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★ LIZZY BORDEN(リジィ・ボーデン)ディスコグラフィー ★ アイドルメタルバブル期に硬派な欧州的メタルセンスが光る!80年代ショックメタルのもうひとつのカリスマ!!…必聴アルバムは?

LIZZY_BORDEN_logo_b ◆ H, I, J, K, L
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80年代のポップメタルバブルの中で、硬派のヘヴィメタルサウンドとあえてキワモノを狙ったビジュアルとギミックでW.A.S.P.やTWISTED SISTERとともに異彩を放っていたグラムメタルバンド!

LIZZY BORDEN(リジィ・ボーデン)は、80年代のアメリカのグラムメタル(=LAメタル, ヘアメタル)などと呼ばれたムーヴメントの中から登場したグループ。そのバンド名は斧で家族を根絶やしにした同名の伝説的アイドルマーダラーを元にしています

グラムメタルムーヴメントは、ヘヴィメタルならではの過剰さよりも大衆受けを最優先したポップな産業メタルを演奏するきらびやかなビジュアル系お化粧バンドが跋扈した、80年代ヘヴィメタルバブルの象徴ともいえるムーヴメントでしたが、LIZZY BORDENはその中でW.A.S.P.やTWISTED SISTERととともにヘヴィメタル本来の過剰さとヘヴィでソリッドなサウンドを追求していたグループでした。
この3バンドは、他のグラムメタルバンドが女性リスナーを意識したナルシスティック&ユニセックスなビジュアルを追求する中、あえてショックロック風の悪趣味なキワモノ路線を追求していたのも大きな特徴で、LIZZY BORDENはW.A.S.P.やTWISTED SISTERと比較すると派手なケレン味にかける部分がありましたが、その分イロモノ度は薄めでした。

音楽的には、ポップネス&キャッチネスを持ったアメリカンヘヴィメタルスタイルと、欧州的な踏襲した湿り気と薄暗さのあるNWOBHM/初期ヘヴィメタルのサウンドが入り混じる作風で、これも産業ロック的な最大公約数向けポップメタルとイケイケの脳筋パーリーロックンロールが横行するグラムメタルでは異色なものでした。

その後セールスは向上するも音楽的には迷走気味となりメンバーの脱退も相次ぎ、80年代末にはリジィのソロ状態となってついには活動停止を迎えますが、のちにMARILYN MANSONやSLIPKNOT、北欧のビジュアル系ブラックメタルらのブレイクによりショックロックが注目を集め、同様のビジュアル系/コスプレ系のメタルバンドが多数登場したこともあって、彼らもその先機運に乗って再結成を果たします。

復活後は80年代以上に手の込んだスタイリッシュなメイクや衣装でヴィジュアル/コスプレ系メタルを追求し、KING DIAMONDらとともにそのシーンの大御所としてリスペクトを集めています。

LIZZY BORDENS|DISCOGRAPHY

Love You to Pieces|ラヴ・ユー・トゥ・ピーシズ

LIZZY_BORDEN_Love_You_to_Pieces

オリジナルアルバム 1作目 – (1985年)

パワー/スピードメタル寄りの力強いサウンドで、アメリカンヘヴィメタルとブリティッシュ/ヨーロピアン系ヘヴィメタルが同居したような作風。アメリカナイズされたポップネスも目立つものの、むやみに脳天気ではなくどこかしらほんのりとした暗さと湿り気を漂わせたサウンドが特徴的です。

メタル度:★★★★☆|アメリカ度:★★★★★|欧州度:★★★☆☆
過剰度:★★★☆☆|ポップ度:★★★★☆|総合評価:★★★★☆

殿堂入り 代表作 入門盤

Menace to Society|メナス・トゥ・ソサイアティ

LIZZY_BORDEN_Menace_to_Society

オリジナルアルバム 2作目 – (1986年)

1stとほぼ同路線ですが、アメリカンメインストリーム的なポップ路線は弱まりパワフルな曲の比率が上がっており、LIZZY BORDENの80年代作品ではもっともヘヴィなアルバム。
高品質ではあるものの、グラムメタルこだわらなければ当時のUNシーンにはより硬質で重厚なサウンドを持つ強力なヘヴィメタル/パワーメタルが多数存在しており、メインストリームに色気を持っている以上それに並ぶレベルにまで行けないのもひとつの必然でした。

メタル度:★★★★★|アメリカ度:★★★☆☆|欧州度:★★★★☆
過剰度:★★★★☆|ポップ度:★★★☆☆|総合評価:★★★★★

殿堂入り 代表作 入門盤

Terror Rising|テラー・ライジング

LIZZY_BORDEN_Terror_Rising

EP:ミニアルバム – (1987年)

Visual Lies|ヴィジュアル・ライズ

LIZZY_BORDEN_Visual_Lies

オリジナルアルバム 3作目 – (1987年)

当時のメインストリームを意識したようなキラキラな爽やか系ポップメタルナンバーの比率が大きくなったており、その甲斐もあって商業的には最も成功したアルバム。わずかながら従来通りの攻撃的なヘヴィメタルナンバーも健在で、完全にポップに振り切れないあたりに“らしさ”は見て取れます。
のちにオジー・オズボーンバンドに加入するジョー・ホームズが参加で注目度も高い作品ですし、高水準な楽曲を提示しているのも確かですが、1st〜2ndのラインを期待するリスナーにとっては煮え切らなさと物足りなさが強いことは否めません。

メタル度:★★★☆☆|アメリカ度:★★★★★|欧州度:★☆☆☆☆
過剰度:★★☆☆☆|ポップ度:★★★★★|総合評価:★★★☆☆

代表作 入門盤 賛否両論

Master of Disguise|マスター・オブ・ディスガイス

LIZZY_BORDEN_Master_of_Disguise

オリジナルアルバム 4作目 – (1989年)

オリジナルメンバーがリジーとドラムのジェリー・スコットのみとなって、実質的にはリジーのソロプロジェクトに近いかたちになっており、ここではQUEENSRŸCHEのOperation: Mindcrimeの成功もあって当時メタルシーンでもひとつの流行になっていた、コンセプトアルバムにチャレンジしています。
作風としては前作同様のポップメタル系の楽曲が中心で、ハードな疾走感を持ったヘヴィメタルナンバーはT-10の1曲のみですが、コンセプトアルバムという性質もあってか作風のバリエーションはより多彩にものなっています。

|メタル度:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★☆☆
|欧州度:★★☆☆☆
|実験度:★★☆☆☆
|ポップ度:★★★★☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門盤 賛否両論 通好み スルメ盤

Deal with the Devil|ディアル・ウィズ・ザ・デヴィル

LIZZY_BORDEN_Deal with the Devil

オリジナルアルバム 6作目 – (2007年)

満を侍しての復活作で、ダークなアメコミ『スポーン』でおなじみTodd McFarlaneのアートワークをフィーチャーしたことや当時の時代性もあって、ダークでソリッドなヘヴィメタルサウンドが期待されますが、思いのほかポップでアメリカナイズされた作風です。
水準以上の作品ではあるのですが、完全復活で前線復帰というにはあまりにパワー不足で作風も中途半端。このタイミングでポップメタル色強めの作風を出してくるあたり、初期2作の王道ヘヴィメタルは他のメンバーの意向が反映されていただけで、リジィが本来志向していたのはこういったアメリカンメインストリーム的なポップメタル/産業ロックなのではないか?…という疑念が頭をもたげざるをえません。

|メタル度:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★★☆
|欧州度:★★☆☆☆
|過剰度:★☆☆☆☆
|ポップ度:★★★★★
|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論 スルメ

Appointment with Death|アポイントメント・ウィズ・デス

LIZZY_BORDEN_Appointment_with_Death

オリジナルアルバム 6作目 – (2007年)

初期の頃のアグレッシヴでストレートな作風を取り戻して、パワーメタル/スピードメタル色がアップしたアルバムですが、やはり80年代ポップメタル的なエッセンスが顔をのぞかせるあたり、リジィの本質はやはりこちらなのだろうなと思わせます。
とはいえ、復活後ではもっともオールドスクールヘヴィメタルの王道を行く作風なので、LIZZY BORDENは初期2作…あるいは2ndのみというリスナーでも一聴の価値はあるでしょう。
ショックロックなビジュアルが大きく強化されたことで、ライヴパフォーマンスもそのギミック込みで評価されるようになります。

|メタル度:★★★★☆
|アメリカ度:★★★★★☆
|欧州度:★★★☆☆
|過剰度:★★★☆☆
|ポップ度:★★★☆☆
|総合評価:★★★★☆

代表作 入門

My Midnight Things|マイ・ミッドナイト・シングス

LIZZY_BORDEN_My_Midnight_Things

オリジナルアルバム 7作目 – (2018年)

前作から一転して、またしても80年代商業アイドルバンドを思わせるキラキラポップメタルに大変身を遂げています。ここまでくると本来リジィがやりたいのはこういうサウンドなんだと割り切るしかないでしょう。
80年代に比べればかなりヘヴィな音づくりで、T-08のような現代的なヘヴィネスを持った楽曲もあるにはあるのですが、それらの楽曲も基調となっているのは80年ポップメタル的な作風です。
T-05, T-06のようなポップながらも抜群の完成度を持った楽曲もあり、決して悪いアルバムではありませんが、もはやストレートなヘヴィメタルナンバーは期待できないのだろうなという諦観を余儀なくされる1枚です。

|メタル度:★★★☆☆
|アメリカ度:★★★★★
|欧州度:★☆☆☆☆
|過剰度:★☆☆☆☆
|ポップ度:★★★★★
|総合評価:★★★☆☆

入門盤 賛否両論 スルメ盤
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