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 賛否両論 実験作
Famous Monsters|フェイマス・モンスターズ
オリジナルアルバム – 5作目 (1999年)
前作と同じくメタリックなポップパンク路線ですが、すでにやや息切れが見られます。もとより芸風の少ないバンドなので、金太郎飴状態の作風をやり玉に挙げるのは今更ですが、前作と比較するとコレといった突出したキメ曲が見当たらないのは痛手。ハードファストナンバーのT-09以降やや盛り返しますも時すでに遅しです。アベレージが前作から大きく下がっている事実ばかりは、フォローのしようがありません。
50’s度:★☆☆☆☆|アンセム度:★★☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論
Project 1950|プロジェクト1950
カバーアルバム (2003年)
エルヴィス・プレスリー, ジェリー・リー・ルイス, ポール・アンカ, ドリフターズといったオールディーズの名曲を取り上げたカバーアルバム。ストレートなカバーなので原曲の良さでそれなりには聴けますが、手の込んだアレンジや斬新な再構築は皆無なので、彼らなりのハードコアなアレンジを期待すると裏切られます。
マイケルが脱退したためこのアルバムからはオンリィがヴォーカルを担当しており、こちらもさすがにダンジグほどの存在感はありませんが、それに近いテイストを意識して無難にこなしています。
50’s度:★★★★★|アンセム度:★☆☆☆☆|総合評価:★★☆☆☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
The Devil’s Rain|ザ・デヴィルズ・レイン
オリジナルアルバム – 6作目 (2011年)
前作のオールディーズカバーがそれなりに好評だったようで、Walk Among Usアルバム以上にオールディーズテイストが強くレトロな雰囲気の楽曲が目だつようになり、エッジの効いたハードコアサウンドは薄まりました。
オールディーズ路線は固定客も多くビジネス的には無難な選択ではありますが、その方向性の是非はともかく、MISFITSの作品としては特筆するレベルにもなければ、ハードコアとクロスオーバーによる新機軸も提示できていない凡庸なもの。
シングルカットのT-03はキャッチーな佳曲ですしT-10, T-16のような従来路線楽曲は水準以上の仕上がりなので、無理なオールディーズ志向がアルバムの足を引っ張っているのは間違いなく、結果的に再結成後では最も低調なアルバムとなっています。
50’s度:★★★★☆|アンセム度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 お布施
MISFITS – COMPILATION ALBUM|DISCOGRAPHY
Legacy of Brutality|レガシィ・オブ・ブルタリティ
コンピレーションアルバム (1985年)
当時は長く未発表となっていた幻のデビューアルバム、“Static Age”のナンバーを多数収録したことで注目を集めた編集盤。その“Static Age”のがアルバムとしてリリースされた今はあまり意味はありませんが、ボックスセット以外では聴けないアルバム未収録曲もあるのでファンは必要チェック。
50’s度:★★☆☆☆|アンセム度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
代表作 通好み
Misfits[I]|ミスフィッツ[I]
コンピレーションアルバム (1986年)
ベストアルバム第1弾。METALLICAがカバーしてライヴでも取り上げていた”Die, Die My Darling”を収録。
Misfitsの代表曲は、シングル/EPのみでのリリースが少なくないということもありますし、曲数も多いのでマニアでなければオリジナルアルバムよりもこちらを選ぶ方がオススメ。
50’s度:★★☆☆☆|アンセム度:★★★★★|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Collection II|コレクションII
コンピレーションアルバム (1995年)
ベストアルバム第2弾。やはりMETALLICAがカバーしてライヴでの定番曲にもしていた”Last Caress”を収録。ベストトアルバム第1弾とこれがあれば、初期の代表曲はあらかた網羅できます。
50’s度:★★☆☆☆|アンセム度:★★★★★|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤
Cuts from the Crypt|カッツ・フロム・ザ・クリプト
コンピレーションアルバム (2001年)
デモやカバー曲などを中心としたレアトラックス