- ドラマティックなコンセプトアルバムで80年代プログレッシヴメタルの頂点に上りつめるも、音楽性の行きづまりとメンバー間の不和で迷走を続けたバンドは、最終的に空中分解の結末を迎え別々の道を柱出す。
- QUEENSRŸCHE|DISCOGRAPHY
- Queensrÿche|クイーンズライク
- The Warning|ザ・ウォーニング:警告
- Rage for Order|レイジ・フォー・オーダー:炎の伝説
- Operation: Mindcrime|オペレーション:マインドクライム
- Empire|エンパイア
- Promised Land|プロミスド・ランド
- Hear in the Now Frontier|ヒア・イン・ザ・ナウ・フロンティア
- Q2K|キュー・トゥ・ケー
- Tribe|トライブ
- Operation: Mindcrime II|オペレーション:マインドクライム II
- Take Cover|テイク・カヴァー
- American Soldier|アメリカン・ソルジャー
- Dedicated to Chaos|デディケイテッド・トゥ・ケイオス
- Queensrÿche|クイーンズライク
- Condition Hüman|コンディション・ヒューマン
- The Verdict|ザ・ヴァーディクト
- GEOFF TATE|DISCOGRAPHY
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- OPERATION: MINDCRIME|DISCOGRAPHY
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ドラマティックなコンセプトアルバムで80年代プログレッシヴメタルの頂点に上りつめるも、音楽性の行きづまりとメンバー間の不和で迷走を続けたバンドは、最終的に空中分解の結末を迎え別々の道を柱出す。
QUEENSRŸCHE(クイーンズライク)は、アメリカはワシントンを拠点とするヘヴィメタルバンド。
一般に、DREAM THEATER(ドリームシアター)と並ぶ、アメリカメインストリームを代表するプログレッシヴメタルバンドとみなされ、時にそこにFATES WARNING(フェイツ・ウォーニング)とCRIMSON GLORY(クリムゾン・グローリー)を加えて、80年代プログレメタルBIG4(四天王)と称されることもあります。
QUEENSRŸCHEは本来はプログレ的な実験性とは無縁の、オーソドックスなヘヴィメタルバンドとしてスタートしており、デビュー当初は、ブリティッシュヘヴィメタルをアメリカ流にローカライズ/チューニングした、オールドスクールなヘヴィメタルを展開していました。
ところが、ロックオペラ的なコンセプトに挑戦した3作目Operation:Mindcrime(オペレーション:マインドクライム)が、ヘヴィメタルファン以外のリスナーにも認められるほどの世界的大ヒット。プログレ新時代の扉を開くバンドとして期待を集める存在になります。
その後もリスナーからはプログレッシヴメタル路線を期待されますが、コンセプチュアルなテーマは掲げつつも、グランジなども視野に入れたオーソドックスなアメリカンハードロックに接近した作風が常態化してゆき、毎回のように賛否両論を集める状態になります。同時に、ヴォーカリストのジェフ・テイト(Geoff Tate)と他のメンバーの間の不仲が公然の事実として伝わるようになり、バンド活動が低迷してゆくことになります。
2012年には、ついにバンドがジェフとマネージメントやファンクラブ運営を執り行っていたテイトファミリーを追放。その結果、テイト側もQUEENSRŸCHE名義で活動をスタートし、ふたつのQUEENSRŸCHEが存在する状況となります。
その後、テイト側は彼らの代表作からとったOPERATION: MINDCRIMEへと改名、本体はQUEENSRŸCHE名義のまま活動を続けそれぞれ複数のアルバムをリリースしていますが、どちらも全盛期の勢いは取り戻せていません。
QUEENSRŸCHE|DISCOGRAPHY
Queensrÿche|クイーンズライク
ミニアルバム:EP (1983年)
初期UKヘヴィメタルやNWOBHMの影響を受けたヘヴィメタルで、JUDAS PREASTを引き合いに出されがちですが、ジャンル内で見るなら特にスタイルが近いわけではなく、あくまでも米国流にチューニングされたヘヴィメタルです。
名刺代わりのミニアルバムということもあってか、インパクトのあるファストチューンが大半を占め、細かいことの抜きにして高品質なヘヴィメタルとしての満足度が高い作品なので、「“Operation: Mindcrime(3rd)”以外は納得できない」というメタルファンも要チェックです。現在は、ライヴ音源などがボーナストラックとして追加されたかたちでの流通が一般的です。
叙情メロ度:★★☆☆☆|オルタナ度:☆☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
The Warning|ザ・ウォーニング:警告
オリジナルアルバム – 1作目 (1984年)
デビューEPがファストチューン中心で好印象だったことで、本作でもそれが期待されましたが、実際のところは大半はミッド〜スローのじっくり聴かせるタイプの曲が主で、その意味では期待したよりも勢いを欠く印象は否めません。
とはいえ、アイデア凝らされていてよく練られた楽曲が多く、適度にファストチューンも織り交ぜてあるため思いのほか退屈に流されることはありません。また、インテレクチュアルでクールな作風もすでに完成されています。
ヘヴィメタル本来の魅力で彼らを上回るUSバンドは存在しますが、米国勢に多いキワモノ系やヤリスギ系など人目を引くファニー路線にはしらないシリアスな作風で、メジャー大手での配給を手にしたところに彼らのアドバンテージがあります。とはいえ、それを実現させるだけの力量を持って、それを表明しうる作品を作り上げていることも確かです。
叙情メロ度:★★★☆☆|オルタナ度:☆☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆
殿堂入り 代表作 入門盤 通好み
Rage for Order|レイジ・フォー・オーダー:炎の伝説
オリジナルアルバム – 2作目 (1986年)
いくらかアップテンポな曲はあるもののファストチューンがほぼ姿を消し、ミッド〜スローテンポとバラードナンバーのみで構成されたアルバム。その意味だけなら、音楽性は異なるものの比較に出されることが多かった、JUDAS PREASTの“Sad Wings Of Destiny(2nd)”あたりに近いとも言えます。
楽曲はよく練られてはいますが、例に挙げたJUDAS PREASTの2ndと比較しても、ヘヴィメタルとしてはダイナミクスやカタルシスが、プログレとしては過剰な技巧や実験性が、何より印象的なメロディやリフなどのフックが弱く楽曲が決定打に欠けます。
ひたすら淡々とした平熱状態が続くため、即効性は希薄で聴き込みを要しますが、いわゆる“スルメ盤”として地味なわりにファンの多いアルバムです。ただし、それはレコード時代だからこそ通用したともいえることで、現代でいきなりこれを出されても名盤扱いは難しいかもしれません。
叙情メロ度:★★★☆☆|オルタナ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
賛否両論 スルメ盤
Operation: Mindcrime|オペレーション:マインドクライム
オリジナルアルバム – 3作目 (1988年)
ロックオペラ的なコンセプトアルバムということが取り沙汰されがちですが、本作が優れているのは何より楽曲のクオリティです。前作とは異なりファストなスピードメタルが目立ちますが、アップテンポからミッドテンポ、バラードまで多彩な作風が並んでおり、そのいずれもが曲単体で見ても印象的なフックを持った極上の仕上がり。名曲も多くそれ以外も軒並み高水準であり、バンドのキャリ中でも最高レベルの楽曲ばかりです。
コンセプトアルバムとしてはともかく、プログレッシヴロックとしては特に評価すべき部分はありませんが、楽曲の充実ぶりだけでそれを補って余りあるもので、ドラマティックなヘヴィメタルアルバムとしてはシーンでも最上位にあります。社会的なテーマを取り上げるコンセプトは今後も踏襲されますが、スタイルを問わずこれだけの作品は後にも先にも生み出せておらず、まさに“奇跡の名盤”と呼べるアルバムです。
叙情メロ度:★★★★☆|オルタナ度:☆☆☆☆☆|総合評価:★★★★★
殿堂入り 代表作 入門盤 実験作
Empire|エンパイア
オリジナルアルバム – 4作目 (1990年)
前作と異なりアルバムオリエンテッドなコンセプトを掲げていないことと、80年代メインストリームを引きずったソフトでマイルドなポップネスを持つことから、派手さはないものの、前作の重厚な大作路線に苦手意識のあるリスナーを中心に支持の高いアルバム。メタル色はかなり抑えられており、むしろクールなポンプロック、都会的なプログレハードといった印象もあります。
全体的に水準は高めで“Rage for Order(2nd)”よりは印象に残る部分が見られますが、特に秀でた名曲レベルのナンバーは不在なため、前作と比較してしまうと大きく水を開けられてしまうことは否めません。
叙情メロ度:★★★★☆|オルタナ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★☆☆
代表作 入門盤 賛否両論 スルメ盤
Promised Land|プロミスド・ランド
オリジナルアルバム – 5作目 (1994年)
ヘヴィでダークな作風が、オールドファンの物議を醸したアルバム。メタル界隈では「ヘヴィでダーク=グランジ化=メタル神への裏切り=駄作」という方程式が成り立っており、これも例外ではありませんでした。とはいえ、そもそも彼らの作風はミッドテンポ中心にじっくり聴かせる“スルメ系”が基本で、その意味では2ndや4thと同様ですし、クオリティではそれらを上回ってさえいます。
Operation: Mindcrimeに至っては、「今後名作をつくれなくなる呪い」と引き換えに生み出したレベルの、彼らのポテンシャルを完全に超えたアルバムなので、比較に持ち出すのは不毛でしょう。
曲調の変化の少なさやキメ曲がないことなどいつもの欠点は健在ですが、良質なメタルアルバムであることは確かです。大きな弱点を挙げとするなら、「ジェフ・テイトのヴォーカルがスピードメタル以外ではあまり映えない。」これが足かせになっていることでしょう。
叙情メロ度:★★★★☆|オルタナ度:★☆☆☆☆|総合評価:★★★★☆
代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Hear in the Now Frontier|ヒア・イン・ザ・ナウ・フロンティア
オリジナルアルバム – 6作目 (1997年)
前作に好意的だったリスナーからさえ、“グランジ路線”にセルアウトしたとバッシングを浴びたアルバム。とはいえ、これはプログレハードレジェンドのRUSH(ラッシュ)の90年代作品や、サザンプログメタルのGALACTIC COWBOYS(ギャラクティック・カウボーイズ)などに類するオルタナプログレ系のアプローチ、それらのば作品がイケて“Operation: Mindcrime(3rd)”の存在が呪いになっていなければ、さほど抵抗なく楽しめるはずです。
メタル様式/メタルサウンドの欠如による好き嫌いと、現在のスタイルの中での良し悪しは分けて語らなければフェアとは言えず、その意味では名作には及ばないまでも彼らのカタログ中で平均を上回るアベレージははじき出せています。
叙情メロ度:★★★★☆|オルタナ度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆
賛否両論 通好み スルメ盤 実験作
Q2K|キュー・トゥ・ケー
オリジナルアルバム – 7作目 (1999年)
Tribe|トライブ
オリジナルアルバム – 8作目 (2003年)
Operation: Mindcrime II|オペレーション:マインドクライム II
オリジナルアルバム – 9作目 (2006年)
Take Cover|テイク・カヴァー
オリジナルアルバム – 10作目 (2007年)
American Soldier|アメリカン・ソルジャー
オリジナルアルバム – 11作目 (2009年)
Dedicated to Chaos|デディケイテッド・トゥ・ケイオス
オリジナルアルバム – 12作目 (2011年)
Queensrÿche|クイーンズライク
オリジナルアルバム – 13作目 (2013年)
Condition Hüman|コンディション・ヒューマン
オリジナルアルバム – 14作目 (2015年)
The Verdict|ザ・ヴァーディクト
オリジナルアルバム – 15作目 (2019年)
GEOFF TATE|DISCOGRAPHY
QUEENSRŸCHEを過去されたジェフ・テイトは、バンドへの対抗心もあってか当初はQUEENSRŸCHE名義にこだわっていましたが、和解協議の結果名盤『OPERATION: MINDCRIME』と、『Operation: Mindcrime II』収録曲の独占演奏権と引き換えにQUEENSRŸCHE名義の使用権を失います。
その後、テイト側は『OPERATION: MINDCRIME』をバンド名として使用することになりますが、これは現在までにOPERATION: MINDCRIME名義でリリースさている、三部作として想定された3枚のアルバムのためのプロジェクト名ということになっており、それ以降のバンド名はアナウンスされていません。
Geoff Tate|ジェフ・テイト
オリジナルアルバム – 1作目 (2002年)
Kings & Thieves|キングス & シーヴス
オリジナルアルバム – 2作目 (2012年)
QUEENSRŸCHE|DISCOGRAPHY
Frequency Unknown|フリクエンシー・アンノウン
オリジナルアルバム – 1作目 (2013年)
OPERATION: MINDCRIME|DISCOGRAPHY
The Key|ザ・キー
オリジナルアルバム – 1作目 (2015年)
Resurrection|リザレクション
オリジナルアルバム – 2作目 (2016年)
The New Reality|ザ・ニュー・リアリティ
オリジナルアルバム – 3作目 (2017年)